弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人らの負担とする。
         理    由
 上告代理人菅野虎雄の上告理由第一点について。
 旧民法九八五条によつて親族会がした家督相続人選定の決議が法律上当然無効で
あるときは、旧民法のもとでは、被相続人の親族は、親族会をして改めて家督相続
人を適法に選定させるため、裁判所に親族会の召集を申請することができるととも
に、自からも相続人に選定されることができる地位にあつた。ところで、旧民法上
被相続人の親族が提起する親族会決議無効確認の訴が裁判所によつて容認されてい
たが、これは、形式的には、過去の法律関係の確認を求める訴のようであるが、実
質的には、相続人が未決定であるため、右被相続人の親族が現在において前記のよ
うな法律的地位にあることの確認を求め、これに付随する一切の法律関係を一挙に
解決するものとして、その確認の利益があるとされていたからである。
 しかし、本件において、被相続人Dの死亡により昭和一二年九月一七日被上告人
Bをその家督相続人に選定した親族会の決議が無効であるとしても、新民法附則二
五条二項本文の規定により、右Dについては新民法による遺産相続が開始している
ものとして取り扱われることになつて、相続人が未決定の状態が復活するものでは
ないのであり、したがつて、上告人らは、もはや、前記旧民法のもとにおける被相
続人の親族のような法律的地位にはないのみならず、この場合には新民法によつて
相続人となつた者が直接その権利関係の具現を求めることで足りるのであるから、
新民法下においては、被相続人の親族が親族会のした家督相続人選定の決議の無効
確認を求める法律上の利益はないものと解するのが相当であり、これと同趣旨の原
判示判断(第一審判決理由引用)は正当として是認すべきである。所論援用の最高
裁判例は、本件に適切でなく、論旨は採用できない。
 同第二点、第三点について。
 旧民法九六六条、九九三条に規定する相続回復請求権についての二〇年の消滅時
効期間は、相続権侵害の事実の有無にかかわらず、常に当該相続開始の時から進行
するものと解すべきことは、当裁判所の判例とするところであり(最高裁昭和二三
年(オ)第一号同年一一月六日第二小法廷判決、民集二巻一二号三九七頁、同昭和
三七年(オ)第一二五八号同三九年二月二七日第一小法廷判決、民集一八巻二号三
八三頁参照)、いまこれを変更する要を認めない。したがつて、本件において、上
告人らがE、Fを経てDの相続権を取得したとしても、同人の死亡による相続の回
復請求権は、相続開始の日である昭和一二年八月一三日から二〇年を経過した昭和
三二年八月一三日時効により消滅しているものと解すべきであるから、上告人らの
相続回復を求める本件予備的請求を排斥した原審の判断は正当である。論旨は、独
自の法律的見解に立脚して原判示を非難するか、もしくは、原判決に影響を及ぼさ
ないこと明らかな法令違反をいうにすぎないものであり、したがつて、違憲の主張
もその前提を欠くものというべきであつて、いずれも、採るを得ない。
 同第四点について。
 原判決が援用する最高裁判例が所論大審院判例に反するところがないことは、そ
の各判文上明瞭であるから、論旨は、その前提を欠くものであつて、採用に値しな
い。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、
主文のとおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    草   鹿   浅 之 介
            裁判官    城   戸   芳   彦
            裁判官    石   田   和   外
            裁判官    色   川   幸 太 郎

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