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平成25年(行フ)第2号文書提出命令申立一部認容決定に対する許可抗告事

平成25年4月19日第三小法廷決定
主文
原決定のうち主文第1項を破棄する。
前項の部分につき,相手方らの申立てを却下する。
抗告費用は相手方らの負担とする。
理由
抗告代理人青野洋士ほかの抗告理由について
1記録によれば,本件の経緯等は,次のとおりである。
(1)本件の本案訴訟は,広島県内に居住して生活保護法に基づく生活扶助の支
給を受けている相手方らが,同法の委任に基づいて厚生労働大臣が定めた「生活保
護法による保護の基準」(昭和38年厚生省告示第158号。以下「保護基準」と
いう。)の数次の改定により,原則として70歳以上の者を対象とする生活扶助の
加算が段階的に減額されて廃止されたことに基づいて所轄の福祉事務所長らからそ
れぞれ生活扶助の支給額を減額する旨の保護変更決定を受けたため,保護基準の上
記改定は憲法25条1項,生活保護法3条,8条,9条,56条等に反する違憲,
違法なものであるとして,上記福祉事務所長らの属する地方公共団体を被告として
上記各保護変更決定の取消し等を求める事案である。
(2)本件は,相手方らが,本案訴訟の控訴審において,厚生労働大臣が保護基
準を改定するに当たって根拠とした統計に係る集計の手法等が不合理であることを
立証するために必要があるとして,抗告人の所持に係る下記の準文書(以下「本件
申立て準文書」という。)につき,文書提出命令の申立て(以下「本件申立て」と
いう。)をした事件である。

平成11年及び同16年の全国消費実態調査の調査票である家計簿A,家計簿
B,年収・貯蓄等調査票及び世帯票で,電磁的媒体(磁気テープ又はCD-RO
M)に記録される形式で保管されているもののうち,単身世帯のもの
(3)本件申立てに関し,民訴法231条において準用する同法223条3項所
定の当該監督官庁である総務大臣は,同項に基づく意見聴取手続において,仮に本
件申立て準文書が本案訴訟において提出されると統計行政に対する信頼を損ない,
今後の統計調査の実施に著しい支障が生ずることなどを理由として,本件申立て準
文書が同法220条4号ロ所定の「公務員の職務上の秘密に関する文書でその提出
により公共の利益を害し,又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるも
の」に当たる旨の意見を述べ,また,本件申立て準文書の所持者である抗告人は,
同様の理由により本件申立て準文書を提出すべき義務を負わない旨の意見を述べ
た。
(4)ア全国消費実態調査とは,国民生活の実態について,家計の収支及び貯
蓄,負債,耐久消費財,住宅・宅地などの家計資産を総合的に調査し,全国及び地
域の世帯の消費,所得,資産に係る水準,構造,分布などを明らかにすることを目
的とする調査であり,昭和34年以降5年ごとに実施されており,平成11年及び
同16年にも実施された。その調査結果は,年金や老人介護などの社会保障制度及
び国家公務員や地方公務員の給与算定などといった諸施策を立案する際の基礎資料
として利用されている。
イ全国消費実態調査の調査対象は,全国全世帯のうち総務大臣(平成13年1
月8日より前は総務庁長官)の定める方法により選定された世帯であり,2人以上
の一般世帯と単身世帯とに分けて選定される。平成11年の全国消費実態調査は,
同年1月1日における全国の全ての市及び一部の町村(人口規模の小さな町村も含
まれる。)において,平成7年国勢調査の全調査区の中から一定数の調査区が選定
され,当該調査区内にある2人以上の一般世帯及び単身世帯のうちから選定された
世帯が対象とされた。調査対象となる世帯数は,2人以上の一般世帯が5万479
2,単身世帯が5002であり,そのうち60歳以上の単身世帯は1717であっ
た。
ウ全国消費実態調査の調査は,都道府県知事等の任命又は国の委託を受けた調
査員が対象となる世帯に調査票(家計簿A,家計簿B,耐久財等調査票,年収・貯
蓄等調査票及び世帯票)の各用紙を配布し,被調査者がこれらに所定の調査事項に
該当する事項を記載したものを封筒に入れて密封し,調査員が回収する方法によっ
て行われる。調査への協力を求めるパンフレット等や調査票の各用紙には,調査票
は,統計以外の目的には使用せず,秘密の保護には万全を期しているため,ありの
ままを記入するよう求める旨の記載があり,調査員もその旨を被調査者に説明し,
被調査者は調査に無償で協力している。
(5)全国消費実態調査に係る調査票の内容は,次のとおりである。
ア家計簿Aは10月分の,家計簿Bは11月分の収支等を記載するいずれも9
0頁以上の用紙であり,月ごとの収入や日々の支出と物の入手(購入等)を漏れな
く記載するものとされている。
家計簿Aは,支出に関して,口座自動振替による支払と現金支出とに分け,口座
