弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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            主      文
  1 被告は,原告に対し,2027万0466円及びこれに対する平成11年12月4日か
ら支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
  2 原告のその余の請求を棄却する。
  3 訴訟費用は,これを3分し,その1を被告の負担とし,その余を原告の負担とす
る。
  4 この判決は,仮に執行することができる。
    ただし,被告が1200万円の担保を供するときは,その仮執行を免れることがで
きる。
            事実及び理由
第1 請求
   被告は,原告に対し,6157万7792円及びこれに対する平成11年12月4日から
支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
   本件は,被告の開設する病院で,胃がんと診断されて胃全摘等の手術を受けた原
告が,同病院の医師には,胃潰瘍を胃がんと誤診した過失があると主張して,診
療契約上の債務不履行責任に基づき,被告に対し,損害賠償及び遅延損害金の
支払を求めた事案である。
 1 前提事実(証拠を摘示しない事実は,当事者間に争いがない。)
  (1)当事者
    被告は,北九州市立G病院(以下「被告病院」という。)を開設している地方自治体
である。
   原告(昭和k年m月n日生)は,平成10年10月20日,被告病院において,胃,脾
臓,胆のう及び周辺リンパ節を摘出し,空腸を用いて胃の代用としてのパウチを
作成する手術(以下「本件手術」という。)を受けた者である。
  (2)本件手術に至る経緯等
   ア 原告は,平成10年9月8日,左上腹部痛,腹満感を訴えて,被告病院で受診し
たところ,外来で胃内視鏡やCT等の検査を受けるように指示され,同月10日
の通院を経て,同月17日に胃内視鏡検査を受けた。
     同胃内視鏡検査の結果,胃角部大弯側に大きく深い潰瘍(以下「胃角部潰瘍」
という。)と周提が,胃上部の2箇所に潰瘍(以下「胃上部潰瘍」という。)がそ
れぞれ認められ,原告は,胃がん若しくは悪性リンパ腫の疑いと診断されると
ともに,病理組織検査のために,胃角部潰瘍から6箇所,胃上部潰瘍から3箇
所の組織を採取する生検が行われた。〔乙1の13~15頁,29頁《以下,頁
の記載を省略し,「乙1-13~15,29」のように記載する。》,証人H証人調
書38,39項(以下,証人等と項数のみにより,「証人H38,39」のように記載
する。》〕
   イ 同月22日,I医師は,上記生検につき,胃角部潰瘍6箇所の組織にはがんや悪
性リンパ腫の所見はないが,胃上部潰瘍3箇所の組織のうち2箇所のごく一
部に印環細胞がんを認め,日本胃がん学会が定めた胃がん取扱い規約にお
ける胃生検組織診断分類(以下「胃がん取扱い規約分類」という。)のグルー
プⅤ(がんと確実に診断される病変)であるとの病理診断をした。〔乙1-29,
乙10〕
   ウ 原告は,同月24日,被告病院に入院し,胃がんであると告知され,その後,諸
検査を経て,同年10月20日,胃がんの診断の下に,本件手術を受けた。
  (3)術後診断
    ところが,同年11月10日,本件手術により摘出した胃を対象としてされたI医師
による病理組織検査の結果は,Ⅳ度の胃潰瘍(筋層を穿通した潰瘍)であり,が
んではなかった。〔乙3-54,乙9〕
    そこで,再検査のため,同年12月16日,残存胃を対象としてJ大学医学部第K
病理学教室の教授であるL医師による病理組織検査がされたが,その結果も,
深い胃潰瘍であり,がんではなかった。〔乙3-55,証人I93〕
2 争点及び当事者の主張
  (1)診療上の過失の有無
   (原告の主張)
    I医師は,術前の病理組織検査において,胃上部潰瘍3箇所の組織のうち2箇所
の標本から,確実ながんであるとの診断を行っているが,原告はがんではなく,
胃潰瘍であったのであるから,その診断は誤診である。
    術前の病理診断の結果と術後のそれが異なることは,通常起こらないものであ
り,術後,L医師が上記標本を見直したところ,がんは発見されなかった。しか
も,I医師ががんと診断したのは,9箇所の標本のうち2箇所のごく一部であり,
大きく深い胃角部潰瘍6箇所にはがんは存在しなかった。したがって,原告を確
実ながんであると診断したI医師には,通常の注意義務を尽くさなかった過失が
ある。
