弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件控訴を棄却する。
     控訴費用は控訴人の負担とする。
         事    実
 控訴代理人は「原判決を取り消す。札幌地方裁判所が昭和三六年(ヨ)第二三二
号建物工事禁止等仮処分事件について、昭和三六年七月二五日にした仮処分決定を
認可する。訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求
め、被控訴人は、控訴棄却の判決を求めた。
 当事者双方の事実上・法律上の陳述および疏明関係は、控訴人(債権者)におい
て、甲第七号証の一ないし一六を提出し、「右は、いずれも、本件建物の写真であ
る。」と附陳し、被控訴人(債務者)において、「右附陳事実は認める。」と述べ
たほか、原判決事実摘示と向一であるから、これを引用する。(ただし、債権者の
再抗弁中「現在使用不能」とあるのを「現在使用可能」と訂正し、また、添付の別
紙目録中「木造柾葺平屋建居宅」とある下に「一棟二戸建」と附加する。)
         理    由
 債務者先代Aが債権者から本件土地を賃借し、その上に本件建物を建築所有して
いたこと、同人が昭和二二年八月死亡し、債務者が本件建物を、借地権諸共、相続
によつて取得し、現にこれを所有していることは、当事者間に争いない事実であ
る。
 債権者は、右借地権は、その地上建物である本件建物の朽廃によつて消滅したと
主張する。よつて証拠を按ずるに、甲第四号各証、同第七号各証、検乙第一号各
証、同第二号証(以上いずれも本件建物の写真であることにつき、争いがない。)
および乙第四号証(本件仮処分の本案訴訟である札幌地方裁判所昭和三六年(ワ)
第五五三号事件における現場検証調書の写およびその附属写真であることにつき、
争いがない。)ならびに原審証人B、同C、同Dの各証言および債務者の原審にお
ける本人訊問の結果を総合すると、本件二戸建一棟の建物の現況は、玄関、間仕切
の戸障子もなく、窓、床板、外壁下見板も剥離し、外周り土台、外周り柱の下部等
も腐蝕か著るしく、また屋根板も中央部分はなくなつており、到底人の居住に堪え
ないことが明らかである。もつとも、右D証言によつて、昭和三六年六月外周り土
台替え、外周り柱の一部の根継工事等を施工するため、下見板、床板を外し、戸障
子・窓等の造作を撤去したこと、当時屋根には損傷がなかつたのが、本件仮処分の
執行による工事中止後、近隣の子供のため屋根板がはがされたものであることなど
が認められるので、現況が前認定のようであるからといつて、直ちに本件家屋朽廃
の結論に赴くことはできない。しかし、前掲各証言からは、本件建物は昭和二年頃
債務者先代Aが建築したものであつて、昭和三六年には、すでに建築後三十余年を
経過していたこと、本件仮処分の申請される直前、すなわち債務者が改修工事にと
りかかろうとした時には既に本件家屋には人が居住していなかつたと認められるこ
と等おも考え合せると、前掲各証の写真撮影当時の状況から推して、債権者主張の
昭和三六年六月当時における本件家屋の廃朽損傷の程度はかなりのものであつたと
認めざるを得ない。仮処分異議手続として本件で要求されるのは、疏明程度の心証
なのであり、少なくともその程度では本件建物は朽廃したものと認めるのを相当と
する。前掲証言中右趣旨に反する部分は採用しない。その他これを左右するに足る
証拠はない。
 債務者は、これに対し、本件建物と同一借地上に朽廃しない建物が存在するか
ら、本件建物の朽廃による借地権消滅の効果は発生しない、と主張している。案ず
るに、甲第一号証(土地賃貸借契約書であつて、成立に争いない。)、乙第二・三
号証(それぞれ、地代通帳・供託証であつて、いずれも、成立に争いがない。)な
らびに原審証人Bの証言および債務者の原審における本人訊問の結果によると、大
正一五年七月八日債務者先代が債権者と賃貸借契約を締結した際の目的物は、本件
土地を含む一〇七坪の土地で、この借地権が債務者に承継されているものであり、
その坪数は後に実測九六坪余と訂正されたが、債務者側は、先代以来この土地の全
体について地代支払いをして来ているもので、本件土地だけの地代を区別して支払
つたことはないこと、この略々一〇〇坪の土地に先代は本件建物に並んで同じく二
戸建の建物をもう一棟建て、債務者はこれを相続し、現にこの建物には借家人が居
住しており、朽廃してはいないことが認められる。
 これに対し、債権者は、右建物が現在使用可能であるのは、昭和三二年に改築同
然の大修繕を加えたためであつて、その修繕なかりせば現在既に朽廃状態にあるべ
かりしものであると主張するのであり、前認定事実からは、右建物と本件建物とは
同じ頃に建築されたものと推認しうることと前出B証言とを考え合せると、右債権
者の主張事実は、疏明ありということができ、これをくつがえすに足る証拠はな
い。
 <要旨第一>しかしながら、借地上の建物を残存借地期間を超えて存続させるよう
な改築同然の大修繕が借地人によつてなされる場合には、借地法第七条
の法意を類推して、土地所有者は、これに対して異議を述べることができると解す
べきであり、その反面、遅滞なく異議を述べずに修繕工事を完成させた以上、その
後において、その修繕が改築同然のものであつたことを理由として、修繕なかりせ
ば建物の朽廃すべき時期における借地権消滅の効果を主張することは許されない、
と解するのを相当とするところ、本件において、債権者が右昭和三二年の大修繕に
際し土地所有者として異議を申し入れたことは疏明されていないのであるから、債
権者はこの隣接建物について朽廃の効果を云々することができないものといわなけ
ればならない。
 <要旨第二>そうすると、本件建物は朽廃しているけれども、それが建てられてい
る借地上に隣接して建てられた方の建物が朽廃していないことになる
が、借地上に二棟の建物がある場合、その一棟が朽廃しても、他の一棟が朽廃して
いないときは、他に特別の事情のないかぎり、朽廃建物の敷地部分についても借地
権は消滅しないと解するのを相当とするから、債権者の主張は被保全権利の疏明な
きに帰し、しかも本件では保証を以て疏明に代えることは相当でない。債権者の本
件主張を理由なしとして、原決定を取り消し、原申請を却下した原審判決の結論
は、結局正当である。
 よつて本件控訴はこれを棄却することとし、訴訟費用の負担については、民事訴
訟法第九五条、第八九条を適用して、主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官 臼居直道 裁判官 安久津武人 裁判官 倉田卓次)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