自動振替による支払については1か月分をまとめて公共料金等の支払とクレジット
カード等の支払とに分けて記載し,現金支出については個々の品名や用途ごとに金
額を記載するものとされている。物の入手に関しては,個々の品名や用途ごとに支
払方法及び金額を記載し,いずれも日ごとに別の頁に分けて記載するものとされて
いる。家計簿Bは,以上に加え,個々の品名や用途ごとに一般小売店など8項目に
分けられた購入先の区分を記載するものとされている。
イ年収・貯蓄等調査票は,年間収入,貯蓄現在高及び借入金残高を記載するも
のであり,年間収入については,給与等の10種類の収入ごとに世帯員各自の収入
を記載し,貯蓄現在高については,貯金,生命保険等,株式等の8種類につき世帯
全員の現在高を記載し,借入金残高については,住宅購入等,それ以外,月賦・年
賦の3種類に分けて記載するものとされている。
ウ世帯票は,世帯の状況等を記載するものであり,①世帯主の氏名,電話番
号及び住所,②世帯員の氏名,続柄,性別,年齢,就業と非就業の別,勤務先
等,③世帯員以外の家族の氏名,続柄,不在理由等,④単身世帯の形態,⑤
現住居等に関する事項(所有関係,構造,設備,住宅の延べ床面積,敷地面積及び
建築時期等),⑥現住居以外の住宅及び土地に関する事項(所有関係,用途等)
等を記載するものとされている。
(6)家計簿A及び家計簿Bに記載された情報は,用途や品目の分類に従って2
か月分を加重平均した数値が記録されているが,それ以外の情報は,その報告の内
容のまま記録されており,これらの調査票情報は,いずれも磁気テープに記録され
ている。
(7)国の統計調査全般に関する世論調査において,統計調査に協力したくない
旨の回答をした者の割合は,平成元年には11.3%であったが,同21年には2
3.1%に倍増し,協力する旨の回答をした者の割合は,同元年には83.4%で
あったが,同21年には73.4%に下落した。また,同年の上記世論調査におい
ては,回答する際に困惑することとして,調査結果がどのように利用されるか分か
らないこと(42.0%),個人情報が第三者に漏れてしまわないか不安があるこ
と(38.7%)などが挙げられていた。
2(1)原審は,要旨,後記(2)のとおり判断して,抗告人に対し,本件申立て準
文書のうち,下記の準文書(以下「本件準文書」という。)の提出を命じた。

平成11年の全国消費実態調査の調査票である家計簿A,家計簿B,年収・貯蓄
等調査票(ただし,それぞれ都道府県市区町村番号,調査単位区符号,一連世帯番
号,世帯の別及び世帯区分を除く。)及び世帯票(ただし,都道府県市区町村番
号,調査単位区符号,一連世帯番号,世帯の別,世帯区分,抽出区分,世帯主の氏
名,電話番号及び住所,「世帯員の家族について」欄並びに「世帯主と子の同居に
ついて」欄を除く。)で,磁気テープに記録される形式で保管されているもののう
ち,60歳以上の単身世帯のもの
(2)本案訴訟において本件申立て準文書が提出されることにより統計調査に係
る公務の遂行に著しい支障を生じさせる具体的なおそれは,そのほとんどが個人情
報の漏洩ないし被調査者の特定可能性によるものというべきところ,個人情報の漏
洩ないし被調査者の特定可能性は,居住地域(すなわち都道府県市区町村番号)が
特定されることによって生ずるというべきであるから,本件申立て準文書のうち,
各調査票における都道府県市区町村番号や調査単位区符号等及び世帯票における世
帯主の氏名,電話番号,住所等の各事項を文書提出命令の対象から除外すれば,被
調査者の特定可能性は抽象的なものにとどまるし,仮に個人の特定につながらなく
てもその余の準文書が公の法廷に提出されること自体により統計行政の運営に支障
を来すおそれがあるとしても,それはなお抽象的なものにとどまるというべきであ
る。
したがって,本件申立て準文書のうち平成11年の全国消費実態調査の60歳以
上の単身世帯に係る調査票の記載事項から上記各事項を除外した残余の事項を記録
した本件準文書は,民訴法231条において準用する同法220条4号ロ所定の
「その提出により…公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの」に当たら
ない。
3しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次
のとおりである。
(1)ア平成19年法律第53号による改正後の統計法は,基本理念として,公
的統計の作成に用いられた個人又は法人その他の団体に関する秘密は保護されなけ
ればならないと定め(3条4項),統計調査によって集められた情報のうち文書,
図画又は電磁的記録によって記録されているものである調査票情報の取扱いに関す
る業務に従事する者等に対し,調査票情報等を適正に管理するために必要な措置を
講ずる義務(39条,42条)及び守秘義務等(41条,43条)を課し,守秘義
務等に違反した者に対する刑事罰を定めており(57条),また,調査票情報の目
