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平成17年(行ケ)第10522号審決取消請求事件
平成18年4月13日口頭弁論終結
判決
原告千住金屬工業株式会社
訴訟代理人弁理士広瀬章一
被告特許庁長官中嶋誠
指定代理人原賢一
同柳和子
同大場義則
同徳永英男
主文
1原告の請求を棄却する。
2訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1当事者の求めた裁判
1原告
特許庁が不服2003-11203号事件について平成17年4月28日に
した審決を取り消す。
訴訟費用は被告の負担とする。
2被告
主文と同旨
第2当事者間に争いのない事実等
1特許庁における手続の経緯
原告及び訴外TDK株式会社(以下「TDK」といい,原告と併せて「原,
告ら」という)は,発明の名称を「熱硬化性はんだ付け用フラックスおよび。
はんだ付け方法とする発明につき平成12年12月4日特許出願をした特」,(
願2000-368896号。優先日平成11年12月3日・日本。以下「本
願」という。。)
原告らは,本願につき,平成14年12月24日付け手続補正書による明細
書の補正をしたが,平成15年5月8日付けで拒絶査定を受けたので,同年6
月18日付けで不服の審判を請求するとともに,同年7月17日付け手続補正
書による明細書の補正(以下,この補正を「本件補正」という。また,本件補
正後の明細書を「補正明細書」といい,本件補正前の明細書を「本願明細書」
という。なお,本件補正は,特許請求の範囲を対象としたものであって,それ
以外の部分は,本願明細書と補正明細書の内容は同一である。請求項の数は,
本件補正の前後を通じて9である)をした。。
特許庁は,上記審判請求を不服2003-11203号事件として審理した
,,,結果平成17年4月28日本件補正につき補正却下の決定をするとともに
「本件審判の請求は,成り立たない」との審決をし,その謄本は,同年5月。
23日に原告らに送達された。
TDKは,平成17年6月15日,本願に係る特許を受ける権利の持分を原
告に譲渡し,原告は,同月16日,特許庁に,その旨の出願人名義変更届を提
出した。
2特許請求の範囲の記載(請求項第1,第5及び第6項)
()補正明細書における記載(本件補正後のもの)1
「請求項1】ロジンおよびカルボン酸無水物より選ばれた1種もしくは2【
種の有機酸~質量%,溶剤5~質量%,ならびに熱硬化性樹脂0.15040
および硬化剤を合計~質量%含有する,該熱硬化性樹脂により該部6095
,。」品を固着する機能を発揮する小型電子部品のはんだ付け用フラックス
(以下,この発明を「補正発明1」という)。
「請求項5】さらにチキソ剤を~質量%含有する請求項1ないし4【0.110
のいずれかに記載のはんだ付け用フラックス」。
150「請求項6】請求項1ないし5のいずれかに記載のフラックスと融点【
℃以上のはんだ合金の粉末との混練物であるはんだペースト」。
請求項5に係る発明は,請求項1を引用する場合を独立形式(全文記載形
式)で表現すると「ロジンおよびカルボン酸無水物より選ばれた1種もし,
くは2種の有機酸0.1~50質量%,溶剤5~40質量%,チキソ剤0.
1~10質量%ならびに熱硬化性樹脂および硬化剤を合計60~95質量%
含有する,該熱硬化性樹脂により該部品を固着する機能を発揮する,小型電
子部品のはんだ付け用フラックス」となる(以下,この発明を「補正発明。
5」という。。)
請求項6に係る発明は,請求項1を引用する場合を独立形式(全文記載形
式)で表現すると「ロジンおよびカルボン酸無水物より選ばれた1種もし,
くは2種の有機酸0.1~50質量%,溶剤5~40質量%,ならびに熱硬
化性樹脂および硬化剤を合計60~95質量%含有する,該熱硬化性樹脂に
より該部品を固着する機能を発揮する,小型電子部品のはんだ付け用フラッ
クスと融点150℃以上のはんだ合金の粉末との混練物であるはんだペース
。」(,「」。,,トとなる以下この発明を補正発明6というまた補正発明1
5及び6を併せて「補正発明」と総称することがある。。)
()本願明細書における記載(本件補正前のもの)2
「請求項1】ロジンおよびカルボン酸無水物より選ばれた1種もしくは2【
種の有機酸~質量%,溶剤5~質量%,ならびに熱硬化性樹脂0.15040
,,および硬化剤を合計~質量%含有する部品をはんだ付けする際に6095
該熱硬化性樹脂により該部品を固着する機能を発揮する,はんだ付け用フ
ラックス(以下,この発明を「本願発明1」という)。」。
「請求項5】さらにチキソ剤を~質量%含有する請求項1ないし4【0.110
のいずれかに記載のはんだ付け用フラックス」。
150「請求項6】請求項1ないし5のいずれかに記載のフラックスと融点【
℃以上のはんだ合金の粉末との混練物であるはんだペースト」。
請求項5に係る発明は,請求項1を引用する場合を独立形式(全文記載形
式)で表現すると「ロジンおよびカルボン酸無水物より選ばれた1種もし,
くは2種の有機酸0.1~50質量%,溶剤5~40質量%,チキソ剤0.
