弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 本件上告理由は別紙記載のとおりである。
 上告代理人は上告理由第三において自作農創設特別措置法一四条の訴は行政処分
の変更を求める訴であるにかかわらず原判決はその性質を誤解していると主張する
のである。
 右一四条の訴は農地の買収対価の増額を求める訴であるが、買収対価は買収令書
にも記載してあるから、判決で対価を増額することは実質において買収処分の内容
を変更することに帰し、この点は論旨のいうとおりである。しかし、法律は対価増
額の訴と行政処分の取消又は変更を求める訴とを区別し両者を全く異る形式の訴訟
としている。法律がこのように区別していることは、行政事件訴訟特例法三条では
行政処分の取消変更を求める訴について原則として処分をした行政庁を被告として
いるにかかわらず右一四条では被告を国とすべきことを規定していることによつて
も明かである。すなわち、右一四条の訴は買収処分そのものの効力を争うものでは
なく、買収処分の有効に行われたことを前提としながら、その対価について不服の
ある者の訴であるに対し、買収処分の取消変更を求める訴は対価の点を除きその他
の違法を理由に買収処分の取消又は変更を求める訴である。この区別は立法の経過
を見れば一層明白であつて、自作農創設特別措置法施行前(いわゆる第一次農地改
革当時)の農地調整法四条ノ八第二項は「違法ノ裁定ニ依リ権利ヲ傷害セラレタリ
トスル者」の訴について規定し、同条第四項に「裁定中対価ノ決定ニ対シテ不服ア
ル者」の訴について規定し、同条第三項は右四項により訴を提起し得る事項につい
ては第二項の訴によることができない趣旨を規定している。更に昭和二元年一〇月
制定当時の自作農創設特別措置法は処分の取消又は変更を求める訴については何等
の規定をおかず一四条で対価増額の訴のみを規定している。これらの規定はすべて
日本国憲法施行前の規定であるが、このように二つの訴を区別することは憲法施行
後の法律においても採られているところであつて、例えば土地収用法一三二条、一
三三条も裁決の取消を求める訴と損失補償に関する訴とを明白に区別しているので
ある。以上説明のとおりであるから前記一四条の訴を行政処分の変更を求める訴と
解することはできないのであつて、論旨は到底これを採用することができない。
 論旨は理由第六にもいて右一四条の訴も行政処分の変更を求める訴であるという
前述の主張を前提とし同条は民訴応急措置法八条、行政事件訴訟特例法附則三項に
より失効しており本訴の出訴期間は右特例法五条により買収処分を知つた日から六
ケ月であると主張する。
 しかし、右応急措置法八条及行政事件訴訟特例法附則第三項は行政処分の取消変
更を求める訴の出訴期間が従来区々に定められていたのを一応統一するため昭和二
二年三月一日前に制定された出訴期間に関する規定を失効せしめたものであるけれ
ども、前段説明のように自作農創設特別措置法一四条の訴が行政処分の取消変更を
求める訴と別種の訴である以上右一四条が昭和二二年三月一日前に制定されたから
と言つて効力を失うことはないのである。
 論旨はまたしばしば本件買収処分が当然無効であるから本訴について出訴期間の
規定の適用はないと主張するのであるが、若し所論のように買収処分が無効である
ならば国の対価支払義務も発生しないのであつて、論旨が買収処分の無効を主張し
ながら対価の増額を求めるのは、その主張自体矛盾を含むものと言わなければなら
ない。従つて原判決が本件買収処分の効力について判示しないのは当然である。
 以上説明のほか論旨は「最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する
法律」(昭和二五年五月四日法律一三八号)一号乃至三号のいずれにも該当せず、
又同法にいわゆる「法令の解釈に関する重要な主張を含む」ものと認められない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見をもつて、
主文のとおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    谷   村   唯 一 郎

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