弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     原判決を取消す。
     被控訴人の請求を棄却する。
     訴訟費用は第一、二審共被控訴人の負担とする。
         事    実
 控訴代理人は原判決を取消す。被控訴人の請求を棄却する。訴訟費用は第一、二
審共被控訴人の負担とする。
 この判決を求め、被控訴代理人は控訴棄却の判決を求めた。
 当事者双方の事実上の主張は、控訴代理人に於いて仮に本件金員の授受が被控訴
人と控訴人を代理人とする訴外A間の取引でなく、本件当事者間の取引であるとす
るも、被控訴人が控訴人に支払つた金は所謂人身売買の対価として支払はれたもの
であるから被控訴人はその返還を請求することはできない。尚BはCの誤称である
と。と述べ被控訴代理人において右人身売買の事実を否認した外原判決事実摘示事
実と同一であるからここにこれを引用する。
 証拠として被控訴代理人は甲第一、第二号証を提出し、原審における証人C、同
Dの各証言、当審における被控訴人本人訊問の結果を援用し、乙号各証は郵便官署
の作成にかかる部分の成立を認め、その余の部分の成立は不知と述べ、控訴代理人
は乙第一号証第二号証の一、二を提出し原審における証人Eの証言、当審における
証人Aの征言及び控訴本人訊問の結果を援用し、甲号各証の成立を認めた。
         理    由
 被控訴人が飲食店を控訴人が特殊飲食店を各経営すること、被控訴人が昭和二十
八年六月一日控訴人の紹介によつて訴外F、C(原判決にはBと摘示しあり)の両
名を雇入れたこと、被控訴人がその際控訴人に対して金三万六千四百十五円の支払
をなしたことは当事者間に争のないところである。
 而して控訴人の提出援用にかかる全証拠によるも右が被控訴人と訴外A間の取引
である事実を認めることはできないけれども原審における証人Eの証言、当審にお
ける証人Aの証言及び控訴本人訊問の結果に成立に争のない甲第一号証を合せ考え
ると控訴人は訴外Eから所謂女郎である右訴外F及びBを紹介せられたのであるが
予て同業者である岐阜県郡上郡a町の訴外Aから接客婦の紹介を頼まれていたので
同訴外人の意向をただした上同人のために右二人の女の所謂前借金合計金三万六千
四百十五円の立替支払をなしてこれを抱えておいたところ偶々ひそかに接客婦を雇
つて特殊飲食業を営んでいる被控訴人に懇望せられたので一応は女の素性がよくな
いからやめた方がよかろうと注意したが差支ないとのこと故右Aの諒解を得て同人
との関係を離れ右二人の女を被控訴人方に振向け、被控訴人より同女等の前記前借
金の立替支払を受け先に自己の出捐した該金員に補填した事実を認めることがで
き、又原審における証人Dの証言によれば被控訴人が右紹介手数料として合計金一
万円を控訴人に交付した事実を認めることができ(弁論全趣旨によればこの金員の
支払は控訴人に対してなされたものではなくただ捧訴人を通して右二人の女を連れ
て来た紹介者等に対してなされたものであることを窺知することができる)右各認
定に抵触する当審における被控訴本人訊問の結果は右控訴本人訊問の結果に徴して
措信し難く、他に右認定を覆すに足る証拠はない。尚右D証人の証言、被控訴本人
訊問の結果によれば右二人の女はヒロポン中毒症のため働くことができないものと
して即日控訴人方へ送りかえされた事実を認めることができるけれども、控訴人が
被控訴人に対して、右二人の女が被控訴人方で働くことができず又は一ヶ月以内に
被控訴人方より退転したときは被控訴人の出捐した右前借立替金及び紹介手数料は
全部返還することを約した旨の被控訴人の主張に副う右D証人の証言及び被控訴本
人の訊問の結果は右控訴本人の訊問の結果に対比して措信し難く他に右事実を認定
すべき証拠はない。
 <要旨>果して然らば被控訴人より控訴人に交付せられた右二人の女の前借金合計
金三万六千四百円及びその紹介手数料合計金一万円は二女が被控訴人方に於
いて売春行為を為し客より収得する其の対価中より弁済を受くる予定の下に支払は
れたもので換言すれば二女を被控訴人方で売春行為を為さしめ利益を獲得する為め
の出捐で所謂人身売買の対価及びその謝礼として支払はれたことが明らかで被控訴
人は不法の原因のため給付を為したる者として其の給付したる右各金員の返還を請
求することを得ないので控訴人の抗弁は理由があり、被控訴人の本訴請求はすべて
理由のないものとして棄却すべく、右と判断を異にせる原判決は不当なるをもつて
取消を免れず民事訴訟法第三百八十六条、第九十六条、第八十九条によつて主文の
ように判決する。
 (裁判長裁判官 北野孝一 裁判官 伊藤淳吉 裁判官 小沢三朗)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