1~10質量%ならびに熱硬化性樹脂および硬化剤を合計60~95質量%
含有する,部品をはんだ付けする際に,該熱硬化性樹脂により該部品を固着
する機能を発揮する,はんだ付け用フラックス」となる(以下,この発明。
を「本願発明5」という。。)
請求項6に係る発明は,請求項1を引用する場合を独立形式(全文記載形
式)で表現すると「ロジンおよびカルボン酸無水物より選ばれた1種もし,
くは2種の有機酸0.1~50質量%,溶剤5~40質量%,ならびに熱硬
化性樹脂および硬化剤を合計60~95質量%含有する,部品をはんだ付け
する際に,該熱硬化性樹脂により該部品を固着する機能を発揮する,はんだ
付け用フラックスと融点150℃以上のはんだ合金の粉末との混練物である
。」(,「」。,はんだペーストとなる以下この発明を本願発明6というまた
本願発明1,5及び6を併せて「本願発明」と総称することがある。。)
3審決の理由
()別紙審決書の写しのとおり。1
審決の理由は,要するに,補正発明1及び5は,優先日より前に頒布され
(。「」た刊行物である特開平10-34383号公報甲2の3以下引用例2
という)に記載された後記引用発明2-1及び周知事項に基づいて,補正。
発明6は,引用例2に記載された後記引用発明2-2及び周知事項,又は優
先日より前に頒布された刊行物である特開昭59-85394号公報(甲2
。「」。),の2以下引用例1というに記載された後記引用発明1に基づいて
当業者が容易に発明をすることができたものであって,特許法29条2項の
規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるか
ら,本件補正は却下されるべきものであり,本願発明もまた同様に,本願発
明1及び5は,引用発明2-1及び周知事項に基づいて,本願発明6は,引
用発明2-2及び周知事項,又は引用発明1に基づいて,当業者が容易に発
明をすることができたものであって,特許法29条2項の規定により特許を
受けることができない,というものである。
()審決が認定した引用発明1及び引用発明2-1,2-2の内容は,次のと2
おりである。
(ア)【引用発明1】
「重合ロジン6.8重量%,イソプロピルアミンHBr0.2重量%,
ブチルセロソルブ3.0重量%,一液性エポキシ系接着剤10.0重
量%,Pb-60Snはんだ粉80.0重量%,該一液性エポキシ系
接着剤はチップ部品を固着している,チップ部品のはんだ付け用クリ
ームはんだ」
(イ)【引用発明2-1】
「有機酸0~15重量%,溶剤9~11重量%,エポキシ55~65重
量%,硬化剤3~5重量%,キレ-ト4~6重量%,脱泡剤0.5~
1重量%,界面活性剤0.5~1.5重量%,チキソトロ-プ1~5
重量%含有する,該エポキシは電子部品を固着する機能を発揮する,
電子部品のはんだ付け用重合体フラックス組成物」
(ウ)【引用発明2-2】
「有機酸0~15重量%,溶剤9~11重量%,エポキシ55~65重
量%,硬化剤3~5重量%,キレ-ト4~6重量%,脱泡剤0.5~
1重量%,界面活性剤0.5~1.5重量%,チキソトロ-プ1~5
重量%含有する,該エポキシは電子部品を固着する機能を発揮する,
電子部品のはんだ付け用重合体フラックス組成物と融点150℃以上
のはんだ合金の粉末とを含むはんだペースト組成物」
()審決が認定した補正発明1と引用発明2-1,補正発明5と引用発明2-3
,,1補正発明6と引用発明2-2及び引用発明1との各一致点及び相違点は
次のとおりである。
(ア)補正発明1と引用発明2-1との一致点及び相違点
【一致点】
「有機酸0.1~15質量%,溶剤9~11質量%,熱硬化性樹脂およ
び硬化剤を合計60~70質量%含有する,該熱硬化性樹脂は電子部品
を固着する機能を発揮する,小型電子部品のはんだ付け用フラックス」
である点
【相違点】
(相違点1)
補正発明1は,有機酸がロジン及びカルボン酸無水物より選ばれた1
種若しくは2種であるのに対し,引用発明2-1は有機酸の種類が明ら
かでない点
(相違点2)
補正発明1は,キレ-ト,脱泡剤,界面活性剤,チキソトロ-プを含
有するとまでは特定されていないのに対し,引用発明2-1は,キレ-
ト4~6重量%,脱泡剤0.5~1重量%,界面活性剤0.5~1.5
重量%,チキソトロ-プ1~5重量%含有している点
(相違点3)
補正発明1は,熱硬化性樹脂「により」部品を固着する機能を発揮す
るのに対し,引用発明2-1は,熱硬化性樹脂が部品を固着する機能を
発揮しているものの,熱硬化性樹脂「により」部品を固着する機能を発
揮するのか明らかでない点
(イ)補正発明5と引用発明2-1との一致点及び相違点
【一致点】
「有機酸0.1~15質量%,溶剤9~11質量%,チキソ剤1~5質
量%,熱硬化性樹脂および硬化剤を合計60~70質量%含有する,該
熱硬化性樹脂は電子部品を固着する機能を発揮する,小型電子部品のは
んだ付け用フラックス」である点
【相違点】
補正発明1と引用発明2-1との相違点に同じ。
(ウ)補正発明6と引用発明2-2との一致点及び相違点
【一致点】
「有機酸0.1~15質量%,溶剤9~11質量%,熱硬化性樹脂およ
び硬化剤を合計60~70質量%含有する,該熱硬化性樹脂は電子部品
を固着する機能を発揮する,小型電子部品のはんだ付け用フラックスと
融点150℃以上のはんだ合金の粉末との混練物であるはんだペース
ト」である点
【相違点】
補正発明1と引用発明2-1との相違点に同じ。
(エ)補正発明6と引用発明1との一致点及び相違点
【一致点】
「ロジン34.0質量%,溶剤15.0質量%,熱硬化性樹脂と,融点
150℃以上のはんだ合金粉末,該熱硬化性樹脂は小型電子部品を固着
する混練物であるはんだペースト」である点
【相違点】
(相違点1)
補正発明6は,熱硬化性樹脂及び硬化剤を合計60~95質量%含有
,,.,しているのに対し引用発明1は熱硬化性樹脂を500質量%含み
硬化剤を含んでいるのか明らかでない点
(相違点2)
補正発明6は,イソプロピルアミンHBrを含有するとまでは特定さ
れていないのに対し,引用発明1は,イソプロピルアミンHBrを1.
0質量%含有している点
(相違点3)
補正発明6は,熱硬化性樹脂「により」部品を固着する機能を発揮す
るのに対し,引用発明1は,熱硬化性樹脂が部品を固着する機能を発揮
しているものの,熱硬化性樹脂「により」部品を固着する機能を発揮す
るのか明らかでない点
()審決が認定した本願発明1と引用発明2-1,本願発明5と引用発明2-4
1,本願発明6と引用発明2-2及び引用発明1との各相違点は,上記()3
記載の補正発明1と引用発明2-1,補正発明5と引用発明2-1,補正発
明6と引用発明2-2及び引用発明1との各相違点と,同様である。
第3原告主張の取消事由の要点
