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平成17年(行ケ)第10600号 特許取消決定取消請求事件
口頭弁論終結日 平成18年1月17日
判決
原       告   大日本インキ化学工業株式会社
同訴訟代理人弁理士棚井澄雄
同高橋詔男
被       告   特許庁長官 中嶋誠
同指定代理人   井出隆一
同佐野整博
同柳和子
同宮下正之
主文
     1 特許庁が異議2003―73729号事件について平成17年6月
10日にした決定のうち,「特許第3444242号の請求項1ないし3に係る特
許を取り消す。」との部分を取り消す。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
 事実及び理由
1 請求
 主文第1項と同旨
2 争いのない事実
(1) 特許庁における手続の経緯
 原告は,発明の名称を「レジンコンクリート組成物」とする特許第344
4242号(平成11年7月21日出願〔優先日:平成10年7月22日・日
本〕,平成15年6月27日設定登録。以下「本件特許」という。登録時の請求項
の数は3である。)の特許権者である。
 本件特許について特許異議の申立てがされた(異議2003-73729
号)ところ,原告は,平成16年10月19日,本件特許の願書に添付した明細書
の訂正を請求したが,特許庁は,平成17年6月10日,この訂正(以下「本件第
1訂正」という。)を認めた上で,「特許第3444242号の請求項1ないし3
に係る特許を取り消す。」との決定(以下「本件決定」という。)を行い,その謄
本は,同年7月4日,原告に送達された。
(2) 本件決定の理由
 要するに,本件特許の請求項1ないし3に係る発明は,いずれも特許出願
前に頒布された刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすること
ができたものであるから,上記各請求項に係る特許は特許法29条2項の規定に違
反して登録されたものである,というものである。
(3) 訂正審判の確定
 原告は,本訴係属中に,本件特許の願書に添付した明細書の訂正をするこ
とについて審判を請求した(訂正2005-39184号)ところ,特許庁は,平
成17年11月29日,この訂正(以下「本件第2訂正」という。)をすることを
認める旨の審決(以下「本件訂正審決」という。)をし,同審決は確定した。
(4) 本件第1訂正後の特許請求の範囲
【請求項1】次の成分(A)、(B)、(C)からなり、低収縮化剤が不要
であることを特徴とするレジンコンクリート組成物。(A)(a)不飽和酸、ジア
ルキレングリコール及び/又はトリアルキレングリコール、ジシクロペンタジエン
を原料として用いてなり、不飽和酸とジシクロペンタジエンを水の存在下において
付加させ、その後にジアルキレングリコール及び/又はトリアルキレングリコール
を仕込み反応させた不飽和ポリエステル、(b)重合性不飽和単量体とからなる樹
脂組成物であって、前記樹脂組成物が、前記(a)不飽和ポリエステル80~60
重量部、前記(b)重合性不飽和単量体20~40重量部を総量が100重量部と
なる割合で含むものである。(B)骨材、及び(C)充填材。
【請求項2】不飽和ポリエステル(a)が、ジシクロペンタジエンを1~5
5重量%含有することを特徴とする請求項1記載のレジンコンクリート組成物。
【請求項3】不飽和ポリエステル(a)の数平均分子量が、400~150
0であることを特徴とする請求項1記載のレジンコンクリート組成物。
(5) 本件第2訂正後の特許請求の範囲(下線部が本件第1訂正後のものと比較
した場合の訂正箇所である。)
【請求項1】次の成分(A)、(B)、(C)からなることを特徴とするレ
ジンコンクリート組成物。
(A)(a)無水マレイン酸;ジエチレングリコール、ジプロピレングリコ
ール及びトリエチレングリコールから選ばれる1種以上;並びにジシクロペンタジ
エンを原料として用いてなり、無水マレイン酸とジシクロペンタジエンを水の存在
下において付加させ、その後にジエチレングリコール、ジプロピレングリコール及
びトリエチレングリコールから選ばれる1種以上を仕込み反応させた不飽和ポリエ
ステル、(b)重合性不飽和単量体とからなる樹脂組成物であって、前記樹脂組成
物が、前記(a)不飽和ポリエステル80~67.5重量部、前記(b)重合性不
飽和単量体20~32.5重量部を総量が100重量部となる割合で含むものであ
る。
(B)骨材、及び
(C)充填材。
【請求項2】不飽和ポリエステル(a)が、ジシクロペンタジエンを1~55
重量%含有することを特徴とする請求項1記載のレジンコンクリート組成物。
【請求項3】不飽和ポリエステル(a)の数平均分子量が、400~1500
であることを特徴とする請求項1記載のレジンコンクリート組成物。
3 当裁判所の判断
 上記の当事者間に争いのない事実によれば,本件決定は,本件第2訂正前の
特許請求の範囲(本件第1訂正後の特許請求の範囲)請求項1ないし3の記載に基
づいて上記各請求項に係る発明を認定し,これを前提に特許法29条2項の規定に
違反して特許されたものと判断して上記各請求項につき特許を取り消したものであ
るところ,本件決定の取消しを求める本訴係属中に,当該特許に係る特許請求の範
囲の減縮を含む訂正の審判が請求され,特許庁はこれを認める審決(本件訂正審
決)をし,これが確定したものである。
 そうすると,本件決定は,結果として,請求項1ないし3について判断の対
象となるべき発明の要旨の認定を誤ったことになり,この誤りが上記各請求項につ
いての決定の結論に影響を及ぼすことは明らかである。したがって,本件決定は,
上記各請求項に関する部分につき取消しを免れない。
 以上によれば,原告の請求は理由があるから,これを認容することとし,訴
訟費用については,本件訴訟の経過にかんがみ,これを原告に負担させるのを相当
と認め,主文のとおり判決する。
  知的財産高等裁判所第3部
  裁判長裁判官   佐  藤  久  夫
 裁判官     嶋  末  和  秀
       裁判官  沖  中  康  人

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