弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

主      文
1 原告らの被告B及び被告Cに対する請求並びに被告Eに対するPRビデオ作
成及び複製費用,仮処分事件の弁護士費用及び民有地買収費用に関する
請求をいずれも却下する。
2 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。
3 訴訟費用及び参加費用はいずれも原告らの負担とする。
事実及び理由
第1 請求
被告らは,久留米市に対し,連帯して金1億0058万9912円及びこれに対する平
成9年8月1日から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
本件は,久留米市民である原告らが,市長等市の職員である被告らに対し,市の
一般廃棄物最終処分場の設置計画が違法であり,同人らが,その設置計画に関与
し,財務会計上の行為をしたとして,その建設予定地の購入費用等相当額の損害賠
償を,地方自治法242条の2第1項4号に基づき久留米市に代位して求めた事案で
ある。
1 争いのない事実等
以下の事実は,当事者間に争いがないか,又は括弧内標記の証拠によって容易
に認定することができる。
(1) 当事者
ア 原告らは,久留米市の住民である。
イ 被告らは,平成8年度(平成8年4月1日から平成9年3月31日まで),久留米
市においてそれぞれ以下の地位にあった。
(ア) 被告A  市長
(イ) 被告B  助役
(ウ) 被告C  助役
(エ) 被告D  収入役
(オ) 被告E  清掃部部長
(カ) 被告F  清掃部次長
(2) 久留米市の一般廃棄物最終処分場建設計画
久留米市は,平成8年2月4日,以下のような一般廃棄物最終処分場建設計画
をたてた(以下「本件計画」といい,その建設される処分場を「本件処分場」,その建
設予定地を「本件処分場予定地」という。)。(丙60,67)
ア 埋立地  久留米市a町b地区
イ 供用年数  15年以内
ウ 埋立容量  約47万立方メートル
エ 開発面積  9.5ヘクタール
(3) 本件公金支出行為
久留米市は,平成8年度,別紙公金支出一覧表1番ないし12番(以下それぞれ
の支出を「本件支出1番」「本件支出2番」等という。)記載のとおり,公金を支出し
た。それぞれの支出の目的は以下のとおりである。
ア 本件支出1番及び2番
本件処分場のPRビデオ(以下「本件PRビデオ」という。)の作成及び複製料
金である。
イ 本件支出3番ないし5番
久留米市が平成9年1月25日から実施予定であったb埋立地事業区域の用
地測量及び立木調査に関し,福岡地方裁判所久留米支部に申し立てた通行妨
害禁止の仮処分及び測量妨害禁止の仮処分事件(同支部平成9年(ヨ)第4号,
第13号,第22号)の弁護士費用(以下あわせて「本件仮処分費用」という。)で
ある。
ウ 本件支出6番
前記用地測量及び立木調査の委託経費(以下「本件測量委託費用」という。)
である。
エ 本件支出7番ないし12番
事業区域周辺地域の民有地の買収費用(以下「本件民有地買収費用」とい
う。)である。なお,7番ないし12番の個々の支出額は特定できない。
(4) 原告らは,平成9年4月22日,久留米市監査委員に対し,本件各支出につき監
査請求をしたところ,久留米市監査委員は,同年6月19日,監査請求を棄却する
旨決定した。
(5) 原告らは,同年7月14日,当裁判所に対し,本件訴訟を提起した。
2 争点
本件の争点は,①被告らの被告適格,②本件公金支出行為の違法性の有無,③
(本件各支出が違法とされた場合の)被告らの責任である。
3 争点に対する当事者の主張
(1) ①被告らの被告適格について
ア 被告ら及び参加人の主張
(ア) 本件支出1番について
本件支出1番の本件PRビデオ作成費用は,契約締結決裁者は被告E,支
出負担行為決裁者は被告F,支出命令決裁者は被告F,支出権者は被告Dで
ある。よって,被告B及び被告Cは本件支出1番に関し,何らの権限も有して
いないから,原告らの前記両名に対する請求はいずれも不適法である。
(イ) 本件支出2番について
本件支出2番の本件PRビデオ複製費用は,契約締結決裁者は建設課
長,支出負担行為決裁者は被告F,支出命令決裁者は被告F,支出権者は被
告Dである。よって,被告B,被告C及び被告Eは本件支出2番に関し,何らの
権限も有していないから,原告らの前記3名に対する請求はいずれも不適法
である。
(ウ) 本件支出3番ないし5番について
本件支出3番ないし5番の本件仮処分費用は,契約締結決裁者,支出負
担行為決裁者及び支出命令決裁者はいずれも被告F,支出権者は被告Dで
ある。よって,被告B,被告C及び被告Eは本件支出3番ないし5番に関し,何
らの権限も有していないから,原告らの前記3名に対する請求はいずれも不
適法である。
(エ) 本件支出6番
本件支出6番の本件測量委託費用は,契約締結決裁者は被告E,支出負
担行為決裁者は被告F,支出命令決裁者は被告F,支出権者は被告Dであ
る。よって,被告B及び被告Cは本件支出6番に関し,何らの権限も有してい
ないから,原告らの前記両名に対する請求はいずれも不適法である。
(オ) 本件支出7番ないし12番
本件支出7番ないし12番の本件民有地買収費用は,契約締結決裁者は
被告A,支出負担行為決裁者は被告F,支出命令決裁者は被告F,支出権者
は被告Dである。よって,被告B,被告C及び被告Eは本件支出7番ないし12
番に関し,何らの権限も有していないから,原告らの前記3名に対する請求は
いずれも不適法である。
(カ) 被告ら全員の責任について
被告Aの本件計画の策定には何らの違法はなく,その余の被告らについて
も置かれた状況は被告Aと同様であるから,その余の被告らも何ら違法はな
い。
また,本件計画の最終的な決裁は被告Aが行ったのであり,被告Aの補助
機関であるその余の被告らはその権限による財務会計行為をしない限り,本
件計画に関与しただけでは「当該職員」に該当しない。
さらに,本件公金支出行為はいずれも法令に従ったものであり,固有の違
法性がない限り何ら違法と評されるものではないから,被告らに責任はない。
イ 原告らの主張
(ア) 本件支出1番について
本件支出1番の本件PRビデオ作成費用は,被告Eの専決行為であるか
ら,被告Eが専決権者として責任を負う。
(イ) 本件支出2番について
本件支出2番の本件PRビデオ複製費用は,前記(ア)に付随したとすれば被
告Eの,別途契約であるとすれば被告Fの専決行為であるから,両名のいず
れかが専決権者として責任を負う。
(ウ) 本件支出3番ないし5番について
本件支出3番ないし5番の本件仮処分費用については,専決権者はいな
い。
(エ) 本件支出6番
本件支出6番の本件測量委託費用は,被告Eの専決行為であるから,被
告Eが専決権者として責任を負う。
(オ) 本件支出7番ないし12番
本件支出7番ないし12番の本件民有地買収費用は,価格が不明のため
判然としないが,被告B,被告C又は被告Eのいずれかが専決権者であるか
ら,いずれかが専決権者としての責任を負う。
(カ) 被告ら全員の責任について
本件計画は,被告E,被告Fらが立案し,被告A,被告B及び被告Cが承認
している。
また,本件計画に伴う本件公金支出は,被告E,被告Fらが作成し,被告ら
全員が承認している。
被告らは,いずれも本件処分場予定地に入会権が存在すること(少なくとも
住民がそう主張していること),本件財産区議会が本件計画に反対し,どのよ
うな形でも協力を拒んでいたこと,その趣旨の決議を繰り返し行っていたこと,
本件計画について安全性に疑念があること(少なくとも住民がそう主張し,安
全性について明らかにすべきであると主張していたこと)等を十分に熟知して
いた。
しかし,被告らは,共同して本件計画を立案し,その実行を承認し,計画の
実現に向けて本件公金支出行為を行った。
そうすると,被告らは,いずれも本件公金支出行為が違法であることを十分
認識し,少なくとも認識すべきであったにもかかわらず,本件公金支出行為を
行ったというべきである。よって,被告らには,連帯して公金支出相当額の損
害賠償責任がある。
(2) ②本件各支出の違法性について
ア 原告らの主張
(ア) 本件計画の違法性について
本件処分場を設置する本件計画は,安全性が確保されておらず,実現性
を欠き,また必要性が無かったのであり,本件計画に関し本件公金支出行為
をしたことは裁量権を逸脱するものとして違法である。
仮に,本件公金支出行為自体必要性があるとしても,本件計画の当時に