審決は,拒絶査定において挙げられていなかった引用例2に基づいて補正発
明1及び5の独立特許要件並びに本願発明1及び5の進歩性を判断した違法が
あり(取消事由1,引用発明1の認定を誤り,相違点を看過した結果,補正)
発明6の独立特許要件及び本願発明6の進歩性の判断を誤り(取消事由2,)
引用発明2-1,2-2の認定を誤り,相違点を看過した結果,補正発明の独
(),立特許要件及び本願発明の進歩性の判断を誤った取消事由3ものであって
これらの誤りが審決の結論に影響することは明らかであるから,審決は違法と
して取消しを免れない。
1取消事由1(引用例2に基づいて独立特許要件及び進歩性を判断した違法)
拒絶査定(甲3)においては,備考の欄の文脈から,本願発明は引用例1を
最も近い従来技術としてそれからの進歩性の欠如を指摘されたものと理解され
る。しかるに,審決は,拒絶査定に挙げられていなかった引用例2に基づいて
補正発明1及び5の独立特許要件並びに本願発明1及び5の進歩性の判断を行
っている。審決には,手続上の違法があるというべきである。
2取消事由2(引用発明1の認定の誤りによる相違点の看過と補正発明6の独
立特許要件及び本願発明6の進歩性の判断の誤り)
()審決は,引用発明1の認定及び補正発明6との対比に誤認がある。引用例1
1は補正発明6の課題について何一つ明らかにすることがない。引用例1の
発明は,補正発明6と同様にチップ部品の接合に熱硬化性樹脂入りのソルダ
ペーストを用いるが,フラックス残渣に硬化処理を施すことでチップ部品の
接合強度を確保し,ディスクリート部品の溶融はんだ付け時にチップ部品の
剥がれを防止するもので,リフローだけでチップ部品のはんだ付けが完了す
るものではない。
一方,補正発明6は,小型電子部品特有の「小型化された電子部品では,
はんだ付け面積が小さいため,はんだ付けによる接合だけでは部品を十分に
接合・保持することができず,他に何らかの部品固着手段をさらに設ける必
要がある」という技術課題を解決するのに「はんだ付けする部品の接合面に
は,電極が占める面積以外に,電極と同程度の面積が残っており,そのよう
な面積も部品の固着に利用できることに着目した」という技術思想を前提に
成立したものである。
()引用例1の発明は,実施例の記載によれば,リフロー処理とは別個の加熱2
処理を行うことでフラックス残渣を硬化させている(近赤外線加熱装置での
リフロー処理→フラックス残渣生成→電気炉での加熱処理→フラックス残渣
の硬化。これが引用例1の開示する発明の実体であるのに,審決は,この)
点の認定を欠き,違法である。
()審決の引用発明1の認定の誤りは,具体的には次のとおりである。すなわ3
,,「」ち審決は引用例1に‥‥‥チップ部品のはんだ付け用クリームはんだ
が記載されていると認定しているが(審決書8頁31行~32行,この認)
定は,それに続く溶融はんだ付け法によって初めてチップ部品のはんだ付け
が完了することを看過したものである。引用例1のクリームはんだは,接着
,「」剤によるチップ部品の固着用のものであってチップ部品のはんだ付け用
とはいえないのである。
()審決は,請求項6(本件補正の前後とも)について,引用例1との関係に4
おいて,最も広い態様(最も拒絶しやすい態様)である請求項1を引用した
発明を対比して進歩性を判断している。しかし,引用例1との対比において
は,請求項6の発明(本件補正の前後とも)のうち最も具体的に特定された
発明である請求項5を引用した発明を対比することで,進歩性を判断すべき
ものである。請求項6は,請求項5を引用する発明をも含んでいるところ,
請求項5のフラックスは,甲5(資料2)に示されるように引用例1のもの
と比較して作用効果が顕著であり,このことはその開発経緯に照らしても明
らかである甲14本願発明の共同発明者田口稔孫の陳述書甲15本(〔〕,〔
願発明の共同発明者川又勇司の陳述書〕参照。)
3取消事由3(引用発明2-1,2-2の認定の誤りによる相違点の看過と補
正発明の独立特許要件及び本願発明の進歩性の判断の誤り)
()審決は,引用発明2-1,2-2の認定を誤っている。引用例2のフラッ1
クスは「VOCフリーのフラックス」であり,最終的に得られた重合体フラ
ックス組成物にはいわゆる溶剤は存在せず,非揮発性であるから,引用例2
にいう「溶剤」の「ポリオール(ジオール」を含む)は,補正発明・本」「。
願発明における「溶剤」ではない。すなわち,引用例2にいう「溶剤」は反
応性希釈剤(甲10〔特公平7-8900号公報〕と同様)と推定されると
ころ,溶剤とは「揮発性の液体」であるから(甲6,JIS工業用語大辞,
典,これに当たらない。)
()補正発明の課題は,小型電子部品特有の技術課題であり,引用例2には記2
載がないし,補正発明の技術思想は引用例2にはない。
審決の誤りは具体的には次のとおりである。①審決(審決書4頁末行~5
頁9行)が引用する引用例2の段落【0039】の「重合体フラックス組成
物」のエポキシ以下の各成分は,いわば原料の組合わせであり,ジオールを
加えることで重合反応が進み重合体配合物となったものであって,フラック
スに各成分がそのまま存在するのではない,②審決(審決書3頁28行~3
)【】【】「」7行が引用する引用例2の段落0002~0003の電子部品
は補正発明・本願発明の「小型電子部品」ではない,③審決(審決書4頁2
3行~28行)が引用する引用例2の段落【0015】に記載される落下テ
スト(段落【0007】参照)の合格は,はんだ接合を行ったからであり,
はんだ付けによって所要の強度を得る引用例2の発明は,小型電子部品例え
ばチップ部品への適用はもともとできないもので,阻害要因がある,④引用
例2の重合体コーティングはリフロー温度において柔軟であり(引用例2の
段落【0024,リフロー温度において硬化は起こらない。】)
()審決は,補正発明5及び本願発明5の特徴としてのチキソ剤の含有効果を3
示す甲5(資料2)について,何一つ判断していない。甲5から,チキソ剤
含有の補正発明5及び本願発明5は,顕著な作用効果が得られることが分か
る。また,補正発明5及び本願発明5の顕著な作用効果は,甲15(本願発
明の共同発明者川又勇司の陳述書)によっても,明らかである。
第4被告の反論の要点
審決の認定判断は相当であり,原告主張の取消事由は理由がない。
1取消事由1(引用例2に基づいて独立特許要件及び進歩性を判断した違法)
について
原告は,補正発明の独立特許要件及び本願発明の進歩性の判断を拒絶査定に
おいて引用されていない引用例2に基づいてしたから,審決に手続違背がある
旨主張するが,手続違背はない。引用例2は,拒絶査定の理由において引用さ
れていないとしても,審査手続における拒絶理由通知書(甲2の1)において
既に通知している。
2取消事由2(引用発明1の認定の誤りによる相違点の看過と補正発明6の独
