弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人菅井俊明、同塩谷脩の上告理由第一点について
 抵当権実行のためにする競売法による競売は、被担保債権に基づく強力な権利実
行手段であるから、時効中断の事由として差押と同等の効力を有すると解すべきこ
とは、判例(大審院大正九年(オ)第一〇九号同年六月二九日判決・民録二六輯九
四九頁、同昭和一三年(ク)第二一九号同年六月二七日決定・民集一七巻一四号一
三二四頁)の趣旨とするところである。そして、差押による時効中断の効果は、原
則として中断行為の当事者及びその承継人に対してのみ及ぶものであることは、民
法一四八条の定めるところであるが、他人の債務のために自己所有の不動産につき
抵当権を設定した物上保証人に対する競売の申立は、被担保債権の満足のための強
力な権利実行行為であり、時効中断の効果を生ずべき事由としては、債務者本人に
対する差押と対比して、彼此差等を設けるべき実質上の理由はない。民法一五五条
は、右のような場合について、同法一四八条の前記の原則を修正し、時効中断の効
果が当該中断行為の当事者及びその承継人以外で時効の利益を受ける者にも及ぶべ
きことを定めるとともに、これにより右のような時効の利益を受ける者が中断行為
により不測の不利益を蒙ることのないよう、その者に対する通知を要することとし、
もつて債権者と債務者との間の利益の調和を図つた趣旨の規定であると解すること
ができる。
 したがつて、債権者より物上保証人に対し、その被担保債権の実行として任意競
売の申立がされ、競売裁判所がその競売開始決定をしたうえ、競売手続の利害関係
人である債務者に対する告知方法として同決定正本を当該債務者に送達した場合に
は、債務者は、民法一五五条により、当該被担保債権の消滅時効の中断の効果を受
けると解するのが相当である。同条所定の差押等を受ける者の範囲を所論の如く限
定しなければならない理由はなく(所論引用の当裁判所昭和三九年(オ)第五二三
号、第五二四号同四二年一〇月二七日第二小法廷判決・民集二一巻八号二一一〇頁
及び昭和四一年(オ)第七七号同四三年九月二六日第一小法廷判決・民集二二巻九
号二〇〇二頁各判例は、同条にいわゆる「時効ノ利益ヲ受クル者」の範囲について
判示したものではない。)、また、競売裁判所による前記の競売開始決定の送達は
債務者に対する同条所定の通知として十分であり、右通知が所論の如く債権者から
発せられねばならないと解すべき理由も見出し難い。これと同趣旨の原審の判断は
正当であり、所論はこれと異なる独自の見解に基づいて原判決を非難するものであ
つて、論旨は採用することができない。
 同第二点について
 所論の点に関する原審の判断は正当であり、その過程に所論の違法はなく、原判
決に所論の法令違背のあることを前提とする所論違憲の主張もまた理由がない。論
旨は、採用することができない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主
文のとおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    大   塚   喜 一 郎
            裁判官    岡   原   昌   男
            裁判官    吉   田       豊
            裁判官    本   林       讓

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