    また,被告病院では,原告が入院した翌日である平成10年9月25日に,再度,
胃角部潰瘍8箇所から生検を行っているが,その結果も,がんは発見されておら
ず,CEAやCA19-9という腫瘍マーカーの検査結果は,正常値の中でもかな
り低い数値であった。したがって,被告病院の医師は,原告ががんでない可能性
を疑って,生検組織標本の見直しや胃上部潰瘍の再度の病理組織検査等を行
うべきであったのに,これを怠った過失がある。
   (被告の主張)
    原告が胃がんでないと判明したのは,術前には行い得ない,摘出した胃を詳細に
病理組織検査した結果であり,術前に得ることができた情報によるものではな
い。術前診断と術後診断が常に一致することは不可能であって,その不一致が
直ちに債務不履行となるものではなく,術前診断の合理性は,術前に得ることが
できた情報から合理的な判断がされたか否かによって決せられなければならな
い。胃がんの診断においては,病理診断が最も信頼性の高いものであるが,そ
の診断の判定が非常に困難な場合があり,専門性が同じ病理医の間において
も診断の格差が存在するという報告もあるなど,その正確性には一定の限界が
ある。特に胃がんの場合,粘膜下を這うがんもあり,内視鏡の所見では悪性と
判断しにくく,病理組織検査でも陰性のものが多いなど,常に見落としの可能性
がつきまとい,患者の生命に重大な影響を及ぼすおそれがある。I医師が術前に
がんと診断した生検組織は,非常にがん細胞に似たものであり,その個数が何
個以上あればがんと診断できるかという客観的な基準はなく,見落としの可能性
等も考慮すると,がんと診断したことに注意義務違反は存在しない。事後的にI
医師の診断の問題点を指摘したL医師の見解が,上記生検組織の所見として妥
当なものであるとの証明は行われていないし,仮に妥当であるとしても,J大学
医学部教授である同医師の診断能力が一般の病理医のそれを大きく超えてい
るのであれば,I医師の注意義務違反を認める根拠とはなり得ない。原告の主張
は,術後診断の結果を根拠とする結果責任の主張にすぎない。
    また,腫瘍マーカーの検査結果は,がんの進行状況や術後の再発を把握するた
めの資料として利用するもので,がんの診断を行う根拠となるものではない。が
んの場合でも,その数値が上昇しないこともあるから,正常値の範囲内であるか
らといって,がんの診断を疑うべき根拠にはなり得ない。
  (2) 因果関係の有無
   (原告の主張)
    胃潰瘍に対する治療は,それがⅣ度の胃潰瘍であっても,出血や穿孔がない限
り,食事療法や薬物療法による内科的治療を行うのが原則であり,そのような症
状のない原告に対して,本件手術は不必要なものであった。
   (被告の主張)
    仮に,I医師が,胃がん取扱い規約分類のグループⅤ以外の診断を行っていたと
しても,原告は,他の臨床所見から,がんを疑わざるを得ない病状にあり,初回
の生検で悪性所見が得られなかったことから直ちに胃潰瘍と診断されるもので
はなく,その後数回検査を行った結果,最終的には手術が行われた可能性があ
る。
    また,原告の胃潰瘍は大きく,その深さはⅣ度であり,横隔膜に密着した状態で
あったこと,原告が術前に重度の貧血になっていた(体内での出血が予想され
る。)ことからすると,内科的治療では症状の改善が見込まれず,外科的治療の
適応であった可能性が高い。
  (3)損害額
   (原告の主張)
   ア 逸失利益3557万7792円
     原告は,Mタクシー株式会社(以下「Mタクシー」という。)の業務係長として配
車,事故処理等の業務に従事していたが,胃がんによる「半年の命」と宣告さ
れたため,事実上除籍され,復職が不可能となった。また,原告は,本件手術
後,食事に時間がかかり,食後は腹部が痛むため,1時間くらい横になって安
静にしなければならない。そのため,原告は,労働時間の統制された仕事に
従事することができず,比較的時間の自由なタクシー運転手の職を求めた
が,障害を理由に断られた。さらに,原告は,食道と空腸の吻合部の食物の
通過が悪いため,食事の回数を5回に分け,前屈みの姿勢をとらないようにと
の指導を受けているほか,つかえ,逆流,胸やけ,吐き気,下痢,便秘,性欲
減退,疲れ,脱力感等の後遺症があり,労働能力を100%喪失している。そ
うでないとしても,原告は現在55歳で,学歴は中学校卒業であることから,再
就職の可能性はない。したがって,被告は,原告に対し,労働能力喪失率10
0%の損害を賠償すべきである。
     原告の本件前3箇月間の給与は81万円であり,67歳までの15年間の逸失利
益は,以下の算式により,3557万7792円となる。
