弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決及び第一審判決を破棄する。
     被告人を懲役三月に処する。
     ただし、この裁判確定の日から一年間右刑の執行を猶予する。
     第一審、原審及び当審における訴訟費用は全部被告人の負担とする。
         理    由
 検察官の上告趣意は、判例違反をいうが、所論引用の各判例はいずれも事案を異
にし本件に適切でなく、刑訴法四〇五条の上告理由にあたらない。
 しかしながら、所論にかんがみ職権をもつて調査すると、原判決及び第一審判決
は、以下に述べる理由により、結局、破棄を免れない。
 原判決は、要するに、被疑者不詳の窃盗被疑事件の参考人としての被告人に対す
る警察官の取調が、事実上その身体の自由を拘束し実質上逮捕と同視しうる状態に
おいて行われた違法なものであることを前提に、かかる違法な取調のもとに作成さ
れつつあつた本件参考人供述録取書は、右違法な取調と共に刑法上の保護に値せず、
刑法二五八条によつて保護される公務所の用に供する文書にあたるとはいえないか
ら、右取調の過程において右供述録取書を引き裂いた被告人の所為は公文書投棄罪
を構成せず、被告人は無罪であるとするのである。
 原判決の右判断のうち、被告人に対する警察官の取調方法が違法であるとした点
は、一件記録に照らし必ずしも首肯しえなくはないが、違法な取調のもとに作成さ
れつつあつた供述録取書が、そのことの故に、直ちに刑法二五八条の公務所の用に
供する文書にあたらなくなるとした点は、にわかに肯認することができない。
 なぜならば、同条にいう公務所の用に供する文書とは、公務所において現に使用
し又は使用に供する目的で保管している文書を総称するものであつて(昭和三七年
(あ)第一一九一号同三八年一二月二四日第三小法廷判決・刑集一七巻一二号二四
八五頁、同五一年(あ)第一二〇二号同五二年七月一四日第一小法廷判決・刑集三
一巻四号七一三頁)、本件供述録取書のように、これを完成させるために用いられ
た手段方法がたまたま違法とされるものであつても、原判示のように既にそれが文
書としての意味、内容を備えるに至つている以上、将来これを公務所において適法
に使用することが予想されなくはなく、そのような場合に備えて公務所が保管すべ
きものであるというべきであり、このような文書も刑法二五八条にいう公務所の用
に供する文書にあたるものと解するのが相当だからである。
 原判決は、本件供述録取書の作成過程がたまたま違法であることから、直ちに右
供述録取書が公務所の用に供する文書にあたらないとの結論を導き出している点で、
刑罰法令の解釈を誤つているといわざるをえず、右誤りが判決に影響を及ぼすこと
が明らかであり、これを破棄しなければ著しく正義に反するというべきである。
 よつて、刑訴法四一一条一号を適用して原判決を全部破棄することとするが、な
お、第一審判決についてみると、同判決が刑法二五八条の罪の成立を認めた点は正
当であるというべきであるけれども、被告人の本件犯行が警察官による違法かつ執
拗な取調によつて直接誘発されたものであることに徴すると、被告人を懲役六月に
処した一審判決の刑は重きに失するので、刑訴法四一三条但書、三九七条一項、三
八一条により第一審判決をも破棄し被告事件について更に判決することとする。
 第一審判決の認定した罪となるべき事実に法令を適用すると、被告人の所為は刑
法二五八条に該当するが、前科調書によれば被告人は昭和五五年七月二三日京都地
方裁判所において、傷害、銃砲刀剣類所持等取締法違反の各罪により懲役八月及び
罰金二万円、懲役刑につき執行猶予三年の刑に処せられ、右裁判は同年八月七日に
確定したことが明らかであり、本罪は右確定裁判のあつた罪と刑法四五条後段の併
合罪の関係に立つから同法五〇条により未だ裁判を経ない判示の罪について更に処
断することとし、所定刑期の範囲内で被告人を懲役三月に処し、情状により同法二
五条一項を適用して本裁判確定の日から一年間右刑の執行を猶予し、刑訴法一八一
条一項本文を適用して第一審、原審及び当審における訴訟費用を全部被告人に負担
させることとし、裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
 検察官根岸重治 公判出席
  昭和五七年六月二四日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    団   藤   重   光
            裁判官    藤   崎   萬   里
            裁判官    本   山       亨
            裁判官    中   村   治   朗
            裁判官    谷   口   正   孝

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