弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

○ 主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
○ 事実
控訴代理人は「原判決を取消す。被控訴人が控訴人らに対し昭和四一年五月二日付
をもつてした相続税の更正処分(但し裁決によつて一部取消された)のうち課税財
産価額が各控訴人につきそれぞれ別表請求額欄記載の金額を越える部分及び同日付
でした過少申告加算税賦課処分を取消す。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負
担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は控訴棄却の判決を求めた。
当事者双方の事実上の主張ならびに証拠の関係は、控訴人らにおいて原判決添付別
表(課税財産価額)A、Bの各請求額を二、一八〇、八九〇円、一、八一一、八九
〇円と訂正すると述べたほか、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用す
る。
○ 理由
一 当裁判所も本件各更正処分および各加算税賦課処分は正当であつて本訴請求は
理由がないものと判断するものであるが、その理由は以下に付加するほか原判決の
理由と同一であるからこれを引用する。但し原判決一九枚目表二行目の数式のうち
8とあるのは0、08の、同二〇枚目裏六行目の数式のうち8および1とあるの
は、0、08および0、01の、同七行目の数式のうち8とあるのは1、07の、
それぞれ誤記と認めてこれを訂正する。
二 原判決一七枚目表末行の前につぎの一項を挿入する。
もつとも、右契約内容の経済的効果を達成するためには通常被控訴人が主張するよ
うな取引形式を選択することが多いであろうから、CがDとの間に前記認定のよう
な内容の契約を締結したのはいささか異状であつて、そこに何らかの、おそらくは
租税(当時の不動産所得税)負担の回避ないし軽減の意図がうかがえないでもな
い。はたして然らば右は一種の租税回避行為というべきであるが、同族会社の行為
計算の否認(法人税法一三二条、所得税法一五七条、相続税法六四条)のほか一般
的に租税回避の否認を認める規定のないわが税法においては、租税法律主義の原則
から右租税回避行為を否認して、通常の取引形式を選択しこれに課税することは許
されないところというべきである。
三 なお、金銭債務が低利である場合には債務者が現実に支払う金利を通常の利率
によつて除して得られる金額に相当する元本額は、その債務額として評価すべきで
あり、この額を控除した残額について通常利率によつて算出される中間利息を控除
して評価し両評価額を合算した額をもつて債務の評価額とすべきであるとの議論が
あるが、前叙のとおり、低利である場合には、低利であることによつて通常の利率
による利息相当額の経済的利益から現実に支払う低利率による利息を控除した差額
をなお経済的利益として享受し得るのであつて、これを本件についてみるに、控訴
人らは通常の利率による利息相当額、すなわち
129、000、000×0.08=10、320、000
一、〇三二万円から現実に支払う利息を控除した額、すなわち
10、320、000-(129、000、000×0.01)=9、030、0
00
九〇三万円相当の経済的利益を毎年享受し得るのであるから、債務の元本から低利
のため評価時以降弁済期までに生ずべき債務者の経済的利益すなわち通常の利率と
現実に支払う利率との差によつて算出される中間利息を控除した残額をもつて現在
の評価額とするのが相当であること勿論というべく、先の所説は右の経済的利益の
享受を看過した議論であつて失当である。
四 してみれば、原判決は相当であつて本件控訴は理由がないからこれを棄却する
こととし、控訴費用の負担につき民訴法九五条、八九条を適用して、主文のとおり
判決する。
(裁判官 菅野啓蔵 渡辺忠之 中平健吉)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