的外利用を原則として禁止し(40条),例外として二次利用が認められる場合を
法定している(32条から36条まで)。このように,統計法は,公的統計が国民
にとって合理的な意思決定を行うための基盤となる重要な情報であること(1条)
に鑑み,正確な統計を得るために被調査者から真実に合致した正確な内容の報告を
得る必要があることから,被調査者の統計制度に係る情報保護に対する信頼を確保
することを目的として,様々な角度から調査票情報の保護を図っている。
イ全国消費実態調査は,平成19年法律第53号による改正前の統計法におけ
る指定統計調査として指定されており,平成11年の全国消費実態調査によって集
められた調査票情報は,上記改正後の統計法における基幹統計調査に係る調査票情
報とみなされる(平成19年法律第53号附則9条)。基幹統計は,国勢統計及び
国民経済計算のほか,全国的な政策を企画立案し又はこれを実施する上において特
に重要な統計として総務大臣が指定するものであり(統計法2条4項),公的統計
の中核をなすものとして特に重要性が高い統計として位置付けられており,その基
礎となる報告の内容の真実性及び正確性が担保されることが特に強く求められるも
のということができる。
このような観点から,基幹統計の作成を目的とする基幹統計調査について,統計
法は,所轄行政庁に個人又は法人その他の団体に対する報告の徴収に加えて立入検
査等の調査の権限を付与し(13条1項,2項,15条1項),その報告や調査の
拒否等につき罰金刑の制裁を科す(61条1号,2号)などの定めを置いている
が,全国消費実態調査のように個人及びその家族の消費生活や経済状態等の詳細に
ついて報告を求める基幹統計調査については,事柄の性質上,上記の立入検査等や
罰金刑の制裁によってその報告の内容を裏付ける客観的な資料を強制的に徴収する
ことは現実には極めて困難であるといわざるを得ないから,その報告の内容の真実
性及び正確性を担保するためには,被調査者の任意の協力による真実に合致した正
確な報告が行われることが極めて重要であり,調査票情報の十全な保護を図ること
によって被調査者の当該統計制度に係る情報保護に対する信頼を確保することが強
く要請されるものというべきである。
(2)全国消費実態調査に係る調査票情報である本件準文書に記録された情報
は,個人の特定に係る事項が一定の範囲で除外されているとはいえ,前記1(5)及
び(6)のとおり,被調査者の家族構成や居住状況等に加え,月ごとの収入や日々の
支出と物の購入等の家計の状況,年間収入,貯蓄現在高と借入金残高及びそれらの
内訳等の資産の状況など,個人及びその家族の消費生活や経済状態等の委細にわた
る極めて詳細かつ具体的な情報であって,金額等の数値も一部が分類されて2か月
分の加重平均となるほかは細目にわたり報告の内容のまま記録されており,被調査
者としては通常他人に知られたくないと考えることが想定される類型の情報である
といえる。このような全国消費実態調査に係る情報の性質や内容等に鑑みれば,仮
にこれらの情報の記録された本件準文書が訴訟において提出されると,当該訴訟の
審理等を通じてその内容を知り得た者は上記(1)アのような守秘義務等を負わず利
用の制限等の規制も受けない以上,例えば被調査者との関係等を通じてこれらの情
報の一部を知る者などの第三者において被調査者を特定してこれらの情報全体の委
細を知るに至る可能性があることを否定することはできず,このような事態への危
惧から,現に前記1(7)の世論調査の結果からもうかがわれるように,被調査者が
調査に協力して真実に合致した正確な報告に応ずることに強い不安,懸念を抱くこ
とは否定し難く,こうした危惧や不安,懸念が不相当なものであるとはいい難い。
(3)基幹統計調査としての全国消費実態調査における被調査者の当該統計制度
に係る情報保護に対する信頼の確保に係る上記(1)の要請に加え,全国消費実態調
査に係る調査票情報である本件準文書に記録された情報の性質や内容等に係る上記
(2)の事情も併せ考慮すれば,仮に本件準文書が本案訴訟において提出されると,
上記(1)及び前記1(5)ウのように調査票情報に含まれる個人の情報が保護されるこ
とを前提として任意に調査に協力した被調査者の信頼を著しく損ない,ひいては,
被調査者の任意の協力を通じて統計の真実性及び正確性を担保することが著しく困
難となることは避け難いものというべきであって,これにより,基幹統計調査とし
ての全国消費実態調査に係る統計業務の遂行に著しい支障をもたらす具体的なおそ
れがあるものといわなければならない。
以上によれば,本件準文書は,民訴法231条において準用する同法220条4
号ロ所定の「その提出により…公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるも
の」に当たるものというべきである。
