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平成27年7月15日判決言渡
平成27年(ネ)第10019号特許権に基づく損害賠償請求控訴事件
原審・東京地方裁判所平成25年(ワ)第16060号
口頭弁論終結日平成27年5月13日
判決
控訴人X
訴訟代理人弁護士須納瀬学
訴訟代理人弁理士西島綾雄
被控訴人富士通株式会社
訴訟代理人弁護士田中成志
同山田徹
同澤井彬子
同杉本賢太
主文
1本件控訴を棄却する。
2控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
第1請求
1原判決を取り消す。
2被控訴人は,控訴人に対し,1億1000万円及びこれに対する平成25年
6月26日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2事案の概要
1本件は,発明の名称を「データ処理システム」とする特許権を有する控訴人
が,被控訴人の使用に係る原判決別紙1物件目録記載のクラウド・コンピューティ
ング・システム(以下「被控訴人商品」という。)が同特許権に係る発明の技術的範
囲に属すると主張して,被控訴人に対し,不法行為(特許権侵害)に基づく損害賠
償金1億1000万円(特許法102条3項による損害額の一部1億円と弁護士費
用・弁理士費用1000万円の合計)及びこれに対する不法行為の後の日である平
成25年6月26日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の
割合による遅延損害金の支払を求める事案である(一部請求)。
原審は,被控訴人製品は同特許権に係る発明の構成要件A及び同Iを充足しない
として,控訴人の請求を棄却した。控訴人は,原判決を不服として,控訴を提起し
た。
2前提事実,争点及び争点に関する当事者の主張
以下のとおり付加,訂正するほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「第2事
案の概要等」の「2前提事実」,「3争点」及び「4争点に関する当事者の主
張」(原判決2頁8行目ないし15頁24行目)記載のとおりであるから,これを引
用する(以下,原判決の引用中「原告」とあるのは「控訴人」と,「被告」とあるの
は「被控訴人」と,それぞれ読み替え,原判決で用いられた略語はそのまま使用す
る。)。
(1)原判決別紙2の添付図面として別紙図1ないし3を添付する。
(2)原判決14頁18行目の「乙7号証」を「特開2002-7555号公報(乙
7)」に訂正する。
(3)原判決15頁10行目ないし22行目を,次のとおり訂正する。
「ア特許法102条3項に基づく損害
被控訴人が平成22年11月から本件訴訟の提起日までの間に被控訴人商品を使
用したことにより得た売上高は,288億円を下らない。
本件発明の技術分野,被控訴人商品の市場,コスト構造,類似事例,実務慣行等
に鑑みれば,本件発明の実施に対する相当な実施料は,売上高の3%を下回るもの
ではない。
以上から,控訴人は,被控訴人に対し,少なくとも相当実施料8億6400万円
の損害賠償請求権を有するところ,その一部である1億円の支払を求める。
イ弁護士費用及び弁理士費用
本件訴訟の追行に対する相当な弁護士費用及び弁理士費用は,上記アの1億円の
10%である1000万円とするべきである。」
3当審における当事者の補充主張(争点1-アについて)
(控訴人の主張)
発明の名称を「データセンタ,データセンタでのシステムの複写サービスの提供
方法及びデータセンタでのシステムの複写プログラム」とする被控訴人が特許出願
した発明の公開特許公報である特開2014-109900号公報(甲30。以下
「甲30文献」という。)には,テンプレート又はテンプレートファイルについて,
次のような記載がある。
「仮想マシンによる仮想システムは,仮想マシンとOSと,インストールされた
ミドルウエアやアプリケーションプログラムやネットワーク設定やユーザーデータ
などを有するテンプレート(テンプレートファイル,またはイメージファイル)に,
ハードウエア資源を割り付けることで構成される。そこで,テンプレートファイル
を複写して複写テンプレートを作成し,その複写テンプレートに新たなハードウエ
ア資源を割り付けて,元の仮想システムと同じ仮想システムを生成することが行わ
