弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
被告人を懲役7年に処する。
未決勾留日数中40日をその刑に算入する。
理由
【罪となるべき事実】
被告人は,平成26年11月13日午後9時49分頃,北海道a郡b町
c町d番地先道路において,運転開始前に飲んだアルコール及び睡眠導入
剤等の影響により,前方注視及び運転操作が困難な状態で普通乗用自動車
を走行させ,もってアルコール及び薬物の影響により正常な運転が困難な
状態で自動車を走行させたことにより,その頃,同所先道路をA町方面か
らB町方面に向かい走行中,進路前方道路で線路工事準備中のC(当時3
3歳)に気付かず,Cに自車前部を衝突させてCを路上等に転倒させ,よ
って,Cに頭蓋骨骨折,脳挫傷等の傷害を負わせ,同月14日午前3時4
分頃,北海道e郡f町g町h番地所在のD総合病院において,Cを脳挫傷
により死亡させた。
【法令の適用】
罰条自動車の運転により人を死傷させる行為
等の処罰に関する法律2条1号(人を死
亡させた場合)
未決勾留日数の算入刑法21条
訴訟費用の不負担刑事訴訟法181条1項ただし書
【量刑の理由】
1本件において量刑を考える上で重要な事情は,犯行の態様及び結果で
ある。
まず,犯行の態様についてみると,被告人は,飲酒の上,2種類の睡
眠導入剤及び4種類の向精神薬(以下,これらを併せて「薬」という。)
を服用しており,特に睡眠導入剤のうち1種類については,医師から定
められた量の3倍の量を服用し,その結果,アルコール及び薬物の強い
影響が生じた状態で自動車を走行させている。また,被告人は,本件直
前には,自動車を,民家の玄関ドア等に衝突させ,蛇行させた上,更に
道路外の畑の中に進行させたにもかかわらず引き続き走行させた結果,
本件に至っている。このような被告人による自動車走行の態様は危険性
が高いものであって,悪質である。
次に,犯行の結果についてみると,本件により被害者の生命が奪われ
たことは誠に痛ましいものではあるが,危険運転致死の罪を犯した事案
の中で被害者が1名である事案は,生じた結果という点において相対的
に軽い事案というべきである。
以上のような,本件における犯行態様の悪質性及び結果の程度に照ら
すと,本件は,危険運転致死の罪を犯した事案における現在の量刑分布
の中で,軽い部類又は重い部類のいずれにも位置づけられるものではな
い。したがって,被告人に対する刑は,概ね弁護人が主張するとおり,
懲役5年から懲役12年までの大枠の幅の中に位置づけられるべきであ
る。
2そこで更に検討すると,被告人は,薬を服用するに至った一因として,
過去に性的な嫌がらせを受けたことについて述べており,そのことには
気の毒な面がないわけではない。しかし,本件は,被告人が薬を服用す
るに当たり,その薬理効果の危険性を著しく軽視していたことがその原
因となっている。すなわち,被告人は,薬の説明書の記載内容や自己の
経験から,薬の効果等により身体又は行動の制御が不十分になること及
びその危険性を十分に認識していたにもかかわらず,アルコールと薬を
共に服用することや,医師等に対して十分に相談することなく薬の量を
安易に増やすことを繰り返していた。そして,このように被告人が不適
切な薬の服用による薬理効果の危険性を軽視していたことが,本件につ
ながっていると考えられ,このことは刑を重くする事情であるといえる。
また,本件の結果が被害者遺族の生活に変化を及ぼしており,そのため,
被害者遺族の処罰感情が極めて厳しいことも併せ考慮すれば,前記懲役
5年から懲役12年という刑の幅の下限で被告人を処罰したのでは足り
ないと考えられる。
3他方で,本件では,被害者の遺族に対して自動車保険(対人賠償無制
限)により賠償金が支払われる見込みであって,被害者遺族の生活に関
する一部について金銭的な補償がされる予定である。また,被告人の夫
が被告人の社会復帰後も被告人を支える旨述べていることや,被告人が
具体的な方策を述べて本件と同様のことを繰り返さないという反省の態
度を示していることからすると,被告人の更生に向けた環境は一定程度
整っているものと認められる。これらの事情は,被告人の刑期を考える
に当たって有利に考えることができる。
4以上の検討を踏まえた上で,同種事案の量刑傾向や検察官の科刑に関
する意見を考慮した結果,被告人に対しては,主文のとおり,懲役7年
の刑に処することが相当であると考えた。
(検察官長尾武明及び同杉本修一並びに国選弁護人横川裕宣[主任]及び
同田中綾太郎各出席)
(検察官の求刑・懲役8年)
平成27年6月19日
函館地方裁判所刑事部
裁判長裁判官佐藤卓生
裁判官村尾和泰
裁判官天田愛美

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