弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件控訴はいずれもこれを棄却する。
     控訴費用は控訴人らの負担とする。
         事    実
 控訴人ら代理人は、それぞれ「原判決中控訴人に関する部分を取り消す。被控訴
人の請求を棄却する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判
決を求め、被控訴代理人は、控訴棄却の判決を求めた。
 当事者双方の事実上の陳述および証拠の関係は、控訴人Bの代理人および被控訴
代理人において、それぞれ末尾添付別紙準備書面記載のとおり陳述したほか、いず
れも原判決の事実摘示と同一であるから、これを引用する。
         理    由
 (一) 当裁判所の判断は、次に補足するほか、原判決説示の理由と同一である
から、ここに右説示を引用する。
 (二) 当裁判所の補足するところは、次のとおりである。
 (1) (権利乱用の主張について)。
 本件にあらわれたすべての資料を勘案してみても、被控訴人の本訴請求は、現行
法上、被控訴人の本件土地所有権の行使の正当な範囲を逸脱するものとは認め難
く、控訴人らの権利乱用の主張は採用できない。
 (2) (控訴人Aは、本件建物を任意に譲渡したものではなく、強制的に公売
されたものであるから、民法第六一二条による本件土地賃貸借の解除は許されない
という主張について)。
 <要旨第一>借地上の建物の所有権が公売により第三者に移転した場合は、借地人
は右建物の敷地の借地権を当該第三者に譲渡した関係になるものと解す
るのが相当である。(大審院昭和二年四月二五日言渡判決、民集六巻一八二頁参
照)。ところで、民法第六一二条が賃借権の無断譲渡を禁止し、これに違反した場
合賃貸人において解除し得ることとしたのは、要するに、賃貸借における人的信頼
関係を重視したものであつて、賃借人が誰であるかは賃貸人にとつて重要な利害関
係があるとする見地に立脚したものに外ならない。しかしてかかる見地からすれ
ば、借地上の建物が公売された場合でも、これにより借地人が賃貸人に無断で借地
権を第三者に移転し、右第三者をして敷地を使用させる結果を招来した以上、これ
が賃貸人の利害に及ぼす影響は、地上建物が任意に譲渡された場合と異なるところ
はないから、右の場合賃貸人は民法第六一二条第二項により賃貸借を解除し得るも
のというべきである。それ故、右と見解を異にする控訴人の主張は採用できない。
 (3) (買取請求の主張について)。
 <要旨第二>(イ)借地法第一〇条は、借地権の存続中に地上建物等を譲り受けた
第三者を保護する趣旨の規定であり、したがつて、すでに借地権が消滅
した後に至り地上建物を譲り受けた第三者は、同条所定の買取請求権を取得しない
ものと解するのが相当である。本件において控訴人Bは本件賃貸借がすでに無断譲
渡の理由で解除され消滅に帰した後に本件建物を譲り受けたものであるから、右建
物の買取請求権を取得するに由ないものといわなければならない。
 (ロ) 控訴人は、「本件土地の前主Cは、さきに控訴人に対し本件建物の買取
方を応諾し、かつ使者を介し右建物買取の申込をした事実があるから、本件におい
て控訴人の買取請求権の行使を否認することは許されない」旨主張する。しかし本
件にあらわれたすべての征拠によるも、右Cにおいて、控訴人が本件建物につき借
地法上の買取請求権を有することを承認したような形跡は認められないから、右主
張は採用できない。
 (三) よつて被控訴人の本訴請人を認容した原判決は相当であつて、本件控訴
は理由がないからこれを棄却すべきものとし、控訴費用につき民事訴訟法第八九
条、第九三条、第九五条を適用し、主文のとおり判決する。
 (裁判長判事 牛山要 判事 田中盈 判事 土井王明)

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