弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各上告を棄却する。
         理    由
 弁護人らの上告趣意第一点について
 所論は、昭和二五年東京都条例第四四号集会、集団行進及び集団示威運動に関す
る条例(以下「本条例」という。)は、集団示威運動等につき許可制をとつている
点において憲法二一条に違反すると主張する。
 しかし、本条例の許可制は、その実質において届出制と異なるところがなく、所
論憲法の条規に違反するものでないから(最高裁昭和三五年(あ)第一一二号同年
七月二〇日大法廷判決・刑集一四巻九号一二四三頁、昭和四〇年(あ)第一一八七
号同四四年一二月二四日大法廷判決・刑集二三巻一二号一六二五頁参照)、所論は
前提を欠き、適法な上告理由にあたらない。
 同第二点について
 所論は、本条例は公安委員会の付しうる条件の内容、範囲が漠然としているばか
りか、付与条件の決定がすべて公安委員会に委ねられている点で憲法二一条、三一
条に違反すると主張する。
 しかし、本条例三条一項但書は、公安委員会に許可条件の付与を委任する要件を
定めた規定として不明確であるとはいえず、また所論のように公安委員会がほしい
ままに条件を定めることを許しているものではないから(最高裁昭和四〇年(あ)
第一一八七号同四四年一二月二四日大法廷判決・刑集二三巻一二号一六二五頁参照)、
所論は前提を欠き、適法な上告理由にあたらない。
 同第三点について
 所論は、本条例五条のうち、三条一項但書にかかる条件違反罪に関する部分は、
構成要件が極めて不明確であり、かつ、犯罪構成要件の内容を地方自治法一四条一
項、五項の委任の限界を超えて条例から公安委員会に再委任するものであるから、
憲法三一条に違反すると主張する。
 しかし、本条例は三条一項但書において、公安委員会が付しうる条件の範囲を具
体的に規定するとともに、五条において右三条一項但書に基づいて定められた条件
に違反した集団行動の指揮者等に対し罰則を定めているのであつて、所論のように
罰則を定める権限を公安委員会に再委任したものとはいえず、地方自治法一四条一
項、五項所定の委任の趣旨に反するものとは認められず(最高裁昭和二七年(あ)
第四五三三号同三三年七月九日大法廷判決・刑集一二巻一一号二四〇七頁、昭和四
五年(あ)第一四九五号同五〇年九月二六日第二小法廷決定・刑集二九巻八号六五
七頁参照)、本条例五条の規定の意義が不明確であるということはできないから、
所論は前提を欠き、適法な上告理由にあたらない。
 同第四点について
 所論は、本条例が思想良心の自由、表現の自由及び労働基本権の保障を侵害する
違憲無効な治安立法であり、憲法一九条、二一条、二八条に違反すると主張する。
 しかし、本条例は集団行動が表現しようとしている思想内容のいかんによつて、
その表現自体制約し、又は、労働者等が行う反権力的集団行動だけを規制の対象と
しているものでないことは、法文自体によつて明らかであるから、所論は前提を欠
き、適法な上告理由にあたらない。
 同第五点について
 所論は、本条例はその運用の実態が憲法二一条、三一条に違反すると主張する。
 しかし、記録上あらわれた本条例の運用手続の方法等をみても、規制が不当にわ
たり国民の憲法上の権利の正当な行使を阻害したとか、公安委員会やその補助機関
の恣意的運用を許したとか、あるいは、所論の指摘する弊害を生じたとかいう形跡
は認められないから、所論は前提を欠き、適法な上告理由にあたらない。
 同第六点について
 所論は、憲法二一条違反をいう点を含め、その実質は本条例三条一項但書による
許可条件違反のだ行進、フランスデモを指導した五条所定の罪の成否に関し、本件
示威行進については具体的危険がなかつたなどと主張して原判決の示した法律判断
を論難する単なる法令違反の主張に帰し、適法な上告理由にあたらない。
 同第七点について
 所論は、事実誤認、単なる法令違反の主張であつて、適法な上告理由にあたらな
い。
 よつて、刑訴法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、
主文のとおり決定する。
  昭和五九年一月一三日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    藤   崎   萬   里
            裁判官    中   村   治   朗
            裁判官    谷   口   正   孝
            裁判官    和   田   誠   一
            裁判官    角   田   禮 次 郎

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