弁護士法人ITJ法律事務所

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平成22年4月28日宣告
平成21年(わ)第540号強盗致傷
判決
主文
被告人を懲役3年に処する。
未決勾留日数中100日をその刑に算入する。
この裁判が確定した日から4年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は,平成21年11月1日午後7時ころ,愛媛県市内の大型小売店におa
いて,同店店長A管理のダウンジャケット等7点(販売価格合計2万1455円)
を窃取し,同日午後7時20分ころ,同店北側広場において,被告人を追跡してき
た前記A(当時54歳)及び警備員B(当時52歳)による逮捕を免れるため,
第1被告人の着衣等を両手でつかんでいる前記Aに対し,その顔面をこぶしで殴
るなどの暴行を加え,その際,同人に加療約1週間を要する頭皮裂傷及び頸椎
捻挫等の傷害を負わせた
第2被告人の着衣等を両手でつかんでいる前記Bに対し,その顔面をこぶしで殴
るなどの暴行を加え,その際,同人に加療約20日間を要する鼻骨骨折及び左
眼球打撲傷等の傷害を負わせた
ものである。
(証拠の標目)省略
(法令の適用)
被告人の判示各所為はいずれも刑法240条(負傷させた場合)に該当するとこ
ろ,各所定刑中いずれも有期懲役刑を選択し,以上は刑法45条前段の併合罪であ
るから,刑法47条本文,10条により犯情の重い判示第2の罪の刑に法定の加重
をし,なお犯情を考慮し,刑法66条,71条,68条3号を適用して酌量減軽を
した刑期の範囲内で被告人を懲役3年に処し,刑法21条を適用して未決勾留日数
中100日をその刑を算入することとし,情状により刑法25条1項を適用してこ
の裁判が確定した日から4年間その刑の執行を猶予し,訴訟費用については,刑事
訴訟法181条1項ただし書を適用して被告人に負担させないこととする。
(量刑の理由)
1行為,結果
本件は,万引きをした被告人がこれを発見,追跡してきた2人の被害者に対し
て暴行を加え,両名に傷害を負わせた事後強盗致傷の各事案である。
万引きについては,商品のタグを外すためにカミソリを用意するなど,計画性
は一定程度認められ,被害品の数も少なくない。他方で,万引きの方法自体は比
較的単純である。
暴行については,男性店長と女性警備員に対し,握りこぶしでその顔面などを
複数回殴りつけるという激しいもので,特に女性警備員の顔面を手加減すること
なく殴った行為は悪質である。
傷害結果も軽視することはできない。とりわけ女性警備員は,鼻骨を骨折し,
全身麻酔の上手術を受け,仕事を休むことを余儀なくされるなど,被害の程度は
大きい。
2犯行に至る経緯,動機
被告人は,本件の約1年前に自宅が火事で全焼し,家財道具の大半を失い,以
後,自宅付近の倉庫で家族5人で不自由な生活をしていた。親の農業の手伝いを
していたが,小遣いはもらっておらず,アルバイトでためた自らの貯金も使い切
っていた。被告人が万引きに及んだのは,このような状況の中で,冬を控え,防
寒のために暖かい服が欲しい,友人と会うときに着る服が欲しいという気持ちか
らであると認められる。そして,捕まったら自分だけでなく,同居している家族
にも迷惑が及ぶと考え,強く抵抗したため暴行が激しくなった面もある。
3被害弁償等
被害者らや被害店舗との間で示談がされ,被告人側から慰謝料を支払うなどし
ている。このような被告人側の対応を受け,被害者らは,現時点においては,必
ずしも厳しい処罰のみを望んでいるわけではない。
4反省等
年齢は若く,今回が初犯であり,これまでは,親の農業を手伝うなどまじめに
生活してきており,被害者らに謝罪の手紙を何通も送るなどし,法廷でも反省の
気持ちを繰り返し述べている。
5まとめ
,,以上のとおり暴行の悪質さや傷害の重さは決して軽くみることはできないが
他方で,犯行に至る経緯や動機には酌むべき事情もあること,示談をするなど被
害者に対し誠実に対応していること,若年で初犯であることなどを考慮すると,
社会内での立ち直りに期待し,酌量減軽の上,その刑の執行を猶予するのが相当
である。
(量刑意見:検察官・懲役4年,弁護人・執行猶予判決)
平成22年4月28日
松山地方裁判所刑事部
村越一浩裁判長裁判官
中村光一裁判官
安見章裁判官

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