立特許要件及び本願発明6の進歩性の判断の誤り)について
()原告は「引用例1は補正発明の課題について何一つ明らかにすることが1,
ない「引用例1の発明は・・・リフローだけでチップ部品のはんだ付け」,
が完了するものではない」と主張するが,これらの主張が審決のどの認定判
断の誤りを主張するものであるか不明であり,失当である。なお,原告の主
張は,引用例1記載のクリームはんだが混載プリント基板のはんだ付けのみ
に用いることを前提とするものであるが,同クリームはんだがチップ部品の
みをはんだ付けする場合にも使用できることは,後述するとおり明らかであ
る。また「リフローだけでチップ部品のはんだ付けが完了するものではな,
い」旨の主張は,引用例1のどの記載を根拠としたものか不明であるし,誤
った前提に基づいた主張である。
原告は,補正発明6は「小型電子部品のはんだ付け」特有の技術課題や,
その課題を解決する技術思想に基づいて成立したものである旨主張するが,
失当である。発明の認定は,特段の事情がない限りその特許請求の範囲に基
づいてなされるべきであるところ,本件について明細書を参酌すべき特段の
事情は認められない。
()原告は,引用例1の発明の実体は,近赤外線加熱装置でのリフロー処理→2
フラックス残渣生成→電気炉での加熱処理→フラックス残渣の硬化であるの
に,審決がこの点の認定を欠いていると主張するが,引用例1記載のクリー
ムはんだはこのはんだ付け工程の態様に限定して用いられるものではないか
ら,失当である。引用例1には「本発明者は,エポキシ系接着剤は加熱す,
ることにより硬化し,また紫外線硬化型接着剤は紫外線の照射で硬化するこ
とに着目して本発明を完成させた。本発明の特徴とするところは,クリーム
はんだ中に加熱,或いは紫外線照射により硬化する物質を添加したことにあ
る(2頁下左欄1~7行「フラックス残渣に接着効果を付与しフラッ。」),
クス残渣でチップ部品とプリント基板を固定(2頁上右欄下から6~5,」
行)の記載があり,フラックス中の熱硬化性樹脂が熱硬化する態様の限りに
おいて使用可能ということができる。したがって,例えば混載プリント基板
のはんだ付けにおいて,はんだの溶融によるはんだ付けとフラックス中の熱
硬化性樹脂の熱硬化とが同時になされる態様においても,使用可能である。
()原告は,審決が引用例1記載のクリームはんだを「チップ部品のはんだ付3
け用」のものと認定したことは誤りである旨主張している。しかし,引用例
1記載のクリームはんだは「チップ部品」をはんだ付け(状態)のものと,
するために用いられるものであり,このような「はんだ」が「チップ部品の
はんだ付け用」の「はんだ」といえることは明らかであるから,審決の認定
に誤りはない。補正発明6は「はんだペースト」に係る発明であり,請求項
6には「通電を目的とした接合(通電接合」が発明の特定事項として記,)
載されているわけではない。原告は,引用例1につき「チップ部品のはん,
だ付け」に続く溶融はんだ付け法によって「初めてチップ部品のはんだ付け
が完了する」のであるとして,引用例1の「クリームはんだ」はチップ部品
のはんだ接合に先立つ「チップ部品の仮止め用」であり,このようなはんだ
は「チップ部品はんだ付け用」のはんだとはいえない旨主張するが,原告,
の主張は,引用例1記載のクリームはんだが特定のはんだ付け態様にのみ使
用するものであるとする前提に立つものであって,この前提自体が誤りであ
。「」,「」るチップ部品のはんだ付け用はんだとはそのはんだがチップ部品
をはんだ付け(状態)するために用いられるものであればよいということが
でき,原告主張のようなものに限定しなければならない理由はない。引用例
1の実施例に記載された「クリームはんだ」がその組成からみて「はんだ付
け作用」を有することは明らかであり「クリームはんだ」は「はんだペー,
スト」と同義で使用される技術用語であるから(乙7,エレクトロニクス実
装技術用語辞典「はんだ付け作用」を有することは明らかである。また,),
「はんだ付け」についての定義「接合しようとする材料(母材)を所定の温
度に加熱し,溶融したはんだを接合部のすき間に流入させ,凝固させて接合
する方法(乙6,金属材料技術用語辞典)からも「通電接合」に限定さ」,
れるものではない。
()原告は,甲5の資料2を根拠に,補正発明6・本願発明6の顕著な効果の4
看過を主張するが,失当である。上記資料はわずか1つのものの効果を示す
にすぎないものであって,補正発明6・本願発明6の全体の効果を裏付ける
ものではない。また,引用例1において,クリームはんだによれば良好なチ
ップ部品のはんだ付けができたことが記載されており,補正発明6・本願発
明6の奏する効果が,引用例1に記載されたはんだの奏する効果から予測さ
れない顕著な効果であると認めることはできない。
原告は,陳述書(甲14)を根拠に,補正発明6・本願発明6の顕著な効
果の看過を主張するが,失当である。また,陳述書(甲15)は「本願発,
明では‥‥‥必ずチキソ剤が含まれています」としているが「チキソ剤」。,
を発明の特定事項としていない請求項1を引用する補正発明6・本願発明6
に対しては,失当である。
()上記のとおり,原告の引用例1に関する主張は,いずれも失当である。審5
決の引用発明1の認定に誤りはなく,その認定に基づいた補正発明6の独立
特許要件の判断,さらに本願発明6の進歩性の判断に,何ら誤りはない。
3取消事由3(引用発明2-1,2-2の認定の誤りによる相違点の看過と補
正発明の独立特許要件及び本願発明の進歩性の判断の誤り)について
()原告は,引用例2には小型電子部品特有の技術課題の記載がないと主張す1
るが,失当である。引用例2に記載されたはんだペースト組成物も,その用
途が「電子部品のはんだ付け用」であり,具体的には「回路部品を取り付け
るためのプリント回路基板」のはんだ付け用(段落【0003)であり,】
,「」これは引用例1にも記載されているようにチップ部品等の小型電子部品
をランドにはんだ付けするものであるから,引用例2-2発明は,その用途
の点で補正発明と実質的に差異はない。
()原告は,引用例2に記載の「溶剤」は「非揮発性」であるのに対し,補正2
発明・本願発明の「溶剤」は「揮発性」であるから,審決には引用発明2-
1,2-2の認定に誤りがある旨主張する。しかし,補正発明・本願発明の
「溶剤」は「溶剤5~40質量%」と特定されているにすぎず「溶剤」を,
「揮発性」と限定的に解する理由はない(甲6(JIS工業用語大辞典,)
乙4(化学大辞典)参照。溶剤は,濃度及び粘度の調節機能を有すれば足)
り(本願明細書段落【0040,乙4の「溶剤は一般に溶質と反応しな】)
い液体である」の記載がはんだ付け用フラックスの溶剤に直ちに当てはま。
