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判決 平成14年5月20日 神戸地方裁判所 平成14年(わ)第125号 暴力
行為等処罰に関する法律違反被告事件
            主        文
   被告人を懲役1年6月に処する。
   未決勾留日数中60日をその刑に算入する。
   押収してある木刀一本(平成14年押第59号符号1)を没収する。
            理        由
(罪となるべき事実)
 被告人は,神戸市A区Ba丁目b番市営C住宅c号棟d号所在のV(女性)(当
時53歳)方で,Vと同棲していたが,平成14年2月3日午後8時40分ころ,
同所において,Vが被告人に対し不機嫌な態度を取ったとして立腹し,常習とし
て,Vに対し,木刀でその背部を殴打し,更に左手拳でその顔面を2回殴打する暴
行を加え,よって,Vに全治まで約2週間を要する左顔面打撲傷,右背部打撲擦過
傷,右10・11肋骨亀裂骨折の傷害を負わせた。
(証拠の標目)
省略
(補足説明)
1 弁護人は,本件公訴事実については,常習として行われたものではなく,暴力
行為等処罰に関する法律違反の罪(同法1条の3)には当たらないと主張するが,
裁判所は,常習性があると認定したので,以下,この点について補足して説明す
る。
2 暴力行為等処罰に関する法律1条の3にいう常習とは,同種の犯罪を反復累行
する習癖を有する者が,その習癖の発現として,さらに同種の犯罪を犯した場合を
いうものと解される。
  関係各証拠によれば,被告人には,昭和56年10月及び平成6年1月の2回
にわたり,当時交際中又は交際していた女性に傷害を負わせたことなどにより懲役
刑に処せられた前科がある上,被害者と同棲するようになった後も,被告人の暴力
に耐えかねた被害者が,被告人から暴行を受けて困っている旨,度々警察に相談し
ていた事実が認められる。そして,被害者は,「私には本当に何を怒っているのか
理由も分からず,突然怒り出し暴力を振るうのです。」「D(被告人の氏名)と同
棲を始めてから,これまでに何十回もの暴行を受けたとお話ししていますが,その
内の何回かは,余りの腹立たしさや,痛さや,怖さから交番に駆け込んで助けても
らおうと思った」と述べているところ,被告人も,平成13年1月ころからは,被
害者に対して平手,手拳で殴ったり,足蹴りするなどの暴行を,1月に1回位の割
合で繰り返していたことを自認している。
  以上のとおりの前科の内容や被告人の行状に加え,本件犯行も,被害者のささ
いな言動に激高し,一方的に暴力を振るっていることをも併せて考えると,最終刑
の執行終了後約6年余りの間は,処罰を受けていないことを考慮しても,被告人
は,暴力行為を反復累行する習癖を有し,かつ本件犯行は,その習癖の現れとして
なされたものと認めるのが相当である。
(法令の適用)
罰     条  暴力行為等処罰に関する法律1条の3(刑法204条)
未決勾留日数の算入  刑法21条
没     収  刑法19条1項2号,2項本文
訴訟費用の負担 刑事訴訟法181条1項ただし書き
(量刑の理由)
 本件は,被告人が,6年以上同棲し内縁関係にあった被害者に対し,その態度が
気に入らないなどとして,その背部を木刀で力一杯殴り,さらに同女を追いかけて
その顔面を2回殴る暴行を加えて傷害を負わせたものであって,その犯行態様は悪
質であるといわざるを得ない。また,被告人は,前記のとおり,傷害罪の前科2犯
を含め6犯の懲役前科があり,これまでにもささいなことに腹を立てては被害者に
繰り返し暴力を振るっていたことが認められ,その生活態度も芳しくない。加え
て,現時点では何ら慰謝の措置が取られておらず,被害者の処罰感情も厳しいこと
などを考慮すると,被告人の刑事責任には重いものがある。
 そうすると,前記のとおり前刑終了後6年余りが経過していること,被告人を雇
用したことのある知人が,被告人の出所後の住居を確保し,被告人が二度と犯罪を
起こさないよう指導,監督することを約束していることのほか,被告人は,公判廷
において一応反省の弁を述べていることなど,被告人のために酌むべき情状を十分
考慮しても,本件は,刑の執行を猶予すべき事案とは認められず,以上の情状を総
合勘案して,主文のとおり量刑した。
平成14年5月20日
神戸地方裁判所第4刑事部
裁判官  笹野明義

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