弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告状記載の上告理由について、
 原審挙示の証拠によれば、原審認定の事実は、十分認めることができる。論旨は
結局、原審の適法にした証拠の取捨、判断ないし事実の認定を争うもので、上告適
法の理由とならない。
 上告理由書記載の上告理由第一点について、
 原審が、Dと上告人との養子縁組を無効と判断したのは、一にDが、右縁組の届
出当時、痴呆状態にあり、したがつて右の縁組は、当事者間に縁組をなす意思のな
かつた場合であることを理由としているのであつて、所論のように、右縁組につい
てDの養父Eの同意がなかつたことを理由としているものではない。原審が「Dの
養父Eは、控訴人(上告人)をDの養子としてF家に迎へるが如き事は希望せず、
右届出に同意を与へたることもなく云々」と判示しているのは、単に、Dが本件養
子縁組の届出の意思を有しなかつたことの一事情として認定したものであつて、な
んら、所論のようにDの養父Eの同意のなかつたことを理由として、本件養子縁組
を無効と判断した趣旨でないことは、原判文上、明白である。
 されば、原判決には、すこしも所論のような違法はなく、論旨は理由がない。
 同第二点について、
 原審は、証拠により「Dは、昭和一四年五月頃より精神に異常を来たし、その頃
家人の附添にて医師GまたはH医院脳科の医師Iの診察を受けた結果、早発性痴呆
症の一種精神分裂病と判明し、以来自宅で静養したが、病勢は漸次昂進して、昭和
一八年二、三月頃よりいちじるしく悪化し、家業たる農業の手伝いすら満足にでき
ず、他人と面接することをきらい、寝床にふせりがちであつたが、遂に昭和一九年
五月一六日千葉市a町附近の総武本線路上で轢死したもので、結局、控訴人(上告
人)との養子縁組の届出当時(昭和一九年二月一八日)は、痴呆状態で、養子縁組
のような重大な身分上の法律行為の結果を弁識するだけの能力を有しなかつた」事
実を認定したのであつて、原審挙示の証拠によれば、右各事実を十分認めることが
できる。そして右事実に反する所論の各証人の証言は、いずれも原審の採用しなか
つたことが、原判文上明白である。ところで、鑑定は、裁判官の知識を補助するも
のであるが、原審の認定したようなDの精神能力の有無の事実は、必ずしも専門家
の鑑定をまたなければ判明しないことではないから、原審が、すでに他の証拠によ
り、この点につき、十分なる心証を得た以上、所論の鑑定の申請を不必要として採
用しなかつたのは、なんら違法ではない。したがつて、また原審が、右認定に基き、
本件養子縁組は、当事者間に縁組をなす意思のない場合であつて無効であると判断
したことには、所論の如き違法はなく、論旨は理由がない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い裁判官全員の一致した意見により
主文のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    小   林   俊   三
            裁判官    本   村   善 太 郎

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