支出する必要はなく,不必要に支出を早く行った点で違法である。
a 本件処分場の安全性
本件処分場は,住民の人格権を侵害する危険な施設であり,そのような
施設を設置することは当然に違法である。
b 本件処分場の実現性
(a) 本件処分場予定地の一部は,a部落住民の入会地であり,所有権はa
部落住民にあるか,仮にそうでないとしても前記住民の地役入会権が存
在する。
しかし,久留米市は,a部落住民の同意を得ておらず,したがって久留
米市には本件処分場を設置する正当な権限がない。
仮に前記入会権が存在しないとすれば,本件処分場予定地は名実と
もに久留米市a財産区(以下「本件財産区」という。)の所有地となるの
で,久留米市は,本件財産区から本件処分場予定地を処分場として利
用するための何らかの権限を取得する必要がある。この点につき,久留
米市は平成9年の交換契約(以下「本件交換契約」という。)に基づいて
本件処分場予定地の所有権を取得した旨主張する。しかし,本件交換
契約については地方自治法96条1項6号,237条2項に基づく本件財
産区議会の決議を要するところ,この決議を経ておらず本件交換契約は
明らかに違法かつ無効である。また,久留米市は本件交換契約につき
本件財産区議会の決議を要しない場合である旨主張するが,本件財産
区議会は包括的事前承認を個別撤回していること,公共目的について
の本件財産区議会の解釈権を侵害するものであること,形式的に双方
代理行為であること,実質的にも利益相反行為であること,住民の公共
の福祉を害すること,交換用地の評価が適正でないことの事情によれ
ば,久留米市の反論は成立しない。
(b) 本件処分場予定地の一部は,もともと,名義上は本件財産区所有であ
ったが,久留米市は,本件財産区議会の決議を得ることなく同市名義に
所有権移転登記手続をしている。その登記は当然無効であり,そもそも
所有権自体久留米市に移転していない。
(c) 本件処分場予定地の大部分は保安林であるところ,久留米市は,保安
林解除の具体的見込みがないにもかかわらず,その手当をせずに事業
を進めようとした。
したがって,久留米市には本件処分場を設置する正当な権限がな
い。
(d) 以上のように,設置の見込みのない施設の設置のために本件公金を
支出しており,当然に違法である。
c 本件処分場の必要性
被告らは,平成8年2月時点で,本件計画を決定せざるを得ない切迫し
た状況にあった旨主張するが,以下に主張するとおり,平成8年2月時点
においては,本件計画を決定せざるを得ない切迫した状況にはなく,又は
仮にそのような状況にあったとしても本件計画において策定された規模の
施設の必要性がなかった。
すなわち,平成8年2月時点において,処分場を早急に設置する切迫性
はなく,また本件計画にある規模の処分場を設置する必要性もなかったこ
とは,①平成13年3月時点において新しい処分場が供用開始となっておら
ず,久留米市が非常事態に陥ると主張していた平成12年3月を経過した
にもかかわらず,今なお久留米市はごみ処分場不足に陥っていないこと,
②久留米市は平成11年8月,本件計画と同様供用期間15年としながら
も,埋立容量20万立方メートルとする新たな計画を立てたことの2点から
明らかである。
切迫性につき,久留米市は,平成8年2月時点において,今すぐ処分場
建設に着手しなければならないと判断しているが,処分場建設にはすぐに
着手することはできず,平成13年3月の時点においても非常事態は起きて
おらず,熊本県菊池市に一般廃棄物最終処分場を有する民間業者にごみ
処理を委託することによって乗り切っている。現在のこの選択は,平成8年
2月時点においても考慮可能な選択肢であり,現在の選択を平成8年2月
時点でとっていれば本件公金支出行為は不要であった。
規模につき,久留米市は,平成8年2月時点において,ごみが減量され
つつあり,また減量に資する制度の導入が予定されていたこと等からすれ
ば,ごみの減量を予測し,あるいは容易に予測可能であったにもかかわら
ずこれを怠り,本件計画において将来のごみ量を過大に予測した。これら
ごみ減量の施策を実施すれば本件計画よりも容量の少ない処分場で十分
であり,また当時供用していた処分場の使用可能期間も延びたのであっ
て,平成8年2月時点に埋立容量50立方メートルの規模の処分場を早急
に設置する必要はなく,このために支出された本件各公金は違法である。
(イ) 財務会計行為と違法性
a 各支出特有の違法性
(a) 本件支出1番及び2番
本件処分場について,市民の理解を得る必要があるのであれば,直
接対話をして理解を求めるべきである。本件PRビデオは,処分場のイメ
ージを実際以上に良く見せかけたものであり,まさしく宣伝ビデオに過ぎ
ず,このようなビデオを作成する必要性は全くない。仮に作成する必要
があるならば,事実に即した正確なビデオを作成すべきである。
この点で,本件支出1番及び2番は違法である。
(b) 本件支出3番ないし5番
本件仮処分費用は,久留米市と話し合いを求める市民に対して,一
方的に通行又は測量を妨害していると決めつけ,何ら話し合いをするこ
となく,その妨害排除を求めて仮処分の申立てをしたことによって生じた
ものであるから,本件支出3番ないし5番は違法である。
(c) 本件支出6番
本件測量委託費用は,主に本件財産区名義の土地に対する測量に
関するものであるところ,この測量については本件財産区の同意も住民
の同意も得ていない。したがって,他人の土地に所有者の承諾がないま
ま,勝手に立ち入って行った違法な測量である。この点で,本件支出6番
は違法である。
b 財務会計行為と違法性
支出行為の前提となる行為が違法としても,必ずしも支出行為自体が違
法になるわけではないと理論的にはあり得ても,本件においては,被告ら
はいずれも自分の行った支出行為の意味,つまり必要性がないこと,危険
な施設に対する負担であること,実現性のないことを十分に認識して行った
ものであるから,本件では責任を負う。
イ 被告ら及び参加人の主張
(ア) 本件計画の適法性について
本件公金支出行為については,いずれも裁量権の逸脱はなく,違法ではな
い。
a 本件処分場の安全性
久留米市は,本件計画を実施するにあたり,市民の生命,身体,環境へ
の被害等をもたらすことがないような安全性確保のシステムの構築を最大
の眼目としていることはいうまでもない。埋立物の安全性の確保,埋立施
設の安全性確保,検知監視体制等これらを総合的,一体的なシステムとし
て機能させることにより,安全性確保に万全を期している。
埋立物の安全性について,本件処分場で埋立処分するものは,家庭等
から排出される可燃物をeクリーンセンターで焼却した後の焼却灰及び不
燃物のみであり,下水道の汚泥,産業廃棄物等の埋め立ては行わない。
埋立物の安全性について,厚生省の廃棄物最終処分場指針を遵守し,
諸法令の基準を遥かに上回る対策を講じるものである。最も重要な水質汚
濁防止策については,多重構造シート,不透水性改良地盤等の複合しゃ水
構造とし,浸出水は,河川に流さず公共下水道に直接放流することとし,下
水道法の流水水質基準に適合させる。さらに,浸出水が地下水に侵入した
場合に備えての検知システムを設け,また,住民,専門家参加の安全監視
体制も確立し,周辺環境汚染を防止する。
b 本件処分場の実現性
(a) 原告らは,a部落住民の入会権を侵害している旨主張するが,そもそも
入会集団であるa部落自体が存在しないから,入会権者の承諾,譲渡,
放棄等は問題にならない。
また,本件交換契約に関し,本件財産区議会の議決は得ていない
が,本件交換契約は,久留米市a財産区区有財産の管理及び処分に関
する条例(昭和39年3月17日久留米市条例第1号)3条に基づいて締
結されたものであり,同条では財産区議会の議決は要件とされていな
い。前記条例に基づき,本件財産区の一定の財産につき管理者の専決
処分が認められており,本件交換契約はこれに基づくものである。そし
て,本件財産区議会の反対決議は存在せず,公共目的の解釈権限は
管理者にある。また,権限の委任により双方代理は成立せず,本来的に
本件交換契約においては利益相反も成立しない。本件処分場は住民の
公共の福祉を増進するものであり,交換用地評価についても専門家に
依頼して評価しており適正である。
c 本件処分場の必要性
平成8年2月時点において,本件場所に本件処分場を設置するとの判
断には合理性があった。
(a) 平成8年当時における久留米市の現状認識について
<ア> ごみ量の概略
久留米市における平成4年度から6年度までの埋
立処理をしたごみの量は以下のとおりであった。
