弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人岩淵佐市の上告趣意第一点について。
 被告人において正犯者Aが「強盗すること」を認識していたことは、原判決挙示
の検事並びに検察事務官の被告人に対する各聴取書によつて明らかに認められる。
弁護人は、検事に対する被告人の供述には強制の跡があつて憲法三八条二項に反す
ると主張するが、強制による供述であることは記録上認められないので右違憲の主
張は前提となる事実を欠き問題とならない。されば、被告人においてAが強盗する
ことを知らなかつたものであるとの主張は原審の事実誤認を主張するに帰し理由が
ない。そして、被告人が強盗の正犯を幇助した以上、正犯たる強盗が人を傷した場
合には幇助者たる被告人においてもその傷害につき責を負うべきことは当然である
からこの点を非難する論旨も理由がない。
 同第二点について。
 論旨は原審量刑の不当を主張するに過ぎないものであるから適法な上告の理由と
して採用することができない。なお、弁護人からの上告趣意追申書は法定期間経過
後の提出にかかるものであるからこれに対しては判断を示さない。
 よつて、旧刑訴四四六条に従い裁判官全員の一致した意見により主文のとおり判
決する。
 検察官 田中巳代治関与
  昭和二六年六月二六日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介

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