4以上と異なる原審の前記判断には,裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令
の違反がある。論旨は理由があり,原決定のうち主文第1項は破棄を免れない。そ
して,以上説示したところによれば,同項に関する相手方らの申立ては理由がない
から,これを却下することとする。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。なお,裁判官田原睦
夫,同大橋正春の各補足意見がある。
裁判官田原睦夫の補足意見は,次のとおりである。
私は,法廷意見に与するものであるが,民訴法220条4号ロの意義に関して判
示する最高裁平成17年(許)第11号同年10月14日第三小法廷決定・民集5
9巻8号2265頁につき私の理解するところについて述べたうえで,基幹統計と
同条4号ロの要件との関係につき,以下のとおり補足して意見を述べる。
1民訴法220条4号ロの「その提出により公共の利益を害し,又は公務の遂
行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの」の意義について
(1)上記最高裁平成17年決定
同決定は,「民訴法220条4号ロにいう『その提出により公共の利益を害し,
又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがある』とは,単に文書の性格から公
共の利益を害し,又は公務の遂行に著しい支障を生ずる抽象的なおそれがあること
が認められるだけでは足りず,その文書の記載内容からみてそのおそれの存在する
ことが具体的に認められることが必要である」との一般的な判示をしているとこ
ろ,その判示するところを理解するうえで,事案の内容と同判示の関係について以
下にみておく。
事案は,労災事故に係る労働基準監督署等の調査担当者作成の災害調査復命書に
対する文書提出命令の申立てであり,その内容には,事故に係る客観的な事実関係
のほか,以下の二種類のものが含まれていた。
①当該調査担当者が,事業場や労働者らから聴取したところを取纏めたもの,
事業者から提供を受けた関係資料や当該事業場内の見分等に基づいて推測,
評価,分析した事項。
②再発防止策,行政指導の措置内容についての当該担当者の意見,署長判決及
び意見等の行政内部の意思形成過程に関する情報。
同決定は,①の情報に係る部分が本案訴訟において提出されても,関係者の信頼
を著しく損ない,また以後調査担当者が労働災害に関する調査を行うに当たって関
係者の協力を得ることが著しく困難となるということや,提出によって災害調査復
命書の記載内容に実質的な影響が生ずるとは考えられないので,公務の遂行に著し
い支障が具体的に存在するということはできないとして,同号ロ該当性を否定し
た。
他方,②の情報に係る部分は,行政内部の意思形成過程に関する情報が記載され
たものであり,その記載内容に照らして,これが本案事件において提出されると,
行政の自由な意思決定が阻害され,公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれが具体
的に存在することが明らかであるとして,同号ロ該当性を肯定した。
(2)文書の内容と同号ロ該当性の判断
文書の内容が同号ロに該当するか否かは,上記最高裁平成17年決定を踏まえる
と,以下のとおり解析することができるものと解される。
ア公共利益を害する文書該当性
文書の記載内容自体に高度の公益性があり,それが公表された場合には,公共の
利益を害することが明らかな文書がそれに当たると解される。例えば,防衛秘(東
京高裁平成20年2月19日決定・判例タイムズ1300号293頁は,元海上自
衛隊員の自殺事故に関する報告書について,自衛艦の乗員数,泊地等につき同号ロ
該当性を肯定した。),外交秘,治安関係事項に関する文書等がそれに当たるであ
ろう。
イ公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれのある文書該当性
公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれの有無が問題になり得る文書は,以下の
とおり分類できる。
(ア)当該文書の内容から,それが公表されること自体が公務の遂行に著しい支
障を生ずるおそれがあると認められる文書
例えば,行政内部の意思形成過程の文書で,公表が予定されていない文書(同条
4号ニ本文の「内部文書」に相当する文書),具体的には,上記平成17年決定の
②の文書,病院の医療事故に関し病院内部で作成された報告書等(広島高裁岡山支
部平成16年4月6日決定・判例時報1874号69頁,東京高裁平成23年5月
17日決定・判例タイムズ1370号239頁等),相手方との信頼関係保持との
関係上,公表することが予定されていない文書(最高裁平成17年(行フ)第4号
同年7月22日第二小法廷決定・民集59巻6号1888頁・外務省が口上書の形