年度総ごみ量埋立量
平成4年度9万4015トン3万4502トン
平成5年度8万1338トン2万0391トン
平成6年度8万8654トン2万0573トン
<イ> 埋立地の状況等
 久留米市は,平成5年2月15日,a町c地区に
ある埋立地(以下「現埋立地」という。)の残余容量の測量及び試算を
行ったが,残余容量は13万9000立方メートルであった。
前記<ア>の推移及び予測に基づいて埋立可能性を計算したとこ
ろ,以下のとおりとなった(なお,平成4年度は平成5年2月16日から
同年3月31日までのもの,不燃物重量,焼却灰重量及び容積は当該
年度におけるごみ量の総量,残余容量は当該年度末の時点でのもの
である。)。
年 度不燃物重量(t)焼却灰重量(t)容積(m3)残余容量(m3)
平成 4  170013万7300
 51万03001万01002万400011万3100
 6  78001万28002万3800 8万9300
 7  84001万29002万4800 6万4500
 889001万30002万5400 3万9100
 993001万32002万6200 1万2900
1098001万34002万7100▲1万4200
<ウ> 計画までの流れ
久留米市は,昭和50年代半ばころから,現埋立地が近い将来満
杯になるとの予測のもと,昭和58年ころから候補地の調査選定に着
手し,昭和63年にはd地区を候補地として選定,平成3,4年に同地
区の環境評価を行ったが,住民の反対運動が起こった。
それまでの間,久留米市は,現埋立地の擁壁工事による現埋立地
の延命措置,瓶,缶等の分別収集,eクリーンセンター竣工によるごみ
の全量焼却体制の確立等の対策をとってきていた。
平成7年2月,被告Aが久留米市長に就任し,同年7月,市民各層
による「ごみ問題協議会」(以下「本件協議会」という。)を設置した。本
件協議会は,同年11月14日,「埋立地は必要であり,埋立期間を1
5年として,緊急を要するため,早急に市が立地を確定して整備する
こと」との提言を被告Aに行った。
この提言を受けて久留米市及び被告Aは,①埋立期間15年,②容
量50万立方メートル,③用地取得の可能性,容易性,④環境保全と
安全性,⑤建築の経済性の条件を付加して,候補地の選定を始め,
本件計画を策定した。
(b) 判断の適法性について
<ア> 候補地の選定について
久留米市は,自市のごみの処理を他の自治体に持ち込むことは許
されないとの認識のもと,自市内での処理を前提に調査をし,本件処
分場予定地を含む計6か所の候補地を選定した。
埋立地の形態については,平地埋立等と比較検討した結果,山間
埋立が妥当と判断し,候補地を探し,耳納北麓と耳納南麓について,
埋立効率,搬入道路の取り付けの難易度等比較した結果,耳納南麓
の本件処分場予定地を候補地とした。
<イ> 選定時期について
久留米市は,現埋立地が平成11年半ばころには満杯になると予
想し,それまでには5年弱の時間しか残っておらず,現埋立地が満杯
になる前に新最終処分場を建設しておく必要があった。
このような時間的な制約の面も含め,候補地を検討し,現在の規模
に縮小した処分場設置計画を発表した。
<ウ> 規模について
久留米市は過去のデータを元に,将来の最終処分を行う必要が出
てくる焼却灰の量について予想し,これをもとに容量200万立方メー
トル,開発面積20ヘクタール,埋立期間50年の規模のものの建設を
計画した(以下「旧計画」という。)。
しかし,市民の耳納山系の自然環境の保全に対する要望に配慮
し,容量を47万立方メートル,開発面積を9.5ヘクタールに縮小し,
埋立期間も15年とした本件計画を立案した。
<エ> 必要性の判断について
原告らは,その後の埋立必要量の減少をもとに,現計画は過大で
不必要な規模の建設計画であると主張するが,
<A> 平成8年当時は,未だ現行の家庭ごみの17種分別の収集は行
われておらず,17種分別収集は検討課題とはなっていたものの,
現実に施行されていたわけではないこと
<B> 仮に17種分別収集が開始されていたとしても,確実にどれだけ
のごみ量が減少するかは予測がつかなかったこと
<C> 今後家庭から排出される一般家庭ごみ等の完全なリサイクルが
当面の間(少なくとも平成8年当時から15年以内)に達成されるこ
とは考えられず,将来においてもごみの排出は存続し,それに伴い
当然にごみの焼却及び焼却灰の埋め立ての問題は起き得ること
<D> 埋立期間が短期で終了するような埋立能力しか有しない埋立地
を多数建設することは行政の効率ないし経済性の観点から容認し
がたいこと
<E> 埋立地建設には多大のコストと時間がかかり,たとえ計画しても
それがスムーズに建設に至るという保証はないこと
<F> 管轄区内の一般廃棄物(ごみ)処理について権限と責任を有す
る行政当局としては,今回のような現行埋立地の埋立期限切れ,
他県への緊急処理委託という同じ轍を踏むということはできないこ

といった諸点を考慮すれば,本件計画は極めて合理的なものである。
(イ) 財務会計行為と違法性
a 各支出特有の違法性
(a) 本件支出1番及び2番
久留米市が実施しようとする公共政策について住民への広報活動を
することは当然であり,その方法についてどのような手段を選択するか
は,当該行政庁の裁量に委ねられる。
(b) 本件支出3番ないし5番
本件仮処分費用は,原告らの一部を含む住民が通行妨害や測量妨
害を約50日間にわたって続けたため,やむなく仮処分の申立てをしたこ
とによるものであり,これらの妨害がなければその必要がなかったもの
である。この費用は,妨害者に対し損害賠償を求めるべき性質のもので
あって,市民生活防衛のため職務として支出事務に従事した被告らに何
ら市への返還義務がないのはいうまでもない。
前記仮処分申立てが全て認容されたところからも,本件仮処分費用
の支出は適法である。
(c) 本件支出6番
本件測量委託費用は,当初は618万円の予定であったが,前記のと
おり約50日間の妨害によって日程が大幅に長期化したため,結果とし
て設計変更し,234万6340円を上乗せして852万6340円の支出を
余儀なくされた。本件計画遂行のための費用であり,適法である。
(d) 本件支出7番ないし12番
本件民有地買収費用は,事業区域周辺地域を環境保全林とし,同地
域内の民有地を順次市が買収し,本件財産区が所有する同地域内の土
地と一体となって自然環境を保全することとし,平成8年12月に,その
事業の一環として民有地を買収した費用である。
この買収について,久留米市議会の議決を経ている。
b 財務会計行為と違法性
そもそも本件計画は財務会計行為ではないから,住民訴訟の対象足り
得ない。また,本件計画が住民訴訟の対象となるとしても,違法性はない。
仮に原因となった行為(本件計画)が違法であったとしても,本件公金支
出が直ちに違法となることはない。
本件支出1番及び2番については,確かに本件計画がその動機目的と
なるが,製作会社との請負契約の締結という支出負担行為の原因とはなっ
ておらず,本件計画そのものの適否は問題とならない。
本件支出3番ないし5番については,直接の支出負担行為の原因となっ
たのは測量への妨害行為であり,処分場設置計画そのものの適否は問題
とならない。
本件支出6番については,確かに本件計画がその動機目的となるが,
測量会社との請負契約の締結という支出負担行為の原因とはなっておら
ず,本件計画そのものの適否は問題とならない。
本件支出7番ないし12番については,本件計画がその動機目的となる
が,地権者との売買契約という支出負担行為の原因とはなっておらず,本
件計画そのものの適否は問題とならない。
(3) ③被告らの責任について
ア 原告らの主張
前記(1)で主張のとおり,本件公金支出行為につき,専決して財務会計行為を
行った者は,専決行為者として責任を負う。
また,前記(2)で主張のとおり,本件は,被告らが連帯して,必要もない本件処
分場があたかも必要不可欠であるかのように装い,必要もない費用を久留米市
に支出させた事案である。
したがって,被告らは連帯して,久留米市に対して,損害賠償責任を負う。
イ 被告ら及び参加人の主張
(ア) 専決権者について
前記(1)で主張のとおり,被告B及び被告Cは,本件各支出の財務会計行
為に関与していないから,そもそも責任を負わない。また,被告Eは,本件支
出2番ないし5番及び7番ないし12番につき,財務会計行為に関与していな
いから,同様に責任を負わない。
(イ) 補助職員について
本件計画は,被告Aの権限及び責任において策定されたものであり,その
