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判決
主文
1被告は,原告に対し,5000万円及びこれに対する平成19年6月7
日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2原告のその余の請求を棄却する。
3訴訟費用はこれを10分し,その1を原告の,その余を被告の各負担と
する。
4この判決は,第1項及び第3項に限り,仮に執行することができる。
事実及び理由
第1請求
被告は,原告に対し,5766万2759円及びうち5000万円に対する
平成19年6月7日から,うち242万0690円に対する平成22年5月2
1日から,うち524万2069円に対する平成22年11月4日から,各支
払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2事案の概要等
1事案の概要
本件は,地方公共団体である原告の住民らが,原告の発注に係るごみ処理設
備建設工事の入札において被告が談合(以下「本件談合」という。)を行った
として,被告に対しては地方自治法(平成14年法律第4号による改正前のも
の。以下「法」という。)242条の2第1項4号に基づき,京都市長に対し
ては同項3号に基づき住民訴訟(以下「別件住民訴訟」という。)を提起して,
前者について一部勝訴し(後者については,訴えを取り下げた。),その後,
原告に対し,同条7項に基づき,別件住民訴訟において訴訟委任した弁護士ら
に支払うべき報酬額の支払を求める訴え(以下「別件報酬請求訴訟」とい
う。)を提起し,報酬相当額を5000万円とする判決が確定したことから,
原告が,被告に対し,本件談合によって別件住民訴訟の応訴に要した費用(弁
護士報酬)94万5000円,別件住民訴訟原告らに支払った弁護士報酬相当
額5000万円,別件報酬請求訴訟の応訴に要した費用(弁護士報酬,貼用印
紙代,納付郵便切手代)147万5690円,本訴提起に係る弁護士報酬52
4万2069円の各損害を被ったと主張して,不法行為に基づき,5766万
2759円及び各金員に対する遅延損害金の支払を求めた事案である。
2前提事実(末尾に証拠を掲げた事実以外は当事者間に争いがない。)
原被告間における請負契約締結
原告は,京都市東北部クリーンセンター建設工事(以下「本件工事」とい
う。)の請負契約を一般競争入札の方法で締結することとし,平成8年11
月18日,本件工事の入札(以下,「本件入札」という。)を行い,被告は
これを入札価格218億円で落札した。
原告と被告は,同年12月13日,本件工事について,代金を228億9
000万円(消費税及び地方消費税相当額10億9000万円を含む。)と
する請負契約を締結した。
別件住民訴訟の提起及び一部認容判決の確定
ア原告の住民であるAほか760名は,住民監査請求を経た上,平成12
年2月10日,本件入札において被告が違法な本件談合を行った結果落札
価格が不当につり上げられ,原告が損害を被ったなどと主張して,法24
2条の2第1項4号に基づき,被告に対し,主位的に,工事代金として受
領した公金相当額の不当利得金及びこれに対する遅延損害金を,予備的に,
不法行為に基づく損害賠償金及びこれに対する遅延損害金を,それぞれ原
告に対し支払うよう求める住民訴訟(以下「別件第1住民訴訟」とい
う。)を提起した。
また,原告の住民であるBほか37名も,同年3月17日,本件第1住
民訴訟と同内容の訴え(以下「別件第2住民訴訟」といい,これと別件第
1住民訴訟を併せたものが「別件住民訴訟」である。)を提起し,この訴
訟の口頭弁論は,別件第1住民訴訟のそれに併合された。
別件住民訴訟原告らは,別件住民訴訟において,京都市長に対し,法2
42条の2第1項1号に基づき,未払工事代金の支払差止めを求めていた
が,平成13年4月,原告が被告に対し工事代金を全額支払ったことによ
り,京都市長に対する訴えの利益が消滅したため,同年6月29日,別件
住民訴訟原告らは京都市長に対する訴えを取り下げた。
イ別件住民訴訟の第1審裁判所である当庁は,平成17年8月31日,違
法な本件談合があったと認定した上,別件住民訴訟原告らの予備的請求を
