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平成27年6月30日判決言渡
平成26年(ネ)第10127号損害賠償請求控訴事件(原審東京地方裁判所
平成25年(ワ)第9658号)
口頭弁論終結日平成27年4月23日
判決
控訴人株式会社ムラアーカム
控訴人X
2名訴訟代理人弁護士重長孝志
渡邊兼也
加藤幸英
真家茂樹
被控訴人太平産業株式会社
訴訟代理人弁護士今村憲治
林宗範
補佐人弁理士飯田昭夫
主文
1本件控訴を棄却する。
2控訴費用は控訴人らの負担とする。
事実及び理由
第1控訴の趣旨
1原判決を取り消す。
2被控訴人は,控訴人らに対し,1億円及びこれに対する平成25年5月9日
から,支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3訴訟費用は,1,2審とも被控訴人の負担とする。
第2事案の概要等
なお,呼称は,審級による読替えを行うほか,原判決に従う。
1事案の概要
本件は,発明の名称を「建設廃泥の処理方法」とする特許(特許第344832
1号。本件特許)に係る特許権を共有していた控訴人らが,被控訴人に対し,被控
訴人の行っていた建設廃泥の処理方法(本件処理方法)は,本件特許に係る発明の
技術的範囲に属すると主張して,不法行為責任に基づく損害賠償の一部請求として,
1億円及びこれに対する平成25年5月9日(本件訴状送達の日)以降の民法所定
の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
原審は,平成26年10月31日,控訴人らの請求をいずれも棄却する旨の判決
を言い渡したところ,控訴人らは,同年11月16日に控訴した。
2前提事実
次のとおり原判決を補正するほか,原判決第2の1(2頁18行目から4頁9行
目)のとおりであるから,これを引用する。
(原判決の補正)
(1)原判決2頁22行目の末尾に,改行の上,「控訴人Xは,大学准教授である。」
を付加する。
(2)原判決2頁最終行の「共有持分は1対1である。」を「共有持分は1対1で
ある(甲20,21)。」と改める。
第3争点及びこれに関する当事者の主張
次のとおり原判決を補正するほか,原判決第2の2及び第3(4頁10行目から
24頁3行目まで。本文中に引用された別紙部分を含む。)のとおりであるから,こ
れを引用する。
(原判決の補正)
1原判決10頁最終行の末尾に,改行の上,次のとおり加える。
「本件処理方法が,トロンメルの通過部分をハイメッシュセパレーター上に受け
る工程を有している点は,認める。」
2原判決24頁3行目を,次のとおり改める。
「平成21年ないし平成23年の建設廃泥の処理量は認めるが,その余は争う。」
第4当審における当事者の追加主張(争点(1)アに関し)
1控訴人ら
(1)構成要件B
ア「コンクリート等の骨材」
社団法人日本建設機械化協会編「骨材の採取と生産」(甲45),経済産業省作成
の「骨材需給表」(甲46),日本砂利協会作成の「骨材需給表」(甲47)を初めと
して,コンクリート用,アスファルト用,鉄道用,道床用等に用いられる砂利や砂
を「骨材」と称する文献等は,枚挙に暇がない(甲48)。
少なくとも,当業者にとって,「骨材」は,砂・砂利・砕砂・砕石その他これに類
する粒状材料(土木・建築産業の基礎資材)を一義的に意味するものであって(甲
23,52等),セメントと混ぜられることを前提としていない。コンクリートと並
んで,アスファルトに用いられる砂や砂利が,「骨材」と称されていることは技術常
識であるが,アスファルトを製造する際には,セメントが混ぜられることはないた
め,「骨材」がセメントと混ぜられることを前提とすると,アスファルトに用いられ
た場合には,「骨材」に該当しないという不当な帰結となる(甲49)。
「コンクリート骨材」となる砂や砂利は,アスファルト骨材にも路盤用骨材にも
なるし,被控訴人の第2種改良土やタイヘイリサイクルソイルその他多種多様な用
途にも利用できる(甲53)。控訴人らが,「コンクリート等の骨材」をコンクリ
ートやそれに類似するモルタルなどを作るための砂や砂利に限定する意図を有して,
かかる用語を用いて本件特許の登録申請をしたはずがない。
暗渠排水資材は,暗渠排水の疎水材として砂利が利用されるものであり(甲57),
骨材の主用途として挙げられている道床材としての利用といえる。第2種改良土と
しての利用も,「コンクリート等の骨材とし」ての利用といえる。
イ「そのまゝ」
第2種改良土とは,「土(泥土を含む)にセメントや石灰を混合し化学的安定処
理したもの」であり(甲58),原料土全体に固化材を投入し,混合攪拌して製造
される。第2種改良土の製造方法自体が「造粒固化処理」であり,原料土を「造粒
固化処理」したものが第2種改良土なのであって(甲59),シルトや砂利等を造
粒固化処理した上で,第2種改良土が製造されるわけではない。この点は,本件処
理方法においても,何ら変わりはない(甲6,65及び66)。
したがって,本件処理方法は,砂利や砂の状態を変化させることなく,「そのまゝ」