計画の遂行は,内部的には市長の職務命令としての性質を有するところ,職
制上,専決権者は,上位権限者の職務命令に反することができない。そして,
職務命令が違法であると考える職員がこれを拒否できる場合は,当該職務命
令の違法性が重大でありかつ明白である場合に限られるところ,本件計画の
策定がこの場合に該当するとは到底言い難い。よって,被告E及び被告Fの
本件公金支出行為に関する専決行為に違法性はない。
(ウ) 収入役について
収入役の被告Dは,その権限行使にあたり,当該行為の法令適合性と予
算に基づくものであるか否かの審査を求められるところ,原因行為の違法性
までの違法性審査義務を負うものではない。よって,被告Dの本件公金支出
行為に関する支出行為に違法性はない。
(エ) 市長について
市長の被告Aは,法令上本来的に本件公金支出行為についての権限を有
する者であるが,前記のとおり,本件公金支出行為に違法性はない。
(オ) 故意・重過失について
当該職員については,故意又は重過失がある場合に責任を負うところ,被
告Aについて,故意又は重過失の存在を示す証拠はなく,補助職員であるそ
の余の被告らについては,その職制上,故意又は重過失の存在を認めること
は困難である。
第3 争点に対する判断
1 ①被告らの被告適格について
(1) 当事者間に争いのない事実並びに証拠(甲62の1及び2,64,65の1ないし6,
丙87)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実を認めることができる。
ア 本件支出1番について
本件支出1番のビデオ作成費用は,支出負担行為決裁者及び支出命令決裁
者は被告F,支出権者は被告Dである。
イ 本件支出2番について
本件支出2番のビデオ複製費用は,支出負担行為決裁者及び支出命令決裁
者は被告F,支出権者は被告Dである。
ウ 本件支出3番ないし5番について
本件支出3番ないし5番の本件仮処分費用は,支出負担行為決裁者及び支
出命令決裁者はいずれも被告F,支出権者は被告Dである。
エ 本件支出6番
本件支出6番の本件測量業務委託費用は,支出負担行為決裁者は被告E,
支出命令決裁者は被告F,支出権者は被告Dである。
オ 本件支出7番ないし12番
本件支出7番ないし12番の本件民有地買収費用は,支出負担行為決裁者
及び支出命令決裁者は被告F,支出権者は被告Dである。
(2) 以上によれば,被告B及び被告Cは,本件公金支出行為のいずれについても関
与しておらず,地方自治法242条の2第1項4号前段の「当該職員」に該当しない
ことは明らかである。よって,原告らの前記両名に対する請求はいずれも不適法で
ある。
また,被告Eは,本件支出6番以外の公金支出行為には関与しておらず,これら
に関しては「当該職員」に該当しない。よって,原告らの被告Eに対する本件支出1
番ないし5番及び7番ないし12番に関する請求はいずれも不適法である。
(3) この点につき,原告らは,被告らは,共同して本件計画を立案し,その実行を承
認し,計画の実現に向けて,いずれも本件公金支出行為が違法であることを十分
認識し,少なくとも認識すべきであったにもかかわらず,本件公金支出行為を行っ
たから,被告らは連帯して責任を負うべき旨主張する。しかし,地方自治法242条
の2に基づく住民訴訟は,普通地方公共団体の執行機関又は職員による同法24
2条1項所定の財務会計上の違法な行為又は怠る事実の予防又は是正を裁判所
に請求する権能を住民に与え,もって地方財務行政の適正な運営を確保すること
を目的とするものである。そして,同法242条の2第1項4号の規定に基づく代位
請求にかかる当該職員に対する損害賠償請求訴訟は,このような住民訴訟の一
類型として,財務会計上の行為を行う権限を有する当該職員に対し,職務上の義
務に違反する財務会計上の行為による当該職員の個人としての損害賠償義務の
履行を求めるものに他ならない(最高裁第3小法廷平成4年12月15日判決・民集
46巻9号2753頁参照)。以上によれば,財務会計行為に関わる当該職員のみが
被告適格を有するというべきであり,当該職員には,当該普通地方公共団体の内
部において,訓令等の事務処理上の明確な定めにより,当該財務会計上の行為に
つき法令上権限を有する者からあらかじめ専決することを委任され,その権限行使
についての意思決定を行うとされている者も含まれるが(最高裁第2小法廷平成3
年12月20日判決・判時1411号27頁参照),これに当たらない者は,同条所定
の当該職員に該当しない。よって,財務会計行為に関わっていない前記(2)の者を
被告とすることはできない。原告らの主張は採用できない。
2 ②本件公金支出行為の違法性について
(1) 本件計画が住民訴訟の対象となるかについて
被告ら及び参加人は,本件計画は財務会計行為でない以上,住民訴訟の対象
足り得ない旨主張する。
しかし,原因行為につき,普通地方公共団体の長がこれを取り消し,あるいは変
更する権限を有している場合には,これが違法なものであれば,長はこれを取り消
すべきものと解されるから,長が,原因行為が違法であるのにこれを取り消すこと
なく,これを前提とする財務会計上の行為をしたとすれば,長が職務上負担する財
務会計法規上の誠実執行義務違反があることになり,長は賠償責任を負うと解す
べきである。
本件において見るに,本件計画及び本件公金支出行為の主体が久留米市と同
一であること,本件計画は被告ら及び参加人が自認するように市長である被告Aの
権限及び責任によって策定されたものであり,被告Aには,本件計画の取り消し,
変更の権限もまた存することが認められること,本件計画は本件公金支出行為の
前提となるいわば原因行為たるものであることに照らせば,本件計画の違法・適法
が本件公金支出行為の違法・適法に影響する関係にあるということができる。よっ
て,本件計画が違法であるか否かを検討する必要がある。これに反する被告ら及
び参加人の主張は採用できない。
(2) 当事者間に争いのない事実並びに証拠(甲2,19の1及び2,25の3及び4,58
の2,68,丙3,11,12,14ないし19,60,65,67ないし71,74,79,82,93
の1,被告F)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実を認めることができる。
ア 久留米市の平成8年時点の埋立地の状況について
(ア) 現埋立地の状況について
久留米市は,昭和47年から,a町c地区にある埋立地(現埋立地)におい
て,ごみの焼却施設から出る焼却灰と不燃ごみを埋め立ててきた。当初は,
焼却施設の焼却能力不足により,全量の焼却ができないため,本来焼却処
理をして埋め立てるべき可燃ごみの一部について,未焼却のまま不燃ごみと
合わせて埋め立てを行ってきた。
平成5年,1日300トンの処理能力を持つeクリーンセンターの新規焼却炉
が稼働を開始し,未焼却可燃ごみの埋め立てという事態は解消した。
現埋立地は,昭和47年当初の計画では,埋立容量約57万立方メートルと
いうことで埋め立てを開始した。
平成5年2月15日,残余容量について推計を行ったところ,13万9000立
方メートルであった。
(イ) 埋立地の延命施策について
現埋立地延命化の施策として,昭和62年3月から,焼却灰の市外への持
ち出し処理を民間業者に委託し,さらに埋め立てるべき不燃ごみについても
平成4年2月から同年6月まで,市外への持ち出し処理を行った。
また,平成元年4月から,事業者が排出する不燃ごみ(一般廃棄物)につい
て,処分場への受け入れ停止措置を執り,現在も受け入れを停止している。
さらに,後記のごみ減量・リサイクル施策を実施し,また,平成2年及び3年
度に処分場の周囲に擁壁を築造する等して拡張工事を行い容量拡大を図っ
た。
しかし,平成3年には,台風17号及び19号による住宅棟の被害で,がれ
き等の不燃ごみ約1万2000トン(不燃物の約1年分)の埋め立てをしなけれ
ばならなくなった。
(ウ) 地元との使用期限更新について
久留米市は,昭和47年から,現埋立地の関係地元であるc地区及びf地区
の2地区並びにg地区水利組合と使用期限(昭和47年4月1日から昭和54
年3月31日まで)について覚書を締結した。以後,平成8年3月31日まで,4
回の更新を行ってきた。そして,f地区との間で平成9年3月31日まで,g地区
水利組合との間で平成11年3月31日までの更新ができたが,c地区との間
では,平成8年4月1日以降の覚書の更新をすることはできなかった。しかし,
久留米市は埋め立てを平成12年3月31日まで継続した。
(エ) ごみ処理の現状について