一部認容する判決を言い渡した。
第2審である大阪高等裁判所も,平成18年9月14日,第1審同様に
本件談合があったと認定した上,被告に対して原告への損害賠償金の支払
を命じる一部認容判決を言い渡した。その認容額は,18億3120万円
及びうち6億0703万0560円に対する平成12年5月8日から,う
ち12億2416万9440円に対する平成13年5月26日から各支払
済みまで年5分の割合による金員であった。
同判決は,平成19年4月24日,最高裁判所の上告棄却判決及び上告
不受理決定により確定した。
別件報酬請求訴訟の提起及び一部認容判決の確定
ア別件住民訴訟原告らの一部(以下「別件報酬請求訴訟原告ら」とい
う。)は,平成19年9月7日,法242条の2第7項に基づき,原告に
対して,別件住民訴訟の追行に要した弁護士報酬額の範囲内で相当と認め
られる額(弁護士報酬合計1億9353万9907円及びこれに対する平
成19年6月7日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金)の支
払を請求する別件報酬請求訴訟を提起し,原告は弁護士に訴訟委任してこ
れに応訴した(甲1,甲15)。
イ別件報酬請求訴訟については,当庁における第1審判決を経て,第2審
である大阪高等裁判所において,平成21年4月22日,弁護士報酬額の
範囲内で相当と認められる額を5000万円とし,同額及びこれに対する
平成19年6月7日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を命
じる一部認容判決が言い渡され,同判決は,最高裁判所の上告棄却判決及
び上告不受理決定により,平成23年9月8日に確定した(甲1,10,
11)。
原告の各費用の支払
ア京都市長は,別件住民訴訟のうち法242条の2第1項1号に基づく請
求に係る部分について,取下げがされるまで弁護士に訴訟委任して応訴し
た(なお,京都市長の主張は,別件第1住民訴訟は適法な監査請求期間内
の監査請求を経ておらず不適法なものである,別件第2住民訴訟は別件第
1住民訴訟と同一の請求であって法242条の2第4項により不適法なも
のである,というものであった。)。
原告は,上記のとおり京都市長が応訴するに際して,同市長が委任した
弁護士に対して,着手金63万円,報酬金31万5000円,合計94万
5000円を支払った(甲12,13。以下「住民訴訟応訴費用」とい
う。)。
イ原告は,別件報酬請求訴訟について,弁護士に訴訟委任して応訴し(な
お,原告の主張は,当該訴訟における請求額が高額であるというものであ
る。),委任した弁護士に対して,第1審着手金31万5000円,控訴
審着手金31万5000円,上告審着手金31万5000円,合計94万
5000円の弁護士報酬を支払った(甲15から17まで)。
また,原告は,同訴訟において,貼用印紙代50万5000円及び納付
郵便切手代2万5690円を支出した(甲18から21まで(枝番号を含
む。)。以下,これらを併せて「報酬請求訴訟応訴費用」という。)。
ウ原告は,別件報酬請求訴訟での敗訴判決を受けて,別件報酬請求訴訟原
告らに対し,5000万円及びこれに対する平成19年6月7日から支払
済みまで年5分の割合による遅延損害金の合計6093万5792円を支
払った(甲1,11,14。以下,この金員を「弁護士報酬相当金」とい
う。)。
3争点及び争点に関する当事者の主張
本件の争点は,本件談合と原告が主張する各損害との間に相当因果関係があ
るか否かである。
原告の主張
ア前記2記載の各損害及び本訴提起に係る弁護士報酬は,次のとおり,
被告が本件談合を行ったことによって生じたものである。
イすなわち,まず,前記2記載の各損害は,別件住民訴訟が提起された
ことにより生じたものであるが,原告の公法人としての責任ある立場や,
原告が談合を理由に事業者に対して損害賠償請求訴訟を提起したときに当
該事業者の信用等に与える悪影響の重大性などに鑑みると,客観的にみて
当該談合の事実を認定するに足りる証拠資料を入手するまでは,当該事業
者に対する損害賠償請求権を行使することはできない。
本件では,別件住民訴訟が提起された平成12年2月10日の時点にお
いて,被告は公正取引委員会による排除勧告に応諾せず,審判手続が進行
