弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人土田吉清の上告理由一ないし四、八および九について。
 まず、民訴法七〇条の定める判決の補助参加人に対する効力の性質およびその効
力の及ぶ客観的範囲について考えるに、この効力は、いわゆる既判力ではなく、そ
れとは異なる特殊な効力、すなわち、判決の確定後補助参加人が被参加人に対して
その判決が不当であると主張することを禁ずる効力であつて、判決の主文に包含さ
れた訴訟物たる権利関係の存否についての判断だけではなく、その前提として判決
の理由中でなされた事実の認定や先決的権利関係の存否についての判断などにも及
ぶものと解するのが相当である。けだし、補助参加の制度は、他人間に係属する訴
訟の結果について利害関係を有する第三者、すなわち、補助参加人が、その訴訟の
当事者の一方、すなわち、被参加人を勝訴させることにより自己の利益を守るため、
被参加人に協力して訴訟を追行することを認めた制度であるから、補助参加人が被
参加人の訴訟の追行に現実に協力し、または、これに協力しえたにもかかわらず、
被参加人が敗訴の確定判決を受けるに至つたときには、その敗訴の責任はあらゆる
点で補助参加人にも分担させるのが衡平にかなうというべきであるし、また、民訴
法七〇条が判決の補助参加人に対する効力につき種々の制約を付しており、同法七
八条が単に訴訟告知を受けたにすぎない者についても右と同一の効力の発生を認め
ていることからすれば、民訴法七〇条は補助参加人につき既判力とは異なる特殊な
効力の生じることを定めたものと解するのが合理的であるからである。
 そこで、本件についてみるに、原審が適法に確定したところによれば、訴外D建
設株式会社(旧商号E建設株式会社)が、本件建物は同会社の所有であると主張し
て、被上告人株式会社B(以下被上告会社という。)に対し、その建物の一部であ
る本件貸室の明渡などを請求した別件訴訟(大阪地裁昭和三四年(ワ)第五八三号、
大阪高裁昭和三八年(ネ)第五三二号、同第六七七号、最高裁昭和三九年(オ)第
一二〇九号)において、上告人は、その訴訟が第一審に係属中に、被上告会社側に
補助参加し、以来終始、本件建物の所有権は、上告人が被上告会社に本件貸室を賃
貸した昭和三三年五月三一日当時から、訴外D建設株式会社にではなく、上告人に
属していたと主張して、右請求を争う被上告会社の訴訟の追行に協力したが、それ
にもかかわらず、被上告会社は、その訴訟の結果、本件建物の所有権は、右賃貸当
時から、訴外D建設株式会社に属し、上告人には属していなかつたとの理由のもと
に、全部敗訴の確定判決を受けるに至つたというのである。
 してみれば、右別件訴訟の確定判決の効力は、その訴訟の被参加人たる被上告会
社と補助参加人たる上告人との間においては、その判決の理由中でなされた判断で
ある本件建物の所有権が右賃貸当時上告人には属していなかつたとの判断にも及ぶ
ものというべきであり、したがつて、上告人は、右判決の効力により、本訴におい
ても、被上告会社に対し、本件建物の所有権が右賃貸当時上告人に属していたと主
張することは許されないものと解すべきである。
 以上と同旨に出た原審の判断は正当であつて、原判決に所論の違法はない。なお、
民訴法七〇条所定の判決の補助参加人に対する効力に関する所論引用の大審院判例
(昭和一四年(オ)第一二〇五号・同一五年七月二六日判決・民集一九巻一三九五
頁)は、前記判示の限度において、変更すべきものである。したがつて、論旨は、
ひつきよう、独自の見解に立つて原判決を非難するものにすぎず、採用することが
できない。
 同五ないし七について。
 原判決に所論の違法は認められない。論旨は、ひつきよう、上告人が原審におい
て主張しなかつた事項について原判決を非難し、または、独自の見解に立つて原判
決の違法をいうものにすぎず、採用することができない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の
とおり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    長   部   謹   吾
            裁判官    岩   田       誠
            裁判官    大   隅   健 一 郎
            裁判官    藤   林   益   三

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