弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決及び第一審判決を破棄する。
     被告会社は無罪。
         理    由
 一 弁護人安達十郎の上告趣意は、憲法二二条、二九条、三一条違反をいう点も
あるが、実質はすべて単なる法令違反、事実誤認の主張であつて、刑訴法四〇五条
の上告理由にあたらない。
 二 しかしながら、所論にかんがみ職権により調査すると、原判決及び第一審判
決は、次の理由により破棄を免れない。
 (一) 原判決の是認する第一審判決の認定事実の要旨は、「個室付公衆浴場の
営業を営む被告会社は、浴場施設から一三四・五メートル離れた地域にa町立b児
童遊園(児童福祉法七条に規定する児童福祉施設で、被告会社に対する山形県知事
の公衆浴場経営許可の日よりも五一日前に同知事の認可を受けていた。)があるた
め、浴場個室において異性の客に接触する役務を提供する営業(いわゆるトルコぶ
ろ営業)ができないのに、昭和四三年八月一六日ころから同四四年二月七日ころま
での間に女性従業員五名(いわゆるトルコ嬢)による男性客相手(延七〇名)のト
ルコぶろ営業を営んだ」というものである。
 (二) 本件の争点は、山形県知事のb児童遊園設置認可処分(以下「本件認可
処分」という。)の適法性、有効性にある。すなわち、風俗営業等取締法は、学校、
児童福祉施設などの特定施設と個室付浴場業(いわゆるトルコぶろ営業)の一定区
域内における併存を例外なく全面的に禁止しているわけではない(同法四条の四第
三項参照)ので、被告会社のトルコぶろ営業に先立つ本件認可処分が行政権の濫用
に相当する違法性を帯びているときには、b児童遊園の存在を被告会社のトルコぶ
ろ営業を規制する根拠にすることは許されないことになるからである。
 (三) ところで、原判決は、a町が山形県の関係部局、同県警察本部と協議し、
その示唆を受けて被告会社のトルコぶろ営業の規制をさしあたつての主たる動機、
目的として本件認可の申請をしたこと及び山形県知事もその経緯を知りつつ本件認
可処分をしたことを認定しながら、b児童遊園を認可施設にする必要性、緊急性の
有無については具体的な判断を示すことなく、公共の福祉による営業の自由の制限
に依拠して本件認可処分の適法性、有効性を肯定している。また、記録を精査して
も、本件当時a町において、被告会社のトルコぶろ営業の規制以外に、b児童遊園
を無認可施設から認可施設に整備する必要性、緊急性があつたことをうかがわせる
事情は認められない。
 本来、児童遊園は、児童に健全な遊びを与えてその健康を増進し、情操をゆたか
にすることを目的とする施設(児童福祉法四〇条参照)なのであるから、児童遊園
設置の認可申請、同認可処分もその趣旨に沿つてなされるべきものであつて、前記
のような、被告会社のトルコぶろ営業の規制を主たる動機、目的とするa町のb児
童遊園設置の認可申請を容れた本件認可処分は、行政権の濫用に相当する違法性が
あり、被告会社のトルコぶろ営業に対しこれを規制しうる効力を有しないといわざ
るをえない(なお、本件認可処分の適法性、有効性が争点となつていた被告会社対
山形県間の仙台高等裁判所昭和四七年(行コ)第三号損害賠償請求控訴事件におい
て被告会社のトルコぶろ営業に対する関係においての本件認可処分の違法・無効を
認めた控訴審判決が、最高裁判所昭和四九年(行ツ)第九二号の上告棄却判決(本
件認可処分は行政権の著しい濫用によるものとして違法であるとした。)により確
定していることは、当裁判所に顕著である。)。
 三 そうだとすれば、被告会社の本件トルコぶろ営業については、これを規制し
うる児童福祉法七条に規定する児童福祉施設の存在についての証明を欠くことにな
り、被告会社に無罪の言渡をすべきものである。したがつて、原判決及び第一審判
決は、犯罪構成要件に関連する行政処分の法的評価を誤つて被告会社を有罪とした
ものにほかならず、右の違法は判決に影響を及ぼすもので、これを破棄しなければ
著しく正義に反するものと認める。
 よつて、刑訴法四一一条一号により原判決及び第一審判決を破棄し、同法四一三
条但書、四一四条、四〇四条、三三六条により、裁判官全員一致の意見で、主文の
とおり判決する。
 検察官中川一 公判出席
  昭和五三年六月一六日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    栗   本   一   夫
            裁判官    大   塚   喜 一 郎
            裁判官    吉   田       豊
            裁判官    本   林       譲

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