中であり,かつ,独占禁止法に基づいて当該手続における証拠の閲覧謄写
が可能となったのは同年5月16日の当該手続の第3回審判期日で証拠の
採用決定がされて以降であるから,別件住民訴訟が提起された時点で原告
が前記のような証拠資料を入手することは不可能であった。なお,別件住
民訴訟第1審判決で認定された原告の違法な怠る事実の基準時は,同審の
口頭弁論終結時(平成17年3月9日)であって,訴え提起時ではない。
そうすると,原告が別件住民訴訟提起前に被告に対して損害賠償請求を
することは不可能であった。また,そもそも,被告が本件談合を行わなけ
れば別件住民訴訟は提起されなかった。
したがって,いずれにしても,原告が別件住民訴訟提起前に被告に対し
て損害賠償請求を行わなかったことは,本件談合と前記各損害との相当因
果関係を否定する事由とはなり得ず,本件談合と前記各損害との間には相
当因果関係がある。
ウ次に,原告は,被告の本件談合による不法行為により,前記2記載の
各損害を被り,この損害を回復するために弁護士に訴訟委任して本件訴え
を提起し訴訟を追行することを余儀なくされたから,被告の不法行為と相
当因果関係のある損害として,本訴訟に要した前記2の各損害額の1割
に相当する弁護士費用524万2069円の損害も被った。
被告の主張
前記2の各費用は,いずれも別件住民訴訟が提起されたことによって生
じた費用であるところ,別件住民訴訟が提起されたのは,専ら原告の執行機
関である京都市長が被告に対する損害賠償請求権の行使を違法に怠っていた
ことに起因するのであるから,仮に被告が本件談合を行ったと認められたと
しても,当該行為と前記各費用との間に相当因果関係がないことは明らかで
ある。
また,そうである以上,本件談合と原告が本訴訟に要した弁護士費用との
間にも相当因果関係はない。
第3争点についての判断
1住民訴訟応訴費用及び報酬請求訴訟応訴費用について
原告は,住民訴訟応訴費用及び報酬請求訴訟応訴費用について,いずれ
も被告による本件談合から生じた損害であると主張する。
しかしながら,別件住民訴訟及び別件報酬請求訴訟がいずれも本件談合
による不法行為を前提として生じたものであるとしても,原告は,別件住
民訴訟については住民訴訟の適法性,別件報酬請求訴訟については額の相
当性という,被告の不法行為の存否及び内容とは異なる争点について,か
つ,訴訟当事者としての自らの責任において,前記各訴訟原告らの請求の
当否を争っているのであるから,そのための費用が被告の本件談合によっ
て原告に生じた損害であるとは到底いいがたく,本件談合と前記各応訴費
用との間に因果関係があるとは認められない。
2弁護士報酬相当金について
次のとおり,本件談合と弁護士報酬相当金との間には,相当因果関係
があるというべきである。
ア相手方の故意又は過失によつて自己の権利を侵害された者が損害賠
償義務者たる相手方から容易にその履行を受け得ないため,自己の権
利擁護上,訴えを提起することを余儀なくされた場合において,訴訟
追行を弁護士に委任したときには,その弁護士費用は,事案の難易,
請求額,認容された額その他諸般の事情を斟酌して相当と認められる
額の範囲内のものに限り,当該不法行為と相当因果関係に立つ損害と
いうことができる(最高裁昭和44年2月27日第一小法廷判決・民
集23巻2号441頁)。
イ法242条の2第1項4号に規定する訴訟(以下「4号訴訟」とい
う。)は,住民が自己の個人的な権利利益の保護救済を求めて提起す
るものではないが,地方財務行政の適正な運営を確保することを目的
として,自己を含む住民全体の利益のために,普通地方公共団体に代
わって提起するものであるから(最高裁平成21年4月23日第一小
法廷判決・民集63巻4号703頁),住民は自己の権利を侵害され
た地方公共団体に準じる立場において訴訟追行をするものといえる。
そして,4号訴訟は,地方公共団体が実体法上有する請求権を住民
が当該地方公共団体に代位して請求するものであるから,4号訴訟の
原告が委任した弁護士の主張立証活動は,その性質上当然に,地方公
共団体の被告に対する請求権の存在に直接向けられることになるし,
その弁護士報酬も,当該主張立証活動に対するものであるといえる。