     81万円×4×1×10.9808(ホフマン係数)=3557万7792円
   イ 慰謝料 2100万円
     原告が,本来あるべき臓器を失い,正常な生活を奪われた精神的苦痛は計り
知れず,これを慰謝するには2100万円を下らない。
   ウ 弁護士費用500万円
   エ 合計6157万7792円
   (被告の主張)
    被告病院の医師は,原告に対し,胃がんの告知をして,手術ができなければ余命
半年と説明したが,その9日後には,手術が可能であることを説明しており,が
んの告知と原告が会社を除籍されたこととの間には,相当因果関係がない。
    また,一般的に,胃を全摘した場合であっても,就労が不可能になるような後遺症
が発生することはなく,原告は,本件手術後,順調に症状が改善し,ほぼ普通の
食事が摂取可能となっており,自らの判断でタクシー会社数社に職を求めている
のであるから,就労不可能な程度の後遺症は発生していない。
第3 争点に対する判断
 1 争点(1)(診療上の過失の有無)について
  (1) 前記第2の1の事実(前提事実),証拠(甲1,乙1ないし4,5の1ないし3,証人
H,同N,同I,原告本人《以下の認定に反する部分を除く。》)及び弁論の全趣旨
によれば,以下の事実が認められる。なお,末尾に摘示した証拠は,当該事実
を認定した主要な証拠を示す。
   ア 原告は,昭和61年ころから,陳旧性心筋梗塞と糖尿病の治療のために被告病
院に通院するようになっていたところ,平成10年7月7日の通院の際,左上腹
部痛を訴えたため,注腸造影検査と胃内視鏡検査を受けることとして,同月1
4日に受診したが,予想した検査ではなかったため,これらの検査を受けない
で帰宅した。〔乙1-1~8,原告本人58,59〕
     ところが,原告は,同年9月8日,左上腹部痛と腹満感を訴えて,被告病院で受
診し,外来で胃内視鏡やCT等の検査を受けるように指示されたため,同月1
0日の通院を経て,同月17日に胃内視鏡検査を受けた。
     同胃内視鏡検査の結果,大きく深い胃角部潰瘍とその周囲に周堤が,胃上部
の2箇所に胃上部潰瘍がそれぞれ認められ,原告は,胃がん若しくは悪性リ
ンパ腫の疑いと診断されるとともに,病理組織検査のために,胃角部潰瘍か
ら6箇所,胃上部潰瘍から3箇所の組織を採取する生検が行われ,同日,病
理組織検査に付された。また,同日行われたエコー検査では,胃体部前壁漿
膜側に,直径1~1.3㎝の腫大したリンパ節が2個確認された。〔乙2-11〕
     そのため原告は,入院が必要であると判断され,同月24日に入院する予定とな
った。
   イ 上記9箇所の生検組織につき,J大学医学部第K病理学教室助手であり,被告
病院の病理医として勤務するI医師は,同月22日,胃角部潰瘍6箇所の組織
は,活性潰瘍であり,がんや悪性リンパ腫の所見はないが,胃上部潰瘍3箇
所の組織のうち2箇所のごく一部に,胃がん取扱規約分類のグループⅤ(が
んと確実に診断される病変)と認められる印環細胞がんがあり,胃角部潰瘍
について再生検が必要と思われるとの病理診断をした。〔乙1-29,証人I4,
5〕
   ウ 原告は,予定どおり同月24日に入院した。原告の主治医となった内科医のH
医師は,まず原告の妻及び友人に対し,病理診断の結果,がんと確認された
こと,手術ができなければ余命は6箇月であることを説明したところ,原告の
妻は,原告へのがん告知を希望したので,同医師は,同日,原告に対しても
同様の説明をした。〔甲6,乙2-1~4,証人H64,65,70,原告本人67〕
   エ H医師は,翌25日から原告の術前検査を開始し,同日,再度胃内視鏡検査を
行うとともに,I医師の病理診断で指摘された胃角部潰瘍8箇所からの再生検
を行った。また,同日行われた血液中の腫瘍マーカー等の検査の結果,CEA
は1.8ng/ã,CA19-9は5U/ã未満であり,いずれも正常範囲内に
収まっていた。〔乙2-4,9,18〕
     H医師は,同月28日,放射線科にCT検査を依頼したところ,同検査の結果,胃
体部前壁の肥厚など胃がんと思われる所見とともに,胃の前後にリンパ節腫
大が認められたが,肺や肝臓等への転移や腹水は認められなかった。〔乙2
-17,証人H88〕
     同月30日,再生検を行った8箇所の組織につき,Q医師による病理診断がされ
たが,その結果は,活性潰瘍の所見は認められるものの,胃がん取扱い規約
分類のグループⅡ(異型を示すが,良性《非腫瘍性》と判定される病変)であ
り,がんの所見は認められなかった。〔乙2-20,証人I43〕
     H医師は,これらの検査結果等をふまえ,同年10月2日,外科のN医師に対
し,胃角部潰瘍からは悪性の確診はできていないが,胃上部潰瘍から印環細
