弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告はこれを棄却する
         理    由
 辯護人河野將實の上告趣意は原判決は犯罪事實を證據により證明するに當り「被
告人の當公廷での、三月二十一日Aの盗んだ肥料の中五叺を運搬し賣る世話をした
との供述」並に「原審第二回公判調書中證人AのBと共謀して判示窃盗を犯した旨
の供述犯載」の二個の徴憑事實を掲出してゐる。併し乍ら此の二個の事實は、前者
は肥料はAが窃取したものである事及肥料五叺を被告人が運搬し賣る世話をしたも
のである事を被告人が供述したものであつて之は明に犯罪事實の否認である之に反
し後者は證人による犯罪事實の肯定であつて兩者は全く相容れない矛盾した二個の
事實である、従つて此の矛盾した二個の事實からは如何なる論理を以てするも、兩
者が妥當する一個の結論を抽出する事は不可能である。併るに、原判決は窃盗行爲
を否定せる右事實を断罪認定の資料に供してゐる。斯くの如きは犯罪事實認定の資
料に適せぬ證據に依つて不法にも犯罪事實を認定したものであつて、法令に違反す
るものと云うべく破毀を免れないものであるというのである。
 しかし原審は所論二個の證據を援用し、これを綜合してその判示犯罪事實を認定
したものである。この二個の證據が一つは右判示犯罪事實の所謂積極的否認を、他
はその肯定を内容とするものであつて互に相容れない矛盾するものであることは所
論の如くであるが、かゝる相容れない矛盾する證據を綜合して、特定の犯罪事實を
認定するところに所謂綜合判断の妙味が存するのである。この場合援用した證據の
中その認定事實と相容れない矛盾する證據は綜合判断における心證形成の過程にお
いて除去せらるゝに至るものであつて心證の形成され事實の認定された結果より觀
れば、かゝる證據はその認定に不必要であり寧ろこれを妨ぐる點がないではないが
綜合判断における心證形成の資料としてはかゝる證據も必要とする場合があるので
あつてその必要とする場合が如何なる場合であるかは理論上並に一般経験の法則に
従い具體的事案において裁判所が決定すべき判断事<要旨>項である。本件において
原審はその専權に基き互に相容れない矛盾する所論二個の證據を必要と認めて援用
これを綜合判断して、制示犯罪事實を認定しているのであるが右二個の證
據を綜合すれば該犯罪事實は叙上説明の如き心證形成の過程を経て優にこれを認定
し得らるゝところであつて原審のかゝる證據の綜合判断による判示犯罪事實の認定
は理論上並に一般経験の法則によるも所論の如く不可能なことではない従つて原審
が所論の如き相容れない矛盾する二個の證據を援用しこれを綜合して判示犯罪事實
を認定したから五言つてこれをもつて證據の法則に違背し判決理由に齟齬があると
いうことはできない要するに原判決には所論のような違法はなく論旨は理由がな
い。
 よつて刑事訴訟法第四百四十六條に則つて主文の如く判決する。
 (裁判長判事 三瀬忠俊 判事 井上開了 判事 小竹正)

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