第2種改良土の骨材(材料)としているといえる。
(2)構成要件C
ア「コンクリート等の骨材」,「そのまゝ」
「コンクリート等の骨材」,「そのまゝ」の意義は,上記(1)ア,イのとおりである。
濾過砂や下水管埋戻しの材料としての利用は,骨材の主用途として挙げられてい
る道床材としての利用といえる。第2種改良土としての利用は,「そのまゝ」「コン
クリート等の骨材とし」たものといえる。アスファルト用の材料としての使用,販
売も,セメントが混ぜられないとはいえ,骨材の典型的な用途であり,「そのまゝ」
「コンクリート等の骨材とし」たものといえる。被控訴人は,流動化処理土室内配
合試験計画書(甲38)において,「アスファルト材料等」という用語を用いたが,
アスファルトの舗装に際して行われるプライムコート作業において,散布したアス
ファルト乳剤等の施工機械への付着及びはがれを防止するために散布する砂として
利用することを「アスファルト材料」とは呼ばないから,本件処理方法によって作
成された中粗粒分が散布用にのみ利用されるかは疑わしい。しかも,これらの砂は
多種多様な用途が可能であり,散布用という限られた用途に使用されるとは限らな
いから,かかる意味でも「コンクリート等の骨材」といってよい。
イ「該粗篩機の通過分は震動篩上に受けて」
ハイメッシュセパレーターの回転式分級機は,「沈降槽の底に沈降した砂を移送す
る数条のスパイラル羽根と,このスパイラル羽根の終端にあって,移送されてきた
砂を掻き上げる環状に配設された掻き上げパケットからなる」ものであり(乙11),
全体の「作用」として,「沈降層で沈降した砂は,スパイラル羽根で移送され,移送
終端でパケットで掻き上げられ,振動篩式脱水機に受け継がれ脱水されて排出され
る」(乙11)。
したがって,ハイメッシュセパレーターの回転式分級機は,「砂を移送・掻き上げ
て,振動篩に受け継ぐ」機能を有しているにすぎず,分級を目的としたものではな
く,トロンメルを通過した砂が振動篩に移送されるまでの間に,多少脱水されよう
が,それは移送の方法の結果にすぎず,およそ分級とは評価できない。
本件処理方法における回転式分級機は,ハイメッシュセパレーターの回転式分級
機であって,回転式分級機のみが独立して使用されているわけではないため,回転
式分級機のみで砂を分級採取できるか否かにかかわらず,回転式分級機のみで使用
される場合を仮定して,分級の可否を検討し,構成要件充足性を判断することは,
不適当である。
そもそも,「分級」とは,「粒子をその大きさ(粒径,大小)に従って振り分ける
(分離を行う)こと」,「規格を満たす一定の粒径分布を持つものを得るための操作」
を意味する(甲70)。スパイラル羽根で泥水から砂を掻き上げようとしても,当然,
泥水からすべての砂が掻き上げられるわけではなく,泥水に砂が残ったままの状態
となっているし,掻き上げられた砂には,水を含む砂以外のもの(75μm未満の
細粒分等)が混在している。その上,スパイラル羽根で掻き上げられた砂等は,振
動篩に受け継がれるだけであって,当該砂等を分離・採取するものでもない。した
がって,当該操作は,大きさ(粒径)に従った振り分け,あるいは,規格を満たす
一定の粒径分布を持つものを獲得する操作とはいえず,「分級」に当たるとはいえな
い。
被控訴人は,ハイメッシュセパレーターの機能につき,回転式分級機内に投入さ
れた泥水の内,75μm以下のシルト・粘土等の微粒子については,洗浄水が水面
へ(オーバーフローするために)上昇する流速(上昇流)で押上げられ,後部のオ
ーバーフロー部から排出され,それ以上大きい粒子(砂)は,この上昇流に打ち勝
ち沈降し,沈降した粒子(砂)はスパイラルで移送されバケットで掻き上げられ,
震動篩で脱水され排出されるものと主張しているが,株式会社氣工社によるハイメ
ッシュセパレーターの説明DVD(乙46)には,上昇流が発生するという説明も,
シルト・粘土等の微粒子は上昇流で押し上げられるのに対し,砂は上昇流に打ち勝
つという説明もなく,粒子の大きさに関する75μmという数値も一切出てきてい
ないのであって,本件処理方法は,被控訴人の主張するようなものではない。
また,粒子の沈降速度は,重力の加速度×(粒子の密度-水の密度)×粒子の直
径の二乗/(18×水の粘度)という式で求められるのであって,粒子の大きさだ
けでなく,粒子及び水の密度,水の粘度,量,形状,凝集性に左右され,粒子が小
さいものも,粒子が大きいものより沈降速度が遅いだけで,沈降することに変わり
がない。本来沈降速度の遅い粒子も砂等の他の粒子と付着していれば,砂等の他の
粒子と共に速く沈降することもあるから,沈降速度の差異を利用した回転式分級機
において,一定の粒子以上の砂だけを分別することは,物理的に不可能である。
ウ付加的構成の評価
特許発明の構成要件をすべて充足する物や方法に,無用な要素を付加したとして
も,特許権の侵害を否定する理由はなく,対象方法が,特許発明の利用か否かは,
同方法が当該特許発明の要旨全部を含みこれに新たな技術的要素を付加したもので
あるか否か,換言すれば,同方法中に,当該特許発明の要旨が一体性を失うことな
