弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決及び第一審判決を破棄する。
     被告人を罰金一万円に処する。
     第一審における未決勾留日数中、その一日を金二〇〇〇円に換算して右
罰金額に満つるま
     での分を、右刑に算入する。
     第一審における訴訟費用は全部被告人の負担とする。
         理    由
 (上告趣意に対する判断)弁護人浜口武人ほか四名の上告趣意第一点は、憲法三
七条一項違反をいうが、記録を調べても、本件の捜査、公訴の提起及び原審の審理
に所論のような違法、不当な点があつたものとは認め難く、また、原判決の証拠の
価値判断が所論のような予断、偏見に基づくものとは認められないから、所論は前
提を欠き、適法な上告理由にあたらない。
 同第二点は、憲法三一条、三七条一項、二項違反をいうが、記録によれば、控訴
裁判所たる原審は、第一審裁判所が証明不十分として無罪とした軽犯罪法違反の点
を含む本件公訴事実の全般にわたつて被告人質問を施行しており、本件における争
点の核心部分について事実の取調をしていることが明らかであつて、控訴裁判所は、
このような場合には、訴訟記録及び第一審裁判所において取調べられた証拠と右事
実調の結果により、同裁判所が無罪とした公訴事実を有罪と認定し、あるいは同裁
判所が認定しない事実を認定して、自ら直ちに判決しても、刑訴法四〇〇条但書に
違反せず、憲法三一条、三七条一項、二項に違反するものでないことは、当裁判所
の判例(昭和二六年(あ)第二四三六号同三一年七月一八日大法廷判決・刑集一〇
巻七号一一四七頁、同二七年(あ)第五八七七号同三一年九月二六日大法廷判決・
刑集一〇巻九号一三九一頁。なお、同三一年(あ)第四〇二〇号同三二年三月一五
日第二小法廷判決・刑集一一巻三号一〇八五頁、同三一年(あ)第四二三九号同三
三年五月一日第一小法廷判決・刑集一二巻七号一二四三頁参照)の趣旨に徴し明ら
かであるから、所論は理由がない。
 同第三点は、判例違反をいう点を含め、その実質はすべて事実誤認、単なる法令
違反の主張であつて、適法な上告理由にあたらない。
 同第四点のうち、判例違反をいう点は、所論引用の各判例はすべて事案を異にし
本件に適切でなく、その余は、単なる法令違反の主張であつて、いずれも適法な上
告理由にあたらない。
 同第五点は、単なる法令違反の主張であつて、適法な上告理由にあたらない。
 (職権による判断)
 しかしながら、上告趣意第四点にかんがみ職権をもつて調査すると、原判決及び
第一審判決は、以下に述べる理由により、結局、破棄を免れない。
 数罪間に罪質上通例その一方が他方の手段又は結果となる関係があり、しかも具
体的に犯人がかかる関係においてその数罪を実行した場合には、右数罪は牽連犯と
して刑法五四条一項後段により科刑上の一罪として取り扱われるべきものである(
最高裁昭和二三年(れ)第二〇六三号同二四年一二月二一日大法廷判決・刑集三巻
一二号二〇四八頁、同三一年(れ)第一六号同三二年七月一八日第一小法廷判決・
刑集一一巻七号一八六一頁、同四三年(あ)第一六五一号同四四年六月一八日大法
廷判決・刑集二三巻七号九五〇頁参照)。
 ところで、軽犯罪法一条二三号の罪は、住居、浴場等同号所定の場所の内部をの
ぞき見る行為を処罰の対象とするものであるところ、囲繞地に囲まれあるいは建物
等の内部にある右のような場所をのぞき見るためには、その手段として囲続地ある
いは建物等への侵入行為を伴うのが通常であるから、住居侵入罪と軽犯罪法一条二
三号の罪とは罪質上通例手段結果の関係にあるものと解するのが相当である。原判
決の認定するところによれば、被告人は、正当な理由がなく、原判示安藤邦彦方住
居内をひそかにのぞき見る目的で、同人方裏庭に侵入し、これを手段として、右居
内をひそかにのぞき見たものであるというのであり、右住居侵入罪と軽犯罪法一条
二三号の罪とは、刑法五四条一項後段の牽連犯の関係にあるものというべきである。
 しかるに、原判決は、右両罪が刑法四五条前段の併合罪の関係にあるものとして、
同法四八条一項により、罰金一万円(第一審における未決勾留日数中その一日を金
二〇〇〇円に換算して右罰金額に満つるまでの分を算入)及び拘留一五日の刑を併
科したもので、右両罪に関する罪数関係についての法律の解釈適用を誤つたものと
いうべきであり、これが判決に影響を及ぼすことは明らかであつて、原判決を破棄
しなければ著しく正義に反するものと認められる。
 よつて、刑訴法四一一条一号により原判決を破棄し、同法四一三条但書により、
直ちに判決すべきところ、なお、第一審判決には原判示の事実誤認があつてこれを
維持することができないので、第一審判決をも破棄した上、被告事件について更に
次のとおり判決する。
 原判決の認定した事実に法律を適用すると、被告人の原判示第一の所為は刑法一
三〇条前段、罰金等臨時措置法三条一項一号に、同第二の所為は軽犯罪法一条二三
号にそれぞれ該当するところ、右住居侵入と軽犯罪法違反との間には手段結果の関
係があるので、刑法五四条一項後段、一〇条により一罪として重い住居侵入罪の刑
により処断することとし、所定刑中罰金刑を選択し、所定金額の範囲内で被告人を
罰金一万円に処し、同法二一条により第一審における未決勾留日数中その一日を金
二〇〇〇円に換算して右罰金額に満つるまでの分を右罰金刑に算入し、第一審にお
ける訴訟費用は、刑訴法一八一条一項本文により全部被告人に負担させることとし、
主文のとおり判決する。
 この判決は、裁判官横井大三の反対意見があるほか、裁判官全員一致の意見によ
るものである。
 裁判官横井大三の反対意見は、次のとおりである。
 私は、多数意見が本件住居侵入罪と軽犯罪法一条二三号の罪とが刑法五四条一項
後段の牽連犯の関係にあるとする点に反対する。両者は罪質上通例その一方が他方
の手段又は結果となる関係にあるものとはいえないので(最高裁昭和四一年(あ)
第九一五号同年一〇月二六日第二小法廷決定・刑集二〇巻八号一〇一四頁参照)、
これを併合罪とした原判決の判断は正当であり、本件上告は棄却すべきものと考え
る。
 検察官 井上五郎 公判出席
  昭和五七年三月一六日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    環       昌   一
            裁判官    横   井   大   三
            裁判官    伊   藤   正   己
            裁判官    寺   田   治   郎

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