久留米市は,新規処分場が完成するまでの間,市域外処理を決定し,平
成11年4月から焼却灰を,平成12年4月からは不燃ごみについても,熊本
県菊池市に一般廃棄物最終処分場を有する民間業者であるG
株式会社に,平成11年度から13年度までの3年間,委託処理をした。
(オ) 久留米市のごみ減量・リサイクル施策
久留米市は,以下のようなごみ減量・リサイクルの施策を実施してきた。
平成3年10月  資源ごみ分別収集(27校区中23校区)
平成4年9月   資源ごみ分別収集(全校区)
平成5年4月   家庭ごみ有料指定ごみ袋導入,ごみ集積所登録制
度,小・中学校空き缶回収事業
平成6年5月   リサイクルホットライン開設
平成8年4月   古布・公園の樹木剪定枝回収,事業系ごみ処理手数
料値上げ
平成9年4月   事業系ごみ有料指定袋制度,粗大ごみ個別単品収集
平成10年4月  17種分別収集,分別推進員制度
(カ) 平成8年当時のごみ処理状況
平成5年のeクリーンセンターの稼働開始により,それまで中間処理してい
た収集可燃ごみと直接搬入可燃ごみに加えて可燃性粗大ごみも破砕後焼却
していた。
収集不燃ごみ(粗大ごみを含む。)は最終処分場に埋め立てていた。
直接搬入の不燃ごみ(粗大ごみを含む。)も,昭和63年度まで同様の処分
をしていたが,前記のとおり平成元年度からは,そのうちの事業系ごみは受
け入れを停止した。
久留米市が直営で収集していた家庭系ごみは,可燃ごみ(指定袋で週2
回),不燃ごみ(指定袋で月1回),資源ごみ(月2回),有害ごみ(可燃ごみ,
不燃ごみ収集日),粗大ごみ(年2回)の5種類をステーション方式により分別
収集を行っており,そのうち粗大ごみについては,可燃粗大,不燃粗大,金属
類に分けて収集・運搬を行っていた。直接搬入可燃ごみのうち,事業系の可
燃ごみは,事業者の自己搬入を除き,許可制度により許可業者がeクリーン
センターに搬入していた。
なお,事業系ごみは,1日の平均排出量が10キログラム以下(指定袋2袋
まで)は,家庭系ごみと合わせて処理をしていた。
イ 本件計画に至る経緯
(ア) 久留米市は,次期埋立地として,3期計画,埋立容量200万立方メートル,
開発面積20ヘクタール,埋め立て期間50年との計画(旧計画)を立てた。
(イ) 久留米市は,埋立地の残余容量の減少に伴い,昭和60年ころから次期埋
立地の候補地の選定に着手した。そして,当時全国的にみて埋立地は山間・
丘陵地に立地していたこと,平地では埋立容量を確保するのに広大な農地を
必要とすることから,山間部を中心に検討した。市内では南東部の耳納山系
しか山間部はなく,北斜面は傾斜がきつく埋め立て効率が悪く,搬入道路の
取り付けも困難であるのに対し,南斜面は傾斜も緩く谷も深いことから,南斜
面がより適していると判断し,南斜面の谷の中で,地形,周辺条件,埋立容量
等を総合的に検討した結果,埋め立て場所としてb地区を選定した。
その後,昭和63年,本件財産区に対し,協力の要請を行った。
(ウ) 久留米市は,平成3年6月から平成4年3月を調査期間として,久留米市a
町b地区において環境影響調査を実施した。
久留米市は,平成5,6年度に測量調査,地質調査,立木調査を実施し,
平成6年12月には第1期計画(15年分,埋立容量50万立方メートル)の実
施計画を完了した。
(エ) 平成7年2月,旧計画の見直しを公約に掲げた被告Aが市長に当選した。
(オ) 久留米市は,平成7年7月,久留米市のごみ問題について,市民及び行政
が一体となって調査,研究,協議することにより,廃棄物循環型社会を目指し
た清掃行政を推進するため,久留米市ごみ問題協議会(本件協議会)を設置
した。
本件協議会は,市民団体,学識経験者,久留米市議会,行政各層からの
合計34名の委員によって構成され,平成7年7月11日から協議会を開催し
て協議を重ねていった。
(カ) 本件協議会は,平成7年9月13日,被告Aに対し,中間報告として,以下の
ような提言をした。
a ごみ減量・リサイクルの推進の一環として,事業系ごみ減量対策(自己処
理の範囲や処理手数料の見直し等),リサイクル対象の拡大,ごみ収集方
法(不燃・粗大ごみ収集形態,全てのごみ収集袋のあり方等)を検討するこ
と。
b 久留米市に適した新技術の導入による施設整備が求められていること。
c いずれの方策を採っても最終的に残る不燃物や焼却灰の安定的処理のた
めには,最終処分場はどうしても必要であるが,現埋立地は物理的な限界
が近づいており,市内に新規埋立地を早急に確保しなければならないと判
断したこと。
(キ) 本件協議会は,平成7年11月14日,被告Aに対し,埋立地問題に関し,以
下のような提言をした。
a ごみ問題に対し,啓発・広報の充実等による市民,事業者の意識の高揚
や減量・リサイクルシステムの充実等を図りながら,なお一層ごみ減量・リ
サイクルを推進しなければならないこと。
b 適正にごみを処理し,久留米市に適した飛灰処理施設,破砕選別機,灰
融解炉といったような新技術の導入による施設整備を進めること。
c 新規埋立地について,安定的なごみ処理の確保,投資費用の最大効果,
埋立地の整備に標準的に最低8年かかること,ごみ減量・リサイクルのさら
なる進歩,中間処理施設の技術の進展による埋立量の減容化,ごみ減量
に対する意識が薄れる懸念,埋立地を受け入れる地域の住民感情への配
慮等多角的検討の結果,1つの埋立地の埋立期間については15年を限
度とすること。
d 新規埋立地の規模については,早急に相当する規模の次期埋立地を確
保すること。
e 新規埋立地の立地については,斜面を有することが望ましいとの方向性を
確認したが,山間・丘陵・平地いずれの地域が最適の場所であるかの特定
には至らなかったので,立地についてはさらに検討を要するが,新規埋立
地は極めて高い緊急性を有しているから,受け入れ地区住民,地権者と十
分な協議・合意を早急に得ることが最重要であること。
(ク) ごみリサイクル市民ネットワークは,平成8年2月16日,被告Aに対し,公開
質問状と題する書面を提出し,b地区の候補地決定にあたり,埋立地建設の
時間的制約が最大の理由とされているが,その時間的制約がなければb地区
より適地があったか等の質問をした。
これに対し,被告Aは,同月26日,前記ごみリサイクル市民ネットワークに
対し,b地区を含め6か所を次期埋立地の選定にあたり検討し,検討にあたっ
ては,主として①現埋立地の限界が近く,数年後には必要な次期埋立地の供
用開始時点では減容化が可能な破砕選別機等の中間処理施設は間に合わ
ず,埋立期間と規模の面では,15年近くの埋め立てのためにはb地区ともう1
つの候補地(平地)以外は不十分であること,②破砕選別機が導入され,減
量リサイクルの徹底により大幅にごみ量が減る可能性の高い次々期以降に
はその他の検討地も適地になると想定されること,③地形に関し,山間,丘陵
はごみ問題協議会の提言にある「斜面」との条件において平地より有利では
あるが,いずれの候補地も近くに川があるため,どこに立地しても水処理の安
全対策が必要であること,の3点を検討し,時間の制約を除いてb地区と他の
検討地区とに優劣をつける決定的な要素はない等の回答をした。なお,具体
的な6か所の検討地の比較は別紙1(添付省略)のとおりであり,同表中「場
所A」がb地区(本件処分場予定地)である。
ウ 本件計画後について
(ア) 本件財産区と久留米市は,平成9年3月24日,本件財産区所有の土地及
び立木と久留米市所有の土地及び立木を交換し,久留米市が本件財産区に
対し補足金として226万2100円を支払うことを主とする交換契約(本件交換
契約)を締結した。なお,契約書上の記名押印は,本件財産区においては「管
理者久留米市長A」,久留米市においては「代表者久留米市助役B」となって
いる。
(イ) 林野庁から,平成10年10月,福岡県を通じて久留米市に対し,複数の訴
訟が継続中で事業実行の確実性がなく,本件処分場の予定地の保安林解除
について解除は困難との見解が伝えられた。
(ウ) 久留米市は,平成11年8月23日,以下の内容の本件計画を見直した計画
(以下「見直し計画」という。)を発表した。
埋立容量  20万6000立方メートル
処分場本体面積  1.7ヘクタール
処分場設置場所  保安林指定区域外の部分(第1処分場対象区域)と
保安林を含んだ部分(第2処分場対象区域)のそ
れぞれの区域に第1及び第2処分場を建設
処分場建設  第1処分場(5年分,8万2000立方メートル)を先行して
建設
(エ) 久留米市は,平成11年10月,見直し計画にかかる整備計画書を提出し,