く存在しているか否か,によって決せられるものである。
方法の発明における特許出願の際に,あらゆる侵害形態を想定し,当該発明に付
加されるあらゆる方法や機械等を想定することは極めて困難であるから,本件明細
書において,回転粗篩機,震動篩及び遠心分離器又はフィルタープレス以外の分級
手段や機械について記載も示唆もしていないのは,これを記載・示唆することが極
めて困難であったからであり,本件発明に別個の分級処理が付加されたりすること
が想定されていなかったわけではない。
ハイメッシュセパレーターの回転式分級機における処理が,本件発明との関係で,
無用な要素か否かについて見ると,本件発明は,建設廃泥の有効利用を目的とした
発明であり,回転粗篩機は粗粒分を,震動篩は中粗粒分を分級(分別・採取)する
ことを目的としているのに対し,本件処理方法は,トロンメルによって5mm以上
の砂利を分級し,ハイメッシュセパレーターの振動篩式脱水機によって75μm以
上5mm未満の砂を分級している。ハイメッシュセパレーターの回転式分級機は,
砂を移送・掻き上げて,振動篩に受け継ぐ目的と機能を有しているだけで,ハイメ
ッシュセパレーターの回転式分級機が存在しなくても,振動篩式脱水機によって7
5μm以上の砂を分級することは可能である。したがって,ハイメッシュセパレー
ターの回転式分級機は本件発明に新たな技術的要素を何ら付加しているものではな
く,これがあるからといって,構成要件充足性は否定されない。
(3)構成要件E-「混合物が粒状に成形」
被控訴人が,平成25年7月5日に提出した産業廃棄物処理業変更届出書(甲4
4)には,マッドセパマシン(遠心分離器)の工程を削除した前後の汚泥処理フロ
ー図が記載されているが,削除前の汚泥処理フロー図(作成日:2012年12月
12日)では,シルトに固化剤(セメント)を混合して「造粒固化処理」をして,
第2種改良土を製造していたことが明らかにされている。
「造粒固化処理」とは,文字どおり,粒状に成形して固化させる処理にほかなら
ない。本件処理方法における第2種改良土の「造粒固化処理」は,「セメントと混合
し,該混合物を粒状に成形」するものであるから,第2種改良土自体が「セメント
と混合し,該混合物を粒状に成形」されたものといえる。被控訴人が,造粒固化処
理に使用している「SR-G2000」は,原料土に固化材を混合して攪拌しなが
ら粒状に成形していく装置であり(甲65,66),造粒固化処理の方法で製造され
た第2種改良土は,正に粒状に成形されている(甲59ないし64)。
建設汚泥の処理の分野において,「造粒固化処理」が「乾燥処理」に含まれること
はない。「乾燥」が,何らかの方法で導入した熱によって水分を気化蒸発させ,固液
分離を行うことであるのに対し(甲76),「造粒固化」は,粉末,溶融液,溶液,
スラリーなどの状態にある原料を処理して,ほぼ均一な形状と大きさとを持つ粒子
に固めることであり(甲77),両者は全く別の処理方法である。
2被控訴人
(1)構成要件B-「コンクリート等の骨材」,「そのまゝ」
「骨材」に関して,本件明細書(甲20)には,土木・建築産業の基礎資材とし
て使用する旨の開示はない。本件明細書で開示しているのは,建設廃泥の処理方法
にすぎず,その骨材の用途,目的に関する説明はない。よって,「骨材」が,建設・
土木産業一般の基礎資材に用いる砂・砂利を含む語とはいえない。
仮に,「骨材」が,広義には建設・土木産業一般の基礎資材に用いる砂・砂利を含
む語であるとしても,本件発明には「コンクリート等の」という限定が付されてい
る。コンクリートの種類も多数あり,一義的に解釈できないが,発明の詳細な説明
には「コンクリート」以外は記載されていない。したがって,「コンクリート等」は
「コンクリート」に限定されるべきであるし,仮にそれ以外のものを含むとしても,
セメントを使用するモルタルを含めるのが限度である。
暗渠排水資材及び第2種改良土は,コンクリートやそれに類似するモルタルと異
なるから,「そのまゝ」の要件につき検討するまでもなく,暗渠排水資材及び第2種
改良土に使用されている粗粒分は,構成要件Bを具備しない。
(2)構成要件C
ア「コンクリート等の骨材」,「そのまゝ」
上記(1)で述べたとおりである。
濾過砂,下水管埋戻し材及び第2種改良土は,コンクリートやそれに類似するモ
ルタルと異なるから,「そのまゝ」の要件につき検討するまでもなく,濾過砂,下水
管埋戻し材及び第2種改良土に使用されている粗粒分は,構成要件Cを具備しない。
なお,被控訴人は,本件処理方法で得た砂を,アスファルトの混合材料として販
売していない。アスファルトの舗装に際して,路盤にアスファルト乳剤等を所定量
均一に散布して養生するプライムコートが行われるが,被控訴人は,当該砂が,散
布したアスファルト乳剤の施工機械等への付着及びはがれを防止するために散布す
る砂として利用されることを,想定している。
イ「該粗篩機の通過分は震動篩上に受けて」
ハイメッシュセパレーターに関する公開特許公報(乙19・【0002】【000
