弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決及び第一審判決を破棄する。
     被告人を免訴する。
         理    由
 弁護人福田力之助の上告趣意は、末尾添附のとおりである。
 裁判官真野毅、同小谷勝重、同島保、同藤田八郎、同谷村唯一郎、同入江俊郎の
意見は、昭和二五年政令三二五号「占領目的阻害行為処罰令」は、平和条約発効と
同時に当然失効し、その後に右政令の効力を維持することは、憲法上許されないか
ら本件については犯罪後の法令により刑が廃止された場合にあたるとするものであ
ること、昭和二七年(あ)第二八六八号同二八年七月二二日言渡大法廷判決記載の
右六裁判官の意見のとおりであり、又裁判官井上登、同栗山茂、同岩松三郎、同河
村又介、同小林俊三の意見は、右政令三二五号は、平和条約発効後においては、本
件に適用されている昭和二五年六月二六日附及び同年七月一八日附連合国最高司令
官の指令の内容が憲法二一条に違反するから、右指令を適用するかぎりにおいて、
平和条約発効と共に失効し、従つて、本件は犯罪後の法令により刑の廃止があつた
場合に準ずべきものであるとすること、前記昭和二七年(あ)第二八六八号事件の
大法廷判決記載の井上、栗山、河村、小林四裁判官の意見のとおりである。よつて
以上一一裁判官の意見によれば、本件は犯罪後に刑が廃止されたときにあたるもの
として、刑訴四一一条、四一三条但書、三三七条二号により主文のとおり判決する。
 裁判官田中耕太郎、同霜山精一、同斎藤悠輔、同本村善太郎の反対意見は、右政
令三二五号は平和条約発効後といえども、刑の廃止があつた場合にはあたらず、右
条約発効前に右政令に違反した罪については、平和条約発効後においてもこれを処
罰すべきものとすること、前記昭和二七年(あ)第二八六八号の大法廷判決記載の
右四裁判官の意見のとおりである。
 裁判官真野毅の補足意見は、前記昭和二七年(あ)第二八六八号(被告人A)同
二八年七月二二日言渡大法廷判決及び昭和二七年(あ)第六六九号(被告人B)同
二八年一二月一六日言渡大法廷判決中各記載の同裁判官の補足意見のとおりである。
 裁判官井上登、同河村又介の各補足意見は、前記昭和二七年(あ)第二八六八号
(被告人A)の大法廷判決記載の右両裁判官の各補足意見及び前記昭和二七年(あ)
第六六九号(被告人B)の大法廷判決記載の右両裁判官の各補足意見中本件政令三
二五号の平和条約発効後の効力に関する部分のとおりである。
 裁判官岩松三郎の補足意見は、右各大法廷判決記載の裁判官井上登の右各補足意
見と同一である。
 裁判官栗山茂の補足意見は、前記昭和二七年(あ)第六六九号(被告人B)の大
法廷判決記載の同裁判官の意見中本件政令三二五号の平和条約発効後の効力に関す
る部分のとおりである。
 裁判官小林俊三の補足意見は、前記昭和二七年(あ)第二八六八号(被告人A)
の大法廷判決記載の同裁判官の補足意見のとおりである。
 裁判官斎藤悠輔の補足意見は、前記昭和二七年(あ)第二八六八号(被告人A)
の大法廷判決及び昭和二七年(あ)第六六九号(被告人B)の大法廷判決各記載の
同裁判官の補足意見のとおりである。
 検察官安平政吉、竹原精太郎、福原忠男出席
  昭和二九年四月一四日
     最高裁判所大法廷
         裁判長裁判官    田   中   耕 太 郎
            裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    井   上       登
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    真   野       毅
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    島           保
            裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    岩   松   三   郎
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    谷   村   唯 一 郎
            裁判官    小   林   俊   三
            裁判官    本   村   善 太 郎
            裁判官    入   江   俊   郎

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