れる。」(段落【0006】)「テンプレートファイルは,仮想マシンの情報に加えて
OS,ミドルウエア,アプリケーションプログラム,データそのものを含むデータ
ファイルであるが,以下単にテンプレートと称する場合もあるが,同じ意味である。」
(段落【0021】)「したがって,テンプレートファイルは,一般的なPCにおけ
るハードディスク内に格納されるシステムファイル,OSファイル,プログラムフ
ァイル,データに対応する。但し,データセンタではハードウエア資源を仮想化し
ているので,テンプレートファイルを格納するサーバとは異なるサーバまたは同じ
サーバがハードウエア資源として割り付けられることになる。」(段落【0033】)
以上のとおり,テンプレートが,仮想マシンの情報等を含むデータファイルであ
り,複写の対象となる実体を有するものであって,ハードウエア資源を割り付けら
れることによって仮想マシンとして機能することが述べられており,テンプレート
が単なるメニューにすぎないというものではないことは明らかである。
そもそも,仮想化技術において,テンプレートが仮想マシンの雛形であることは,
一般的な理解であり(甲17),仮想マシンの雛形をテンプレートと呼ぶ用語例は一
般的なものであるから,テンプレートが単なるメニューの表示に過ぎないというの
は,およそコンピュータ技術の世界の常識に反している。
テンプレートとは,上記のとおり,典型的な構成の仮想マシンの雛形として実体
を有するものであり,それは,イメージファイルの形で保存されるものである。そ
して,ユーザーの要求に基づいて仮想マシン・仮想システムを配備するとは,その
ようなテンプレートの複製(コピー)を作成することに他ならない。
そして,被控訴人商品においては,テンプレートを提供する前提として,当然に
総合試験が実施されており,被控訴人商品のテンプレートは,ネットワークも含め
て動作保証されているのであるから,当然にインターネット接続を行って総合試験
が実施されている。このようなネットワーク接続試験が行われたテンプレートにつ
いて,ユーザーの要求を受けて配備するとは,テンプレートのコピーをすることで
あり,インターネット接続に関しては,固有のIPアドレスを付与することにすぎ
ない。このようにインターネット接続も含めて総合試験が実施され動作保証がなさ
れる「テンプレート」は,「インターネットに接続する」「レンタルエンジン」(構成
要件A)に該当することは明らかである。
さらに,甲30文献には,「サーバ群#1内には,複数のサーバが設けられていて,
それらのサーバはスイッチSWを介してネットワークで均質に接続され,コアスイ
ッチC-SWを介してネットワークNWに接続され,インターネットからアクセス
可能である」(段落【0016】)と記載されており,これは,ユーザーの注文の前
後を問わず,ネットワークに接続され,インターネットからアクセス可能であって,
実際の接続は,スイッチあるいはコアスイッチのオン・オフによってなされること
を示している。そして,このことは被控訴人商品にも該当する(甲14,30)。
(被控訴人の主張)
控訴人は,甲30文献を証拠として提出し,被控訴人商品には,顧客からの注文
を受ける時点において,本件発明の構成要件Aの「レンタルエンジン」が存在して
おり,それは被控訴人商品のテンプレートである旨主張する。
しかし,甲30文献にあるように,「仮想マシンによる仮想システムは,仮想マシ
ンとOSと,インストールされたミドルウエアやアプリケーションプログラムやネ
ットワーク設定やユーザーデータなどを有するテンプレート(テンプレートファイ
ル,またはイメージファイル)に,ハードウエア資源を割り付けることで構成され
る。そこで,テンプレートファイルを複写して複写テンプレートを作成し,その複
写テンプレートに新たなハードウエア資源を割り付けて,元の仮想システムと同じ
仮想システムを生成することが行われる。」(段落【0006】)のであり,仮想シス
テムは,テンプレートにハードウエア資源を割り付けることで構成されること,ま
た,複写したテンプレートファイルに新たなハードウエア資源を割り付けることで,
新たな仮想システムを生成することが説明されている。仮想システムの構築には,
ハードウエア資源の割り付けという工程が必要であり,複写したテンプレート自体
