弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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○主文
本件控訴をいずれも棄却する。
控訴費用は控訴人らの負担とする。
○事実
一控訴の趣旨
1原判決を取り消す。
2(控訴人A・同B)
、、、、、被控訴人は原判決添付別表1記載の<地名略><地名略><地名略><地名略>
<地名略>、<地名略>、<地名略>、<地名略>、<地名略>、<地名略>、<地名略
><地名略>及び<地名略>の住区住民会議に対し同表委託事業欄記載の委託事業但、、(
し、※印に対応するものを除く。につき、委託料の支出を行つてはならない。、
(控訴へC・同D)
被控訴人は、原判決添付別表1記載の住区住民会議に対し、同表補助事業欄記載の補助事
業(但し、※印に対応するものを除く)につき、補助金の交付をしてはならない。。
3訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。
二被控訴人の答弁
主文一項と同旨
三当時者双方の主張及び証拠の関係は、次のとおり付加し訂正するほかは、原判決事実
摘示のとおりであるから、これを引用する。
1控訴人ら
(一)原判決七枚目表七行目の次に、行を替えて「8本件公金の支出は、区に回復の、

難な損害を生ずるおそれがある」と加え、同八行目の「8」を「9」と改める。。
(二)被控訴人は、本件各住区住民会議は各規約のとおり住区内の全住民を構成員とす
る団体であると主張しているが、控訴人らは、住区の住民全員を構成員とする住区住民会
議なる団体(社団)は現実には存在せず、そのような虚無の団体への公金の支出は違法で
あると主張するものであり、これについての控訴人らの原審以来の主張の要旨は以下のと
おりである。
(1)権利能力なき社団といえるためには、団体としての組織を備え、多数決の原理が
行われ、構成員の変更にかかわらず団体が存続し、その組織において代表の方法、総会の
運営、財産の管理等団体として主要な点が確定していることを要するとされている。
(2)本件各住区住民会議の規約には、もつともらしく、総会をはじめ、事務を執行す
る実行委員会、常任委員会、部会、事務局等の規定があり、各機関役員、役職者の選任方
法等も遺漏なく定められている。そして、その運営も表面的には大体規定に従つて行われ
ている。これらの点だけを見れば、本件各住区住民会議は立派な団体であり、社団性が認
められよう。
(3)しかし、団体として最も重要である構成員については、規定上も現実的にも極め
て曖昧であり、
住区の全住民を構成員とする趣旨の規定も実は住民中の一部有志を意味するものとすれ
ば、
それは虚構の規定であるから、構成員の規定としては無に等しいし、実体が住民中の一部
有志の団体であるのに、規約に地区の全住民を構成員とするかのような規定を掲げること
は、住区住民会議を公的な団体であるかのごとく見せかけるもので、公序良俗にも反する
ものである。
また、民法上の団体である以上、その構成員は、自己の意志により団体への参加意思を表
明することが必要である。しかるに、被控訴人は、本件各住区住民会議の場合は「設立総
会に出席して議事及び議決に参加すること「実行委員等を推薦すること「住区住民会」、」
議が主催する種々の事業活動に参加すること」等によつて参加意思の表明が認められると
しているが、これでは団体の構成員の特定としては無限定に等しい。
このような規約や実体しか持つていない団体は、人格なき社団又はこれに等しいものとい
うことはできないのである。
(4)ひつきよう、被控訴人は、区当局が積極的に介入して、地域住民全員を構成員と
するとは単なるイメージばかりでその実質は一部不特定有志の集まりにすぎない住区住民
会議なる組織を作り上げ、これを地域住民の代表的組織として押し通そうとするものであ
り、行政当局が、かかる団体を公的な団体として承認するのみならず、行政の補助的な機
関として利用し、公金支出の対象とすることは、法律論からのみならず、市民道徳や治政
の論理からも許されないところである。
2被控訴人
控訴人らの右主張中、被控訴人が、本件各住区住民会議は、第一次的には、その各規約の
とおりに、住区内の全住民を構成員とする団体であると主張していることは認めるが、そ
の余は争う。
○理由
一当裁判所も、原審と同様に、本件各住区住民会議は、その成立の経緯、組織(規約の
存在、総会に関する定め、代表者はじめ管理、運営及び経理を担当する機関・役員の定め
並びに構成員に関する定め等)及びその活動状況等に照らし、権利能力なき社団(法人格
のない社団)又はそれに等しいと評価し得る実体を有する団体であつて、地方自治法二四
四条の二第三項所定の公共的団体に該当すると認めるのが相当であり、これど異なる前提
に立つて本件公金の支出が違法であるという控訴人らの本訴請求は理由がないと認定判断
するが、その理由は、
いずれも原判決理由の説示と同一であるから、ここにこれを引用する。
なお、右に引用した原判決理由説示に明らかなとおり、本件各住区住民会議の規約上、そ
の構成員を住区内の住民と定めているのは、住区内の住民は誰でも希望により当該住区住
民会議に参加し得るという開かれた組織であることを担保する趣旨であり、現実には住区
内の全住民が本件各住区住民会議に参画するに至つているわけではなく、代表者はじめ役
員らが中心となつて事業活動を行つているのであるにしても、右構成員に関する規定が虚
偽であるとか無に等しいとか又は違法であるとの控訴人らの主張は、いずれも失当であり
(本件各住区住民会議が一部不特定有志の集まりであつて、役員ら以外の住区内の住民を
、。)、締め出すなど開かれた組織と相反する実体を有するものと認めるに足りる証拠もない
採用することができない。
二よつて、その余の点について判断するまでもなく本訴請求は棄却すべきものであり、
これと同旨の原判決は相当であつて、本件控訴は理由がないから棄却することとし、控訴
費用の負担について民事訴訟法九五条、八九条、九三条に従い、主文のとおり判決する。
(裁判官森綱郎友納治夫小林克已)

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