胞がんが認められているとして,手術適応の検討を依頼したところ,N医師
は,同日,手術可能であると判断し,その旨原告に説明して承諾を得た後,原
告を外科に転科させることとした。〔乙2-6,証人N14~19〕
     なお,原告は,入院後も特段胃痛等を訴えず,食欲もある状態であった。〔乙2
-25~28〕
   オ 原告は,同月8日,外科に転科し,N医師が主治医となった。N医師は,同月1
3日,胃の切除範囲を確認するため,食道と胃の接合部について胃内視鏡検
査を行ったところ,同部に著変は認められなかったが,その近傍までがんの
浸潤があると思われる所見であった。
     また,N医師は,原告に陳旧性心筋梗塞による経皮経管冠動脈形成術(PTC
A)の既往歴があったことから,循環器科に対し,手術の可否等についての検
査を依頼したところ,同科では,心血管撮影検査を行い,手術に耐え得るとの
判断がされた。
     そこで,N医師は,同月19日,原告に対し,胃の一部ないし全部及び周辺リン
パ節等を切除する手術を行う旨説明して,その承諾を得た。〔乙3-1,12~
16,40,87,証人N24,44,45〕
   カ 同月20日,N医師の執刀により,本件手術が行われた。N医師は,開腹後に,
胃上部漿膜側に白い小結節が散在し,胃が横隔膜に密着した状態であること
等を認め,胃,脾臓,胆のう及び周辺リンパ節を摘出するとともに,空腸を用
いてパウチを作成する本件手術を行った。〔乙3-17,42,証人N69,79,
82,199~201〕
   キ 同月23日,本件手術の際に採取された腹腔内洗浄水の細胞診検査につき,O
大学医学部病理の教授であるP医師は,良・悪性のいずれとも判定し難い異
型であるというパパニコロウクラスⅢとの診断をした。〔甲9,乙3-89,証人I
56,57〕
   ク ところが,同年11月10日,本件手術の際に摘出した胃,脾臓,胆のう及び周
辺リンパ節を対象としてされた病理組織検査につき,I医師は,胃には長期間
にわたる強い炎症を示す所見はあるものの,Ⅳ度の胃潰瘍であり,脾臓及び
胆のうには著変がなく,リンパ節は肥大しているものの,異型細胞の浸潤はな
いとの病理診断を行い,がんの所見は得られなかった。〔乙3-44~54,証
人I78〕
     この診断結果を受けたN医師は,残存胃を用いた再度の病理組織検査をL医師
に依頼し,その結果を,同月24日に電話で確認したところ,やはりがんではな
いとの回答を得たので,同年12月2日,原告に対し,胃がんではなかった旨
を説明した。そして,原告は,術後の経過は良好で,同月9日,被告病院を退
院した。〔乙3-34,38,145~149,証人N134,139〕
     同月16日,L医師による上記病理組織検査の結果,胃は反応性リンパ節過形
成及び粘膜脱出を伴う活動性潰瘍であり,がんは認められないとの病理診断
がされた。そのころ,N医師は,L医師から,術前にがんと診断された生検組
織を見直してみたところ,がんと非常に似ているが,がんではなかったとの説
明を受けた。そこで,N医師は,同月24日,原告に対し,その旨の説明をし
た。〔乙3-55,乙4-4,証人N154~159〕
  (2) 上記認定事実によれば,原告は,平成10年7月ころから上腹部痛等を訴えて被
告との間で診療契約を締結し,同年9月17日の胃内視鏡検査において,臨床
的に胃がん若しくは悪性リンパ腫と疑われ,同月22日,被告の履行補助者であ
るI医師が,胃がん取扱規約分類のグループⅤ(がんと確実に診断される病変)
と認められる印環細胞がんであるとの病理診断をしたことから,胃がんと確認さ
れ,その治療のために本件手術を受けたが,術後病理診断の結果,がんではな
かったことが判明したものである。
    そこで,I医師の上記病理診断に過失があるか否かについて検討する。
   ア 上記認定事実及び証拠(甲8,9,乙10,12,13の1・2,15,証人I)によれ
ば,①一般に,病理組織検査は,画像診断等に比べて信頼性の高い診断法
であり,胃に潰瘍性病変があり,臨床的にがんが強く疑われる場合でも,病理
診断を行って初めて診断が確定されるものであること,②しかし,その診断
は,生検組織標本という限られた材料によるものであるため,実際は悪性で
あるのにその所見を得ることができなかったり,また,正常組織像からの解離
の少ない腫瘍や一見悪性にみえるが実際は良性の経過を取る腫瘍など,良・
悪性の鑑別が困難な場合があること,③一般に,生検材料による病理診断よ
りも,手術材料による病理診断の方が確実なものとされていること,④胃がん
取扱い規約分類は,グループⅠから同Ⅴに分類され,その内容は,同Ⅰは良
