弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
本件抗告を棄却する。
抗告費用は抗告人の負担とする。
理由
1本件抗告の趣旨は,原決定を取り消し,本件申立てを却下する旨の裁判を求
めるというのであり,その理由は,別紙抗告理由書に記載のとおりである。
2当裁判所も,本件退去強制令書に基づく執行は,本案事件の第1審判決の言
渡しの日から起算して15日後まで停止するのが相当と判断するが,その理由
は,原決定が説示するとおりである。
抗告理由は,「留学」の在留資格を有する外国人が経費支弁能力を失い,資
格外の報酬を受ける活動を行って,その活動が本邦滞在中の必要経費を賄おう
とする程度にまで至っている場合には,在留目的たる活動が「留学」から変更
されたことになる旨主張するが,原決定が説示するように,相手方が本件退去
強制の事由である「報酬を受ける活動を専ら行っていると明らかに認められる
者」に当たるかどうかについては,相手方の本邦における学生としての生活及
び就労等の状況,就労に至った経緯,学費及び生活費の支出の状況,本国から
の送金の状況及び使途等並びにこれらの事実の評価等に関し,更に本案におけ
る審理を尽くす必要があるのであって,現時点において,相手方の在留目的た
る活動が「留学」から変更されたものと直ちに認めることはできない。そして,
相手方の上記在留資格にかんがみれば,極めて計画的かつ意欲的に学業に励ん
でいた若年の相手方にとって,収容が更に継続されることによって学業に支障
を生ずることによる不利益は,回復が容易でなく重大なものということができ,
原決定にいう特段の事情が認められることも,原決定の説示するとおりである。
3よって,本件抗告は理由がないので棄却することとし,主文のとおり決定す
る。
平成17年12月13日
東京高等裁判所第10民事部
大内俊身裁判長裁判官
江口とし子裁判官
大野和明裁判官

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