るものではない。原告の主張は失当である。
()原告は,引用例2において最終の重合体フラックス組成物には溶剤は存在3
していないから,引用例2の段落【0039】の配合例に基づいて「はんだ
付け用重合体フラックス組成物」を認定した審決には誤りがある旨主張する
が,失当である。引用例2には,原料の混合の段階で,ジオールにより原料
(エポキシ)が一部重合反応を起こすとは記載されていない。一方「フラ,
ックス作用を促進させるポリオールの沸点は,セ氏度の温度よりも高200
い。従って,ポリオールは,代表的なリフロー温度では蒸発せずに,むしろ
後述するようにエポキシ成分と反応する。したがって,はんだ付け作業時や
その後に上記はんだ組成物から発生するVOCの量は,最小量に抑えられ
る(段落【0023)の記載があり,この記載によれば,ポリオールと。」】
いう「溶剤」は,原告が指摘する130℃程度の加熱温度では蒸発しない
,。からはんだ付け時まで溶剤として存在していることを裏付けるものである
()原告は,引用例2の「電子部品」が補正発明の「小型電子部品」に相当す4
るとしたのは誤認である旨主張するが,失当である。引用例2に記載された
発明も,補正発明と同様,チップ部品等の「小型電子部品」を対象としてい
ることは明らかである。引用例2のプリント基板自体が小型であることは周
知の事実であるし,補正発明において「小型」を定義する客観的な限定がな
されているのでもない。
()上記のとおり,原告の引用例2に関する主張も,すべて失当である。審決5
の引用発明2-1,2-2の認定に誤りはなく,その認定に基づいた補正発
明の独立特許要件の判断,さらに本願発明の進歩性の判断に,何ら誤りはな
い。
第5当裁判所の判断
本件事案にかんがみ,原告主張の取消事由のうち取消事由2(引用発明1の
認定の誤りによる相違点の看過と補正発明6の独立特許要件及び本願発明6の
進歩性の判断の誤り)から判断するが,まず最初に,審決が本件補正を却下し
た際の補正発明6の独立特許要件の判断について検討し,次いで,本願発明6
の進歩性の判断について検討する。
1補正発明6の独立特許要件の判断について
()本件補正後における請求項6の記載は,前記第2,2()のとおりである11
が,請求項6において請求項1を引用したものを独立形式(全文記載形式)
で書き表した内容(補正発明6)は,次のとおりである。
「ロジンおよびカルボン酸無水物より選ばれた1種もしくは2種の有機酸
0.1~50質量%,溶剤5~40質量%,ならびに熱硬化性樹脂および硬
化剤を合計60~95質量%含有する,該熱硬化性樹脂により該部品を固着
する機能を発揮する,小型電子部品のはんだ付け用フラックスと融点150
℃以上のはんだ合金の粉末との混練物であるはんだペースト」。
()引用例1の記載内容2
引用例1(甲2の2)には,次の各記載がある。
(ア)「クリームはんだ中に加熱,或いは紫外線照射により硬化する物質を添
加したことを特徴とするクリームはんだ(特許請求の範囲第1項)。」
(イ)「加熱により硬化する物質はエポキシ系接着剤であることを特徴とする
特許請求の範囲第(1)項記載のクリームはんだ(特許請求の範囲。」
第2項)
(ウ)「本発明は液状フラックスと粉末はんだを混和して得られるクリーム状
,。」はんだ特に電子機器のはんだ付けに用いるクリームはんだに関する
(1頁下左欄14~16行)
(エ)「本発明は前述クリームはんだをチップ部品のはんだ付けとして用いる
混載プリント基板のはんだ付け方法において,クリームはんだをリフロ
ーした後,はんだ付け部にはんだを覆うようにして残るフラックス残渣
に接着効果を付与し,フラックス残渣でチップ部品とプリント基板を固
定して,後工程で該チップ部品のはんだ付け部が溶融はんだに接触して
もチップ部品が剥れることなく所定の位置に留まっていられるようにし
たことを技術思想としたものである(2頁上右欄11~20行)。」
(オ)「本発明者は,エポキシ系接着剤は加熱することにより硬化し,また紫
外線硬化型接着剤は紫外線の照射で硬化することに着目して本発明を完
成させた。本発明の特徴とするところは,クリームはんだ中に加熱,或
いは紫外線照射により硬化する物質を添加したことにある(2頁下。」
左欄1~7行)
(カ)「実施例1
重合ロジン6.8重量%
イソプロピルアミンHBr0.2重量%
ブチルセロソルブ3.0重量%
一液性エポキシ系接着剤10.0重量%
Pb-60Snはんだ粉80.0重量%
上記組成のクリームはんだをプリント基板裏面のランド間に塗布し,
該塗布部にチップ部品を搭載して遠赤外線の電気炉で120℃,20秒
間予備加熱を行い,その後近赤外線を用いた加熱装置で210℃,5秒
間加熱してクリームはんだのリフローを行なった。そして該プリント基
板を電気炉で150℃,10分間加熱処理を行なってフラックス残渣を
硬化させた。次にプリント基板の表面からディスクリート部品のリード
をスルーホールに挿入し,裏面にフラックスを塗布した後,予備加熱を
行ない,250℃の溶融はんだに接触させてディスクリート部品のリー
ドとランドとをはんだ付けした。はんだ付け後のプリント基板の裏面を
観察したところチップ部品の脱落は全く見られず,またディスクリート
部品,チップ部品とも全て良好なはんだ付けとなっていた(2頁下。」
左欄9行~下右欄10行)
(キ)「実施例2
WWロジン4.0重量%
エチルアミンHBr0.2重量%
ブチルセロソルブ2.8重量%
紫外線硬化型接着剤13.0重量%
Pb-60Snはんだ粉80.0重量%
,,上記組成のクリームはんだを実施例1と同様にして塗布リフロー後
100mW/cmの高圧水銀燈下で15秒間紫外線を照射してフラ2
ックス残渣を硬化させた。次に実施例1と同様にディスクリート部品を
,,溶融はんだではんだ付けした後プリント基板の裏面を観察したところ
チップ部品の脱落は全くなく,しかもディスクリート部品,チップ部品
とも全て良好なはんだ付けとなっていた(2頁下右欄11行~3頁。」
上左欄5行)
(ク)「本発明クリームはんだはクリームはんだリフロー後,該リフローによ
るはんだ付け部を加熱,或いは紫外線照射処理するだけでフラックス残
渣が硬化するため,その後のはんだ付け工程においてもチップ部品が脱
落することなく信頼のある電子機器が得られるものである(3頁上。」
左欄6~11行)
()辞典の記載内容3
(ア)乙7(ハイブリッドマイクロエレクトロニクス協会編「エレクトロニク
ス実装技術用語辞典」工業調査会・初版1刷1992年1月20日発行)
には,次の記載がある。
「クリームはんだ(SolderPaste)はんだペーストともい
う。電子工業におけるソルダリングにおいては,ソルダリング部が微小化
していることから,自動ソルダリングとの関連において,はんだの微量供
給法の良否が微細ソルダリング(マイクロソルダリング)の成否を決する