は仮想マシンとして機能しない。むしろ,甲30文献により,テンプレートだけで
は,仮想マシン及び仮想システムができあがらないことが明らかになっている。
テンプレートは,被控訴人商品のサービスポータルのデザインスタジオにおいて,
仮想マシンの仕様を決める画面のデータであるといえる。ワープロソフトにおける
テンプレートのように,仮想マシンの仕様を挙げたメニュー文書は存在するとはい
えるかもしれないが,仮想マシンの仕様を挙げたメニュー文書にすぎず,仮想マシ
ンではない。控訴人は,被控訴人商品におけるテンプレートは,典型的な構成とし
て抽出した仮想システムの雛形であり,ユーザーがこれを選択し,必要な情報を入
力することにより,即時にシステムが稼働できるようになっている旨主張するが,
ユーザーがテンプレートを選択し,必要な情報を入力することにより,ハードウエ
ア資源を割り付けて仮想マシンを有する仮想システムが組み上げられて,システム
が稼働できるようになっているのである。
以上のとおり,被控訴人商品のテンプレートは,構成要件Aの「レンタルエンジ
ン」に該当するものではあり得ず,被控訴人商品には,顧客からの注文を受ける時
点において,「レンタルエンジン」といい得るものは存在しない。
第3当裁判所の判断
1当裁判所も,被控訴人商品が構成要件A及び同Iを充足せず,本件発明の技
術的範囲に属するものとは認められないから,控訴人の請求は理由がないものと判
断する。その理由は,次のとおり原判決を補正して,当審における当事者の主張に
対する判断を付加するほかは,原判決の「事実及び理由」の第3「当裁判所の判断」
の1ないし3(原判決15頁25行目ないし25頁23行目)記載のとおりである
から,これを引用する。
(1)原判決19頁2行目の「(【段落0014】)」を「(段落【0014】)」と改
める。
(2)原判決20頁17行目の「データ通信料」を「データ通信量」と改める。
(3)原判決22頁8行目の「被告商品においては」から同頁17行目末尾までを
次のとおり改める。
「被控訴人商品においては,ユーザーがシステムテンプレートライブラリの中から
仮想システムのネットワーク構成と,インターネット接続にするかイントラネット
接続にするかを選択し,仮想マシンのOSや,タイプ(CPU,メモリ,ディスク)
を選択し,仮想マシンの追加を選択するなどして,仮想マシンと仮想システムを構
築した後に,リソースプールの中の必要なハードウエア資源を割り付けることによ
って,仮想マシン及び仮想システムを組み上げるのであるから,ハードウエア資源
が割り付けられる前のテンプレートはハードウエア資源としての実体がない状態に
あるといえ,これをレンタルエンジンととらえることはできない。また,ユーザー
からのリクエスト時にテンプレート上に表示されたハードウエア資源の動作保証が
されていることと,表示されたハードウエア資源から構成されるコンピューターが
実際に配備されていることとが異なることは明らかである。さらに,用意されたテ
ンプレートのコピーにより仮想マシンが作成されるというのも,コピーされたテン
プレートに基づき,リソースプールの中の必要なハードウエア資源を割り付けるこ
とによって,仮想マシン及び仮想システムとして組み上げるということにすぎず,
これらをもって,被控訴人商品における「テンプレート」が構成要件Aの「レンタ
ルエンジン」に該当するということはできない。
ウ控訴人は,甲30文献を根拠に,テンプレートが,仮想マシンの情報等を含
むデータファイルであり,複写の対象となる実体を有するものであって,ハードウ
エア資源を割り付けられることによって仮想マシンとして機能するものであるから,
被控訴人商品のテンプレートは,本件発明の構成要件Aの「レンタルエンジン」に
該当するものであり,さらに,インターネット接続も含めて総合試験が実施され動
作保証がされた被控訴人商品の「テンプレート」は,「インターネットに接続する」
「レンタルエンジン」に該当する旨主張する。
そこで,検討するに,甲30号証によれば,仮想マシンによる仮想システムは,
ユーザーが,ユーザーインターフェース画面から,所望の処理能力を有する仮想マ
シンとそのOSを選択し,この選択された仮想マシンとOSに対してハードウエア
資源内の必要なハードウエア資源を割り付けることで行われる(段落【0003】),
構築した仮想システムを別のユーザーに複写したい場合には,テンプレートファイ
