弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決中有罪部分を破棄する。
     被告人を懲役壱年六月に処する。
     原審並に当審に於ける訴訟費用は全部被告人の負担とする、
         理    由
 本件控訴の趣意は弁護人北村利弥の控訴趣意書に記載の通りだからこれを引用す
る。
 論旨第一点について
 <要旨>本件起訴状に罪名の記載を欠いていることは正に所論指摘の通りである
が、刑事訴訟法第二百五十六条で起訴状に罪名や罰条の記載を命じているの
は、公訴事実自体から訴因の明確を欠くが如き場合に備え、訴因を判断する一資料
に供しようとの趣意に出たものと解すべきである。従つて罪名や罰条の記載を欠く
も、公訴事実その他の起訴状の記載により訴因が明確になつていて、被告人の防禦
権の行使に実質的に何等不利益を来す虞のない場合は何等公訴手続上の瑕疵となる
べきものでは無いといわねばならぬ。いま本件起訴状を見るに、その公訴事実の記
載により、四個の窃盗の事実につき公訴が提起せられたもので、格別訴因に不明確
な点はない上、更に、罪名の項に、刑法第二百三十五条と罰条を明記してあるから
単に罪名の記載のない点を捉えて、原審がこれに基き審理の上、右四箇の窃盗の内
一箇を無罪残り三箇を有罪と判決しているのを、審判の請求を受けない事件につき
判決した違法があると批難せる論旨は到底採用の余地がない。
 論旨第二の(一)について
 なるほど被告人が原判決理由冒頭記載の刑の執行を終つた月日は、原判決挙示の
前科調書並に被告人の原審公判での供述によつてはら明らかではないが被、告人は
原審第三回公判に於て、昭和二十四年五月十日確たした懲役一年以上二年以下の右
刑を愛知少年刑務所で半年程つとめて出所したと述べて居り、格段の事情の認めら
れない本件では、被告人は一部刑の執行を終つて仮出所し、そのまま刑期を終つた
ものと解すべきものであり、右刑期満了は昭和二十八年中の本件犯行の前で、而も
犯行前五年以内のことであると認められるので、原審が所謂累犯加重の理由とし
て、被告人が右前科の刑の執行を終つたと記載したのは固より正当であり、この点
に関する原審の認定には何等所論の如く証明不充分乃至は理由齟齬の違法はなく、
論旨は理由がない。
 論旨第二の(二)について
 原判示第一の窃盗の事実は同判決挙示の証拠を綜合して認め得られないわけでは
なく、原審証人A、同Bの証言、その他記録にあらわれた各証拠資料を精査するも
原審のこの点に関する認定に誤りがあると疑うに足るものはない。論旨は結局原審
がその自由心証により適式に為した証拠の取捨判断を批難するに過ぎないものと認
められるので、これ又採用することはできない。
 論旨第三点について
 原判決記載の前科関係、認定事実並にその適用法条を調査するに本件は窃盗罪に
つき累犯加重及び併合加重を為すべき場合であるから当然刑法第十四条の制限内に
於てその刑の加重を為すべきであるに拘らず、その適用をしていない違法があり、
右は判決に影響を及ぼし得ないとはなし得ないので、論旨は理由があり、原判決は
この点に於て破棄を免れない。
 以上説明の通りだから刑事訴訟法第三百八十条第三百九十七条に則り原判決中そ
の有罪部分を破棄するが、同法第四百条但書に従つて直に次の通り判決することと
する。
 当裁判所の認定した前科、犯罪事実並にその証拠は原判決に認定判示の前科並に
事実及び同拳示の各関係証拠と同一だから、ここにこれを引用する。
 法律に照すと被告人の判示窃盗の所為は各刑法第二百三十五条に該当するとこ
ろ、被告人には前示前科があるので刑法第五十六条第五十七条に従い夫々累犯加重
を為し、以上は刑法第四十五条前段の併合罪の関係になるので同法第四十七条第十
条に従い犯情最も重い判示三の罪の刑に併合罪の加重を為すこととし、同法第十四
条の刑期範囲内に於て被告人を懲役壱年六月に処し、刑事訴訟法第百八十一条に則
り、原審並に当審に於て生じた訴訟費用は全部被告人をして負担せしめることとす
る。
 よつて主文の通り判決する。
 (裁判長裁判官 河野重貞 裁判官 高橋嘉平 裁判官 山口正章)

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