といっても過言でない。最近の電子工業では,ソルダリングの自動化と微
細ソルダリングの観点から,クリームはんだ(はんだペースト)を使用し
たリフローソルダリング法が用いられている。クリームはんだとは,粉末
はんだを粘ちゅう性フラックスに混ぜ合わせたペースト状はんだであり,
表面実装法におけるチップ部品のリフローソルダリングに広く利用されて
いる。ソルダリング箇所への供給は一般に,スクリーン印刷法,転写法,
ディスペンサ吐出法などにより行われる。クリームはんだに求められる条
件としては(1)印刷性,吐出性が良好なこと(2)はんだ粉末とフ,,
ラックスが分離しないこと(3)粘度・温度の経時変化が少ないこと,,
(4)適度の粘着性を有すること(5)フラックス残渣の除去が容易な,
ことなどがあげられる。クリームはんだの特性は,はんだ粉末の粒度およ
び粘度に大きく依存する。‥‥‥印刷性,吐出性,粘着性などの特性が使
用目的とリフローソルダリング法に合致することが大切であり,これらの
性質はクリームはんだの重要な特性評価の対象になっている(54頁。」
右欄下から2行~55頁左欄下から7行「クリームはんだ」の項)
(イ)乙6(金属材料技術研究所編「図解金属材料技術用語辞典」日刊工業新
聞社・初版1刷昭和63年11月20日発行)には,次の記載がある。
「はんだ付soldering;softsoldering接
合しようとする材料(母材)を所定の温度に加熱し,溶融したはんだを接
合部のすき間に流入させ,凝固させて接合する方法.加熱の方法により,
こてはんだ付,浸せきはんだ付,炉中はんだ付,赤外線はんだ付,レーザ
はんだ付,気相はんだ付など,多種の方法に分類される.→ろう接(58
7(438頁下から2行~439頁3行「はんだ付」の項))」
「フラックスflux①・・・②ろう付け,溶接などで金属表面を清
浄にしするとともに,金属面の酸化を防ぐのに用いられるもの.熱処理で
も金属面の酸化を防ぐために用いられる添加物をフラックスとよぶ.→溶
剤(551(482頁10~16行「フラックス」の項))」
,,,()引用例1における前記記載のうち前記()(カ)によれば実施例1として42
「重合ロジン6.8重量%,イソプロピルアミンHBr0.2重量%,ブチ
ルセロソルブ3.0重量%,一液性エポキシ系接着剤10.0重量%,Pb
-60Snはんだ粉80.0重量%のチップ部品のはんだ付け用クリームは
んだ」が記載されている。
そして,引用例1における前記()(エ)の「本発明は前述クリームはんだを2
チップ部品のはんだ付けとして用いる混載プリント基板のはんだ付け方法に
おいて,クリームはんだをリフローした後,はんだ付け部にはんだを覆うよ
うにして残るフラックス残渣に接着効果を付与し,フラックス残渣でチップ
部品とプリント基板を固定して,後工程で該チップ部品のはんだ付け部が溶
融はんだに接触してもチップ部品が剥れることなく所定の位置に留まってい
られるようにしたことを技術思想としたものであるの記載及び前記()(オ)。」2
の「本発明者は,エポキシ系接着剤は加熱することにより硬化し,また紫外
線硬化型接着剤は紫外線の照射で硬化することに着目して本発明を完成させ
た。本発明の特徴とするところは,クリームはんだ中に加熱,或いは紫外線
照射により硬化する物質を添加したことにある」の記載によれば,引用例。
1における上記はんだの一液性エポキシ系接着剤がチップ部品を固定してい
ることは明らかであるから,上記はんだを補正発明6の記載に対応させて,
「重合ロジン6.8重量%,イソプロピルアミンHBr0.2重量%,ブチ
ルセロソルブ3.0重量%,一液性エポキシ系接着剤10.0重量%,Pb
-60Snはんだ粉80.0重量%,該一液性エポキシ系接着剤はチップ部
品を固着している,チップ部品のはんだ付け用クリームはんだ」と記載する
ことができる。したがって,審決の引用発明1の認定に,誤りはない。
次に,引用発明1を補正発明6と対比すると,引用発明1における「重量
%」と補正発明6の「質量%」は同義である。引用発明1における「重合ロ
ジン」は,補正明細書の「有機酸は,代表的にはロジンであるが‥‥‥ロジ
ンは‥‥‥具体例としては‥‥‥重合ロジン‥‥‥等が挙げられる(甲。」
7の2。段落【0033】~【0034)の記載に照らせば,補正発明6】
における「ロジン」に相当する。そして,引用発明1におけるブチルセロソ
ルブは,周知の溶剤であるから,補正発明6における「溶剤」に相当する。
引用発明1における「一液性エポキシ系接着剤」は,引用例1における前記
()(イ)(オ)(カ)の記載に照らせば,加熱により硬化する物質の具体例として挙2
,「」。げられたものであるから補正発明6における熱硬化性樹脂に相当する
引用発明1における「Pb-60Snはんだ粉」は,補正明細書に記載され
た「共晶はんだ(63%Sn-37%Pb,融点183℃(甲7の2。)」
段落【0045)と組成が近似するもので,引用例1の上記(カ)の記載に】
照らせば,リフローを210℃,フラックス残渣の硬化を150℃で行うよ
うな使い方ができるものであるから「融点150℃以上のはんだ合金の粉,
末」に相当する。引用発明1における「チップ部品」は,補正明細書の記載
「小型電子部品‥‥‥例えば‥‥‥フリップチップ‥‥‥ならびに他の小型
チップ部品を包含する(甲7の2。段落【0021)に照らせば,補正。」】
発明6における「小型電子部品」に相当する。そして,引用発明1における
「クリームはんだ」は,乙7(エレクトロニクス実装技術用語辞典)の「」
前記記載に照らせば,補正発明6における「はんだペースト」に相当する。
また,引用発明1における「重合ロジン6.8重量%,イソプロピルアミン
HBr0.2重量%,ブチルセロソルブ3.0重量%,一液性エポキシ系接
.」.「」着剤100重量%の合計で200重量%を占める部分がフラックス
に,80.0重量%を占める「Pb-60Snはんだ粉」の部分が「はんだ
合金の粉末」に,それぞれ相当し,これらの混練物といえる。
上記「フラックス」に相当する部分は合計20.0重量%で表現されてい
るが,この部分の合計が100重量%になるように「フラックス」部分の組
成を表現すると「重合ロジン34重量%,イソプロピルアミンHBr1重,
量%,ブチルセロソルブ15重量%,一液性エポキシ系接着剤50重量%」
となる。
したがって,補正発明6と引用発明1とが「ロジン34.0質量%,溶,
剤15.0質量%,熱硬化性樹脂と,融点150℃以上のはんだ合金粉末,
該熱硬化性樹脂は小型電子部品を固着する混練物であるはんだペースト」で
ある点で一致するという審決の認定に,誤りはない。
そして,審決は,両者が,補正発明6は熱硬化性樹脂及び硬化剤を合計6
0~95質量%含有しているのに対し,引用発明1は熱硬化性樹脂を50.
