弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人本庄修の上告理由は後記書面のとおりである。
 同第一点について。
 自創法三条において、同条所定の農地は、その所有者の意思にかかわらず政府が
これを買収することを定め、さらに同法一五条一項において、同条所定の宅地をも
買収することを定めたのは、いずれも同法一条に定めるように、耕作者の地位の安
定、農業生産力の発展、農村の民主化等の目的を達するがために外ならない。従つ
て宅地といえども、自作農となるべき者が賃借権等を有するからといつて、常にこ
れを買収すべきものではなく、右の目的を達するに心要なかぎりにおいて認められ
るのである。それゆえ同法一五条一項によつて、自作農となるべき者が賃借権を有
する宅地の買収を申請した場合においても、その自作農の農業経営上必要と認めら
れないものまで買収することは、同法の目的に副うところでないことはいうまでも
ない。されば同法一五条一項に「市町村農地委員会が相当と認めたときは」と定め
たのは、一応この判断を農地委員会に委ねた趣旨であつて、もし農地委員会が同法
の目的に反する判断の下に買収決定をした場合は、もとよりその行政処分は違法で
あるといわなければなならない。すなわち自創法の定める宅地買収の申請があつた
場合、買収が相当であるかどうかは法律の解釈適用の問題であつて、所論のように、
農地委員会の自由裁量に属する事項であるということはできない。論旨は理由がな
い。
 同第二点について。
 自創法による宅地の買収計画決定ないし買収令書の発行は、その当時の事実に基
いて行われることもちろんであるが、同時にその当時明らかに予見のできる将来の
事実も、判断の資料たるべきものであつて、本件宅地が将来不要となることが当時
明らかに期待できる以上、これを買収すべき理由はなく、原判決の判断は正当であ
る(論旨一)。また原判決によれば、訴外Dが、農地への巨離が本件宅地よりも近
くて便利な箇所に家屋を新築中であるが、未だ使用するに至らず、依然本件宅地を
使用していることは所論のとおりである。しかし原判決認定のように他の箇所に家
屋を新築中であるという事実があり、また本件宅地上の家屋をもそこに移築する意
思のある事実がある以上、住宅移築後は本件宅地は必要がなくなるのであるし、ま
た移築までは借地法の保護あるをもつて十分とすべきであつて、買収までする必要
は認められない。これに反しもし買収されれば被上告人は大きな不利益を受けるこ
と明らかであつて、かかる場合は買収を相当としないといわなければならない。原
判決の判断は正当である(論旨二)。さらに自創法二八条の規定は、本件宅地を買
収するかどうかについて直接関係がなく、この規定を法一五条に附会して原判決が
その解釈を誤つたと論難する主張は全く当らない(論旨三)。以上いずれの理由に
ついても、原判決が法一五条の解釈を誤つたという論旨は理由がない。
 同第三点及び第四点について。
 所論の、原判決が大審院判例に違反するという主張は、判例を具体的に挙げてい
ないばかりでなく、原判決を記録について調べて見ると、原審はいずれも証拠を充
分に調べた上判示のような判断に到達したことが明らかに認められるから、なんら
所論のような違法はなく、論旨は結局原審の証拠の取捨判断を非難するに帰し理由
がない。また論旨(第四点の六)は、原判決が本件宅地の買収を不適法であると判
断した判示において、当時未だ施行されていなかつた自創法一五条二項三号に掲げ
る語句を用い、「位置環境等の関係から云つても」と説明していることを指摘して、
原判決が法律を不当に適用した違法があると非難するが、原判決は買収を相当とし
ない事情の一つとして右判示をしたのであつて、右法条を適用したのではないから、
これに反する見解を前提とする論旨は理由がない。
 以上のほかの論旨は「最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法
律」一号ないし三号のいずれにも当らず、また同法の法令の解釈に関する重要な主
張を含むものとは認められない。
 よつて民訴四〇一条、九五条、八九条に従い裁判官全員一致の意見をもつて主文
のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    小   林   俊   三
            裁判官    本   村   善 太 郎

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