弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人弁護士田中一男の上告理由について。
 上告人の本訴請求は要するに上告人を売主、被上告人を買主としてなされた本件
宅地の売買は、訴外D及びE等の詐欺にもとずき上告人が承諾の意思表示をなした
ことにより成立したものであり、被上告人においてもその間の消息を知つていたの
であるから、本訴においてこれを取消す、仮りに然らずとするも法律行為の要素に
錯誤があつたものであるから無効であると主張し、上告人から被上告人に対して売
渡した係争宅地の所有権移転登記手続及びその引渡を求めるというに帰する。すな
わち前示訴外人等は上告人に対し係争a町所在の宅地につきこれを含む附近三千余
坪を被上告人において買収しE国民学校の敷地として永代無償で提供する旨虚偽の
事実を申出で上告人をしてその旨誤信せしめて、さもなければ手放したくなかつた
右宅地を被上告人に売渡すことを承諾させたものであり、被上告人もその事情を知
つていたのであるから、上告人の本件売買承諾の意思表示は詐欺によるものであつ
て茲にこれを取消す、仮りに右訴外人等に詐欺の意思がなかつたとしても、上告人
は被上告人が永代無償で学校敷地に提供するものと信じてa町の宅地を被上告人に
売り渡したのであつて、それが真実でなかつた以上、上告人の売買承諾の意思表示
は法律行為の要素に錯誤があり無効であると主張するのである。しかるところ、原
審が是認した第一審判決は上告人主張の事実はこれを認め得ないばかりでなく、却
つて訴外D、E等は地主と売買の交渉をするに当り買受人が無償で市に使用させる
ことになつている旨を述べたことはあるがその期間につき特に「永代」というよう
なことはいつておらないのであつて、原告も本件a町の宅地の所有者として同様の
交渉を受けて右宅地を被上告人に売却したものであり、その後被上告人は買い受け
た土地をE国民学校の敷地として無償で市に貸与したが、市において建築工事に着
手せずにいたので被上告人は市と交渉の上被上告人方附近にあるF国民学校の焼跡
の市有地一八〇〇坪を無償で借り受けることとなつた、しかしこの事は前記売買交
渉の際には被上告人の代理人として交渉の任にあたつた訴外G及びD、E等におい
て全然考えていなかつたのであり、従つて特にこの事を秘し被土告人が長期間無償
で市に貸すもののように上告人その他の地主を欺罔して土地を売却させようとの意
思を有していなかつた旨の事実を認定し得るとし、しかも売買は「当事者ノ一方ヵ
或財産権ヲ相手方ニ移転スルコトヲ約シ相手方ヵ之ニ其代金ヲ払フコトヲ約スルニ
因リテ」成立するものであるから、買主が買受土地を学校敷地として永代無償で提
供するというような上告人主張の事情は、通常契約の動機をなすに過ぎないもので
あり、特に当事者間でこれを売買契約の要素となした事跡の認められない本件にお
いては、仮りに上告人において内心的にその主張するような意嚮を有していたとし
ても、所論上告人の承諾の意思表示につき法律行為の要素に錯誤あるものというこ
とはできない旨判示して、本訴請求を棄却したのである。そしてこの原審及び第一
審のなした証拠の取捨判断及び事実認定には、事実審裁判所の有する裁量権の範囲
を逸脱したかどもなく、またその法律判断も首肯し得るのであつて何等の違法も認
められない。
 論旨(一)(二)(五)は事実審の裁量に属する証拠の取捨判断を非難し事実の
誤認を主張するものであり、同(三)(四)は事実誤認を前提とする法令違反の主
張に帰するものであるから、いずれも上告適法の理由とならない。
 よつて民訴四〇一条、九五条、八九条に従い裁判官全員一致の意見で主文のとお
り判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    岩   松   三   郎
            裁判官    真   野       毅
            裁判官    斎   藤   悠   輔

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