5】)には,回転式分級機のみで砂を分級採取することができると記載されているほ
か,「図8に示すように原石を篩分洗浄プラントに投入して篩分洗浄して砂利を分別
し,砂利より小さい砂の混じった原料濁水はこれをバケット付スパイラル砂分級機
1に供給して砂を分級採取し,砂が分離された後の濁水はこれを濁水処理装置に導
いて集泥機(シックナ―)およびフィルタープレスによって濁水中の土分と尚若干
残存している微細砂とを除去し,その後の水は用水として用水槽に貯留し,必要に
応じて水を補給し,用水ライン15を経て再び原石の洗浄に循環使用した。」との記
載(【0015】【0016】)や,「この機材としては,図例では簡単な砂搬出シュ
ート8が示されているが,振動篩式脱水機(実公平3-1069号参照)のような
ものも設置される。」との記載(【0005】)がある。このように,「砂」は,ハイ
メッシュセパレーターの「回転式分級機」によって選別されるのであって,「振動篩
式脱水機」で選別されるのではない。振動篩式脱水機は,脱水機にすぎない。
ハイメッシュセパレーター(湿式分級)の分級は,「水中における球状粒子の沈降
速度が粒子径の二乗に比例するというストークスの法則に基づいて行われている」
(乙46)。すなわち,ハイメッシュセパレーターの回転式分級機内に投入される泥
水中に存在する粒子の内,シルト・粘土等の微粒子(75μm以下)については,
洗浄水が水面へ(オーバーフローするために)上昇する流速(上昇流)で押上げら
れ,後部のオーバーフロー部から排出される。それ以上大きい粒子(砂)は,この
上昇流に打ち勝ち沈降する。そして,沈降した粒子(砂)は,スパイラルで移送さ
れバケットで掻き揚げられ(この過程で脱水も行われる。),脱水篩(震動篩)で脱
水され排出される。75μm以下の粒子(シルト・粘土分等)は,ハイメッシュセ
パレーターの回転式分級機のオーバーフロー水以外から,機外へ排出する場所はな
いため,仮に,ハイメッシュセパレーターの回転式分級機が単なる移送装置とすれ
ば,砂に75μm以下の粒子(シルト・粘土分が付着した砂)が入ってしまい,ハ
イメッシュセパレーターという装置を導入する意味がなくなる。脱水篩(震動篩)
で脱水された水分は,ハイメッシュセパレーターの回転式分級機の中に戻されるの
で,その水分にシルト・粘土分が含まれているとしても,ハイメッシュセパレータ
ーの回転式分級機のオーバーフロー水以外から,機外へ排出されることはない。
(3)構成要件E-「該混合物を粒状に成形して」
本件明細書の発明の詳細な説明には,「該混合物を粒状に成形して」の意義に関す
る具体的な記述はなく,実施例においてゴム被覆ローラーや震動式造粒器又はそれ
と同種の機械を用いることしか記載されておらず(【0007】,【0008】),この
手法は,ゴム被覆ローラーや震動式造粒器又はそれと同種の機械を用いて,30~
50mm程度の大きさの粒に成形することを指すものと解される。本件処理方法に
は,このような成形の工程はない。
被控訴人が,改良土の製造方法として,愛知県豊田市から「乾燥処理」の許可(乙
50)を得ていたことからも明らかなとおり,造粒固化処理は「乾燥処理」である。
被控訴人が,「乾燥処理」から「造粒固化処理」へと記載を変更したのは,愛知県豊
田市から,「乾燥」は熱(天日・炉熱・熱風等)を加えて水分を飛ばすことを指すも
のと定義し,固化材(薬剤)を入れて処理することは,造粒固化処理(他の自治体
で使用実績のある呼称)と呼ぶことにしたい,と指導されたためである。造粒固化
処理は,固化材(薬剤)により建設汚泥の性状を化学的に改良する安定処理であり,
含水比の低下など扱いやすさの改善により,施工機械のトラフィカビリティ(建設
機械等の走行性の良否を示す数値)の向上や地盤の支持力の向上を目的としており,
粒状に成形するものではない。
被控訴人は,導入したマッドセパマシンを,試験を除いて一度も使用することな
く,その使用を断念した。被控訴人が,その処理施設においてシルトを抽出したこ
とは一度もない。本件処理方法におけるフロー図は,マッドセパマシンの工程の記
載のない変更後フロー図が正しく,マッドセパマシンの工程の記載のある変更前フ
ロー図を前提とするのは誤りである。
第5当裁判所の判断
1当裁判所は,控訴人らの当審における追加主張を踏まえても,本件処理方法
は,本件発明に係る特許権を侵害しておらず,控訴人らの請求をいずれも棄却した
原判決は結論において相当であり,本件控訴は棄却されるべきものと判断する。
その理由は,次のとおりである。
2構成要件Bの充足性(争点(1)ア)について
(1)「コンクリート等の骨材」
「骨材」とは,建設・土木産業一般の基礎資材に使用する砂・砂利を意味する用
語と認められ(甲23,24,45~48,52),セメントと混ぜて作る砂や砂利,
すなわち,コンクリートやそれに類似するモルタル等を作るために混ぜる砂や砂利
に限定されて使用される用語ではない。「骨材」の上記の一般的定義からすると,本
件明細書(乙6)において,「骨材」について,コンクリート製造時の利用例しか記