これらに照らすと,4号訴訟に係る請求権が不法行為に基づく損害
賠償請求権である場合には,この弁護士報酬のうち上記アの相当と認
められる額の範囲内のものは,本来的に,当該不法行為と相当因果関
係を有する損害ということができる。
ウこの弁護士報酬の負担について,法242条の2第7項は,4号訴
訟を提起した住民が勝訴(一部勝訴を含む。)した場合に,その訴訟
を委任した弁護士に支払うべき報酬額の範囲内で相当と認められる額
の支払を地方公共団体に対して請求することができると規定している
のであり,弁護士報酬のうち相当と認められる額を地方公共団体が負
担することは,法律が当然に予定したものということができる。
また,法242条の2第7項にいう「相当と認められる額」とは,
4号訴訟において住民から訴訟委任を受けた弁護士が当該訴訟のため
に行った活動の対価として必要かつ十分な程度として社会通念上適正
妥当と認められる額をいい,その具体的な額は,当該訴訟における事
案の難易,弁護士が要した労力の程度及び時間,認容された額,判決
の結果普通地方公共団体が回収した額,住民訴訟の性格その他諸般の
事情を総合的に勘案して定められるべきものと解されるところ(上記
最高裁平成21年4月23日第一小法廷判決),これは,住民訴訟の
性格など考慮要素において異なるところはあるものの,上記アの不法
行為と相当因果関係のある弁護士費用の算定と基本的に同質性を有す
るものと考えられる。
なお,法242条の2第7項が4号訴訟の弁護士報酬を地方公共団
体の負担とするのは,4号訴訟が,住民が地方公共団体に代わって提
起するものであり,この訴訟において住民が勝訴したときは,そこで
求められた是正等の措置が本来地方公共団体の自ら行うべき事務であ
ったことが明らかとなり,かつ,これにより普通地方公共団体が現実
に経済的利益を受けることになるのであるから,住民がそのために費
やした費用をすべて負担しなければならないとすることは衡平の理念
に照らし適当とはいい難いということによるものであるところ(上記
最高裁平成21年4月23日第一小法廷判決),同項の規定自体は,
地方公共団体の負担となった弁護士費用を当該4号訴訟の被告に請求
できることを一般的に予定したものとはいえないが,他方,上記の趣
旨にかんがみると,当該4号訴訟において請求される権利が不法行為
に基づく損害賠償請求権である場合に,地方公共団体の負担とされる
弁護士費用と当該不法行為との間の因果関係の相当性を否定する趣旨
を含むものということはできない。
エこれらのことからすると,不法行為に基づく損害賠償を請求する4
号訴訟において,法242条の2第7項によって地方公共団体が負担
することとなった弁護士報酬は,それが当該地方公共団体自身による
訴訟ではなく住民訴訟となったことにより報酬額が増加したなどの事
情がない限り,当該不法行為と相当因果関係のある損害と認めるのが
相当である。
オそして,別件住民訴訟において,同訴訟原告である住民から委任を
受けた弁護士は,本件談合に係る公正取引委員会における審判手続に
おける証拠を入手するなどして被告の談合行為の主張立証を行ったと
ころ(乙1,2),発注者である地方公共団体に対して秘匿して行わ
れる談合の性格などに照らしても,住民訴訟となったことにより弁護
士報酬額が増加したことの具体的な事情は特段認められないから,本
件談合と弁護士報酬相当金との間には,相当因果関係があるというべ
きである。
これに対し,被告は,別件住民訴訟が提起されたのは,専ら原告の執行
機関である京都市長が被告に対する損害賠償請求権の行使を違法に怠って
いたことに起因する旨主張する。
この点,平成14年法律第4号による改正後の地方自治法242条の2第
1項4号の訴訟(以下「改正後の4号訴訟」という。)は,怠る事実の相手
方に対して直接的に請求権を行使する代位訴訟ではなく,地方公共団体の執
行機関又は職員に対して,怠る事実に係る相手方に対して請求することを求
めるいわゆる義務付け訴訟とされている。そのため,不法行為の損害賠償請
求権に係る改正後の4号訴訟においては,地方公共団体の執行機関等の怠る
事実が違法なものであるか否かが判断されることになるのであり,同訴訟原
告である住民から委任を受けた弁護士が追行する主張立証活動も,地方公共