式で外国公機関に交付した文書の控え等),非公開の委員会の議事録等がそれに当
たると解される。
(イ)当該文書の内容が,訴訟当事者に直接関係し,あるいは訴訟の争点に関連
する事項を内容とする文書
a訴訟当事者に直接関連する事項を内容とする文書
例えば,事故に係る損害賠償請求訴訟において,当該事故に関する報告書のう
ち,当該訴訟当事者に直接関係する部分等については,それが公表されることによ
り生じ得る支障の事項,内容を具体的に想定し得るのであり,それが著しい支障と
評価すべきものか否かは,当該訴訟の内容に応じて個別具体的に検討されるべきも
のである(多くの場合,その支障は否定されるであろう。)。
b訴訟当事者に間接的に関連する事項を内容とする文書
例えば,訴訟の対象たる事故の遠因を調査するための第三者からの聴取書,再発
防止策のための検討資料等がそれに当たるであろう。
かかる文書の場合には,①それを公表すること自体により当該第三者の利益を侵
害し,そのことが公務の遂行に著しい支障を生じるおそれをもたらす場合と,②そ
の公表により,同種の事故が生じた場合に同様の調査を行うことが困難となること
となって公務の遂行に著しい支障が生ずる場合とが想定される。
そのうち,①については,具体的なおそれの有無を個別事案毎に検討することが
可能であるが,②については,将来予測であるだけに,その具体的なおそれの認定
は,①に比すれば具体性の程度を緩やかに解さざるを得ないと言える。
かかる観点から4号ロの要件該当性を肯定したものとして,最高裁平成15年
(許)第48号同16年2月20日第二小法廷決定・裁判集民事213号541頁
(漁業補償交渉資料として作成された補償額算定資料),前掲東京高裁平成20年
2月19日決定の事故報告書の一部等がある。
(ウ)当該文書が訴訟当事者と関係なく作成された文書である場合
その場合も(イ)bと同様に,①それが公表されることにより,その内容に関わる
関係者の利益を直接侵害するおそれがあり,そのことによって公務の遂行に著しい
支障を来すか否かという点と,②その公表により,将来それと同種の文書を作成す
ることに困難を来し,その結果,爾後の公務の遂行に著しい支障を来すか否かが問
題となり得る。
そのうち①の点は,ある程度具体的に検討することが可能であるが,本件統計調
査の如く,法廷意見に記載したようにその対象者が多数に上る場合には,ある程度
緩やかなレベルで判断せざるを得ないと言えよう。また②の点は,より一般的な将
来予測であるだけに,(イ)bの場合に比して,具体性の程度をより緩やかに解さざ
るを得ないと言えよう。
ウ小括
以上検討したとおり,公務の遂行に著しい支障が生ずるか否かの認定における具
体性の程度は,当該文書の内容(訴訟当事者との関係及びその記載内容)との関係
から,比較的明確に認定し得るものから,その生ずるおそれの事項や内容について
相当程度まで具体的に想定し得ても,それが生ずるおそれの認定についてはある程
度緩やかなレベルに止まらざるを得ないものがあると言える。
本件準文書についても,以上に述べたところを前提に検討する必要があるといえ
よう。
なお,その公務の遂行に著しい支障が生ずるか否かの認定においても,後記3に
記載する相関的な観点から認定がなされるべきものと解される。
2基幹統計と民訴法220条4号ロの該当性について
(1)旧統計法の規定
昭和22年に施行された旧統計法(以下「旧法」という。)は,戦前・戦中の統
計が国策のために歪められ,「国際及び国内状勢に対する客観的な認識のために必
要となる統計を欠き,或いはそれが国民の目から隠されていたために,国の基本政
策を誤らしめ」たとの視点に立って立案されたものと言われており,かかる観点か
ら旧法1条の法の目的には,「統計の真実性を確保」することが唱われていた。そ
して,統計のうち,統計に係る所管庁の長等(総務省が設置されてからは総務大
臣)が指定する指定統計については,統計の真実性を担保するため,調査対象者の
申告義務(旧法5条),同調査に従事する者の立入調査権,質問権(旧法13
条),調査従事者等の守秘義務(旧法14条),指定統計を作成するために集めら
れた資料の目的外使用の禁止(旧法15条),それらの諸規定に違反した場合の刑
事罰等が定められていた。
(2)現行法の規定
現行の統計法は,統計の体系的整備を図ると共に,情報の保護と調査票情報の利
用の見直しを行うとの観点から,平成19年に旧法を全面的に改正して制定された
ものである(平成19年法律第53号)。
現行法は,その目的を定めた1条には,旧法1条のような「統計の真実性の確
保」を正面から規定してはいないが,1条の目的規定に,「公的統計が国民にとっ
て合理的な意思決定を行うための基盤となる重要な情報であることにかんがみ,公
的統計の作成及び提供に関し基本となる事項を定める」と規定するところ,同規定
は,統計の真実性が確保されていることを当然の前提とした規定であるということ