載されておらず,建設・土木産業一般の基礎資材に使用される旨の明示的な記載が
なくとも,本件特許に基づく廃泥処理後の砂や砂利である「骨材」が,建設・土木
作業一般の基礎資材に使用されることを排除する趣旨と解するのは相当でない。ま
た,構成要件Bの「コンクリート等の骨材とし」における「等」との文言は,コン
クリート製造以外に骨材が使用される場合があることを表示したものであって,「コ
ンクリート等の骨材」とは,コンクリート用骨材を含めた建設・土木作業一般に使
用される骨材の総称を指していると解される。
(2)「そのまゝ」
「そのまゝ」とは,一般に,「状態に変化のないこと。あるがまま」を意味すると
ころ,本件発明の解釈において,別異に解すべき理由はない。
本件明細書において,実施例では(【0006】,【0007】),粗篩機及び震動篩
の通過の有無によって分別された建設廃泥のうち,粗粒分及び中粗粒分については,
状態の変化を伴うことなく,コンクリート骨材として原料に利用され,利用前に何
らの加工や処理も行われていない。これに対し,「そのまゝ」という限定のついてい
ない細粒分については,ゴム被覆ローラーにより圧縮成形された上で,コンクリー
ト骨材として利用されている。このことからも,上記解釈の正当性が裏付けられる。
(3)本件処理方法
本件処理方法において,第2のトロンメルの網目を通過しなかった5mm以上の
砂利(粗粒分)が,暗渠排水の疎水材として使用されていることは,当事者間に争
いがない。疎水材とは,地表残留水や地下水位の低下を図ることを目的として,地
下の心土層に連続して垂直に掘削された穴状の通水空間下部に設置された給水渠に
水が流入しやすいように,当該空間内を埋めるために用いられる透水性の大きい素
材のことである(甲57)。そうすると,暗渠排水の疎水材としての使用は,土木用
の資材の材料として砂利が使用されることを意味するから,「コンクリート等の骨材
とし」に該当し,かつ,砂利を何らの加工や処理もせずに利用するから,「そのまゝ」
の要件を満たす。
第2種改良土の製造も,第2のトロンメルの網目を通過しなかった5mm以上の
砂利に,セメントや石灰といった固化剤を投入して混合撹拌して行われる(甲58)。
これは,土木用の資材の材料として砂利が使用されることを意味するから,「コンク
リート等の骨材とし」に該当し,かつ,投入に先だって事前に加工や処理をして状
態を変化させた上で利用するわけではないから,「そのまゝ」の要件を満たす。
(4)小括
以上によれば,本件処理方法は,構成要件Bを充足するものである。
3構成要件Cの充足性(争点(1)ア)について
(1)「コンクリート等の骨材」,「そのまゝ」
「コンクリート等の骨材」及び「そのまゝ」の意義については,上記2(1)及び(2)
で既に述べたとおりである。
被控訴人が,ハイメッシュセパレーターから排出された0.075mm以上の砂
(中粗粒分)をタイヘイリサイクルソイルの原料としていることは,当事者間に争
いがない。そして,タイヘイリサイクルソイルとは,「骨材として砂,シルト・粘土
分を利用して製造するモルタル」(甲18)である。したがって,本件処理方法にお
いて,ハイメッシュセパレーターから排出された砂をタイヘイリサイクルソイルの
原料としている点は,「コンクリート等の骨材とし」に該当する。そして,中粗粒分
の砂は何らの加工や処理もなされず,状態を変化させないままで材料として加えら
れるから,「そのまゝ」の要件も満たす。
被控訴人が,ハイメッシュセパレーターから排出された0.075mm以上の砂
を濾過砂及び下水管埋戻し材の原料としても利用していることについても,当事者
間に争いがない。これらは,骨材の主な用途として挙げられる道床材としての利用
方法と全く同一であるから,「コンクリート等の骨材とし」に該当する。中粗粒分の
砂は何らの加工や処理もなされず,状態を変化させないままで材料として加えられ
るから,「そのまゝ」の要件も満たす。
第2種改良土への利用については,上記2(3)で述べたとおりである。
(2)「該粗篩機の通過分は震動篩上に受けて」
ア本件処理方法で用いられているハイメッシュセパレーターには,脱水ス
クリーンを振動モーターによって振動させて篩別する装置である振動篩が存在し,
その脱水スクリーンの前に回転式分級機が設置されているが,原判決が,「粗篩機」
と「震動篩」の間に別個の分級処理がある場合は,「該粗篩機の通過分は震動篩上に
受けて」という構成要件を充足しないと判断したことから,この点に関連して,回
転式分級機が,砂の大きさを分別する分級機能を有するか否かについて,当事者間
に争いがある。
イ本件処理方法による分別方法
そこで検討するに,甲5ないし8,12ないし14,22,乙9ないし11,4
6,52によれば,本件処理方法における細粒分の分別方法は,次のとおりと認め
られる。
ハイメッシュセパレーターでは,回転式分級機の沈降槽(プール)内に投入され
た泥水が,スパイラルの回転によって撹拌され,粒子の大きさによる水中における
沈降速度の違い(ストークスの法則:水中における球状粒子の沈降速度は粒子径の
二乗に比例するという原理〔甲70,74,75〕)を利用して,粒子が小さく沈降