そこで再度ごみ量推計を行い,埋立容量を20万4000立方メートルと変更し
た。本件計画と見直し計画の埋立容量の差分26万4000立方メートルの内
訳は,おおよそ,ごみ減量施策による埋立量減量効果として約7万6000立
方メートル,中間処理施設の変更による減量として約11万1000立方メート
ル,事業系不燃ごみ(直接搬入不燃ごみ)の見直しとして約7万7000立方メ
ートルというものである。
(オ) 見直し計画が策定され,その規模が縮小されたのは,17種分別収集によ
るごみ減量効果,埋立量の減容化が見込まれる中間処理施設整備方針の確
定及び平成20年度までの事業系不燃ごみの受け入れの先送りによるもので
ある。
(カ) 国は,平成11年9月,ダイオキシン対策推進基本方針に基づき,平成22
年度を目標とする一般ごみと産業廃棄物の減量化目標を決定した。その中
で,一般廃棄物については,平成22年度には人口が現状よりも1.5パーセ
ント増加し,実質国内総生産が年率2パーセントの割合で増加すると見込ま
れるので,このままでは今後さらに排出量が増加すると考えられるところ,ご
みの排出抑制とリサイクルを徹底し,①排出量を平成8年度に比べて5パー
セント減の5000万トンとする,②リサイクル量を10パーセント(平成8年度)
から24パーセントに引き上げる,③最終処分量を1300万トン(平成8年度)
から650万トンへ半分に削減する,としている。この目標量は,廃棄物の排出
を抑制しリサイクルを推進した上で,リサイクルできない廃棄物について,脱
水や焼却等の中間処理を行い,最終処分量を抑制するという考え方で設定さ
れているが,最終処分量は半減を目標とするものの,排出量の減量目標は
わずか5パーセントにとどまっている。
また,国は,平成12年度にごみの発生を抑制することを最優先とする内容
の循環型社会形成推進基本法(平成12年法律第110号)を制定した。
エ ごみ量の将来予測について
(ア) 久留米市は,本件計画の策定にあたり,別紙2の1ないし7(別紙添付省
略)のとおりごみ量を推計した。この推計については,以下のような方針等に
基づいて計算された。
a 過去のごみ量実績,将来のごみ減量対策の方針
(a) 実績値として過去10年(昭和61年度から平成7年度まで)を使用し,
平成8年度の実績見込みと合わせて,人口予測を行い,久留米市で収
集するごみ(主として家庭系)と直接搬入ごみ(主として事業系)に分けて
それぞれ予測をした。
(b) ごみ量の将来予測の特徴
まず人口推計については,平成5年ころから増加傾向が緩やかにな
っているため,増加傾向が最も緩やかな一次傾向線による予測式を用
いて計算し,埋立開始年度の平成12年度は,23万7473人と推計し
た。
次にごみ量の推計は,通常は過去のごみ処理量の実績をベースとし
て行うが,家庭系ごみ処理量の推計は,その手法によらずにごみの発
生量を推計し,その発生量から各減量施策による減量分を差し引いた
量を必要なごみ処理量とした。これは以下の理由による。ごみ減量施策
が過去も将来も同一であれば過去のごみ処理量の実績を基礎とした推
計式を定めて容易に将来の推計が可能であるが,久留米市の場合,前
記のとおり,平成3年度の資源ごみ分別収集を始めとして毎年のように
ごみ減量施策を実施してきた。その結果ごみ減量効果は,その減量施
策に応じてその都度加算してきたが,それは,それぞれの減量施策前に
比べて減量するということであり,その減量率(又は量)が複利的に後年
後に加算されるものではない。減量効果は,減量施策ごとに加算され
る。したがって,このごみ推計方法は,過去の年ごとの減量施策による
減量分(資源化量や自家処理量等)とごみ処理量(焼却炉や埋立地でご
みとして処理した量)を合わせたものをごみの発生量として捉え,その発
生量をベースとして推計式を定め,その式による将来の各年度の推計ご
み発生量から各減量施策による減量見込み量を差し引いて施設整備の
規模決定に必要なごみ処理量とした。ごみの種類別に主なごみ量推計
方法は,以下のとおりである。
<ア> 家庭系可燃ごみ量
まずその基礎となる人口を過去10年間(昭和61年から平成7年ま
で)の実績をベースとして将来の推計を行った。平成5年度から家庭
系ごみは有料指定袋制度を実施したためごみ量は大幅に減少した
が,逆に直接搬入可燃ごみ(主として事業系)は大幅に増加した。そこ
で,家庭系ごみ有料指定袋制度実施前の昭和61年度から平成4年
度までの7年間の実績値をベースとした推計式による値を将来のごみ
量の仮推計値とし,平成5年度から7年度までの同有料指定袋制度
の減量効果を反映させるため,以下の方法により補正した。すなわ
ち,同有料指定袋制度を実施していないと仮定した場合の前述した推
計式による平成5年度から7年度までの仮推計値と同年度の実績値
の比率が,同有料指定袋制度によっても家庭系ごみとして残った率
(以下「残留率」という。)と考えられるため,平成8年度以降は前記推
計式により得られた各年度ごみ量にその残留率(平成5年度から7年
度までの平均値)を乗じて,家庭系可燃ごみの将来の推計値とした。
<イ> 家庭系不燃ごみ量
家庭系不燃ごみ量については,家庭系ごみ有料指定袋制度の実
施前は各年度の変動が大きく,傾向をつかむことができなかった。同
有料指定袋制度を実施した後も,平成5年度には減少し,翌平成6年
には増加し,さらに平成7年度は減少するという状況であった。そこ
で,飽和状態に達しているものとして,同有料指定袋制度の実施後の
平成5年度から7年度までの3年間の平均値で推移するものとした。
<ウ> 粗大ごみ量
粗大ごみ量については,平成9年度から個別単品収集を開始する
ことから,駆け込み排出が予想されたため,平成9年度以降は他市の
個別単品収集の事例から平成7年度比の13パーセントとした。
<エ> 特別収集
引っ越しごみなどの特別収集によるごみについては,過去あまり変
動がないため,過去の実績から将来も変わらず推移するものとした。
<オ>直接搬入可燃ごみ(主に事業系)量
平成4年度に比べて平成5年度以降は大幅に増加した。これは,
平成4年度以前は家庭系として出されていたものが,平成5年度以降
は事業系にシフトしているものとして予測された。そこで,平成7年度
までの実績を元に推計すると過大な推計になるため,家庭系ごみ有
料指定袋制度導入以前の昭和61年度から平成4年度までの7年間
の実績値をベースとした推計式による値を将来のごみ量の仮推計量
とした。
次に,平成5年度からの同有料指定袋制度の実施に伴い,<ア>の
仮推計量と将来推計値の差が家庭系から事業系へシフトしたものとし
てその量を仮推計値に加算した値を基本量とした。そして,その平成
8年度の基本量に対する平成9年度以降の各年度の増加率を算出し
た。その上で,平成8年度から実施した事業系可燃ごみの処理手数
料の値上げによる減量効果を反映させるために平成8年度の中途(4
月から7月)までの実績から平成8年度のごみ量実績を推計し,平成
9年度以降のごみ量(ごみ処理手数料値上げを考慮したごみ量)は前
記の増加率を平成8年度の実績値(推計値)に乗じて算定した値とし
た。
その上でさらに,平成9年度に予定していた事業系ごみ有料指定
袋制度による減量効果を3パーセントと仮定して,前記のごみ処理手
数料値上げを考慮したごみ量に0.97を乗じた値を将来の各年度の
ごみ量とした。減量効果を3パーセントと仮定したのは,平成8年度に
ごみ処理手数料を約2.5倍に値上げし平成8年度見込量が平成7年
度の実績に比べて11パーセントもの大幅な減量効果が出ていたこ
と,家庭系ごみ指定袋制度が制度導入によって有料化がはかられた
のと異なって,事業系ごみ有料指定袋制度は従来からすでに有料で
あったものを有料の指定袋の制度に変えたもので,その制度によって
改めて有料となるものではないことからである。
<カ> 直接搬入可燃性粗大ごみ
直接搬入可燃性粗大ごみについては,平成元年度から4年度まで
受け入れを停止しており,ごみ量の把握ができなかった。受け入れを
再開した平成5年度から7年度までの実績は,昭和63年度以前の量
に比べて大幅に減少していることや,平成8年度から事業系ごみ処理
手数料値上げを行っていることから,過去の実績を基にした推計は不
適当と判断した。そこで平成8年度の4月から7月までの実績から平
成8年度の見込量を1年当たり771トン(樹木剪定枝を含む。)とし
て,平成9年度以降は,平成8年度の771トンから前記<オ>の直接搬
入可燃ごみの増加量に比例するものとした。さらに平成8年度から実
施した樹木剪定枝回収による資源化を1年当たり80トンと見込み,そ
