弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件控訴を棄却する。
     当審における未決勾留日数中三十日を原判決が言い渡した本刑に算入す
る。
         理    由
 弁護人は、原判決が証拠として挙示したA及びBの検察官に対する各供述調書中
Aの昭和三十五年十一月八日付のものを除くその余は、いずれも被告人が原審第一
回公判期日において公訴事実を否認した後作成されたものであり、検察官が、右A
及びBが後日証人として被告人の反対尋問にさらされることによる不利を回避し、
両名の証言を制約しようとしたもので、被告人の反対尋問権を実質的に奪つたもの
というべく、このような書面は違法であるばはかりでなく、右各供述調書はA及び
Bの両名がいずれも窃盗犯人として公判審理中に作成されたもので、同人等は検察
官の取調に対し迎合し暗に求刑上の配慮を期待して供述したものと推測されるか
ら、同人等の公判廷の供述よりも信用すべき特別の情況は存しない。従つて右各供
述調書は適法な証拠能力を有しない旨主張する。
 思うに、検察官としては、公訴提起までに公訴を維持するに足りる十分な証拠を
収集しておくことが望まし<要旨>いことではあるけれども、被告人の罪状認否後に
検察官が、事件の関係人を取り調べてその供述を録取した書面を作成しその
証拠調を請求したからといつて、直ちにその書面が被告人の反対尋問権を実質的に
奪つた違法なものということはできない。蓋し右供述調書は、被告人がこれを証拠
とすることに同意しなければ、その供述者を公判準備又は公判期日において証人と
して尋問し、被告人に反対尋問の機会を与えた上、右供述調書が刑事訴訟法第三百
二十一条第一項第二号所定の要件を具備していなければ、これを証拠とすることは
できないからである。記録によれば、原裁判所は第三回公判において検察官の請求
により証人としてB及びAの尋問を決定し、第四回公判において被告人及び弁護人
立会の上証人Aの尋問をなし、被告人及び弁護人は反対尋問をしており、証人Bに
ついては、昭和三十六年四月一日新潟簡易裁判所において尋問した際、弁護人のみ
出頭して反対尋問していることが明らかである。そして新潟簡易裁判所における証
人Bの尋問の当時は被告人は保釈中であつたに拘らず、弁護人のみ立会い被告人が
立会わなかつたのは、証人に対する自己の反対尋問権はこれを放棄したものと認め
るのが相当である。(尤も昭和三十六年四月七日附弁護人山田賢次郎提出の期日変
更の申立書及び添付の被告人に対する医師C作成の診断書によると、被告人は同年
三月二十六日自動車事故のため負傷し医師の手当を受けていたことが窺われるが、
右新潟簡易裁判所における証人尋問期日についてはその変更の申立がなされた形跡
がないから、自己の反対尋問権を放棄したものと認めるのが相当である)またA及
びBの検察官に対する所論各供述調書は、右両名が検察官の取調に対し所論のよう
に迎合してなした虚偽のものであるとは認め難く、却つてその供述内容を仔細に比
較検討すれば、右両名の原審における供述よりも前に検察官に対してした供述を信
用すべき特別の情況が存するものと認められる。故にA及びBの検察官に対する所
論各供述調書はいずれも適法な証拠能力を有するものであつて、従つてこれを事実
認定の証拠として採用した原審の措置には採証法則違反の廉は存しない。
 論旨は理由がない。
 (その他の判決理由は省略する。)
 (裁判長判事 渡辺辰吉 判事 司波実 判事 小林信次)

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