弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

       主   文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
       事   実
 控訴代理人は「原判決を取消す。被控訴人は「香炉園」の商号を使用してお茶の
売買をしてはならない。被控訴人は「香炉園」と記載した店頭の看板を除去し、取
引上使用する一切の文書に「香炉園」の名称を使用してはならない。訴訟費用は第
一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は主文同旨
の判決を求めた。
 当事者双方の主張及び証拠関係は、次のとおり付加するほか、原判決事実摘示と
同じであるからこれを引用する。
(控訴人の主張)
(一) 商法二〇条一項は、商号の登記をした者は不正の競争の目的をもつて同一
又は類似の商号を使用する者に対してその使用の差止めを請求することができる旨
規定し、同条二項は、他人の登記した商号を使用する者は不正の競争の目的をもつ
てこれを使用するものと推定する旨定めているのであるから、本件においても、被
控訴人に不正の競争の目的の存したことが右規定により当然に推定されるのであ
る。
 のみならず、被控訴人は従来控訴会社の代表取締役の職務代行者として同会社の
実権を掌握していた者であり、その地位を喪失した後に引き続き控訴会社の商号を
使用し、従前の得意先を対象として営業をしているのであるから、被控訴人に不正
競争の目的があることは明らかというべきである。
(二) 控訴人は本件差止請求を認容する判決が確定すれば本格的にお茶の卸販売
を開始するつもりであるが、それまでの間は被控訴人との間に取引上の混乱を生じ
たり、感情的対立が激化するのを避けるため、小売だけにとどめ卸売を差控えてき
たのである。そして、このように控訴人の営業の開始が将来であるとしても、商号
の使用の差止めを請求することが許されると解すべきである。もし、当該営業につ
いて事実上の競争関係が存在することが必要であるとすれば、控訴人の営業の開始
により被控訴人の営業との間に無用の混乱を生じ、法秩序の紊乱を招くことになる
のであつて、とうてい是認できない見解というべきである。
(三) 被控訴人は前記のとおり控訴会社の代表取締役の職務代行者であつたが、
その後右地位を喪失したものである。そして、右地位を喪失した以後は被控訴人に
おいて控訴会社に属した一切の権利義務を同会社に引渡す義務があり、控訴会社の
商号も右引渡しの対象となることは明らかである。そうすると、被控訴人が右義務
を履行することなく、控訴会社の商号を使用することは許されないというべきであ
る。
(被控訴人の主張)
 控訴人の右主張はいずれも争う。
(証拠) (省略)
       理   由
 当裁判所も原審と同じく、控訴人の本訴請求は理由がないから、これを棄却すべ
きものと判断する。その理由は、次のとおり付加するほか、原判決理由に説示する
ところと同じであるから、これを引用する。
(一) 控訴人の当審における前記主張にかんがみ、当審において援用した前記証
拠を併せて審究するも、前記認定・判断(原判決理由引用)を動かすに足りない。
(二) なお、控訴人は、被控訴人が控訴会社の代表取締役職務代行者の地位を喪
失したのにかかわらず、控訴会社の商号を引渡すべき義務を履行することなく、右
商号を使用することは許されない旨主張する。
 しかしながら、被控訴人に控訴人主張のごとき債務不履行が存する事実は本件に
おけるあらゆる証拠によるもこれを認めるに足りないのである。のみならず、控訴
人が被控訴人に対し商法二〇条に基づき本件商号使用の差止を請求することが許さ
れるか否かは同条の定めるところによつてこれを決すべきであるところ、前記認
定・説示(原判決理由引用)したところによつて明らかなごとく、控訴人は右差止
を請求する権利を有しないものというべきである。控訴人の右主張は採用のかぎり
でない。
 よつて、右と同旨に出た原判決は相当であつて、本件控訴は理由がないからこれ
を棄却することとし、控訴費用の負担につき民訴法九五条、八九条を適用して、主
文のとおり判決する。
(裁判官 黒木美朝 川端浩 松村恒)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