弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人塚本重頼、同下山田行雄の上告理由第一点及び第二点について。
 論旨は、要するに、行政処分の違法判断の基準時の問題について、原審がいわゆ
る処分時説をとつたことを非難するに帰するものである。
 しかし、行政処分の取消または変更を求める訴において、裁判所が行政処分を取
り消すのは、行政処分が違法であることを確認してその効力を失わせるのであつて、
弁論終結時において、裁判所が行政庁の立場に立つて、いかなる処分が正当である
かを判断するものではない(昭和二六年(オ)第四一二号、昭和二八年一〇月三〇
日第二小法廷判決、行政事件裁判例集四巻一〇号二三一六頁参照)。従つて、買収
処分完了後売渡前において論旨の主張するような事情が発生したとしても、農地法
(昭和二七年法律二二九号)八〇条、同法施行令一六条、農地法施行法六条一項一
号に基き政府に対し目的地の売払いを請求するは格別、右事情が、ただちに、すで
に完了した買収処分の瑕疵となるものということはできない。それ故、原審が処分
時説をとつたことは正当であつて、論旨は採用することができない。
 同第三点について。
 論旨は、原審が開拓適否についての農地委員会の判断が同委員会の自由裁量に属
すると判断したことを非難するのである。
 未墾地買収は、「自作農を創設し、又は土地の農業上の利用を増進するため必要
がある」場合に行われるものであり、右必要性の認定については、農業委員会は、
目的地が開墾適地であるかどうかの点のみならず、目的地附近の社会的条件、国の
農業政策、資源確保、災害防止の必要度等の諸要素を検討考慮する必要があり、し
たがつて、農業委員会に、以上の諸要素を基礎とした相当広範な裁量権が与えられ
ていることは明らかである。(しかし、自創法三〇条は、「自作農を創設し、又は
土地の農業上の利用を増進するため必要がある」場合に限つて、土地所有者の意に
反して未墾地買収を許す趣旨と解すべきであるから、農業委員会は、開墾して農地
とすることが明らかに不可能または明らかに不法不当と思われる土地を未墾地とし
て買収する権限を有するものと解すべきではなく、この限りにおいては農業委員会
の裁量権には一定の限界があり、無条件に同委員会の裁量に任されているものと解
すべきでないことは勿論である)。そして原審の認定する本件事実関係の下におい
ては、被上告人農業委員会が本件土地の買収を認定したことがその裁量権の範囲を
超えたものとは到底認められないから、原審のこの点の判断は正当であつて論旨は
採ることができない。
 同第四点について。
 論旨は昭和二五年法律第一三八号所定の適法な上告理由に当らない(なお買収当
時に開拓の予算が計上されていないということだけで、本件買収決定が農業委員会
の裁量権の範囲を越えたものと解することはできない)。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見により主
文のとおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    河   村   大   助
            裁判官    奥   野   健   一

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