性病変,同Ⅱは,異型を示すが,良性(非腫瘍性)と判定される病変,同Ⅲ
は,細胞異型及び構造異型の点で良性か悪性かの鑑別が困難なもので「良
性(非腫瘍性)と悪性の境界領域の病変」,同Ⅳは,がんが強く疑われるが,
がんの確定診断を下し得ないもので「がんが強く疑われる病変」,同Ⅴは,が
んと確実に診断される病変として「がん」と分類されていること,⑤病理診断に
は,専門性を同じくする病理医の間においてもかなりの診断の格差が存在す
るという報告もあること,⑥I医師は,術前の病理診断において,胃角部潰瘍3
箇所の組織のうち2箇所の組織のごく一部にがんと思われる数個の細胞を認
めたこと,⑦がん細胞には互いに接着する傾向があるが,I医師が認めた細
胞は固まりにはなっていなかったこと,⑧しかし,I医師は,術前病理診断の当
時,がんと診断するにつき,その細胞の数が少ないのではないかとの疑問を
持たなかったこと,⑨本件手術の際に採取された腹腔内洗浄水の細胞診検
査を行ったP医師は,良・悪性のいずれとも判定し難いとして,パパニコロウク
ラスⅢとの診断を行っていること,⑩I医師ががんと認めた生検組織を本件手
術後に見直したL医師は,I医師に対し,がんと非常に似ているが,がんと確
診するには,細胞の数が少ないのではないかと指摘したことが認められる。
   イ 上記アの認定事実によれば,生検による術前の病理診断は,臨床的に疑われ
たがんを確定するための根拠となるものであるが,その診断には,悪性を見
落とす危険性や良・悪性の鑑別が困難な場合があり,また,手術材料に対比
すると不確実なものとならざるを得ず,時に病理医による診断の格差も存在
することが認められる。
     しかしながら,術前の病理診断が,がんを確定するための根拠となるものであ
り,胃がん取扱規約分類が,良性か悪性かの鑑別が困難なものをグループ
Ⅲ,がんが強く疑われるが,その確定診断を下し得ないものをグループⅣ,が
んと確実に診断できるものをグループⅤと分類していることからすると,病理
医は,良・悪性の鑑別が困難な場合等は,グループⅢないしⅣと診断し,再検
査や他の病理医との協議等によって,慎重にその鑑別を行い,あくまでその
鑑別が困難な場合は,それを前提として患者の同意の基にその医療行為を
選択させるべきである。そして,病理医が,ある生検組織をグループⅤと診断
する場合は,それがグループⅢないしⅣのような不確定なものではなく,がん
であると診断し得る確実な根拠を示すべきである。したがって,本件のように,
生検組織が結果的にグループⅤに該当しなかった場合は,病理医であるI医
師が診断当時に確実な根拠を有していたことを被告において主張立証しない
限り,同医師の病理診断に注意義務違反があったものと推定されるというべ
きである。
     しかし,I医師の診断に確実な根拠があったことを認めるに足りる証拠はないの
で,同医師の術前病理診断には過失があったものといわざるを得ない。
   ウ なお,被告は,L医師の上記指摘が妥当なものであるとの証明が行われておら
ず,仮に妥当であるとしても,同医師の診断能力が一般の病理医のそれを大
きく超えているのであれば,I医師の注意義務違反は認められないと主張す
る。しかしながら,L医師の上記指摘の妥当性を疑わせる証拠はなく,かえっ
て,I医師は,その指摘に理解を示す供述(証人I141)をしているところである
し,また,L医師の診断能力が,一般の病理医のそれを大きく超えていると認
めるに足りる証拠はないから,上記主張は採用することができない。
 2 争点(2)(因果関係の有無)について
  (1) 被告は,原告の胃潰瘍の病状からして,がんでなくても摘出手術が必要であっ
た等と主張する。
    前記第2の1の事実(前提事実),前記1の認定事実及び証拠(甲7,11,乙9,
証人H,同N)によれば,①胃潰瘍は,組織の欠損の深さによりⅠないしⅣ度に
分類され,Ⅰは粘膜層のみに限局しているもの,Ⅱは粘膜下層に達するもの,
Ⅲは筋層に達するもの,Ⅳは筋層を穿通した潰瘍と分類されていること,②原告
は,Ⅳ度の活性胃潰瘍で,長期間にわたる強い炎症が存在し,胃の前後のリン
パ節等が肥大していたとともに,胃上部漿膜側に白い小結節が散在し,胃が横
隔膜に密着した状態となっていたこと,③南山堂医学大辞典第18版には,胃潰
瘍の内科的治療対象は,Ⅲ度までであるとの記載があること,④一方,家庭医
学大事典改訂新版には,胃潰瘍は,大出血や穿孔等を起こしている場合を除け
ば,病態により,医師の指示に従ってできるだけ安静にし,食事療法と薬物療法
を併用して内科的に治療するのが原則であり,内科的治療を積極的に行っても
治らないものは手術の対象になることがある旨の記載があること,⑤本件手術