ができる。
そして,現行法は,旧法の指定統計に代えて「基幹統計」という概念を導入した
が,基幹統計に関しては,法廷意見にて指摘するとおり旧法の指定統計以上にその
真実性を担保するための諸規定が整備・拡充され,また二次的利用に関しても,そ
の利用者に適正な管理を義務付けると共に,刑事罰を伴う守秘義務を課しているの
である。
(3)基幹統計
統計法2条4項は,基幹統計につき,次のいずれかに該当する統計をいうと定め
ている。
①国勢統計
②国民経済計算
③行政機関が作成し,又は作成すべき統計であって,次のいずれかに該当する
ものとして総務大臣が指定するもの
イ全国的な政策を企画立案し,又はこれを実施する上において特に重要な
統計
ロ民間における意思決定又は研究活動のために広く利用されると見込まれ
る統計
ハ国際条約又は国際機関が作成する計画において作成が求められている統
計その他国際比較を行う上において特に重要な統計
基幹統計の指定を受けている統計は,平成25年1月1日現在で54統計存し,
そのうち統計調査の方法によるものが50統計存するところ,本件文書提出命令の
対象たる全国消費実態統計は総務大臣が作成する統計調査方法により作成する基幹
統計の一つである。
現在指定されている統計調査の方法により作成する基幹統計につき,その作成機
関別に主要なものを摘示すると以下のとおりである。
総務大臣住宅・土地統計,労働力統計,小売物価統計,家計調査等
総務大臣及び
経済産業大臣経済構造統計
財務大臣法人企業統計
国税庁長官民間給与実態統計
文部科学大臣学校基本調査,学校保健統計,学校教員統計等
厚生労働大臣人口動態調査,毎月勤労統計調査,医療施設統計,国民生活基
礎統計等
農林水産大臣農林業構造統計,海面漁業生産統計等
経済産業大臣工業統計調査,経済産業省生産動態統計,商業統計,経済産業
省企業活動基本統計等
国土交通大臣港湾統計,建築着工統計,建設工事統計,自動車輸送統計,法
人土地基本統計等
上記の各統計を一覧するに,何れの統計も,我国の社会・福祉政策,教育政策,
労働政策,産業・経済政策,運輸行政政策等,政府として採るべき基幹となる諸政
策を企画立案する上で不可欠なデータを蒐集すべく行われている統計調査であるこ
とが明らかであり,それ故,それらの統計調査から導かれる政策に誤りを来さない
ためにも,その正確性が強く求められていると言えよう。
(4)基幹統計の民訴法220条4号ロ該当性の検討
上記に述べた統計調査の方法による基幹統計の重要性に鑑みれば,基幹統計の信
用性の基礎を揺るがすおそれをもたらす事態が生じることは,出来る限り防止しな
ければならないというべきである。
それ故,統計調査の方法による基幹統計に関する諸資料について文書提出命令が
申立てられる場合には,かかる観点から民訴法220条4号ロの要件該当性が検討
されるべきである。
先ず,基幹統計の対象者の選定方法や選定に係る一般的なデータ,調査方法,調
査結果の統計データ処理の方法等,統計調査に係る一般的,技術的手法に関する資
料等は,仮に文書提出命令によって法廷に顕出されても統計調査の信用性を何ら揺
るがすものではない。
しかし,「調査票情報」(法2条11項)は,統計調査のデータそのものであ
る。被調査者は,法廷意見に指摘するとおり調査票情報が適正に管理されその二次
的利用にも厳しい制約がなされ,また調査票情報に直接,間接に接する者に対して
も刑事罰を背景とした厳しい守秘義務が課されているところから,統計調査の目的
及び統計法に定められた二次的利用の目的以外に同情報が外部に流出しないことを
前提に,調査に適正に対応しているものと推察される。
ところが,被調査者とは全く関係のない第三者間の訴訟において,被調査者の意
向とは関係なく調査票情報が文書提出命令によって法廷に顕出されるおそれがあ
り,そうして提出された場合には統計調査の関係者ではない訴訟関係者がその情報
に接するとともに,当該訴訟関係者は統計法上の守秘義務を負わないことから更に
第三者にその情報が漏出するおそれもあるところ,そのことを被調査者が知った場
合には,統計調査への協力を拒絶し,或いは正確な応答をすることなく適宜の応答
しかしないおそれが生じることとなる。
かかるおそれの有無・程度を計数的に把握することは極めて困難であるが,しか
し,そのことは,そのおそれが一般的抽象的な可能性に止まるものであることを意
味するものではない。もし,統計調査の方法により作成される基幹統計調査の何れ
かにおいて,かかるおそれが現実化した場合には,その影響は当該統計調査に止ま
らず,統計法の定める統計システム全体に影響し,その結果そのシステム自体が瓦
解しかねず,その場合政府機関は,その政策決定に不可欠である正確な基礎データ
を入手し得ないこととなるのであって,その影響するところは余りにも甚大であ
る。
なお,原決定は,文書提出命令の発令に際し,個人情報に係る一定の情報を提出
命令の対象外とすること(ブラインド化)により,調査票情報のうち個人の特定に
