弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     当審における訴訟費用は被告人の負担とする。
         理    由
 弁護人森長英三郎の上告趣意第一点について。
 麻薬取締官A作成の、被告人に対する第一、二回供述調書によれば、被告人が昭
和二五年六月東京都南多摩郡a村のB保養院に入院した際所持していた本件麻薬は
同人が昭和二〇年八月頃八王子市内のC病院の医師Dより現金にて買いうけ、爾来
自宅の戸棚に隠匿していたものであることが認められる。従つて論旨の主張するよ
うに麻薬取締法三条一項但書にいう「この法律の規定により麻薬を麻薬施用者から
施用のため交付を受け」た場合に該当しないこと明白であるから、論旨は理由がな
い。
 同第二点について。
 論旨は原審において主張せず、従つて判断をうけない事項に関するものであるか
ら適法の上告理由となりえない。
 同第三点について。
 憲法二五条の法意はその第一項は国家は国民一般に対して概括的に健康で文化的
な最低限度の生活を営ましめる責務を負担し、これを国政の任務とすべきであるこ
と、第二項は国家はすべての生活部面について社会福祉、社会保障及び公衆衛生の
向上並びに増進のためかゝる社会的福祉の拡充増進に努力すべきであることを宣言
した趣意と解すべきである(昭和二三年(れ)二〇五号、同年九月二九日大法廷判
決。判例集二巻一〇号一二三五頁以下参照)。翻つて所論の麻薬取締法三条一項本
文は但書と対照して考えれば、所論のごとく麻薬取扱者でない者が自己の身体に施
用するために麻薬を所持することも禁止したものと解すべきであるが、この規定が
憲法二五条に違反しないことは前記大法廷判決の趣旨から明らかである。論旨は理
由がない。
 同第四点について。
 しかし、前記第三点について述べたごとく麻薬取締法三条一項本文は所論のごと
き場合をも禁止の対象としていることは明かであるから、これと反対の見解に立つ
て原判決の憲法違反を主張する論旨はその前提を欠き採用できない。
 同第五点について。
 本件については刑訴四一一条二号を適用すべき場合とは考えられない。
 弁護人島田勝三の上告趣意について。
 しかしB保養院の医師Eの任意提出書及び麻薬取締官A作成の、被告人に対する
第一回供述調書によれば被告人は同保養院に入つて後自発的にこれを同院の医師E
に手交したものであることが窺える。従つて憲法違反の前提たる事実を欠くことに
なり採用できない。
 よつて刑訴四〇八条、一八一条により主文のとおり判決する。
 この判決は、裁判官全員一致の意見である。
  昭和二八年六月一九日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    谷   村   唯 一 郎

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