弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     原判決を破棄し、第一審判決を取り消す。
     本件各訴を却下する。
     訴訟費用は、第一、二、三審を通じ被上告人らの負担とする。
         理    由
 上告人指定代理人川島一郎名義、同滝川幹雄、同小林定人名義、同辰巳信夫名義
の上告理由書記載の上告理由は別紙のとおりである。
 職権をもつて調査するに、被上告人らは、昭和四三年八月二二日出国、同年一〇
月二三日再入国の予定をもつてした再入国許可申請に対する不許可処分の取消判決
を求めるものであるが、原判決は、第一審における被上告人許本人尋問の結果と口
頭弁論の全趣旨によると、被上告人らは祖国(朝鮮民主主義人民共和国)の創建二
〇周年に際して祖国を訪問することが目的であつて、第一審判決別紙日程表記載の
期間中に訪問を遂げることをもつて最上とするけれども、右期間をはずしては訪問
の意義がないということではなく、昭和四三年中或はこれに接する時期に訪問する
ことができるならば十分に成果があることを推認することができるから、現に右不
許可処分の取消を求める訴の利益を有するとして、本案につき判断をしている。し
かしながら、被上告人らの祖国訪問は、同人らの再入国許可申請書(乙第一号証)
の記載により、昭和四三年九月九日の朝鮮民主主義人民共和国創建二〇周年に際し、
在日朝鮮人祝賀団の構成員として、共和国の各種祝賀行事に参加することを目的と
するものと認められる。そして、被上告人らの主張によれば、同人らは、同年九月
八日から同年一〇月一七日までの間、平壌市その他で開催される中央慶祝大会等の
祝賀行事に参加する予定であり、右行事の一つである二〇周年記念全国芸術祝典は
同年一〇月二八日まで続くはずである、というのである。右の旅行目的からすれば、
再入国予定の日である同年一〇月二三日にきわめて接着した時期であればともかく、
参加を予定した祝賀行事のすべてが終了した後約一か月も経過した時点においては、
当該目的により祖国を訪問する意義はもはや失われているものといわざるをえない。
また、上告人は、前記の旅行目的・旅行日程による被上告人らの再入国許可申請に
対して許可をしなかつただけであつて、これにより、被上告人らは、他の旅行目的・
旅行日程による再入国許可の申請を妨げられるものではない。然りとすれば、被上
告人らの本訴請求は、原審の口頭弁論終結時である昭和四三年一一月二七日当時に
おいては、すでに判決を求める法律上の利益を喪失していたものというの外なく、
これと異なる判断のもとに本案につき判断をした原判決は失当であるので、前記上
告理由に対する判断をまつまでもなく、破棄を免れず、また、被上告人らの請求を
認容した第一審判決は、結局失当に帰することとなつたので、取消を免れない。
 よつて、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇八条、三九六条、三八六条により、原
判決を破棄し、第一審判決を取り消したうえ、本件各訴を却下することとし、訴訟
費用の負担につき、同法八九条、九三条、九六条を適用して、主文のとおり判決す
る。
 この判決は、裁判官色川幸太郎の反対意見があるほか、裁判官全員一致の意見に
よるものである。
 裁判官色川幸太郎の反対意見は、次のとおりである。
 多数意見は、本件再入国許可申請の旅行目的を許可申請書の記載から厳格に解し、
予定された祝賀行事に参加しうる可能性が認められなくなつた以上、右申請に対す
る不許可処分の取消を求める法律上の利益は失われたというのであるが、私は、こ
の考え方には賛成しがたい。被上告人らの旅行目的が祝賀行事に参加するところに
あることは、多数意見のいうとおりであるが、祝賀行事に参加するという被上告人
らの真の意図は、その機会をとらえ、外国在留者を代表するいわば親善のための使
節として、祖国の同胞とともどもにその創立二〇周年を祝賀するところにあると解
せられないわけではない。そうだとすれば、特定の祝賀行事に参加すること自体が
必ずしも旅行の決定的な要素ではないはずである。したがつて、要は、その時期に
祖国を訪問して祝意を表することができれば足りるのであるから、結局、昭和四三
年中あるいはこれに接する時期に訪問することができるならば十分その成果がある
として本訴の利益を認めた原判決の判断は正当であるといわなければならない。そ
して、権利保護の利益の存否は、原則として、事実審の口頭弁論終結時を基準とし
て判断すべきものであるから、本件については、進んで本案の判断をなすべきもの
と考えるのである。ただ、多数意見により本件各訴が不適法として却下されるもの
である以上、上告理由について逐一意見を述べることは、もはや意味のないことに
帰するので、これを省略することとする。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    草   鹿   浅 之 介
            裁判官    城   戸   芳   彦
            裁判官    色   川   幸 太 郎
            裁判官    村   上   朝   一

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