の量を差し引いた量を直接搬入可燃粗大ごみ量とした。
<キ> 直接搬入不燃ごみ(不燃性粗大ごみを含む。)量
直接搬入不燃ごみ量については,その大部分は事業系の不燃物
(産業廃棄物を除く。)であり,当時現埋立地の残余容量が少なくなっ
ていたため,平成元年度から事業系不燃物の受け入れを停止してい
たので,平成元年度以降はその量は不明であった。しかし,本件処分
場の供用開始(平成12年度)以降は再び受け入れる方針だったた
め,受け入れ停止前の昭和61年度から63年度までの3年間の直接
搬入不燃ごみ量(土砂類を含む。)の平均値(8284トン)を,平成8年
度の直接搬入不燃ごみ量とした。そして,平成9年度以降は,前記
<オ>の直接搬入可燃ごみの増加率と同一と仮定して推計した。
なお,直接搬入される不燃ごみと不燃性粗大ごみは明確な区別を
行わずに搬入されることも考えられるため,両者の合計量を推計した
後,不燃ごみと不燃性粗大ごみに按分した。直接搬入不燃ごみ量と
不燃性粗大ごみの比率は,過去の実績から直接搬入不燃ごみ量が6
6.31パーセントとした。
(c) ごみ量の推計を行うにあたっては,平成8年度の事業系ごみ処理手数
料の値上げ,平成9年度の事業系ごみ有料指定袋制度及び粗大ごみ個
別単品収集による減量効果は見込んでいた。しかし,大幅な減量効果を
もたらした17種分別収集は,本件協議会の提言を平成8年11月に受け
て,その後検討準備期間を経て平成10年度から実施したものであり,
本件計画の整備計画書策定時には,その方針が決定されておらず減量
効果は見込んでいなかった。
(d) 過去の実績をベースに将来を推計する場合には,計算式によった方が
よいかその他の方法がよいかを検討し,計算式による方が適当と判断し
た場合には,具体的には,一次傾向線,二次傾向線,一次指数曲線,
べき曲線などの予測式があるので,これらの予測式に当てはめて推計
値を算出するが,過去の実績に対する相関係数の最も高いもの(値が1
に近いもの),その曲線が妥当性のあるものという観点から検討した結
果,一次傾向線を採用した。
b 中間処理施設の方針
中間処理施設の整備方針は,埋立地の容量積算にあたって大きく影響
する。平成8年当時,稼働4年目のeクリーンセンターに加えて,次期中間
処理施設もストーカー方式の焼却施設としていた。それは,燃やせるごみ
を焼却工場で焼却して容量を減らして残った焼却灰や燃やせないごみを最
終処分場で埋立処理することが一般的であり,溶融施設等の中間処理の
新技術もまだ確立していない段階にあったからであった。そして,焼却施設
から出る焼却灰と不燃ごみを埋立地に埋め立てるものとしていた。
中間処理施設については,h地区に,焼却炉をもう1か所増設し,そこに
破砕選別機を前処理として設置し,平成15年度の稼働を予定していた。
c 以上のような方針に従い平成30年度までのごみ量推計を行い,その後発
生したごみをどのように処分するかということで,ごみ処理フローシート(別
紙2の3)に示すとおり,可燃性ごみは粗大ごみも含めてすべて焼却処分
し,不燃ごみ及び不燃性粗大ごみは平成12年度から14年度までは埋立
処分,破砕選別施設が稼働する平成15年度以降は破砕選別し,資源回
収及び焼却できるものを取り除いた残渣のみを埋立処分するという方針を
立てた。こうした処理方針に基づいたごみ処理を行うことによって,別紙2
の4及び5「処理内訳表」となった。
その結果,別紙2の6及び7「埋立容量の計算」となった。
本件計画の本件処分場に埋め立てられる廃棄物は,平成12年度から1
4年度までは焼却灰及び不燃ごみ,破砕選別施設が稼働する平成15年度
以降は,焼却灰,破砕選別施設からの残渣,直接搬入不燃ごみの一部の
土砂,ブロック類等であり,これに覆土を加えた量が前記の埋立容量の計
算となる。
排出された不燃ごみには,鉄などの有価物,紙,プラスチック等の可燃
ごみが混ざっているため,その不燃ごみを機械的に鉄,アルミ,可燃ごみ,
不燃ごみに選別する破砕選別施設の設置により大幅な埋立容量(容積)減
が見込まれるため,平成15年度の埋立量は前年度に比べて約1万立方メ
ートル少なくなっている。
ガスの放散防止,火災予防等のために行う覆土は,埋立ごみは放置す
ることなく,その層の上に速やかに行わなければならないとされており,埋
立容量は,処分されるごみの性状,覆土材の種類,地形,気象条件及び跡
地利用形態等によって決定される。本件計画の整備計画書提出にあたっ
ては,「平成9年度廃棄物処理施設整備計画書の提出について」(平成8年
9月11日衛環第249号厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課長通
知)で定められている覆土量は埋立量の3分の1(重量比)以内に基づき,
覆土量は埋立量の3分の1(重量比)を想定している。
(イ) 久留米市は,見直し計画において,別紙3(添付省略)のとおり,ごみ処理
の実績及び見通しを立てた。なお,別紙3では平成10年度までは実績であ
り,同表(15)埋立欄は,焼却残渣外の埋立量を記載すべきところを焼却残渣
を含めた埋立量を記載しているので,(20)最終埋立地欄は記載の誤りがあ
る。
(ウ) 厚生省環境衛生局水道環境部長は,昭和54年9月1日付け「廃棄物処理
施設整備国庫補助事業に係る施設の構造に関する基準について」(環整第1
07号)において,各都道府県知事に対し,ごみ処理施設に関し,計画1人1日
平均排出量は,過去5か年以上の収集量の実績を基礎として算定すること及
び計画月変動係数は,過去5か年以上の収集量の実績を基礎として算定す
ること等を通知した。
(エ) 厚生省生活衛生局水道環境部長は,昭和63年6月28日付け「し尿処理施
設構造指針及び廃棄物最終処分場指針の改訂について」(衛環第89号)に
おいて,各都道府県知事に対し,廃棄物の処理及び清掃に関する法律第8条
に規定する一般廃棄物処理施設のうち,ごみ,粗大ごみ,焼却残渣等の一般
廃棄物を埋め立てる最終処分場につき,①計画目標年次は,原則として計画
策定時より10~15年後程度を目標とするが,地域の実情を勘案して設定す
ること,②埋立期間は最高15年までとすること,③計画埋立ごみ質は,これ
までの実績,今後のごみ収集及び中間処理の方法等を勘案して決定するも
のとすること,④最終処分場の位置選定にあたっては,計画埋立処分容量を
確保できるものとし,収集運搬の効率,周辺条件,地形地質等,災害等に対
する安全性,跡地利用計画,都市発展との関係,関連施設との位置関係につ
いて総合的に検討すること,④最終処分場の機能を確保するため,最終処分
場予定地域及びその周辺について水文,地形,地質,土質及び植生等の調
査を行わなければならないこと,⑤最終処分場におけるごみの埋立等による
大気汚染,水質汚濁,騒音,振動,悪臭等の環境衛生について事前評価を行
わなければならないこと等の指針を定め,これを通知した。
オ 埋立地の整備には,手続が順調に進んだとしても最低8年は必要とされてい
る。
(3) 前記認定事実によれば,①現埋立地について平成5年2月15日時点では残余
容量が13万9000立方メートルと推計されたこと,②将来の埋立量についての予
測によれば,平成10年度で現埋立地の容量は一杯となること,③本件協議会も,
平成7年11月14日,埋立地が必要であり早急に市が立地を確定して整備するこ
とを提言していることの事実を認めることができる。
これらによれば,平成8年2月4日の時点において,早急に一般廃棄物最終処
分場を建設する必要があったことが認められる。
(4) ところで,原告らは,平成8年2月4日の時点において,一般廃棄物最終処分場を
建設する必要があったとしても,本件計画で計画された規模までは必要でなかった
から,本件計画は違法である旨主張するので以下検討する。
ア 必要性及び切迫性について
前記(3)の説示によれば,本件計画で本件処分場建設の必要性及び切迫性
があったことが認められる。
この点,原告らは,現在においても新処分場が供用開始になっていないにも
かかわらず今なお久留米市にごみがあふれていないこと,本件計画後に見直し
計画が策定されたことを主張する。
これらは前記認定事実のとおり,17種分別収集によるごみ減量,埋立量の
減容化が見込まれる中間処理施設整備方針の確定,平成20年度までの事業
系不燃ごみの受け入れの先送り及び九州産廃にごみ処理を委託したことの効
果というべきである。しかし,平成8年2月4日の時点において,17種分別収集
は未施行であり,これによるごみ減量効果の程度が予測できなかったこと,事業
