弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人伊藤敬寿、同椎津盛一、同森山邦雄の各上告理由は本判決末尾添付の
別紙記載のとおりであり、これに対する当裁判所の判断は次のとおりである。
 上告代理人伊藤敬寿の上告理由第一点の(二)及び(三)並に同椎津盛一の上告
理由第二点について。
 裁判所がさきにした証拠決定にもとずく証拠調を施行せず、また右決定の取消も
しないで口頭弁論を終結しようとするにあたり、申請当事者においてこれに対し何
等異議を述べなかつたときは、当該証拠申請を抛棄したものと解するのを相当とす
る。
 本件記録によると、原審が所論検証申請を採用しながら、その証拠調を施行せず、
また採用を取消すこともしないまま口頭弁論を終結し、判決の言渡をしたことは所
論のとおりであるが、右弁論終結にあたり、申請当事者である被上告人はこれに対
し何等異議を述べた形跡なく、当事者双方代理人において他に主張立証はない旨陳
述していることが明かであるから、前記検証申請は抛棄されたものと解すべきであ
つて、原判決手続には所論のような証拠調遺脱の違法はない。
 また、本件建物に水道、ガスの設備がなく、井戸も他人のものである事実は上告
人が原審において何等主張立証していないところであるから、原審がこの点につき
審理判断しなくても敢て違法とするに足りない。
 されば、論旨はいずれも理由がない。
 上告代理人伊藤敬寿の上告理由第二点(三)の(イ)、同椎津盛一の上告理由第
三点前段及び同森山邦雄の上告理由第一点の(ハ)前段について。
 賃貸人が賃借人に対し、賃貸目的物件の返還を求める訴を提起した場合、訴状に
賃貸借が解約申入によつて終了した経過を叙述し、右終了に拘らず賃借人が依然前
記物件を占有しているのは不法占有にほかならないから、所有権にもとずきその返
還を求める旨請求原因を表示しているときは、その訴の訴訟物は正に所有権にもと
ずく物の返還請求権にほかならないけれども、右訴状の記載自体、賃貸人が当該賃
貸借関係の存続を欲しない意思であることを明かに推測させるに足りるものがある
から、特別の事情がない限り、若しさきになした解約申入がその効力を生じていな
いならば、改めて解約する旨の意思表示をも、暗黙に包含するものと解するのが相
当である。
 記録によると、本件訴状には本件建物賃貸借が解約申入によつて終了した経過を
叙述し、右終了を前提として本訴に及んだことが明かにされているに拘らず、原判
決が、該訴状に所有者として不法占有を理由に本件建物の明渡を求める旨明記され
ているという一事によつて、他に特段の理由を示すことなく、右訴状送達により解
約申入がなされたという上告人の主張を排斥し去つたのは失当を免れない。
 しかし、原審は、仮に右訴状送達により解約申入がなされたものと認め得るとし
ても本件においては解約の正当の事由がない旨判示しているのであつて、原判決確
定の事実関係のもとにおいては原審の右正の事由についての判断は正当であるから、
本件訴状送達による解約の効果を認めなかつた原審の判断は結局相当に帰する。
 されば論旨は採用し得ない。
 上告代理人伊藤敬寿の上告理由第二点(三)の(二)、同椎津盛一の上告理由第
四点及び同森山邦雄の上告理由第一点の(二)について。
 所論のような事実は上告人が原審において主張したものとは認められないから、
原審がこの点につき審理判断しなくても違法とはいい難く、論旨は理由がない。
 上告代理人伊藤敬寿の上告理由第二点(三)の(ロ)、同椎津盛一の上告理由第
一点及び第三点後段並に同森山邦雄の上告理由第一点(イ)及び(ハ)の後段につ
いて。
 原判決には所論のように当事者の主張を誤解し或は証拠によらずして事実を認定
したと認められる点はないのみならず、原審の確定した事実関係のもとにおいては、
仮に訴外D或は上告人側に所論のような事情があつたとしても、なお右両者の解約
申入は正当の事由がないものと認めるのが相当であるから、原判決には審理不尽若
くは理由不備の違法なく、論旨は採用し難い。
 各上告代理人のその余の論旨は、すべて「最高裁判所における民事上告事件の審
判の特例に関する法律」(昭和二五年五月四日法律一三八号)一号乃至三号のいず
れにも該当せず、又同法にいわゆる「法令の解釈に関する重要な主張を含む」もの
と認められない。
 よつて、本件上告を棄却すべきものとし、訴訟費用につき民訴九五条、八九条を
適用し、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    谷   村   唯 一 郎

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