弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人桝田光の上告理由第一点について
 所論は、要するに、地代家賃統制令(以下「同令」という。)の適用のある本件
土地の地代につき、裁判所が同令の統制額を超えてでも適正妥当な額を定めること
ができるとした原審の判断は、同令一〇条の解釈適用を誤つたものである、という
にある。
 ところで、同令の規定によると、建設大臣は、地代又は家賃の停止統制額又は認
可統制額が公正でないと認められるに至つたときは、これに代わるべき額又は修正
率を定めることができ、この場合には、右の代わるべき額又は修正率を乗じた額を
停止統制額又は認可統制額とするものとし(五条)、また、都道府県知事は、所定
の事由がある場合に、貸主の申請により地代又は家賃の停止統制額又は認可統制額
の増額を認可し、あるいは職権又は借主の申請によりその減額を認可することがで
き、そのようにして認可された額を認可統制額とするものとしているが(七条、八
条)、これと並んで、裁判、裁判上の和解又は調停によつて地代又は家賃の額が定
められた場合には、その額を認可統制額とする旨を規定している(一〇条)ところ
からすると、同令一〇条は、所定の事由がある場合に建設大臣又は都道府県知事が
停止統制額又は認可統制額(以下、両者を併せて「統制額」という。)の増減をは
かりうるのと同様の意味において、裁判、裁判上の和解又は調停による場合には、
必ずしも統制額に拘束されることなく適正な地代又は家賃の額を定めうることを予
定した規定であると解することができるばかりでなく、もともと地域性と個別性を
有する地代又は家賃については、建設大臣又は都道府県知事によつてなされる統制
額の修正又は増額、減額が画一的になり易く、具体的妥当性を欠く場合を生ずるお
それがないではないから、地代又は家賃の額をめぐる紛争解決を目的とする裁判、
裁判上の和解又は調停にあつては、必ずしも統制額に拘束されることなく適正な額
を定めうるものと解するのが合理的である。なお、昭和四一年法律第九三号借地法
等の一部を改正する法律附則八項は、借地法一二条一項又は借家法七条一項に基づ
く裁判、裁判上の和解又は調停において、統制額を超える地代又は家賃の額を定め
うることを前提とした規定であると解されないではない。かような次第で、同令一
〇条によれば、同令の適用のある借地又は借家につき裁判、裁判上の和解又は調停
によつて地代又は家賃の額を定める場合には、必ずしも統制額に拘束されることな
くこれを超えてでも適正な額を定めうるものと解するのが相当であり、ただ、右の
適正な額というためには、同令の趣旨を尊重し、当該借地又は借家に適用される統
制額をも考慮に入れた相当の金額であることを要するものというべきである。して
みると、これと同旨の原審の判断は正当として是認することができ、原判決に所論
の違法はない。論旨は、採用することができない。
 同第二点について
 所論の点に関し、原判決は、挙示の証拠により本件土地の価格、公租公課及び近
隣の土地の賃料がいずれも上昇したことを認定したうえ、本件土地の賃料が約一七
年間増額されていない事実及びその間における物価の変動その他の経済事情等を彼
此総合して、昭和四〇年二月当時において本件土地の既定の賃料(坪当たり月額五
円一二銭)が不相当になつたと認定判断したものであることは、判文上明らかであ
る。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。
 同第三点について
 証拠の採否及びその取捨判断は事実審裁判所の専権に属するものであるから、原
判決に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。
 同第四点について
 所論の点は、自白の取消には当たらず、被上告人が請求を拡張したものであるこ
とが明らかであるから、その請求の基礎に変更がないとしてこれを許容した原審の
判断は、正当として是認することができる。原判決に所論の違法はなく、論旨は採
用することができない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主
文のとおり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    下   田   武   三
            裁判官    藤   林   益   三
            裁判官    岸       盛   一
            裁判官    岸   上   康   夫
            裁判官    団   藤   重   光

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