系不燃ごみの受け入れは本件処分場の供用開始から再開する予定であったこ
と,ごみは各自治体における自内処理が原則であり他の自治体に処理を依頼す
ることは例外であることからすれば,平成8年2月4日の時点において,被告ら
が現在の状況を予測することはできず,被告らが本件処分場建設の必要性及
び切迫性があったと判断したことには合理性がある。原告らの主張は現状を前
提として必要性及び急迫性の判断を論難するものであるが,現在の状況は,G
に対するごみ処理委託及び現埋立地についても地元との使用期限更新ができ
なかったにもかかわらず使用を継続したという例外的事情の上に成り立っている
ものである。これらの例外的事情は平成8年2月当時の必要性及び急迫性を判
断する際に考慮すべきでなく,原告らの主張は採用できない。
イ 規模について
前記認定事実によれば,①前記2(2)エの方針に従い将来のごみ量を推計し
たこと,②その推計によれば,平成26年度の埋立量は46万8233立方メートル
になること,③埋立地の整備には順調にいって最低8年は必要とされること,④
本件協議会は1つの埋立地については15年以内のものを提言したことが認め
られる。これらによれば,将来のごみ量の推計は合理的であること,次期埋立地
の整備に必要な年数,本件協議会の提言内容,費用対効果等の点からすれ
ば,期間15年以内で本件計画の規模には合理性がある。
この点,原告らは,ごみの減量は予測しあるいは容易に予測可能であったに
も関わらず本件計画においてごみ量を過大に推測した旨主張するが,前記認定
事実によれば,将来のごみ量の推計において一定のごみ減量施策によるごみ
減量は見込んで推計されていることが認められ,前記説示をあわせて検討すれ
ば,ごみ量を過大に推測したとは認められない。原告らの主張は採用できない。
ウ 建設予定場所について
前記認定事実及び前記ア及びイの説示によれば,①本件計画時,現埋立地
は数年後に一杯になること,②それゆえ早急に埋立地を確保する必要があった
こと,③当時全国的にみて埋立地は山間・丘陵地に立地していたこと,④平地で
は埋立容量を確保するのに広大な農地を必要とすること,⑤久留米市において
は山間部は本件処分場予定のある耳納山系しかないこと,⑥傾斜,搬入道路の
取り付け等からすれば本件処分場予定地がある南斜面が北斜面よりも適してい
ること,⑦本件処分場予定地のみが環境アセスメントが終了していたこと,⑧本
件処分場予定地も含め6か所検討した結果,時間的制約の点から本件処分場
予定地が最適とされたことが認められる。前記アの説示のとおりの新埋立地の
必要性及び切迫性に照らせば,時間的制約の点から本件処分場予定地を選択
したことには合理性がある。
エ 以上によれば,本件計画を被告Aが策定したことにつき,その裁量権に逸脱が
あったと認めることはできない。原告らの主張は採用できない。
(5) さらに,原告らは,本件処分場は安全性を欠き,また実現性を欠いていた旨主張
するが,これらの主張を認めるに足りる証拠はない。
(6) 次に,本件公金支出行為につき,固有の違法性があるかについて検討する。
ア 本件支出1番及び2番について
本件計画は久留米市が実施しようとする公共政策であり,これについて住民
に対し広報活動をすることは,それが著しく不当でない限り許されることは言うま
でもない。そして,本件において,その手段として本件PRビデオによるというもの
は著しく不当ということはできない。よって,本件支出1番及び2番には違法性が
ない。
イ 本件支出3番ないし5番について
証拠(丙50ないし53)及び弁論の全趣旨によれば,原告らの一部を含む住
民が通行妨害,測量妨害等を行っていたこと,そのために久留米市は通行妨
害,測量妨害等禁止の仮処分を申し立てたこと,福岡地方裁判所久留米支部は
これを相当と認め,いずれも仮処分命令を発令したことが認められる。これらの
事情に照らせば,住民の妨害行為に対し弁護士を代理人に選任して仮処分の
申立てを行ったことには合理性があり,本件支出3番ないし5番には違法性がな
い。
ウ 本件支出6番について
本件計画の実施に際し,本件測量委託費用を支出することは合理性があり,
また,当初の予定額より上乗せ額が生じたのは前記イの事情によることによれ
ば,本件支出6番には違法性がない。
エ 本件支出7番ないし12番について
本件支出7番ないし12番は,本件処分場予定地周辺の自然環境保全のため
のものであり,弁論の全趣旨により久留米市議会の議決を経ていることも認めら
れ,これらの事情に照らせば,本件支出7番ないし12番には違法性がない。
オ その他,本件公金支出行為いずれにも,財務会計行為につき手続違背等の違
法性の存在を認めるに足りる証拠はない。
第4 結論
よって,その余について判断するまでもなく,原告らの被告B及び被告Cに対する
請求並びに被告Eに対するPRビデオ作成及び複製費用,仮処分事件の弁護士費用
及び民有地買収費用に関する請求はいずれも不適法であるからこれらを却下するこ
ととし,原告らのその余の請求はいずれも理由がないからこれらを棄却することとし,
訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条,65条,66条を適用
して,主文のとおり判決する。
(口頭弁論終結日 平成13年12月27日)
   福岡地方裁判所第1民事部
       裁判長裁判官      高野 裕
 裁判官   山本正道
裁判官   入江克明
(別紙)公金支出一覧表
1(1) 支出相手方   福岡市中央区       株式会社H
(2) 支出年月日平成8年8月21日ころ
(3) 支出目的新埋立地ビデオテープ作成業務委託費用
(4) 支出金額499万5500円
2(1) 支出相手方福岡市中央区       株式会社H
(2) 支出年月日平成8年9月20日ころ
(3) 支出目的新埋立地計画PRビデオ複製業務委託費用
(4) 支出金額16万4800円
3(1) 支出相手方福岡県久留米市j町    kビル2F
弁護士I
(2) 支出年月日平成9年1月27日ころ
(3) 支出目的通行妨害禁止等仮処分命令申立事件着手金
(4) 支出金額25万7500円
4(1) 支出相手方福岡県久留米市j町    kビル2F
弁護士I
(2) 支出年月日平成9年2月17日ころ
(3) 支出目的立入禁止等仮処分命令申立事件着手金
(4) 支出金額25万7500円
5(1) 支出相手方福岡県久留米市j町    kビル2F
弁護士I
(2) 支出年月日平成9年3月10日ころ
(3) 支出目的立入禁止等仮処分命令申立事件着手金
(4) 支出金額16万9950円
6(1) 支出相手方福岡市博多区 J株式会社福岡支店
(2) 支出年月日平成9年1月23日ころ
(3) 支出目的測量業務委託費用
(4) 支出金額852万6340円
7(1) 支出相手方福岡県春日市       K
(2) 支出年月日平成8年12月20日ころ
(3) 支出目的環境保全林事業用地購入代金
(4) 購入地番福岡県久留米市a町字n
(5) 購入面積486平方メートル
8(1) 支出相手方福岡県久留米市a町    L
(2) 支出年月日平成8年12月20日ころ
(3) 支出目的環境保全林事業用地購入代金
(4) 購入地番福岡県久留米市a町字o他合計2筆
(5) 購入面積401平方メートル
9(1) 支出相手方福岡県久留米市a町    M
(2) 支出年月日平成8年12月20日ころ
(3) 支出目的環境保全林事業用地購入代金
(4) 購入地番福岡県久留米市a町字n他合計2筆
(5) 購入面積1,897平方メートル
10(1) 支出相手方福岡県久留米市a町    N
(2) 支出年月日平成8年12月20日ころ
(3) 支出目的環境保全林事業用地購入代金
(4) 購入地番福岡県久留米市a町字n
(5) 購入面積82平方メートル
11(1) 支出相手方久留米市都市開発公社
(2) 支出年月日平成8年12月20日ころ
(3) 支出目的環境保全林事業用地購入代金
(4) 購入地番福岡県久留米市a町字o他合計20筆
(5) 購入面積45,196平方メートル
12(1) 支出相手方福岡県久留米市a町    0
(2) 支出年月日平成8年12月20日ころ
(3) 支出目的環境保全林事業用地購入代金
(4) 購入地番福岡県久留米市a町字n他合計3筆
(5) 購入面積1,472平方メートル
以上支出7番ないし12番の合計支出金額 8621万8322円
以上合計金額 1億58万9912円
以 上

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