が緩やかなシルト・粘土(細粒分)については,後部のオーバーフロー部から排出
される。オーバーフロー部から排出される粒子の大きさは,水位の調整によって決
せられる。他方,沈降した粒子は,スパイラルで移送されてバケットで掻き上げら
れ,振動篩に受ける。そして,0.075mm以上の粒子(中粗粒分)については,
振動篩でスクリーン上に篩分されるとともに脱水される。一方,大きな粒子に付着
するなどしてオーバーフロー部から排出されなかった0.075mm以下の粒子に
ついては,篩の振動や洗浄水のシャワーの作用により,大きな粒子と分離して,振
動篩を通ってスクリーン下に水分とともに篩分され,還元樋を通って沈降槽に戻さ
れ,最終的にはオーバーフロー部から排出される。
なお,被控訴人は,ハイメッシュセパレーターの脱水スクリーンの網目サイズは
0.075mmであると主張しており,この点は当事者間に争いがない(原審にお
ける平成25年10月3日付け第3準備書面7頁参照)。したがって,0.075m
m以下の粒子は,脱水スクリーンの網目を透過することができる。しかしながら,
網目を透過した細粒分は,その後,必ず沈降槽に戻され,そのまま機外に出ること
はないのであって,オーバーフロー部から流出しない限り,最終的には分別できな
い構造となっている。
この点に関し,ハイメッシュセパレーターの製造元である株式会社氣工社作成の
DVDや同社従業員作成の意見書(乙46,52の1)では,ハイメッシュセパレ
ーターにおける分級は,ストークスの法則を利用したものと説明されているが,同
社のウェブサイトにおける「水位の調整により,150から200メッシュの間で,
簡単に分級点の調整ができます。」という記載(甲14。「水位の調整」とは,排水
口の高さの調整の意味と解される。なお,メッシュとは,1インチに縦横n本のワ
イヤを張った篩を通る大きさを指し,150から200メッシュとは,0.104
mmから0.074mmを指す。)も,ストークスの法則の利用を前提とした記載と
いえる。本件処理方法における回転式分級機の沈降槽内にある泥水の分級のような,
湿式の分級においては,一般的にストークスの法則が利用されており(甲70),こ
の法則は,0.085mm以下の粒子で利用可能な原理であるから(甲75),上記
回転分級機でかかる原理が利用されているとの氣工社やその従業員の説明は合理的
なものである。
したがって,中粗粒分と細粒分の分級は,回転式分級機でスパイラルの回転や原
料泥水及びシャワーによる洗浄水の流入によって上昇流が生じ,この上昇流の速度
が細粒分の沈降速度を上回るために細粒分が浮上し,オーバーフロー部から排出さ
れることでなされるものといえる。
この点,控訴人は,回転式分級機は,数条のスパイラル羽根と掻き上げパケット
からなるものであり,砂を移送して掻き上げ,振動篩に受け継ぐ機能を有するにす
ぎず,回転式分級機の作業は分級とはいえないと主張する。しかしながら,スパイ
ラル羽根によって移送されるのは,沈降槽に沈降した砂であって,十分に沈降しな
い砂に関しては,振動篩に受け継がれない点を看過した主張といわざるを得ない。
回転式分級機には,数条のスパイラル羽根と掻き上げバケット以外にも,オーバー
フロー部を備えた沈降槽が存在し,ストークスの法則を利用することによって,か
かる構成が細粒分の分級を可能にすることは,上記のとおりである。控訴人の主張
は採用の限りではない。
ウそうすると,上記回転式分級機は,分級を行うものの,その分級は,篩
の網目を透過するか否かによって実施されるものではない以上,明らかに「震動篩」
に該当しないことになる。したがって,本件処理方法においては,「粗篩機」と「震
動篩」との間に他の分級手段が設けられていることになるところ,このような構成
は,本件発明の技術的範囲に含まれないか否かを検討する。
本件特許の特許請求の範囲には,「該粗篩機の通過分」を「震動篩上に受け」るま
での間に,震動篩による分別効率を高めるための何らかの工程を付加してはならな
いことを明示した記載はない。また,構成要件B及びCにおいては「『そのまゝ』コ
ンクリート等の骨材とし」とあるのに対し,該粗篩機の通過分は「そのまゝ」,「直
接」的に震動篩上に受ける等の限定もない。さらに,本件明細書の【0008】に
は,「本実施例以外,細粒分(1C)の脱水はフィルタープレスによって行なってもよい
が,遠心分離器(13)の方が脱水効率は良好である。」と記載され,脱水方法に関して
他の方法の利用の示唆があるが,分級方法に関しては,他の分別方法を禁止する記
載やこれを示唆する記載もない。そうすると,本件発明において,「該粗篩機の通過
分」を震動篩上に直接受けずに,それまでの間に何らかの構成を設けることを,除
外していると解することは相当でない。
したがって,本件処理方法における回転式分級機の設置という構成を理由として,
構成要件Cを充足しないと判断することはできないというべきである(もっとも,
上記構成があることによって,分別された細粒分が構成要件Dの「該震動篩の通過