0質量%含み硬化剤を含んでいるのか明らかでない点において相違する相,(
違点1)としているが,このうち,硬化剤の点は,引用例1に,前記のとお
り「加熱により硬化する物質はエポキシ系接着剤である(前記()(イ)),」2
,「,,と記載され本発明者はエポキシ系接着剤は加熱することにより硬化し
また紫外線硬化型接着剤は紫外線の照射で硬化することに着目して本発明を
完成させた。本発明の特徴とするところは,クリームはんだ中に加熱,或い
は紫外線照射により硬化する物質を添加したことにある(前記()(オ))。」2
と記載されていることに照らせば,一液性エポキシ系接着剤は熱硬化性樹脂
である「エポキシ樹脂」と「硬化剤」から成るものと認められるから,審決
が引用発明1は「硬化剤を含有していると云える(審決書10頁10行。」
~11行)としているのは相当であり,結局,上記相違点1のうち,相違点
として認め得る部分は「補正発明6は熱硬化性樹脂及び硬化剤を合計60,
~95質量%含有しているのに対し,引用発明1は熱硬化性樹脂及び硬化剤
を50.0質量%含有している」という点となる。
相違点2の「補正発明6は,イソプロピルアミンHBrを含有するとまで
は特定されていないのに対し,引用発明1は,イソプロピルアミンHBrを
1.0質量%含有している点」については,補正明細書において請求項6が
引用する請求項1の記載が,各成分について「‥‥‥含有する」というもの
であって,他の成分の存在を排除するものではなく,また,補正明細書の記
載「本発明のフラックスは,フラックスに従来より配合されている,チキソ
剤,活性剤といった添加剤を含有していてもよい。‥‥‥活性剤として使用
,」(。することが好ましいのはアミンのハロゲン化水素酸塩であり甲7の2
段落【0040】~【0041)からも,アミンのハロゲン化水素酸塩に】
相当する上記「イソプロピルアミンHBr」は,配合してもよいとされる任
意成分であるから,この成分の存在が,両者の相違点にならないことは明ら
かである。したがって,相違点2について,審決が「実質的な相違点とな,
るものではないと云える(審決書10頁25行)としているのは相当で。」
ある。
また,相違点3の「補正発明6は,熱硬化性樹脂『により』部品を固着す
る機能を発揮するのに対し,引用発明1は,熱硬化性樹脂が部品を固着する
機能を発揮しているものの,熱硬化性樹脂『により』部品を固着する機能を
発揮するのか明らかでない点」についても,補正明細書の段落【0018】
の「このフラックスは‥‥‥フラックス中の熱硬化性樹脂が硬化し,はんだ
付けの接合に熱硬化性樹脂による接合が加わって,固着力が増加し,小型電
子部品のはんだ付けの場合にも,はんだ付け操作だけで充分な接合強度を与
えることができる(甲7の2)の記載によると,補正発明6も,熱硬化。」
性樹脂による接合の他に,はんだ付けの接合も行われ,熱硬化性樹脂だけで
,。部品を固着しているわけではないから引用発明1と相違するところがない
したがって,相違点3について,審決が「実質的な相違点となるものでは,
ないと云える(審決書10頁30行~31頁)としているのは相当であ。」
る。
()そうすると,補正発明6と引用発明1との相違点は,結局のところ「補5,
正発明6は熱硬化性樹脂及び硬化剤を合計60~95質量%含有しているの
に対し,引用発明1は熱硬化性樹脂及び硬化剤を50.0質量%含有してい
る」という点となる。
そこで,この相違点について,当業者が容易に想到できるものであるかど
うかを検討する。
引用発明1において,クリームはんだ中に添加したエポキシ系接着剤の作
用は,引用例1における前記()(エ)(カ)(ク)の記載によれば,混載プリント基2
板のはんだ付け方法においてフラックス残渣に接着効果を付与し,フラック
ス残渣でチップ部品とプリント基板を固定し,後工程で該チップ部品のはん
だ付け部が溶融はんだに接触してもチップ部品が剥がれることなく脱落しな
い,というものである。そして,引用例1では,一液性エポキシ系接着剤の
具体的な組成が明らかにはされていないが,一液性エポキシ系接着剤には,
エポキシ樹脂の化学構造や硬化剤の種類が異なり接着力,粘度,硬化温度等
が異なる各種のものがあることが周知である。また,混載プリント基板のは
んだ付け方法についても,基板の材質やチップ部品の種類等に応じてリフロ
ーの温度や時間の条件,付着させるクリームはんだの量,はんだ接着強度の
要求,熱硬化性樹脂による接着固定の程度の要求等が異なることが考えられ
る。そうすると,引用発明1の実施に当たり,クリームはんだの上記各成分
の配合比率は,リフローの条件等に応じ,所望するはんだ接着強度及び接着
固定の程度に応じて,適宜,増減調整することができるものと認められる。
,,例えば選択した一液性エポキシ系接着剤の接着力が不十分であった場合に
該接着剤のフラックス中での配合比率を大きくすることは,当業者が適宜試
み得ることと認められる。また,クリームはんだ中のはんだ合金の粉末の割
合は80.0重量%に限らず適宜増減し得るものと認められるが,例えば,
85重量%などと増やした場合に,フラックスの割合が相対的に少なくなる
,,のでフラックス中の一液性エポキシ系接着剤の接着力が不足しないように
該接着剤のフラックス中での配合比率を大きくすることは,当業者が適宜行
(,,()い得ることと認められるなお例えば引用例1の実施例2前記()(キ)2
は,加熱により硬化する物質であるエポキシ系接着剤の代わりに,紫外線照
射により硬化する物質である紫外線硬化型接着剤を用いた例であるが,紫外
線硬化型接着剤の使用量は,フラックスに相当する成分の合計20.0重量
%中の13.0重量%,すなわちフラックス中の65重量%であり,この使
用割合も一つの参考になる。。)
そうすると,フラックスの組成において,引用発明1の一液性エポキシ系
接着剤の割合を増やし,それに応じて他の成分を減らして,補正発明6にお
ける「熱硬化性樹脂および硬化剤を合計60~95質量%」の範囲に該当す
る組成のものとすることは,当業者が容易に想到し得る程度のことと認めら
れる。
以上のとおり,相違点は,当業者が容易に想到できたものというべきであ
るから,補正発明6は,引用発明1に基づいて当業者が容易に発明をするこ
とができたものというべきである。
()原告の主張について6
(ア)原告は,補正発明6が,小型電子部品特有の「小型化された電子部品で
は,はんだ付け面積が小さいため,はんだ付けによる接合だけでは部品を
十分に接合・保持することができず,他に何らかの部品固着手段をさらに
設ける必要がある」という技術課題を解決するのに「はんだ付けする部。
品の接合面には,電極が占める面積以外に,電極と同程度の面積が残って
おり,そのような面積も部品の固着に利用できることに着目した」という
技術思想を前提に成立したものであると主張し,引用例1はそのような課
題について何ら明らかにするものではないとして,補正発明6との対比に
誤認がある旨をいう。
しかしながら,補正明細書における請求項6において請求項1を引用し
た部分には,原告主張の点に関連する記載は一切存在しない。原告の上記
主張は,特許請求の範囲の記載に基づかないものであり,採用することが
できない。
(イ)原告は,引用例1の発明は,リフローだけでチップ部品のはんだ付けが
完了するものではなく,リフロー処理とは別個の加熱処理を行うことでフ
ラックス残渣を硬化させて(近赤外線加熱装置でのリフロー処理→フラッ
クス残渣生成→電気炉での加熱処理→フラックス残渣の硬化,それに続)
く溶融はんだ付け法によって初めてチップ部品のはんだ付けが完了するも
のであるのに,審決はこの点を看過して引用発明1を認定した違法がある
旨を主張し,引用例1のクリームはんだは接着剤によるチップ部品の固着
用のものであって「チップ部品のはんだ付け用」とはいえない旨をいう。
しかしながら,審決は,引用発明1として,引用例1のクリームはんだ
の発明を,組成で認定するとともに「チップ部品のはんだ付け用」及び,
「一液性エポキシ系接着剤はチップ部品を固着している」ものと認定して