繋がる情報が秘匿できるところから,本件準文書が公の法廷に提出されても,統計
行政の運営に支障を来すおそれは抽象的なものにとどまるというべきであるとする
が,被調査者としては,個々の文書提出命令の発令に際して,如何なる限度で調査
票情報が秘匿化されるかが全く予測できない以上,文書提出命令において個人の特
定に繋がる情報を秘匿化するべくその提出対象を一部除外するとの措置がなされる
ことがあるか否かは,上記の調査への協力に消極的な対応をとるか否かに何ら影響
を及ぼすものではないというべきである。
(5)小括
以上述べたところからすれば,基幹統計における調査票情報は,文書提出命令に
おいて,被調査者(個人)の特定に係る情報部分につき秘匿の措置をとるか否かに
拘ず,特段の事由のない限り,民訴法220条4号ロの「公務の遂行に著しい支障
を生ずるおそれがあるもの」に該るというべきである。
そして,本件調査は,法廷意見にて指摘するとおり,被調査者の個人や家族の詳
細な生活情報をその対象とするものであり,被調査者の個人情報の秘匿がより強く
求められるものであることからすれば,上記の要件に該当することは明らかである
(1(2)イ(ア)及び(ウ)に該当すると言えよう。)。
3証拠調べの必要性と民訴法220条4号ロとの関係について
前項で検討したとおり,本件準文書は民訴法220条4号ロに該当することは明
らかであって,以下に述べる点は本件の結論に影響を及ぼすものではないが,原決
定は,証拠調べの必要性と民訴法220条4号ロとの関係についても理論的に看過
できない判断を示していると解されるので,その点につき補足的に私の意見を述べ
ておく。
(1)民訴法220条4号ロ該当性の判断方法
原決定は,本件準文書の取調べの必要性を簡単に認めたうえで,本件準文書の民
訴法220条4号ロ該当性の有無を,取調べの必要性とは別個の要件として検討を
加えている。
しかし,今日の学説の有力説及び多数の高裁決定例は,民訴法220条4号ロの
「公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれ」があるか否かは,当該文書の性質上同
号の要件に該当することが明らかでない限り,取調べの必要性と公務の遂行に支障
を生ずるおそれの程度とを相関的に検討したうえで判断すべきものとしているので
あって,原決定の判断方法とは異なっている。私は上記有力説の見解が正当である
と思料するので,かかる相関的な観点から,本件準文書の民訴法220条4号ロの
該当性の有無について以下に一応の検討を加えることとする。
(2)原決定の判断方法の検討
原決定は,本件準文書が個人の特定につながることがなくとも,それが公の法廷
に顕出されることにより,統計行政の運営に支障を来すことについてのおそれがな
いと即断することはできないが,そのおそれは,なお抽象的なものにとどまるとい
うべきであるとして,上記条項への該当性を否定する。
しかし,前項にて指摘したように,本件準文書が公開の法廷に顕出されるか否か
は統計行政の制度的な信頼に関わるものであるところ,本件の決定は個別の案件に
おけるものとはいえ,それが今後行われる本件実態調査やそれ以外の統計調査を含
めた統計行政全体に如何なる影響を及ぼし得るかについて,原決定は何ら触れると
ころはない。
今日の有力説の立場からは,本件準文書が原決定のように個人の特定に係る情報
を秘匿したうえであっても,それが法廷に顕出されることによる統計行政への影響
の有無・程度を,原決定のいう抽象的なレベルではあっても,証拠としての必要性
との相関的な観点から検討すべきものである。
(3)証拠としての必要性について
次に,「公務遂行への支障の有無」との関係から検討がなされるべき本件におけ
る証拠の必要性に関してみてみる。
本件本案訴訟の争点は,厚生労働大臣が告示によって行った生活保護の老齢加算
制度の廃止が,同大臣の裁量権の行使の逸脱,濫用に該るか否かという点にあると
ころ(最高裁平成22年(行ツ)第392号,同年(行ヒ)第416号,同24年
2月28日第三小法廷判決・民集66巻3号1240頁参照),本件申立てに係る
準文書は,その裁量権行使の基礎資料として用いられたものである。
ところで,行政機関が裁量権の行使に当たり用いた資料に仮に誤りが存したとし
ても,その誤りがその行使の可否,内容に直接の影響を及ぼし得るものでない限
り,それは裁量権の行使の違法性に結び付くものではない。また,その誤りが,裁
量権行使の判断に影響を及ぼし得るものであったとしても,行政機関がその行使に
当たり,その誤りを知り又は知ることが出来た場合でない限り,裁量権行使の逸
脱,濫用であるとしてその違法性が問われることはないと解すべきものと考える。
申立人らは,本件準文書により,厚生労働大臣において裁量権の逸脱,濫用があ
ったことを立証すべく本件文書提出命令の申立てをしたことが認められるが,その
