弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     被告人を懲役六年及び罰金五十万円に処する。
     原審における未決勾留日数中二百日を右懲役刑に算入する。
     右罰金を完納することができないときは金一千円を一日に換算した期間
被告人を労役場に留置する。
         理    由
 本件控訴の趣意は、弁護人日野久三郎、同磯畑岩雄連名提出の控訴趣意書に記載
されたとおりであるから、ここにこれを引用する。
 控訴趣意第一点について。
 所論は、原判決判示第一の事実につき、事実誤認ありと主張するので、按ずる
に、原判決の挙示する対応証拠を総合考察すると、右事実のうち別表(一)、
(四)、(二)及び(一六)を除くその余の事実は優にこれを肯認することができ
るけれども、右(一)、(四)、(二)及び(一六)の各事実については、覚せい
剤を製造した事実は認められない。右各証拠によれば却つて、右四個の事実につい
ては、一応所定の製造工程を経て製品を製造したけれども、これに用いた原末が真
のフエニルメチルプロパン、又はフエニルメチルアミノプロパンを含有していなか
つたので、その製品全部を廃棄したことがうかがわれ、記録に現われた爾余の証拠
をもつてしても、覚せい剤を製造したとの<要旨>事実を認めるに足りない。しかも
右のように覚せい剤の主原料が真正の原料でなかつたため、覚せい剤を製造
することができなかつた場合は、結果発生の危険は絶対に存しないのであるから、
覚せい剤製造の未遂罪をも構成しないものというべきである。してみれば、原判決
はこの点において事実を誤認したものというの外なく、この誤認は判決に影響を及
ぼすことが明らかであるから、論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。
 よつて量刑不当の論旨に対する判断は後記自判の際これを示すこととし、刑事訴
訟法第三百九十七条第一項第三百八十二条により原判決を破棄し、同法第四百条但
書により当裁判所において次のように自判する。
 原判決判示第一の事実に代るべき罪となる事実は、原判決判示第一の判示のうち
「二〇回」とあるを「十六回」と訂正し、別表のうち(一)、(四)、(二)及び
(一六)に掲記する事実を削除するほか、原判決判示第一(別表を含む)と同一で
あり、右の事実は、常習の点を除き、原判決が判示第一の事実の証拠として挙示す
る各証拠及び被告人の当公廷における供述により、被告人が常習として本件犯行に
及んだことは、被告人が短期間内に覚せい剤製造行為を反覆累行した事実によつて
各これを認める。
 右第一の事実及び原判決が適法に確定した判示第二の事実を法律に照らすに、被
告人の各所為のうち、前者は覚せい剤取締法第四十一条の三第四十一条の二第四十
一条第一項第三号刑法第六十条に、後者は覚せい剤取締法第四十一条第一項第四号
第十七条第三項に該当するところ、情状により前者の罪については同法第四十一条
の三後段を、後者の罪については同法第四十一条第二項をそれぞれ適用して、いず
れも懲役刑と罰金刑とを併科することとし、以上各罪は刑法第四十五条前段の併合
罪の関係にあるから、懲役刑については同法第四十七条本文第十条により重い前者
の罪の刑に法定の加重をした刑期範囲内で、罰金刑については同法第四十八条第二
項により前者及び後者の各罪の罰金額の合算額の範囲内で被告人を懲役六年及び罰
金五十万円に処することとし、原審における未決勾留日数の本刑算入につき同法第
二十一条を、罰金完納不能の場合の換刑処分につき同法第十八条第一項を、それぞ
れ適用し、主文のとおり判決する。
 なお、原判決判示第一の事実のうち別表(一)、(四)、(二)及び(一六)の
各事実は、前示のような理由で、犯罪の証明がないのであるが、これらの事実は常
習犯たる一罪の一部として起訴されたものであるから、主文において特に無罪の言
渡をしない。
 (裁判長判事 岩田誠 判事 司波実 判事 小林信次)

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