弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     原判決を破毀する。
     本件を札幌高等裁判所に差戻す。
         理    由
 上告理由第二点について。
 原判決は当事者間に争なき「被上告人は本件宅地一一九坪八合二勺のうち五三坪
を訴外Dから賃借しその地上に建物を所有していたところ、その建物は今次戦争に
際し防空上の必要から昭和二〇年六月一五日に除却され、本件土地は一時訴外小樽
市に賃貸されたのであるが、その後道路敷地に編入された分を除いてその残部が昭
和二二年三月三一日及び同二三年四月一日の両度に所有者Dに返還されるに及び被
上告人は右Dに返還された土地のうち二八坪につき従前の賃借人として同人に対し
罹災都市借地借家臨時処理法(以下処理法という)二条の賃借の申出をなした」と
の事実と、証拠によつて認定した「Dは右賃借申出当時該地上に家屋を所有してい
たが、(この点に関する原審の判示は必ずしも精密ではない。)該家屋はその敷地
がいまだ小樽市に賃貸されていた昭和二一年九月中に小樽市の了解を得ることなく
建築されたものである」との事実とに基ずき、かかる事実関係にあつてはDは処理
法二条一項但書にいわゆる「その土地を権原により現に建物所有の目的で使用して
いる者に」該当せず、従つて被上告人が同人に対してなした賃借の申出は有効であ
る旨判示したのである。
 しかし処理法二条一項但書にその土地を権原により現に建物所有の目的で使用す
る者というのは同条項本文の賃借申出当時現に権原により建物所有の目的で当該土
地を使用する者を意味すること多言を要しない。すなわち当該地上に建物を所有す
るものがたとえその建物建築当時においては不法に土地の使用をはじめた場合であ
つても右賃借申出の時において現に正権原により該土地を使用するものである限り
なお前示但書の保護を受け得るものといわなければならない。蓋し右但書の法意は
賃借申出の当時現に正権原により建物所有の目的でその土地を使用するものがある
以上かつての賃借人に比しその使用者を保護せんとするにあること明白だからであ
る。しかるに、原判決は前説示の如く本件賃借申出当時係争土地を家屋所有の目的
で使用していた土地所有者Dがその家屋建築の際借地権者であつた小樽市の承諾を
得ることなく不法に右土地を使用し始めたとの事実を認定しただけで、右賃借申出
当時においてもなお同人が権原によらず該家屋所有の目的で本件土地を使用してい
たか否かにつき何等究めることなく直ちに同人を処理法二条一項但書にいわゆる権
原ある土地使用者に該当しないと判示したのは理由不備の違法ありとなさざるを得
ない。論旨は理由あり、この点において原判決は全部破毀を免れない。
 同第五点について。
 原判決は、被上告人において本件土地につき賃借権を取得したと主張するのはそ
の一部二八坪に過ぎないにも拘わらずその賃借権に基ずく引渡請求を保全する目的
を以て本件土地の全部に対して所有権の譲渡その他一切の処分を禁止した仮処分決
定を認可した第一審判決を維持し「右二八坪は一筆である本件土地一一九坪八合二
勺の一部であるから仮処分の性質上右のような処置は止むを得ないものと言わなけ
ればならない」旨判示している。
 しかしながら仮処分は請求保全の目的を以てなされるものであり、裁判所はこの
目的を達するに十分にして必要な限度においてのみその処分を定めなければならな
いこと多言を要しない。果して然りとすれば、被上告人において本件仮処分により
保全せんとする賃借権が本件土地の一部二八坪について存するに過ぎないものであ
る以上、この部分のみにつき処分禁止の措置を講ずればその請求保全の目的を達す
るに十分であること勿論であつてたとい右二八坪が一筆である本件土地の一部であ
るとしてもこの一事により被上告人主張にかかる賃借権の目的でない他の部分を含
めて本件土地全部に対して仮処分をなす必要ありということはできない。原判決が
前示の如き理由説明をなして第一審判決を是認した所以のものは一筆の土地の一部
につき処分禁止の仮処分をしても、土地の一部についての処分を認めていない法制
上かかる仮処分の執行としてその禁止を登記簿に記入することが法律上不可能であ
ると考慮した結果に外ならないと思われる。しかし一筆の土地の一部につき処分禁
止の仮処分がなされた場合であってもその一部の土地が全体のいずれの部分に該当
するかを明確にしてさえあればかかる仮処分と雖も必ずしも法律上執行不能とはい
い得ないのである。すなわち本件についてこれを見れば本件土地の中被上告人が賃
借権を取得したと主張する二八坪がその全体のいずれの部分に該当するかを明確に
しそしてその部分のみにつき処分禁止の仮処分がなされたとしてこの場合仮処分債
務者たる上告人(賃借権を対抗せられる土地所有者)において任意右二八坪を分筆
しその登記をしないとしても仮処分債権者は当該命令正本を代位原因を証する書面
として債務者に代位してその部分の分筆の申告及びその登記をすることができるの
であるから(昭和二七年九月一九日法務省民事局甲第三〇八号民事局長回答法務省
民事局編民事月報第七巻第一〇号一五四頁参照)かかる手続を経た後にあつては、
仮処分裁判所において前示二八坪に対する仮処分の執行としての登記記入をなさし
めることにつき何等の妨もないこと明らかである(民訴七五八条三項参照)。され
ば原審が前説示の如く判示して第一審判決を維持したことは、仮処分の目的を達す
るに必要な範囲程度を逸脱したものというの外なくこの点においても論旨は理山が
あり原判決は全部被毀を免れない。
 よつて爾余の論旨に対する説明を省略し民訴四〇七条一項により主文のとおり判
決する。
 この判決は裁判官全員一致の意見である。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    岩   松   三   郎
            裁判官    真   野       毅
            裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    入   江   俊   郎

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