団体の権利の擁護・実現のために加害者を相手方として権利の存在を主張立
証することを直接の目的とするものではなく,基本的に怠る事実の違法性の
主張立証に向けられることとなり,損害賠償請求権の存在の主張立証も飽く
までその一部としてされるにとどまる。そして,改正後の4号訴訟において
原告が勝訴した場合には,当該訴訟の口頭弁論終結時において,地方公共団
体の執行機関等の怠る事実が違法なものであったことが明らかとなる。その
ため,上記改正後の4号訴訟においては,住民が勝訴した場合の弁護士報酬
(上記改正後の同条12項。なお,同項により地方公共団体に対して弁護士
報酬を請求できる場合については,改正後の4号訴訟のみに限らず,同条1
項の規定による訴訟すべてに拡張されている。)は,専ら地方公共団体の執
行機関等が請求権の行使を違法に怠っていたことにより生じたものであって,
これを不法行為と相当因果関係のある損害ということはできない。
しかしながら,上記改正前の4号訴訟は,上記のとおり代位訴訟であって,
最終的に地方公共団体が負担する弁護士報酬も,基本的に被告の不法行為に
よる損害賠償請求権の主張立証に向けられたものであるから,これを専ら地
方公共団体の怠る事実に起因するものであるということはできない。
また,上記改正前の4号訴訟において住民である原告が勝訴した場合,
口頭弁論終結時点において地方公共団体の執行機関等の怠る事実が違法
であるということはできるが,当該住民訴訟提起時点で当該怠る事実が
違法であったということは直ちにはいえない上,代位訴訟である上記改
正前の4号訴訟においては,義務付け訴訟である改正後の4号訴訟と異
なり,いったん住民訴訟が提起されると,地方公共団体がその後に自ら
同一内容の訴えを提起することはできないと解されることからすると,
上記改正前の4号訴訟において住民である原告が勝訴した場合であって
も,それが地方公共団体の執行機関等において違法に怠っていたことに
よるものであるとは必ずしもいえない。この点,不法行為に基づく損害
賠償請求権の不行使が違法な怠る事実に当たるというためには,少なく
とも,客観的に見て不法行為の成立を認定するに足りる証拠資料を地方
公共団体の長が入手し,又は入手し得たことを要するところ(最高裁平
成21年4月28日第3小法廷判決・集民230号609頁(乙3)),
平成17年法律第35号による改正前の独占禁止法69条が規定する
「事件記録」の閲覧謄写に関し,審判手続において証拠として採用され
ていないものは証拠の申出がされているときであっても閲覧謄写が可能
な事件記録に含まれないこととされていること(甲3),本件談合に係
る公正取引委員会における審判手続において,証拠(査甲1ないし13
2,134ないし139)が採用されたのは平成12年2月10日の住
民訴訟提起後である同年5月16日であること(甲4,5)に照らすと,
原告が,別件住民訴訟提起時において,公正取引委員会から入手するこ
とができた証拠はなく,また,それ以外に本件談合の事実を認定するに
足りる証拠資料を原告が入手し得たことを認めるに足りる証拠はない。
以上のとおりであるから,上記被告の主張には理由がない。
3本訴に要する弁護士費用について
本訴に要する弁護士費用は,本件談合による損害賠償請求をするために
直接要した弁護士費用の請求ではなく,当該弁護士費用を請求する訴訟に
おける弁護士費用であるから,不法行為を原因として直接生じたものとは
いえない。また,本訴に要する弁護士費用は,原告が被告に本件談合によ
る損害賠償請求訴訟を直接提起していればそもそも生じなかった費用であ
って,被告においてこのような費用まで発生することを予見することは通
常困難である。
これらに照らすと,本訴に要する弁護費用と本件談合との間に相当因果
関係を認めることはできない。
第4結論
以上のとおりであり,原告の請求は,弁護士報酬相当金に係る部分には
理由があるからこれを認容し,その余は理由がないからこれを棄却するこ
ととし,主文のとおり判決する。
京都地方裁判所第6民事部
裁判長裁判官大島眞一
裁判官谷口哲也
裁判官結城康介

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