弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     当審における訴訟費用は被告人の負担とする。
         理    由
 弁護人伴廉三郎の上告趣意第一点について。
 しかし、刑訴二八九条はいわゆる必要的弁護事件を審理する場合には弁護人がな
ければ開廷することができない旨を規定する法意であつて、弁護人の出頭を当該事
件についての裁判言渡期日における開廷の要件として規定するものではないからこ
の点に関する原審の訴訟手続には何等法令に違背するところなく、従つて所論違意
の主張はその前提を欠き採るを得ない。
 同第二点について。
 しかし、所論は原審で主張且判断のない事項であるばかりでなく被告人の起訴前
の強制処分に関与したからといつて職務から除斥さるべき筋合のものではないから
第一審判決及びこれを維持した原判決は憲法三七条一項に違反するものとはいえな
い(最高裁昭和二四年(新れ)第一〇四号同二五年四月一二日大法廷判決集四巻四
号五三五頁以下参照)従つて所論は採用できない。
 同第三、四点について。
 第三点は違憲をいうがその実質は原判決に影響のない単なる法令違反の主張を出
でないものであり同第四点は量刑不当の主張であつて、いずれも刑訴四〇五条の上
告理由に当らない。
 また記録を調べても刑訴四一一条一号ないし三号を適用すべきものとは認められ
ない。
 よつて同四〇八条、一八一条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決す
る。
  昭和三四年七月一六日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    下 飯 坂   潤   夫
            裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    高   木   常   七

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