。,,,いる補正発明6ははんだペーストの発明であり該はんだペーストは
「ロジンおよびカルボン酸無水物より選ばれた1種もしくは2種の有機酸
0.1~50質量%,溶剤5~40質量%,ならびに熱硬化性樹脂および
硬化剤を合計60~95質量%含有する,該熱硬化性樹脂により該部品を
固着する機能を発揮する,小型電子部品のはんだ付け用フラックスと融点
150℃以上のはんだ合金の粉末との混練物であるはんだペースト」と。
いうように,その組成が特定され,組成中のフラックスについて「熱硬化
性樹脂により該部品を固着する機能を発揮する」の点と「小型電子部品の
はんだ付け用」の点が特定されたものであるから,これと対比する引用発
明1の認定に当たっては,はんだペーストの発明が記載されているか,上
記組成,機能,用途に関連づけることができる事項が記載されているか,
の観点ですれば足り,それ以外の内容を認定する必要はない。そして,引
用例1に記載されたクリームはんだが「チップ部品のはんだ付け用」のも
のであることは,引用例1の前記()(ウ)の「本発明は‥‥‥電子機器のは2
んだ付けに用いるクリームはんだに関する」との記載及び前記()(エ)の。2
「前述クリームはんだをチップ部品のはんだ付けとして用いる」との記載
から明らかである。また,引用例1に記載されたクリームはんだが「一液
性エポキシ系接着剤はチップ部品を固着している」ものであることは,前
記()において既に判示したとおりである。なお,仮に混載プリント基板4
全体のはんだ付けが原告主張のように溶融はんだ付けによって完了すると
しても,溶融はんだ付け前の,リフロー処理及びフラックス残渣の硬化が
済んだ段階のものも,クリームはんだが用いられたこと及びはんだ付けの
定義(乙6〔図解金属材料技術用語辞典〕における「接合しようとする材
料(母材)を所定の温度に加熱し,溶融したはんだを接合部のすき間に流
入させ,凝固させて接合する方法」の記載)に照らせば,チップ部品が。
はんだ付けにより固定がされていると認められるから,引用例1のクリー
。,ムはんだは接着剤によるチップ部品の固着用のものである原告の主張は
採用できない。
(ウ)また,原告は,審決は,本件補正後の請求項6について,引用例1との
関係において,最も広い態様である請求項1を引用した発明を対比して独
立特許要件を判断しているが,請求項5を引用した発明を対比することで
進歩性を判断すべきものであると主張し,請求項5のフラックスは,甲5
(資料2)に示されるように引用例1のものと比較して作用効果が顕著で
あるといい,このことはその開発経緯に照らしても明らかであるとして甲
14,15を挙げる。
,,しかしながらある請求項が他の複数の請求項を引用している場合には
当該請求項の発明は,引用された各請求項の内容に対応する複数の発明を
包含したものであるから,そのうちの特定の請求項を引用した発明につい
て独立特許要件の有無を判断するのは当然である。そして,その特定の請
求項を引用した発明について独立特許要件が認められない場合には,その
発明を含めて一つの請求項とされている当該請求項の発明が全体として独
立特許要件を欠くというべきであり,当該請求項に係る補正は不適法とな
ると解するのが相当である。
したがって,審決が,本件補正後の請求項6について,請求項1を引用
「」,する内容のものを補正発明6として本件補正の許否を判断したことに
誤りはない。
そうすると,甲5,14,15を挙げ,請求項6において引用されてい
る請求項5のフラックスの効果を指摘して,本件補正後の請求項6の発明
が独立特許要件を備えることをいう原告の主張は,その前提において誤っ
たものであって,採用できない(なお,甲14,15には,請求項5の特
定事項であるチキソ剤の効果以外の点を指摘して補正発明の進歩性を述べ
,,,る記述もあるが前判示の点に照らせばこれらの陳述書の内容をもって
補正発明6の顕著な作用効果を認めるには足りない。。)
()小括7
上記によれば,補正発明6は,引用発明1に基づいて当業者が容易に発
明をすることができたものであり,特許法29条2項の規定により特許出
願の際独立して特許を受けることができないものである。
2本願発明6の進歩性の判断について
()そこで,次に,本願発明6の進歩性の有無につき検討するに,本件補正前1
における請求項6の記載は,前記第2,2()のとおりであるが,請求項62
において請求項1を引用したものを独立形式(全文記載形式)で書き表した
内容(本願発明6)は,次のとおりである。
「.ロジンおよびカルボン酸無水物より選ばれた1種もしくは2種の有機酸0
1~50質量%,溶剤5~40質量%,ならびに熱硬化性樹脂および硬化剤
を合計60~95質量%含有する,部品をはんだ付けする際に,該熱硬化性
樹脂により該部品を固着する機能を発揮する,はんだ付け用フラックスと融
点150℃以上のはんだ合金の粉末との混練物であるはんだペースト」
()本願発明6と引用発明1との一致点,相違点は,補正発明6と引用発明12
との一致点(ただし「小型電子部品を固着する」は「部品を固着する」と,
なる,相違点と同様であり,その理由は,補正発明6について判示した。)
ところと同様である。また,当該相違点について当業者が容易に想到するこ
とができることも,補正発明6について判示したところと同様である。
また,ある請求項が他の複数の請求項を引用している場合には,当該請求
項の発明は,引用された各請求項の内容に対応する複数の発明を包含したも
のであるから,そのうちの特定の請求項を引用した発明について進歩性の有
無を判断するのは当然である。そして,その特定の請求項を引用した発明に
ついて進歩性が認められない場合には,その発明を含めて一つの請求項とさ
れている当該請求項の発明が全体として進歩性を欠くというべきであり,当
該請求項に係る発明は特許を受けることができないことになると解するのが
相当である。したがって,審決が,本件補正前の請求項6について,請求項
1を引用する内容のものを「本願発明6」として進歩性の有無を判断したこ
とに,誤りはない。
原告は,本件補正前の請求項6について請求項5を引用した発明を対比す
,,ることで進歩性を判断すべきものであると主張し請求項5のフラックスは
甲5(資料2)に示されるように引用例1のものと比較して作用効果が顕著
であるといい,このことはその開発経緯に照らしても明らかであるとして,
甲14,15を挙げるが,その前提において誤ったものであって,採用でき
ない(なお,甲14,15には,請求項5の特定事項であるチキソ剤の効果
以外の点を指摘して本願発明の進歩性を述べる記述もあるが,前判示の点に
照らせば,これらの陳述書の内容をもって,本願発明6の顕著な作用効果を
認めるには足りない。。)
()したがって,本願発明6は,引用発明1に基づいて当業者が容易に発明を3
することができたものであり,特許法29条2項の規定により特許を受ける
ことができないものである。
そして,複数の請求項を含む特許出願がなされた場合,そのうちの1つの
請求項に係る発明について拒絶理由があれば,当該特許出願は拒絶されるべ
きものである(出願人は,拒絶理由通知の制度,補正又は分割出願の制度に
よって適切な対応をすることが可能なのであるから,このように解しても,
出願人に不利益となるものではない。したがって,その余の点につき判。)
断するまでもなく,本願は拒絶すべきものであるとした審決の判断に誤りは
ない。
3結論
そうすると,原告主張のその余の取消事由について判断するまでもなく,本
件補正を却下し,また,本願発明は特許を受けることができないとして,本願
を拒絶すべきものとした審決の結論に誤りがあるということはできない。その
他,審決に,これを取り消すべき誤りは見当たらない。
よって,原告の本訴請求を棄却することとし,訴訟費用の負担について行政
事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。
知的財産高等裁判所第3部
裁判長裁判官佐藤久夫
裁判官三村量一
裁判官古閑裕二

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