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平成13年(行ケ)第261号特許取消決定取消請求事件
平成13年11月6日口頭弁論終結
         判     決
      原      告 富士機械製造株式会社
      訴訟代理人弁理士 神  戸  典  和
      被      告 特許庁長官 及 川 耕 造
      指定代理人    箕  輪  安  夫
      同        鈴  木  久  雄
      同        大  橋  良  三
      同        大  野  克  人
         主     文
 特許庁が平成11年異議第73384号事件について平成13年5月8
日にした決定を取り消す。
 訴訟費用は原告の負担とする。
         事実及び理由
1 原告の請求
 特許庁が平成11年異議第73384号事件について平成13年5月8日にし
た決定を取り消す。
 訴訟費用は被告の負担とする。
2 原告の主張
(1)特許庁における手続の経緯
 原告は,発明の名称を「電子部品装着システム」とする特許第286662
7号の発明(平成8年12月4日出願,平成10年12月18日設定登録)の特許
権者である。
 特許庁は,平成10年9月7日,上記発明のうち特許請求の範囲請求項1の
発明に係る特許(以下,この特許を「本件特許」といい,その発明を「本件発明」
という。)について特許異議の申立てを受け,平成11年異議第73384号事件
として審理した結果,平成13年5月8日,「特許第2866627号「電子部品
装着システム」の特許請求の範囲の第1番目に記載された発明に係る特許を取り消
す。」との決定(以下「本件決定」という。)をし,平成13年5月26日,その
謄本を原告に送達した。
(2)本件決定の理由の要旨
 本件決定の理由は,要するに,本件発明は,特許法29条の2に該当するの
で,特許を受けることができない,とするものである。
(3)原告は,本訴係属中の平成13年8月9日,本件特許等の出願の願書に添付
された明細書の訂正をすることについて審判を請求し,特許庁は,これを訂正20
01-39131号事件として審理した結果,平成13年10月1日,上記訂正を
することを認める旨の審決(以下「本件訂正審決」という。)をし,これが確定し
た。
(4)本件訂正審決による訂正の内容
(ア)本件訂正審決による訂正前の特許請求の範囲(請求項1)は,次のとおりで
ある。
 垂直軸線まわりに間欠回転する間欠回転体を含む支持手段と,
その支持手段により,前記垂直軸線を中心とする一円周上に前記間欠回転
体の間欠回転角度と等しい角度間隔でかつ垂直な自身の中心線のまわりに回転可能
に支持され,それぞれ下端部に電子部品を保持する部品保持部を備えた複数の部品
保持ヘッドと,
前記間欠回転体の停止時における複数の部品保持ヘッドの停止位置の一つ
である部品供給位置に設けられて,各部品保持ヘッドに電子部品を供給する部品供
給装置と,
前記複数の停止位置の別の一つである部品装着位置に設けられ,部品保持
ヘッドにより電子部品を装着されるプリント基板を支持し,そのプリント基板の複
数の電子部品装着予定箇所が前記部品装着位置に停止した部品保持ヘッドに対向す
る位置へプリント基板を移動させる基板位置決め装置と,
前記複数の停止位置のうちの,前記部品供給位置と部品装着位置との間の
停止位置の一つである部品撮像位置に設けられて電子部品の像を撮像する撮像シス
テムを備え,その撮像システムにより撮像された電子部品の像に基づいて部品保持
ヘッドに保持された電子部品の保持位置誤差および保持方位誤差を検出する誤差検
出手段と,
前記部品撮像位置と前記部品装着位置との間において前記部品保持ヘッド
を回転させて前記誤差検出手段により検出された保持方位誤差を補正するヘッド回
転装置と,
前記基板位置決め装置に,プリント基板を,予定の位置から,前記誤差検
出手段により検出された保持位置誤差を打ち消すに必要な距離だけ必要な方向にず
らして位置決めさせる保持位置誤差補正手段とを含むことを特徴とする電子部品装
着システム。
(イ)本件訂正審決による訂正後の特許請求の範囲請求項1は,次のとおりであ
る(下線部が訂正された箇所である。)。
 垂直軸線まわりに間欠回転する間欠回転体を含む支持手段と,
 その支持手段により,前記垂直軸線を中心とする一円周上に前記間欠回
転体の間欠回転角度と等しい角度間隔でかつ垂直な自身の中心線のまわりに回転可
能に支持され,それぞれ下端部に電子部品を保持する部品保持部を備えた複数の部
品保持ヘッドと,
 前記間欠回転体の停止時における複数の部品保持ヘッドの停止位置の一
つである部品供給位置に設けられて,各部品保持ヘッドに電子部品を供給する部品
供給装置と,
 前記複数の停止位置の別の一つである部品装着位置に設けられ,部品保
持ヘッドにより電子部品を装着されるプリント基板を支持し,そのプリント基板の
複数の電子部品装着予定箇所が前記部品装着位置に停止した部品保持ヘッドに対向
する位置へプリント基板を移動させる基板位置決め装置と,
 前記複数の停止位置のうちの,前記部品供給位置と部品装着位置との間
に位置し,かつ,部品装置位置との間に別の停止位置を挾んだ停止位置である部品
撮像位置に設けられて電子部品の像を撮像する撮像システムを備え,その撮像シス
テムにより撮像された電子部品の像に基づいて部品保持ヘッドに保持された電子部
品の保持位置誤差および保持方位誤差を検出する誤差検出手段と,
 前記間欠回転体の外周側に設けられ,前記部品撮像位置と前記部品装着
位置との間において前記部品保持ヘッドを一つずつ個別に,連続的に変更可能な角
度回転させて前記誤差検出手段により検出された保持方位誤差を補正するヘッド回
転装置と,
 前記基板位置決め装置に,プリント基板を,予定の位置から,前記誤差
検出手段により検出された保持位置誤差を打ち消すに必要な距離だけ必要な方向に
ずらして位置決めさせる保持位置誤差補正手段と
 を含むことを特徴とする電子部品装着システム。
(5)上記のとおり,本件特許については,特許法29条の2の規定に違反してな
された特許であることを理由に特許を取り消した決定の取消しを求める訴訟の係属
中に,その目的に本件特許に係る特許請求の範囲の減縮を含む訂正の審決が確定し
たので,決定は,結果として,判断の対象となるべき発明の要旨の認定を誤ったも
のとなり,この誤りが決定の結論に影響を及ぼすことは明らかである。したがっ
て,決定は,取消しを免れない。
3 原告の主張に対する被告の認否
 (1)ないし(4)は認める。
4 理由
 原告の主張(1)ないし(4)は当事者間に争いがなく,同争いのない事実によれ
ば,本訴請求は理由がある。そこで,これを認容し,訴訟費用の負担については,
原告に負担させるのを相当と認め,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法62条を適用
して,主文のとおり判決する。
東京高等裁判所第6民事部
  裁判長裁判官山  下  和  明
     裁判官設  樂  隆  一
     裁判官宍  戸     充

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