ルを複写して複写テンプレートを作成し,その複写テンプレートに新たなハードウ
エア資源を割り付けて,元の仮想システムと同じ仮想システムを生成することが行
われている(段落【0006】),データセンタは,管理サーバや複数のサーバと複
数のストレージ及び複数のネットワーク機器を有するハードウエア資源群を備えて
おり,ユーザーが作成する仮想マシンを有する仮想システムの情報を有するテンプ
レートファイルに,ハードウエア資源群内のハードウエアを割り付けて仮想システ
ムを構築し運用する管理サーバを有する(段落【0014】),ユーザーが,仮想マ
シンとそれにインストールするOS等を選択してオーダーすると,オーダーした仮
想マシンを有する仮想システムのテンプレートがハードウエア資源群内のサーバの
ハードディスク領域内に生成され(段落【0022】),管理サーバが,ユーザーが
作成した仮想システムのテンプレート内の仮想マシンや仮想ストレージに,サーバ
やストレージなどのハードウエア資源を割り付けることによって,仮想システムが
構築され,運用可能になる(段落【0027】)ことが認められる。そして,「サー
バ群#1内には,複数のサーバが設けられていて,それらのサーバはスイッチSW
を介してネットワークで均質に接続され,コアスイッチC-SWを介してネットワ
ークNWに接続され,インターネットからアクセス可能である(段落【0016】)」
とされる。
そうすると,甲30文献におけるテンプレートについても,それのみでは,実体
のある仮想マシン・仮想システムであるとはいえないし,テンプレートにサーバや
ストレージなどのハードウエア資源を割り付けることによって,初めて実体のある
仮想マシン・仮想システムとして,インターネットからアクセス可能となることが
認められるのであるから,このテンプレートと,テンプレートにハードウエア資源
を割り付けることによって生成される仮想マシンは,コンピュータ技術上同一のも
のということはできない。そして,前記認定のとおり,被控訴人商品のテンプレー
トは,デザインスタジオの頁において,メニューとして表示されるものであるから,
被控訴人商品におけるテンプレートは,被控訴人商品のサービスポータルの表示画
面において,顧客が利用する仮想マシン及び仮想システムの構成のメニューとして
の選択候補を意味するにすぎない。
以上によれば,甲30文献によっても,被控訴人商品の「テンプレート」が本件
発明の「レンタルエンジン」に該当するものと認めることはできない。
また,被控訴人商品においては,前記の動作保証を確認した後,ユーザーの申込
みが完了するまでは仮想マシン・仮想システムが存在しているわけではなく,リソ
ースプール内にあるCPUやメモリ等は要素ごとに個別に存在しており,仮想マシ
ン・仮想システムとしての実体は存在しないのであるから,前記の総合試験を経て
動作保証がされていることと動作保証された仮想マシン・仮想システムが存在して
いることとを同視することはできない。
よって,被控訴人商品の「テンプレート」が,「ホームページを通じてインターネ
ットに複数接続する」「レンタルエンジン」(構成要件A)に該当する旨の控訴人の
主張は採用することができない。」
(4)原判決22頁18行目冒頭の「ウ」を「エ」と改める。
(5)原判決23頁5行目冒頭から同頁11行目末尾までを,次のとおり改める。
「しかしながら,本件発明の構成要件Cに「ユーザーの機能に関する要求に基づ
いてインターネット上の前記機能を表示するタグを検索し前記タグからユーザーの
要求を満足させる前記レンタルエンジンを選択して」と記載されているとおり,本
件発明の「レンタルエンジン」は,タグの検索により選択される際に,既にインタ
ーネットに接続されているものである。これに対し,被控訴人商品においては,仮
想マシンがユーザーによりテンプレート上で選択される際には,未だ仮想マシンが,
必要なハードウエア資源が割り付けられ,組み上げられておらず,存在していない
のであるから,当然ながらインターネットに接続されているものではないことは前
記認定のとおりである。すなわち,被控訴人商品における仮想システム及び仮想マ
シンは,ユーザーによりテンプレート上で構築される際に,インターネット接続に
するかイントラネット接続にするかが選択され,その後,リソースプールの中の必
要なハードウエア資源を割り付けることによって,仮想マシン及び仮想システムと