分」という要件を満たすかどうかは,別問題であり,この点は,下記4で検討する。)。
(3)小括
以上によれば,本件処理方法は,構成要件Cを充足するものである。
4構成要件Dの充足性(争点(1)ア)について
構成要件D「該震動篩の通過分は遠心分離されて細粒分を分別し,」に関しては,
被控訴人は,原審において,構成要件Dについて,マッドセパマシンを使用してい
ない点を主張し,この点が主な争点になっている。もっとも,被控訴人の主張のう
ち,構成要件Cについて,ハイメッシュセパレーターにおいて,砂の分級は回転式
分級機で行われるという主張部分,振動篩は脱水装置であって,分級装置ではない
という主張部分,及びハイメッシュセパレーターの分級原理がストークスの法則で
あるという主張部分は,構成要件CやDにおける「震動篩の通過」の有無を問題に
する趣旨と解することが可能であるので,この点を検討する。
(1)本件明細書の記載
ア本件明細書には次のとおりの記載がある(乙6)。
【0002】
【従来の技術】
例えば建設工事において,シールド工法によってトンネルを掘設する場合には多
量の建設廃泥が排出される。従来は該建設廃泥は粗粒分と細粒分とに篩別し,粗粒
分はコンクリート等の骨材とし,細粒分はフィルタープレス等によって脱水の上で
埋立て処分を行なっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来の建設廃泥処理方法では,細粒分は脱水の上で埋立て処分
を行なっているので,脱水と云う手間をかけても細粒分を有効に利用しているとは
云えない。
【0004】
【課題解決のための手段】
本発明は上記従来の課題を解決するための手段として,建設廃泥(1)を回転粗篩機
に投入し,該粗篩機(3)内で水をシャワーして篩別し,該粗篩機(3)を通過しない粗
粒分(1A)はそのまゝコンクリート等の骨材とし,該粗篩機(3)の通過分は震動篩(7)
上に受けて該震動篩(7)を通過しない中粗粒分(1B)はそのまゝコンクリート等の骨
材とし,該震動篩の通過分(7)は遠心分離されて細粒分(1C)を分別し,該細粒分(1C)
はセメントと混合し,該混合物を粒状に成形してコンクリート等の骨材とすること
を特徴とする建設廃泥(1)の処理方法提供するものである。
【0005】
【作用】
本発明では建設廃泥(1)を粗粒分(1A)と細粒分(1C)とに分け,粗粒分(1A)は従来通
りコンクリート等の骨材とし,更に細粒分(1C)もセメントと混合して該混合物を粒
状に成形すれば,該細粒分(1C)は該セメントをバインダーとして硬化してコンクリ
ート等の骨材として使用出来る。
【0006】
【実施例】
本発明を図1~図3に示す一実施例によって説明すれば,建設廃泥(1)はホッパー
(2)から50mm目の回転粗篩機(3)に投入され,該粗篩機(3)内でシャワーノズル
(4)によって水をシャワーされつゝ篩別され,該粗篩機(3)を通過しない粗粒分(1A)
は該粗篩機(3)の端末からコンベア(5)上に受止され受器(6)に備蓄される。該粗粒分
(1A)はコンクリート骨材としてそのまゝ利用される。上記回転粗篩機(3)の通過分は
2mm目の震動篩(7)上に流下し,該震動篩(7)を通過しない中粗粒分(1B)は該震動
篩(7)の端末からコンベア(8)上に落下し受器(9)に備蓄される。該中粗粒分(1B)もコ
ンクリート骨材としてそのまゝ利用される。
【0007】
上記震動篩(7)の通過分はスラリー樽(10)に備蓄され,バルブ(12)を付した排出パ
イプ(11)から遠心分離器(13)に移されて細粒分(1C)が分別される。このようにして
分別された細粒分(1C)には通常50~60重量%の水分が含まれており,これにセ
メントを混合して混練する。セメント混合量は通常上記分別された細粒分(1C)の固
形分100重量部に対し5~15重量部の範囲とされる。上記細粒分(1C)とセメン
トとの混練物(1D)はコンベア(14)上に移されゴム被覆ローラー(15)により圧縮成形
される。…このようにして得られた硬化成形物(1E)はコンクリート骨材として利用
される。
【0008】
本実施例以外,細粒分(1C)の脱水はフィルタープレスによって行なってもよいが,
遠心分離器(13)の方が脱水効率は良好である。また細粒分(1C)とセメントとの混練
物(1D)の成形は通常の震動式造粒器等を用いてもよい。また細粒分(1C)とセメント
との混練物(1D)には更にケイ砂,ケイ石砂等のシリカ成分やフライアッシュ,高炉
スラグ,ベンナイト等の充填材や増粘材が混合されてもよい。
【0009】
【発明の効果】
したがって本発明では建設廃泥の細粒分まで高度利用することが出来る。
イそして,特許請求の範囲の記載のうち,「回転粗篩機に投入し,該粗篩機
内で水をシャワーして篩別し,該粗篩機を通過しない粗粒分はそのまゝ」,「該粗篩
機の通過分は震動篩上に受けて該震動篩を通過しない中粗粒分はそのまゝコンクリ
ート等の骨材とし,該震動篩の通過分は遠心分離されて細粒分を分別し,」との部分
は,建設廃泥を粒子の大きさで分類して骨材として利用することは引用文献(特開
