弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人らの負担とする。
         理    由
 上告理由第一、二点について。
 所論は、原判決において、上告人ら主張の強迫が上告人らの自由意思を抑圧する
程度のものであつたことを認めることができないとした事実認定をとらえて、実験
則に反する違法があると主張する。しかし、本件にあらわれたすべての証拠による
も、本件において上告人らの自由意思を抑圧する程度の強迫があつたことの認めら
れないことは、当裁判所においても是認するところであり、この点に関する原審の
事実認定に経験則違反があるということはできない。それゆえ、上告人らのした日
本国籍回復許可の申請は、自由意思を抑圧する程度の強迫なくして行われたもので
あつて、当然無効ということはできない。したがつて、これに基く国籍回復許可の
行政処分も当然無効ということはできないから、この点に関し無効確認を求める本
訴請求を排斥した原判決は正当であつて、所論の違法は認めることはできない。
 次にかりに、本件において上告人らの自由意思を抑圧する程度に達しない強迫が
あつたとしても、かかるきずのある日本国籍回復許可の申請に基き一旦なされた国
籍回復許可の行政処分は、その内包されたきずにかかわらず行政処分として効力を
有するものといわなければならぬ。後に至つて強迫を理由として国籍回復許可の申
請が取消されたとしても、当初にさかのぼつて国籍回復許可の行政処分が無効とな
るというものではなく、行政処分取消の訴の請求原因となり得るに過ぎないものと
解するを相当とする。それゆえ、かりにこの程度の強迫の有無に関する事実認定な
いし判示に所論の違法があるとしても、原判決がこの点に関し行政処分の無効確認
を求める本訴請求および行政処分の取消を求める本訴請求(第三点参照)を排斥し
たのは結局正当である。すなわち、かりに前記所論の違法があるとしても、それは
原判決に影響を及ぼさないものであるから、上告理由として採ることを得ない。
 同第三点について。
 旧憲法時代においては、行政処分の取消を求める訴は法律上限定されており、法
律に許された以外の事項については訴訟をもつて争うことはできなかつた。新憲法
の下においては、すべての行政処分につき取消を求める訴が許されることになつた
が、民訴応急措置法八条はその出訴期間を定め、(一)当事者がその処分があつた
ことを知つた日から六箇月以内たること、かつ(二)処分の日から三年を経過して
いないことを要件とした。それゆえ、この二つの要件を具備する場合には、右法律
施行前になされた行政処分に対しても取消を求める訴を提起することができるが、
この二つの要件を具備しない場合(すなわち、要件の一方または双方を欠く場合)
には、行政処分の取消を求める訴を提起することはできないものと解するを相当と
する。(一)の要件は、行政処分があつたことを知つた日から六箇月以内たること
を要し、原判決のように同法施行の日から六箇月以内であればよいと解すべきもの
ではない。また(二)の要件は、行政処分の日から三年を経過していないことを要
し、所論のように同法施行の日から三年を経過していなければよいと解すべきもの
ではない。上告人らの本訴提起は、(一)の要件を欠くばかりでなく、原判示のよ
うに(二)の要件をも欠いている。それゆえ、原判決が取消を求める本訴を却下す
べきものとした判断は結局正当であつて、論旨は理由がない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    真   野       毅
            裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    下 飯 坂   潤   夫

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