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平成14年(ネ)第4785号特許権侵害差止等請求控訴事件(原審・東京地方
裁判所平成13年(ワ)第22663号) 
(平成14年11月20日口頭弁論終結)
          判      決
    控訴人(原告)       A
   控訴人(原告)     有限会社山本商事
      控訴人ら訴訟代理人弁護士  金   子   光   邦
同小   池   邦   吉
同             澤           新
      被控訴人(被告)     丸井産業株式会社
      同訴訟代理人弁護士   水   谷   直   樹
  同岩   原   将   文
  同補佐人弁理士  清   水   千   春
          主      文
    1 本件控訴をいずれも棄却する。
    2 控訴費用は控訴人らの負担とする。
          事実及び理由
第1 当事者の求めた裁判
 1 控訴人ら
  (1) 原判決を取り消す。
 (2) 被控訴人は、原判決別紙物件目録記載の製品を製造し、譲渡し、貸し
渡してはならない。
 (3) 被控訴人は、前項の製品を廃棄せよ。
 (4) 被控訴人は、控訴人有限会社山本商事に対し、4347万1088円
及びこれに対する平成13年11月2日から支払済みまで年5分の割合による金員
を支払え。
 (5) 訴訟費用は、第1、2審とも被控訴人の負担とする。
 (6) 第4項につき、仮執行宣言
2 被控訴人
  主文と同旨
第2 事案の概要
 1 本件は、発明の名称を「梁交差部柱フープ筋幅止め具」とする特許第174
6078号の特許権(本件特許権)の特許権者である控訴人A及び本件特許権の独
占的通常実施権者である控訴人有限会社山本商事が、被控訴人に対し、被控訴人が
原判決別紙物件目録記載の製品(被告製品)を製造販売する行為は本件特許権を侵
害していると主張し、控訴人Aが被告製品の製造等の差止め及び廃棄、控訴人有限
会社山本商事が不法行為に基づく損害賠償として4347万1088円及びこれに
対する不法行為の日の後である平成13年11月2日(本件訴状送達の日の翌日)
から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払をそれぞれ求め
た事案である。
 原判決は、被告製品は、本件特許権の構成要件を充足せず、本件発明の技術的範
囲に属せず、また、本件発明と均等であるとすることもできないとして、控訴人ら
の請求をいずれも棄却した。これに対し、控訴人らが本件控訴を提起した。
2 本件の争いのない事実、本件の争点及び争点に関する当事者の主張は、次の
とおり当審における控訴人らの控訴の理由の要点を付加するほか、原判決の「事実
及び理由」中の「第2 事案の概要等」1、3及び4に記載のとおりである。
3 当審における控訴人らの控訴の理由の要点
原判決は、本件発明の構成要件中の「V字型構造体」の文言の解釈について、本
件特許明細書の図面の記載を重視し、この図面どおりの形状でなければならないと
誤解しているが、同図面は、一実施例を示しているにすぎず、これに基づいて限定
解釈することは誤りである。
第3 当裁判所の判断
当裁判所も、控訴人らの請求は、いずれも理由がないものと判断するが、その理
由は、原判決が「事実及び理由」中の「第3 争点に対する判断」として説示する
とおりである(ただし、原判決14頁22行目の「工法を」を「工法で」と改め、
同15頁25行目の「訂正審判の申立てに対し、」の次に「平成10年10月20
日付けで」を加え、同16頁7行目及び24頁20行目の各「複数個の開口部」を
「複数個の係合体の開口部」と、同21頁24行目の「130頁」を「113頁」
と改める。)。
なお、控訴人らは、原判決は、本件発明の構成要件中の「V字型構造体」の文言
の解釈について、本件特許明細書の図面の記載を重視し、この図面どおりの形状で
なければならないと誤解しているが、同図面は、一実施例を示しているにすぎず、
これに基づいて限定解釈することは誤りである旨主張する。
しかしながら、本件発明の構成要件中の「V字型構造体」の文言が「係合体全体
がV字型」であることを意味しており、その「V字型」の文言が「係合体の横幅が
底部から開口部にかけて広がる形状」を指すものと解すべきことは、原判決の説示
するように、その構成要件「係合体が、・・・V字型構造体よりなり」の文言の通
常の解釈と、本件特許明細書及び図面中、この「V字型」の構成の意味内容に関す
る記載は、唯一の実施例として記載されている第5図以外にはないこと(甲1、
6)から、明らかであり、また、原判決認定の本件発明の出願経過(原判決14頁
15行目冒頭から18頁18行目末尾まで)に照らしても、上記の解釈は正当であ
り、「V字型」の文言について控訴人らが主張するように広く解釈すべきでないも
のであって、控訴人らの上記主張は、採用することができない。
第4 結論
 以上の次第で、原判決は相当であり、本件控訴は理由がないからいずれも棄却す
ることとして、主文のとおり判決する。
   東京高等裁判所第3民事部
    裁判長裁判官   北   山   元   章
裁判官   青   柳       馨
           
           裁判官   橋   本   英   史

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