平2-14858号公報.乙3)に記載されている等という拒絶理由を通知された
(乙2)ことから,【0006】,【0007】の実施例の記載に基づいて,上記引用
文献には記載されていない分別装置,粒子の動き及び分別された後の骨材の利用状
況を限定するものとして,平成14年11月28日付け補正の際に追加された文言
である(乙1,6,7)。
ウそうすると,本件発明では,分級の方法(装置及び原理),粒子の動きと
分別された後の骨材の利用状況が特定されているというべきである。すなわち,分
級の方法(装置及び原理)及び粒子の動きの点でいえば,回転粗篩機,震動篩及び
遠心分離機によって,建設廃泥を連続的かつ効率的に粒子の大きさに応じて分別す
ることのみならず,回転粗篩機,震動篩による分別における原理として,分級は篩
の網目の通り抜けの可否によってなされることが明らかになっているというべきで
ある。したがって,構成要件C,Dにおける「通過分」とは,粗篩機や震動篩の網
目を通り抜けることによって分級されたものを指し,篩の網目を通り抜けずに,他
の装置や原理によって粒子の大さきが分別されたものは,本件発明の技術的範囲か
ら除外されるものと解される。
(2)本件処理方法による分別の方法及び原理
甲5ないし8,12ないし14,22,乙9ないし11,46,52によれば,
本件処理方法における分別の方法及び原理は,次のとおりと認められる。
まず,建設廃泥は,第1のトロンメル(網目のサイズ40mm)に投入され,当該
トロンメル内で水をシャワーされて,粒径40mm以上の砂利(粗粒分)が篩別さ
れる。そして,当該トロンメルの通過分は,ドラムウォッシャーに送られて洗浄さ
れ,これが第2のトロンメル(網目のサイズ5mm)に送られ,当該トロンメル内
で水をシャワーされて,粒径5mm以上の砂利(粗粒分)が篩別される。
第2のトロンメルの通過分は,ハイメッシュセパレーターに送られる。ハイメッ
シュセパレーターは,数条のスパイラル羽根と掻き上げパケットを備えた回転式分
級機と脱水スクリーンを振動モーターによって振動させて篩別する装置である振動
篩とで構成される。ハイメッシュセパレーターでは,回転式分級機の沈降槽(プー
ル)内に投入された泥水が,スパイラルの回転によって撹拌され,粒子の大きさに
よる水中における沈降速度の違い(ストークスの法則)を利用して,粒子が小さく
沈降しにくいシルト・粘土(細粒分)については,後部のオーバーフロー部から排
出される。オーバーフロー部から排出される粒子の大きさは,水位の調整によって
決せられる。他方,沈降した粒子はスパイラルで移送されてバケットで掻き上げら
れ,振動篩に受ける。そして,0.075mm以上の粒子(中粗粒分)については,
振動篩でスクリーン上に篩分されるとともに脱水される。一方,大きな粒子に付着
するなどしてオーバーフロー部から排出されなかった0.075mm以下の粒子に
ついては,篩の振動や洗浄水のシャワーの作用により,大きな粒子と分離して,振
動篩を通ってスクリーン下に水分とともに篩分され,還元樋を通って沈降槽に戻さ
れ,最終的にはオーバーフロー部から排出される。
(3)小括
以上によれば,本件処理方法において,粗粒分と中粗粒分は,第1及び第2のト
ロンメルの網目を通り抜けるか否かによって分級されているといえる。他方,細粒
分は,回転式分級機において,ストークスの法則によって十分沈降しないでそのま
まオーバーフロー部から流出された場合,「振動篩の上に受け」ることはない。また,
1回でオーバーフロー部から流出されない細粒分は,他の中粗粒分とともに沈降槽
内に沈降し,スパイラルで移送されて「震動篩機」に運ばれ,篩の振動作用及び洗
浄水のシャワーの作用により,中粗粒分と分離して,水とともに「震動篩機」の網
目を通り抜けるが,これは,他の中粗粒分に付着しているためであって,付着した
ままの状態では細粒分とはいえない。しかも,このような細粒分は,「震動篩機」の
網目を通り抜けた後も,必ず沈降槽に戻されて,機外に出ることはなく,オーバー
フロー部から流出しない限り,最終的には分別できないのであって,「震動篩の通過」
は,機外に排出されるのを防止する補助的機能を果たすだけであって,分級する機
能を有しているとはいえない。
したがって,本件処理方法は,「該震動篩の通過分」を細粒分として分別するもの
ではないから,構成要件Dを充足しない。
5構成要件Eの充足性(争点(1)ア)
構成要件Eにおける「該細粒分」とは,構成要件Dにおける「細粒分」を指すと
ころ,上記4のとおり,本件処理方法における細粒分は,「該震動篩の通過分」では
なく,構成要件Dを充足しないから,その余の点を検討するまでもなく,構成要件
Eもまた充足しない。
第6結論
以上によれば,その余の点について判断するまでもなく,控訴人らの請求をいず
れも棄却した原判決は結論において相当であるから,本件控訴を棄却することとし,
主文のとおり判決する。
知的財産高等裁判所第2部
裁判長裁判官
清水節
裁判官
片岡早苗
裁判官
新谷貴昭

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