を行ったN医師は,現在は薬の発達により,Ⅳ度の胃潰瘍でも内科的治療で対
応することが可能になってきており,胃の摘出手術は,狭窄,出血や穿孔の場合
以外は行わないと述べるとともに,胃が横隔膜に密着した症状は,胃潰瘍として
は極めて稀であり,将来の穿通可能性や引きつれ等の可能性があると述べてい
ること,⑥原告の内科の主治医であったH医師は,原告の胃の内視鏡検査の結
果等からすれば,手術的治療も考えられるが,胃潰瘍であれば内科的治療を行
う旨を述べていること,⑦原告は,入院後,特段胃痛等を訴えず,食欲もある状
態であったことが認められる。
  (2) 上記認定事実によれば,原告の胃は,Ⅳ度の活性潰瘍にまで進展し,長期間に
わたる強い炎症と,胃潰瘍としては稀な横隔膜への密着が存在し,相当に進行
したものであったから,将来その手術が必要となった可能性があることは認めら
れるが,胃摘出を要する程の狭窄や出血,穿孔を起こしていたと認めるに足りる
証拠はなく,入院後の原告は,特段胃痛等を訴えず,食欲もあったのであるか
ら,まずは内科的に治療を行うことができたものと認められ,直ちに胃の摘出手
術が必要な状態であったとはいい難い。また,仮に,術前診断において最終的
にがんの疑いを否定できなかったとしても,そのような場合に胃の摘出手術を選
択するか否かは,原告の意思に委ねられるものであって,必ずしも手術が選択
されたとはいい難い。
    したがって,診断上の過失と本件手術により原告が被った損害との間に,相当因
果関係が認められ,被告は,診療契約上の債務不履行に基づき,原告の損害
を賠償すべき義務があるというべきである。
3 争点(3)(損害額)について
  (1) 前記第2の1の事実(前提事実),前記1及び2の認定事実,証拠(甲4,5,13,
14,乙3,4,14,証人N,原告本人《以下の認定に反する部分を除く。》)並び
に弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
   ア 原告は,中学校を卒業後,プラスチック関係の作業員やタクシーの運転手等と
して稼働し,平成8年3月からはMタクシーに勤務して,同9年10月から,同
社の業務係長として,事故処理や勤務編制運転の管理等の業務に従事し,
その3箇月間の平均賃金は,1箇月27万円であった。〔甲4,14,原告本人
3〕
     なお,原告は,昭和61年ころから,被告病院で陳旧性心筋梗塞及び糖尿病の
治療を受け,血糖値をコントロールする薬を服用していたが,特に問題となる
心疾患症状は起きていなかった。〔原告本人52~63〕
   イ 原告は,被告病院に入院した平成10年9月24日,内科の主治医となったH医
師から,胃がんであり,手術ができなければ余命は6箇月であるとの説明を受
けた。
     原告は,その数日後,Mタクシーに赴き,がんと宣告されたため,復職すること
はできない等と告げた。
     しかし,入院後の諸検査の結果,同年10月2日には,H医師から外科のN医師
に手術適応の検討が依頼され,原告は,同医師から手術が可能である旨の
説明を受けて,これを承諾した。ところが,原告は,Mタクシーに復職の可能
性等についての相談をしなかったところ,Mタクシーでは,同月11月1日付け
で,原告の後任者を採用した。〔甲5,原告本人85〕
   ウ 原告は,本件手術後の同年12月2日,N医師から,がんではなかったとの説明
を受け,同月9日,被告病院を退院した。
     退院後,原告は,1ないし2週間程度に1度の割合で被告病院に通院し,平成1
1年3月ころには,食事の状態も改善してきた。そこで,原告は,そのころ,M
タクシーに復職したい旨の申入れをしたが,既に原告の後任者を採用してい
るとして断られた。
     原告は,その後も同様に被告病院に通院し,軽いふらつきを訴えるなどしていた
が,同年6月17日,N医師に対し,復職するために就労可能である旨を記載
した診断書を作成するよう求めた。そこで,同医師は,同日,原告がタクシー
の配車や事故処理等の業務を行っていたことを認識しつつ,就労は十分に可
能であると記載した診断書(乙4-42,以下,「本件診断書」という。)を原告
に交付した。
     原告は,本件診断書を持参してMタクシーに赴き,再度,復職を申し入れた。し
かし,Mタクシーは,今更原告を復職させることはできないとして,N医師に対
し,従前と全く同様の勤務が可能であるか否かを,万一勤務中に倒れた場合
に誰が責任を取るのか等と告げて確認したところ,同医師は,軽作業を担当
させるのがよいと回答したので,原告は,結局,復職を断られることとなった。
〔甲5,乙4-5~9,42,証人N161~164,原告本人86,121~124〕
