弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決中被告人A、同Bに関する部分を破棄する。
     被告人A、同Bを各懲役一年六月に処する。
     但し、被告人Bについては本裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予
する。
     被告人Aにつき原審未決勾留日数中一二〇日を右本刑に算入する。
     押収にかかる二〇弗紙幣三四枚(当庁昭和三六年押第一六五号の一、
二)は没収する。
     被告人C<記載内容は末尾1-(1)添付>の本件控訴を棄却する。
     原審訴訟費用中証人D、同E、同Fに支給した分は被告人Bの負担と
し、当審訴訟費用中証人Gに支給した分は被告人C<記載内容は末尾1-(1)添
付>の、同Hに支給した分は被告人Aの、同Iに支給した分は被告人Bの各負担と
する。
         理    由
 弁護人鈴木勇の控訴趣意中法令の適用の誤りの主張について、
 所論によると、本件米弗紙幣は沖縄において通用する通貨であるところ、沖縄に
ついては、なお日本の主権が存続しているから、これを以て外国ということはでき
ない。従つて沖縄に通用する米弗紙幣は外国においてのみ流通する紙幣には該当し
ないから同偽造紙幣の行使を「外国ニ於テ流通スル貨幣紙幣銀行券証券偽造変造及
模造ニ関スル法律」第三条第一項に違反するものとして処断した原判決は法律の適
用を誤つた違法がある。又沖縄についてはアメリカ合衆国が施政権を有し、日本の
統治権の及ばない特殊地域と称すべきものであるから、刑法第一四九条の内国にも
該当せず、よつて偽造米弗紙幣の行使は同条の適用もなく、本件は公訴棄却又は無
罪の言渡しをなすべきものであると主張する。
 よつて按ずるに、沖縄が終戦前に日本国の領土であつたことはいうまでもない
が、日本の敗戦の結果、沖縄は連合国軍によつて占領され、その占領中、わが国の
統治権が排除されて、アメリカ合衆国により立法、司法、行政の三権が行使される
に至つたことは当裁判所に顕著な事実である。然し、カイロ宣言、ポツダム宣言、
その他の降伏文書等によつても、日本国が沖縄に対する領土権を喪失したことを認
める根拠はなく、沖縄は連合国による占領中も依然として日本国の領土であるとい
うべきである。(昭和三〇年八月九日最高裁判所第三小法廷判決参照)また、昭和
二七年四月二八日発効した日本国との平和条約によつても、同条約第二条におい
て、日本国は朝鮮、台湾、千島列島等に対するすべての権利、権原及び請求権を放
棄する旨規定しているに拘わらず、沖縄についてはかかる規定が存在しないばかり
でなく、かえつて同条約第三条によると、日本国は沖縄を合衆国を唯一の施政権者
とする信託統治制度の下におくこととする国際連合に対する合衆国のいかなる提案
にも同意する義務があり、このような提案が行われ、且つ、可決されるまで(今日
に至るもかかる提案がなされないことは当裁判所に顕著な事実である)合衆国は領
水を含むこれらの領域及び住民に対し行政、立法、及び司法上の権力の全部及び一
部を行使する権利を有することが定められたことからみても、合衆国は沖縄におい
て施政権はこれを行使するも、同島に対する領土主権はなお日本国に保有されてい
ることを窺知し得るのである。してみると、沖縄は平和条約発効後においても日本
国の一部であつて、外国ニ於テ流通スル貨幣紙幣銀行券証券偽造変造及模造ニ関ス
ル法律に定める外国とは解し難いこと所論のとおりである。次に、沖縄は特殊の地
位にあり刑法第一四九条の内国に該当しないとの所論につき按ずるに、同条にいう
内国の意義については外国人登録法第二条、外国為替及び外国貿易管理法第六条等
に規定する「本邦」の如く、特にその地域を<要旨>制限した規定が存しないから、
同条の内国とは日本国の領土主権の及ぶ全領域を指称するものであつて、沖縄 旨>も刑法第一四九条の内国に該当するものと解するのが相当である。また、かく解
することは合衆国が沖縄に対し施政権を有することと何等矛盾するものでもない。
ところで、当審で取調べた総理府特別地域連絡局長回答に添付してある那覇日本政
府南方連絡事務所長調査報告書写によると、アメリカ合衆国の通貨は昭和三三年九
月一六日午前〇時一分から沖縄における法定通貨となつたことが明らかであるか
ら、同日以後においては、米弗貨は外国においてのみ流通する通貨ではなく、従つ
て偽造米弗貨を行使した場合には、前記法律第三条第一項の規定に該当することな
く、刑法第一四九条第二項の規定によつて処断すべき筋合である。
 そして、以上の前提の下に本件についてこれをみるに、原判示第四の事実は要す
るに、被告人Bは被告人Aと共謀の上、昭和三三年一〇月三日偽造米国弗紙幣をそ
の偽造であるとの情を知りながら、東京都内において行使したというのであるか
ら、その実行した結果の点からすれば、刑法第一四九条第二項に当るべき場合であ
るが、被告人劉が右犯行当時米弗紙幣が沖縄において法定通貨となつたことを知つ
ていたとの点についてはその証明がなく、同被告人としては、右弗紙幣は外国にお
いてのみ流通するものとの認識の下に右犯行に出でたものと認められる本件におい
ては、同被告人に対しては刑法第三八条第二項、同法施行法第二条、第一九条第二
〇条刑法第一〇条により重い刑法第一四九条第二項の規定により処断することを得
ず、前記法律第三条第一項に該当する罪として処断すべきものといわねばならな
い。してみると、原判決が被告人Bの原判示第四の所為を前記法律第三条第一項に
該当するものとして処断したのは結局正当に帰し、原判決には所論の如き法令の適
用を誤つた違法はなく、論旨は理由がない。
 (その他の判決理由は省略する。)
 (裁判長裁判官 山本謹吾 裁判官 目黒太郎 裁判官 深谷真也)

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