申立書や申立人らの主張書面によっても,申立人らは,本件統計調査の統計データ
処理の正確性に疑問があり,それを検証するために本件準文書の開示を求める必要
性があると抽象的に主張するのみである。
申立人らは,本件統計データ処理の正確性を確認するうえで,本件統計データ処
理につき具体的に検証されるべき点は何か,その検証により,本件統計調査の結論
に相違が生ずる可能性の程度,その相違は本件における厚生労働大臣の裁量権の行
使に影響を及ぼし得るものか否か等について何ら具体的に主張していない。また,
申立人らの主張するような統計データ処理の誤りが存したとしても,厚生労働大臣
がそれを知り又は知ることができ,その結果本件においても裁量権行使の逸脱,濫
用があったと言えるのかについても,申立人らは何ら具体的に主張してはいない。
このように,申立人らが本件準文書の提出によって立証しようとする事実は,本
件統計データ処理の正確性の検証という,上記の本件本案訴訟の争点からすれば,
その主張を裏付ける間接資料(それも最終立証命題との関係では,その関連性は薄
いものと窺われる。)を入手しようとするものにすぎず,言わば模索的立証に近い
ものとも評し得るものである。
(4)小括
私は,前記のとおり公務遂行への著しい支障の有無については,証拠としての必
要性と相関的に検討すべしとする有力説の立場を是とするものであるが,かかる見
解からすれば,仮に法廷意見の見解を採らないとしても,原決定は民訴法220条
4号ロ該当性の判断に当たり,公務遂行への支障の有無・程度と,証拠としての必
要性とを何ら相関的に検討することなく同号該当性の有無を判断したものであっ
て,その判断過程において審理不尽であると言わざるを得ず,破棄のうえ,その相
関関係につき更に検討させるべく原審に差し戻すべきとの結論に導かれるのであ
る。
裁判官大橋正春の補足意見は,次のとおりである。
私は,相手方らの文書提出命令申立てを却下すべきであるとした法廷意見に賛同
するものであるが,事案に鑑み補足して意見を述べたい。
基幹統計調査に係る調査票情報について民事訴訟法231条において準用される
同法220条に定める文書提出義務の例外とする特別の規定はなく,したがって,
上記調査票情報に関する文書の提出を拒否できるのは同条4号イないしホに該当す
る場合に限られる。また,基幹統計調査に係る調査票情報について被調査者は統計
調査の目的及び統計法に定められた二次的利用の目的以外に同情報が外部に流出し
ないことを前提に調査に対応しており,これを被調査者とは関係のない訴訟におい
て文書提出命令により法廷に顕出されることを知った場合には,被調査者が統計調
査への協力を拒絶し,あるいは正確な対応をしないおそれがあることが抽象的な可
能性として予想されるとしても,このことのみを理由に基幹統計調査に係る調査票
情報の全般について一律に同条4号ロに該当するとして文書提出義務の例外とする
ことは,基幹統計の正確性とともに考慮すべき裁判における正確な事実認定の重要
性に鑑みて相当ではない。個人に係る情報の流失の懸念を根拠として同条4号ロに
該当するといえるためには,文書提出命令によって開示される調査票情報によって
被調査者が識別,特定される具体的な可能性が必要である。
本件の対象となる全国消費実態調査に係る調査票情報が被調査者個人及びその家
族の消費生活や経済状態等の委細にわたる極めて詳細かつ具体的な情報であり,被
調査者としては通常他人に知られたくないと考えることが想定される類型の情報で
あることは法廷意見の指摘するとおりである。また,調査票情報から被調査者の識
別,特定を容易にする情報を除外したとしても,原決定が提出を命じた調査票情報
は極めて具体的,詳細なものであることや調査対象市町村によっては調査対象者の
数が少ないことなどを考えると,法廷意見が指摘するように第三者が被調査者との
関係等を通じて取得する情報と開示された情報とを照合することで被調査者の識
別,特定がなされる具体的な可能性が存在するといえる。したがって,本件では同
条4号ロ該当性が認められることになる。
基幹統計の正確性の担保や個人情報の保護が必要なことはいうまでもないが,裁
判における正確な事実認定もまた重要である。この2つを調和することは事案によ
っては容易ではないが,それゆえに訴訟当事者や裁判所の創造的な活動・運用が期
待される。例えば,ある種の基幹統計についてその集計の合理性を検証するためで
あれば,その集計の手順を明らかにさせた上でその合理性を検討し,手順自体が合
理的であった場合には具体的な集計が当該手順に従って行われたかを訴訟当事者が
合意した専門家に秘密保持契約等によって守秘義務を負わせた上で具体的データを
見せ検証させるといった方法も考えられなくはないといえよう。
(裁判長裁判官田原睦夫裁判官岡部喜代子裁判官大谷剛彦裁判官
寺田逸郎裁判官大橋正春)

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