して組み上げられ,稼働するのであるから,ユーザーが仮想マシンを選択する際に,
インターネットに接続されているものではないことは明らかである。」
(6)原判決23頁17行目の末尾に,行を改めて,次のとおり加える。
「さらに,控訴人は,被控訴人商品のリソースプール内にあるCPUやメモリ等を
組み上げて配備される仮想マシンそのものが,配備前からインターネットに接続し
ているわけではなく(CPUやメモリ等が個別にインターネットに接続していると
いうわけではなく),本件発明の「レンタルエンジン」に該当する被控訴人商品の「テ
ンプレート」がホームページを通じてインターネットに接続している旨主張する。
しかし,前記認定のとおり,被控訴人商品においては,ユーザーがテンプレート
において仮想システム及び仮想マシンを選択し,その申込みが確定した後,リソー
スプールの中の必要なハードウエア資源を割り付けることによって仮想マシン及び
仮想システムとして稼働するものであるから,ハードウエア資源が割り付けられる
前のテンプレートはハードウエア資源としての実体がない状態にあるといえる。控
訴人も認めるように,テンプレートには,単にテンプレートファイルやイメージフ
ァイル等のファイルが存在しているにすぎないものであるから,このようなファイ
ルが存在しているとしても,これを本件発明における「レンタルエンジン」とみる
ことはできない。そうすると,ハードウエア資源を割り付ける前のテンプレートが
本件発明の「レンタルエンジン」に該当するとの控訴人の主張は採用し得ないもの
である。
したがって,被控訴人商品の「テンプレート」が本件発明の「レンタルエンジン」
に相当すると認めることはできないし,また,被控訴人商品における仮想マシンは
ユーザーによる選択時には,まだ構築される前の状態であり,存在しているわけで
はなく,これがインターネットに接続しているわけでもない。」
(7)原判決23頁18行目の「また,」から同24頁3行目の「さらに,」までを
削る。
(8)原判決24頁12行目の「における」を「は」と,同頁14行目の「ことは
できないのであるから」を「ものであるのに対し,被控訴人商品では,仮想マシン
を選択する段階においては,仮想マシンはまだ構築されておらず,インターネット
に接続されてはいないのであるから」と改める。
(9)原判決25頁11行目の「時間等」を「時間及びデータ通信量等」と,同頁
14行目の「データ量」を「データ通信量」と,同頁15行目の「当該データ量」
を「当該データ通信量と仮想マシンの利用時間」と,それぞれ改める。
(10)原判決25頁20行目の末尾に,行を改めて,次のとおり加える。
「(3)控訴人は,構成要件Iにいう「課金機能」とは,①当該サービスの利用に応
じてユーザーに課金するために必要な情報を把握すること,②その情報に基づいて
利用料を計算すること,③その計算結果をユーザーに通知して,その支払を求める
ことを含むと解されるところ,被控訴人商品のサービスポータルは「課金機能」の
重要な一部を担っており(重要な機能を備えている。),本件発明の構成要件Iにお
ける「課金機能を備えている」といえる旨主張する。
しかし,「課金機能を備えている」(構成要件I)が,およそ「課金」に関する機
能のすべてを備えていることは必要ではなく,課金に関する重要な機能を備えてい
れば十分であるといえることを前提としても,上記②の利用料を計算する(仮想シ
ステムのデータ送受信量を計算し,データ処理の開始から終了までの時間等に基づ
いた料金を算出すること)という重要な機能を備えている必要があるところ,検索・
分配エンジンに相当するとされる被控訴人商品のサービスポータルは,上記②の利
用料を計算する機能を有していないのであるから,被控訴人商品のサービスポータ
ルが「課金機能を備えている」ということはできず,控訴人の前記主張を採用する
ことはできない。」
2結論
以上によれば,その余の争点について判断するまでもなく,控訴人の請求は理由
がなく,控訴人の請求を棄却した原判決は相当であるから,本件控訴を棄却するこ
ととし,主文のとおり判決する。
知的財産高等裁判所第1部
裁判長裁判官設樂一
裁判官大寄麻代
裁判官岡田慎吾
[図1]
[図2]
[図3]

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