弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人御宿和男、同林範夫の上告理由第一及び上告補助参加人代理人溝呂木
商太郎の上告理由について
 一 原審の確定した事実関係は、(一) 昭和五三年四月二四日午前八時三〇分こ
ろ原判示D事務所前の道路上において、被上告人B(以下「被上告人B」という。)
運転の軽四輪貨物自動車(以下「被害車」という。)とDの従業員E運転のフオー
クリフト(以下「本件フオークリフト」という。)のフオークとが衝突し、被上告
人Bは脳挫傷、頭蓋骨骨折、顔面挫創、両眼球損傷の傷害を負つて両眼が失明した
(以下「本件事故」という。)、(二) 上告人は、大型貨物自動車(以下「本件車
両」という。)を所有して運送業を営んでいたところ、同日午前八時前ころ、依頼
された角材を本件車両に積載してD事務所前に到着し、これをD構内の作業所に搬
入しようとしたが、本件車両を右作業所前の空地に駐車することができなかつたの
で、Eと打ち合わせて、これをDとは反対側の道路端に駐車させ、本件フオークリ
フトで角材をDの作業所内に搬入することとした、(三) このため、歩車道の区別
のない幅員四・五メートルの道路の有効幅員は約二・五メートルに狭められた、(
四) 同日午前八時ころ、上告人において本件車両の荷台上でその側方を通過する
車両の有無を監視する態勢をとり、Eにおいて本件フオークリフトを運転して、荷
降ろし作業を開始した、(五) 同日午前八時三〇分ころ、三回目の荷降ろしのため、
Eが、長さ約一・五メートルのフオークが路上に突き出る位置まで進めて本件フオ
ークリフトを前記空地に一旦停止させ、本件車両の荷台の位置に合わせるために上
告人の指示に従いフオークの高さを調整していたところ、本件車両に気をとられて
前方注視をせずその左側を通過しようとした被上告人Bの運転する被害車と前記の
とおり衝突した、(六) 本件車両は、木材運搬に使用する貨物自動車で、その荷台
にはフオークリフトのフオークを挿入するため多くの枕木(角材)が装置されてお
り、フオークリフトによる荷降ろし作業が当然予定されている車両である、という
のである。
 右の事実関係のもとにおいて、原審は、本件事故が本件車両の運行中に生じたも
のであることは明らかであり、また、本件フオークリフトの運転操作と本件車両の
運行とは密接不可分の関係にあり、本件車両の運行と本件事故との間の因果関係を
否定することができないので、本件事故は本件車両の運行によつて生じたものと解
するのが相当である旨判示し、上告人に対し、人的損害について自動車損害賠償保
障法(以下「法」という。)三条に基づく責任を認めている。
 二 しかしながら、原審の右判断は是認することができない。法三条の損害賠償
責任は、自動車の「運行によつて」、すなわち、自動車を「当該装置の用い方に従
い用いることによつて」(法二条二項)他人の生命又は身体を害したときに生じる
ものであるところ、原審の確定した前記の事実関係によれば、本件事故は、被上告
人Bが、被害車を運転中、道路上にフオーク部分を進入させた状態で進路前方左側
の空地に停止中の本件フオークリフトのフオーク部分に被害車を衝突させて発生し
たのであるから、本件車両がフオークリフトによる荷降ろし作業のための枕木を荷
台に装着した木材運搬用の貨物自動車であり、上告人が、荷降ろし作業終了後直ち
に出発する予定で、一般車両の通行する道路に本件車両を駐車させ、本件フオーク
リフトの運転者Eと共同して荷降ろし作業を開始したものであり、本件事故発生当
時、本件フオークリフトが三回目の荷降ろしのため本件車両に向かう途中であつた
など前記の事情があつても、本件事故は、本件車両を当該装置の用い方に従い用い
ることによつて発生したものとはいえないと解するのが相当である。したがつて、
上告人に対し、法三条に基づく責任を認めた原判決には、法令の解釈適用を誤つた
違法があるといわなければならない。
 三 しかし、被上告人らは、上告人に対し本件事故によつて生じた人的損害の賠
償請求についてその請求を理由あらしめる事実として、法三条に規定する要件事実
のほか民法七〇九条に規定する要件事実をも主張しており、原審は本件事故が上告
人の過失によつて惹起されたものであることをも認定判断しているところ、後に説
示するとおり右の認定判断は正当として是認することができるので、上告人は人的
損害についても賠償責任を負うものであり、前記の違法は原判決の結論には影響を
及ぼさないというべきであるから、結局、論旨は採用することができない。
 上告代理人御宿和男、同林範夫の上告理由第二ないし第四について
 所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当とし
て是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、原審
の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するか、又は独自の見解に基づ
き若しくは原審の裁量に属する過失相殺の割合について原判決を論難するものにす
ぎず、採用することができない。
 よつて、民訴法四〇一条、三九六条、三八四条二項、九五条、八九条に従い、裁
判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    四 ツ 谷       巖
            裁判官    角   田   禮 次 郎
            裁判官    大   内   恒   夫
            裁判官    佐   藤   哲   郎

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