   エ 一方,原告は,本件手術当時から,毎月,健康保険の傷病手当金を受給してい
たところ,八幡社会保険事務所長は,同年8月10日付けで,N医師に対し,
原告の同年7月1日以後の就労可能性等についての照会を行った。これを受
けたN医師は,本件診断書作成後の原告の症状経過は良好であったが,原
告の保険給付が打ち切られることを案じて,「夏の暑い時期であり,7月中の
就労は困難と思われる。」との回答をした。
     原告は,その後も同様に被告病院に通院したが,同年8月ころから,疲労感や
下痢等を訴えるようになった。そこで,N医師は,同年11月1日,社会保険事
務所に提出する書類に,易疲労感があるため,しばらくの療養を要するとの
記載をしたが,同年12月2日には,体力も順調に回復してきており,徐々に就
労も可能な状態に近づいているとの記載をした。
     さらに,原告は,平成12年1月の通院の際も易疲労感等を訴えたため,N医師
は,社会保険事務所に提出する書類に,同年2月1日付けで,易疲労感があ
るため,同年1月中は療養を要するとの記載をしたが,同年1月27日付け
で,公共職業安定所長に提出する原告の傷病証明書には,就労できるとの記
載をし,同年2月9日,八幡社会保険事務所長の同月7日付けの照会に対し,
同月1日からの就労が可能であるとの回答をした。〔乙3-4~9,乙4-9,1
0,23,26,28,30,32~41,乙14-1,2,11~14,証人N171~17
7〕
   オ 原告は,同月24日の通院の後は,定期的に検査を受けることで足りるものと
判断され,同年6月29日に被告病院で受診し,胸やけを訴えたが,腹部に異
常は認められなかった。
     ところが,原告は,同年8月3日ころ,上腹部痛が治まらないため,被告病院で
受診し,同月7日には,腹痛が続くと訴えて受診した。そこで,同月17日,食
道注腸造影検査が行われたところ,造影剤がやや停滞する等の所見が得ら
れたため,同年9月5日,CT検査が行われたが,摘出した胃の周囲に異常腫
瘍はなく,腹水や腸閉塞等の異常所見も認められなかった。原告は,同月7
日,上記検査結果の説明を受けるとともに,食事の回数を5回に分け,よくか
んでゆっくりと食べるようにすること,できるだけ前屈みの姿勢をとらないよう
にすること等の指導を受けた。〔甲14,乙14-2~10,15,16〕
   カ その後,原告は,陳旧性心筋梗塞や糖尿病の治療と併せ,1箇月に1回の割合
で被告病院に通院し,診察と必要な投薬を受けているほか,胃が痛むときに
被告病院で受診している。
     そして,原告は,本訴の本人尋問において,日常生活上の愁訴として,腹部の
痛み,つかえ,逆流,嘔吐,動悸,めまい,震え,下痢,おなら,便秘,性欲減
退,貧血,食欲不振等の症状があると述べている。〔甲14,原告本人28,13
5~141〕
  (2) 入院当日のH医師の説明に関し,原告の友人であるR及び原告は,同医師が胃
がんの手術はできないと断言した旨の陳述(甲6)及び供述(原告本人72)をす
るが,H医師が同日作成した診断書(甲1)には,胃がんのため約1箇月の入院
精査が必要との記載がされ,その後,実際に,本件手術に向けた諸検査が実施
されていること等からすると,同医師が,そのような断言をする根拠や理由がな
く,上記陳述及び供述部分は,にわかに採用することができない。
  (3)逸失利益
   ア 上記認定事実によれば,原告は,本件手術の結果,食物の通過障害等によ
り,食事の時間・回数等についての注意や,前屈みの姿勢をとらないようにす
る等の注意が必要であるほか,腹痛,つかえ,嘔吐,めまい,震え等の愁訴
があり,従前どおりに勤務することや,労働時間が厳密に制約された仕事に
従事することは困難であると認められる(なお,胃全摘とあいまって,免疫機
能等を有する脾臓及び胆汁を貯留濃縮し,脂肪の消化効率を高める機能を
有する胆のうの摘出が,身体機能の低下をもたらすものであることも,否定す
ることはできない《乙15》)。しかしながら,①平成11年6月17日,N医師は,
原告の職務がタクシーの配車や事故処理等であると認識しつつ,その就労が
可能であると判断し,原告も,Mタクシーに復職を申し入れていること,②それ
以降,原告の症状経過は概ね良好であり,N医師が八幡社会保険事務所長
の照会に対し,就労可能であると回答した平成12年2月ころまでの間に,労
働能力が特に低下したと認め得るような異常は起きていないこと,③その後,
同年8月ないし9月に,上腹部痛を訴えてCT検査等を受けたが,その結果に
異常はなく,現在まで,特段の異常は発生していないこと等からすると,原告
