弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
原判決中有罪部分を破棄する。
本件公訴事実中別表記載の罪につき被告人等を免訴する。
本件公訴事実中昭和二四年九月Aに対し揮発油二〇〇立を譲渡したとの
点については被告人等は無罪。
被告人B株式会社を罰金七万円に、被告人Cを懲役六月及び罰金一万円
に処する。但し、二年間右懲役刑の執行を猶予する。
右罰金を完納することできないときは金二百円を一日に換算した期間被
告人Cを労役場に留置する。
理由
被告人両名の弁護人石川勲蔵の上告趣意第一点について。
所論(一(イ)は、事実誤認又は原判決の事実認定に副わない事実関係を前提)
とする法令違反の主張に帰し、同(ロ)は、原判決挙示の被告人の自白とこれを補
強する始末書とを綜合すれば、判示無切符譲渡の事実認定を肯認できるし、また、
同(ニ)は、人種信条等により、政治的、経済的又は社会的関係において差別待遇
をしたものとは認められないから、所論(ロ)及び(ニ)の主張は、その前提を欠
き、従つて所論はすべて刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
同第二点について。
所論は、原判決の量刑又は事実認定を非難するに帰し、上告適法の理由とは認め
難い。
同弁護人小野清一郎の上告趣意第一点について。
原判決は、所論(一(二)の譲渡行為を併合罪としたものであること並びに所)
論(二)の譲渡行為については被告人の自白の外補強証拠と認むべきもののないこ
とは、所論のとおりである。されば、右(二)の所為は、憲法三八条三項の規定に
より有罪とされないものであつて、論旨は、結局その理由があり原判決は破棄を免
れない。
同第二点について。
論旨は、所論慣行並びにかく信ずるについて故意又は過失がなかつたことを否定
した原判決の事実認定を非難するに帰し、上告適法の理由と認め難い。
なお、職権を以て調査すると本件公訴事実中別表記載の犯罪は、原判決があつた
後、昭和二七年政令一一七号大赦令一条八八号により大赦があつたので刑訴四一一
条五号をも適用し、同四一三条但書、四一四条、四〇四条、三三七条三号、三三六
条に従い、主文一項乃至三項のとおり破棄、免訴、無罪の言渡をし原判決の確定し
た爾余の罪につき更らに判決すべきものとする。
よつて、法令を適用すると被告人Cの所為は、各臨時物資需給調整法一条一項、
石油製品配給規則一一条(昭和二七年法律二三号国際的供給不足物資等の需給調整
に関する臨時措置に関する法律附則四項)に違反し、同法四条一項に該当するとこ
ろ、同条二項に従い情状により懲役及び罰金を併科し、以上は、刑法四五条前段の
併合罪であるから、懲役刑については同法四七条、一〇条により犯情最も重いと認
める昭和二五年八月二四日D運送株式会社に対し揮発油五〇〇〇立を譲渡した罪に
つき定めた刑に法定の加重を為し、罰金刑については同法四八条により各罪につき
、、、、定めた罰金を合算しその刑期金額の範囲内で同被告人を主文四項の刑に処し
同法二五条により同項但書のとおり懲役刑の執行を猶予し、罰金不完納のときは主
、、、文五項のとおり同被告人を労役場に留置することとしまた被告会社に対しては
前記調整法六条に従い、同法一条一項、四条一項、石油製品配給規則一一条(昭和
二七年法律二三号国際的供給不足物資等の需給調整に関する臨時措置に関する法律
附則四項)刑法四五条前段、四八条を適用し主文四項のとおり罰金刑に処すべきも
のとし、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
検察官平出禾出席
昭和二八年四月九日
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官斎藤悠輔
裁判官真野毅
裁判官入江俊郎
<別表は省略>

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