弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各上告を棄却する。
         理    由
 被告人A弁護人加久田清正の上告趣意(後記)について。
 同第一点について。
 所論は原判決が憲法三七条二項に違反すると主張するのであるが、原審で主張さ
れず従つて判断を経ていない事項であるから、適法な上告理由と認められない。の
みならず憲法三七条二項の趣旨は、裁判所に被告人側の申請にかかる証人のすべて
を取り調べる義務を負わしめたものでなく、裁判所が必要と認めて許可した証人に
ついての規定であることは、当裁判所の判例とするところである。論旨はこの点に
おいても理由がない(昭和二三年(れ)第八八号同二三年六月二三日大法廷判決、
集二巻七号七三四頁参照)。
 同第二点について。
 所論は事実誤認又は量刑不当の主張であつて刑訴四〇五条の上告理由にあたらな
い。(なお論旨一は被告人が相被告人Bとの共謀の点をしきりに争うけれども、記
録を調べてみると、特に差戻後の第一審公判調書によつても原判決の事実認定に誤
りは認められない。また記録を通じて量刑不当のかどもない。また論旨二の(C)
は本件犯行が刑法五五条廃止前であると主張するが、第一審判決の判示事実によれ
ば被告人の行為は昭和二二年一一月二〇日頃より同年一二月二二日頃までに犯され
たものであることが認められるから明らかに右条項廃止後の犯行である。同(E)
の論旨は公平な裁判の意義について憲法三七条に触れているが、いわゆる公平な裁
判所の裁判とは裁判所の構成その他において不公平のおそれのない裁判所の裁判と
いう意味であることは、すでに当裁判所大法廷判決の判示するところである〔昭和
二三年五月五日言渡〕。論旨(F)において憲法違反の語があるが、その実質は独
自の見解による量刑を主張するに過ぎない。後段において主張する刑法二五条の解
釈は、その一部についてはすでに当裁判所大法廷判決の是認するところであり〔昭
和二五年(あ)第一五九六号同二八年六月一〇日言渡、集七巻六号一四〇四頁参照
〕、また昭和二八年八月一〇日法律第一九五号による改正もあることであるが、所
論はすでにその前提において被告人に対し懲役三年の独自の量刑を想定し議論を進
めるのであるから、判断の限りでない。)
 被告人C弁護人手塚誠の上告趣意(後記)について。
 所論は量刑不当の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由にあたらない。(また
記録を調べても原審の量刑が不当であるとは認められない)
 その他記録を調べても同四一一条を適用すべき事由は認められない。
 よつて同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
  昭和二八年一二月八日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    小   林   俊   三
            裁判官    本   村   善 太 郎

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