の一般的な労働能力が,通常のそれを大きく下回っているとまでは認めること
ができない。また,前記1及び2で認定したとおり,原告の胃潰瘍は,もともと
Ⅳ度に進展して,長期間にわたる強い炎症の存在と横隔膜に密着した状態で
あったなど,かなり進行したものであり,そのために被告病院で受診する契機
となった左上腹部痛や腹満感を生じていたことからすると,内科的治療であれ
ば,腹痛等の愁訴が全く発生しなかったとまでは認め難い。
     これらの事情に照らせば,原告は,腹部臓器の障害のために,就労し得る職務
が相当な程度に制限されるものであるから,本件手術による原告の労働能力
喪失率は,35%と認めるのが相当である。
     そして,原告は,本件手術時52歳で,67歳までの就労可能年数15年間のライ
プニッツ係数は10.3796,原告の平均年収額は324万円であるから,原告
の逸失利益は,以下の算式により,1177万0466円となる。
      3,240,000円×0.35×10.3796=11,770,466円
   イ 原告は,胃がんによる「半年の命」と宣告されたため,復職が困難になったか
ら,労働能力を100%喪失した旨主張する。
     しかしながら,前記(1)イ及び(2)のとおり,被告病院の医師は,手術ができなけ
れば原告の余命は半年であると説明したもので,原告の余命が半年であると
の断言ないし宣告を行ったものとは認められないから,上記主張は,その前
提を欠き,採用することができない。しかも,上記認定事実によれば,原告
は,被告病院に入院した平成10年9月24日の数日後には,Mタクシーに復
職できない等と告げた一方,同年10月2日には,N医師から手術が可能であ
るとの説明を受けたにもかかわらず,Mタクシーに復職の可能性等について
の相談をせず,Mタクシーでは,同年11月1日付けで原告の後任者を採用し
たため,そのことが原告の復職申出を認めようとしなかった理由の1つになっ
ているものと認められ,本件手術による労働能力の一部喪失のために復職で
きなかったものであるとしても,原告の対応にやや一方的な面があったことを
否定することはできないのであって,復職できなかった原因が,すべて本件手
術にあるとはいい難い。
     また,原告は,55歳で,学歴は中学校卒業であるから,再就職の可能性はな
く,労働能力を100%喪失したと主張し,福岡労働局等主催の障害者雇用促
進面談会(北九州会場)における求人情報一覧表等(甲15,16の1ないし8,
17の1ないし12)の書証を提出するとともに,タクシー会社数社に就職を申し
入れるも,これを断られた旨陳述(甲14)する。
     しかしながら,原告の年齢や,食事の時間・回数等から,その就労し得る職務が
相当程度限定されるとしても,前記のとおり,本件手術を原因として,原告の
一般的な労働能力が,通常のそれを大きく下回っているとは認めることができ
ないし,上記求人情報等は,あくまで得られる情報の一部であり,その内容
も,将来の変動が常に予測されるものであること等からすると,社会通念上,
原告が,その意思と能力にもかかわらず,今後一切の就労可能性がないとま
では認めることができない。したがって,上記主張は,採用することができな
い。
  (4)慰謝料
    原告は,胃がんであると告げられた上,本件手術により,内科的治療を受ける機
会を奪われて胃を摘出されたばかりか,脾臓,胆のう及び周辺リンパ節も併せて
摘出され,その就労や日常生活上,種々の不自由や愁訴等に悩まされているこ
と等からすると,原告が本件手術によって被った精神的苦痛を慰謝するには,7
00万円をもって相当と認める。
  (5)弁護士費用
    本件事案の内容,審理経過及び認容額等からすると,被告の債務不履行と相当
因果関係にある弁護士費用は,150万円と認めるのが相当である。
 4 以上によれば,原告の請求は,被告に対し,債務不履行に基づく損害賠償金202
7万0466円及びこれに対する訴状送達の日の翌日であることが明らかな平成11
年12月4日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限
度で理由があるが,その余は理由がないから,主文のとおり判決する。
 (口頭弁論終結日 平成14年1月15日)
    福岡地方裁判所小倉支部第2民事部
        裁判長裁判官   古  賀     寛
          裁判官   大  山     徹
裁判官村田文也は,転補につき,署名押印することができない。
        裁判長裁判官   古  賀     寛

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