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平成29年9月22日判決言渡同日原本領収裁判所書記官
平成27年(ワ)第37455号損害賠償請求事件
口頭弁論終結日平成29年5月12日
判決
主文
1被告らは,原告に対し,連帯して,71万7630円及びこれに対する平成
28年1月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2原告のその余の請求をいずれも棄却する。
3訴訟費用(補助参加によって生じた費用は除く。
)は,これを8分し,その7
を原告の負担とし,その余を被告らの負担とし,補助参加によって生じた費用
は,これを8分し,その7を原告の負担とし,その余を被告江戸川区補助参加
人の負担とする。
4この判決は,原告勝訴部分に限り,仮に執行することができる。
事実及び理由
第1請求
1被告らは,原告に対し,連帯して,551万7630円及びこれに対する平成2
8年1月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2訴訟費用は被告らの負担とする。
3仮執行宣言(なお,被告らから仮執行免脱宣言の申立てがなされている。

第2事案の概要
1事案の要旨
本件は,被告江戸川区が設置管理するA学校(以下「本件学校」という。
)の学校
非常勤事務職員であった原告が,本件学校の事務職員である同僚の被告江戸川区補
助参加人B(以下「補助参加人」という。
)から,原告の胸の大きさを話題するなど
のセクシャルハラスメント(以下「セクハラ」という。
)を受け,また,歯間ブラシ
を洗わされたりするなどのパワーハラスメント(以下「パワハラ」という。
)を受け
たところ,①これらの行為が,補助参加人の被告江戸川区の公務員としての職務を
行うについてなされたものであり,また,②補助参加人が被告東京都から給与の支
給を負担しているとし,また,③被告江戸川区が原告の事業主として職場環境配慮
義務を負っているところ,その違反があるとして,被告江戸川区に対しては,国家
賠償法(以下「国賠法」という。
)1条1項又は職場環境配慮義務の債務不履行に基
づき,被告東京都に対しては,国賠法3条1項に基づき,連帯して,損害合計55
1万7630円及びこれに対する不法行為の後であり,かつ,本訴状送達の日の翌
日である平成28年1月19日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による
遅延損害金の支払を求める事案である。
2前提事実(当事者間に争いがないか,掲記した証拠等により容易に認められる事
実。枝番のある書証について特に断らない限り,その全てを含む。以下同じ。

⑴当事者等
ア原告は,平成20年4月に被告江戸川区に学校非常勤事務職員として採用さ
れ,その後,3年ごとに勤務先である学校を異動し,平成26年4月から,本
件学校に配属された。
(弁論の全趣旨
〔原告と被告江戸川区との間では争いがな
い。


イ補助参加人は,被告江戸川区の教育委員会に採用され,被告東京都が俸給,
給与その他の費用を負担している者であり,平成20年4月1日から事務職員
として本件学校に配置されていた。
(弁論の全趣旨
〔原告と被告らの間で上記の
限度で争いがない。


ウ被告江戸川区及び被告東京都は,いずれも地方公共団体である。なお,本件
学校は,被告江戸川区が管理運営する中学校であり,平成26年4月以降,そ
の校長は,C(以下「C校長」という。
)であった。
(乙6のほか顕著な事実)
⑵原告が補助参加人から受けた行為等
原告は,平成26年7月3日,本件学校近くのG店という居酒屋において,補
助参加人から1回右胸を触られたことがあった。なお,本件接触行為の態様や経
緯,その後の被告江戸川区の対応等は,本件において主たる争点となっている。
(争いがない)
⑶原告の通院状況及び医師による診断
原告は,
平成27年9月16日,
HクリニックのD医師から,
適応障害
(動悸,
倦怠感などに伴う)と診断され,平成27年8月24日から同年12月2日まで
の間,以下の医療機関に通院した。
(甲3)
(通院日)(医療機関)
平成27年8月24日Hクリニック(薬剤処方)
同年9月9日同上(薬剤処方)
同年9月16日同上(診断書あり。薬剤処方)
同年10月7日同上
同年10月31日同上(薬剤処方)
同年11月13日Iクリニック
同年12月2日Hクリニック(薬剤処方)
⑷セクハラ等に関する規則等
雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(以下
「法」という。
)及びこれを受けた「事業主が職場における性的な言動に起因する
問題に関して雇用管理上講すべき措置についての指針」
(平成18年厚生労働省
告示第615号。以下「本件指針」という。
)には,別紙の規定がある。
3争点
⑴セクハラ及びパワハラ行為の存否(これらに対するC校長の対応の経緯も含
む。
)並びに補助参加人の行為が原告の権利を侵害するものといえるか
⑵被告らの責任原因
ア補助参加人の行為が職務を行うについてなされたものといえるか
イ被告江戸川区の職場環境配慮義務違反の有無
ウ被告東京都の責任原因
⑶原告の損害
第3争点に対する当事者の主張
1争点⑴(セクハラ及びパワハラ行為の存否並びに補助参加人の行為が原告の権利
を侵害するものといえるか)について
(原告の主張)
⑴原告は,平成26年7月3日以降,補助参加人や本件学校のC校長から以下の
ような行為を受けた。
ア補助参加人の行為等
原告は,平成26年7月3日,本件学校近くの居酒屋で開かれた補助参加
人並びに用務主事であるE及びFとの親睦会(以下「本件親睦会」という。

に参加した。その際,原告は,補助参加人の額を軽く小突いたところ,原告
の正面に着席していた補助参加人が,その右手を伸ばし原告の右胸を下から
上に撫でるように触った(以下,補助参加人のこの行為を「本件接触行為」
という。


補助参加人は,同年7月頃,事務室での勤務時間中,原告に対し,
「原告は
猫背だよ。もっとその豊満な胸を前に突き出して歩いた方がいい」と笑いな
がら発言したり,ある女性教員の家庭において,当該女性教員よりその夫の
年収が低いことに関し,
「やること
(性行為)
をやっていれば大丈夫だろう。

と述べたりした。
補助参加人は,同年9月,原告が勤務時間終了間際に自分のコーヒーカッ
プを洗っていたところ,
「これも洗って」
と言って原告に自分の歯間ブラシを
差し出し,一瞬歯間ブラシと気づかなかった原告に洗わせると,原告の前で
歯を磨き始めた。
原告は,同年10月22日,補助参加人が事前に休暇取得日を連絡しな
かったことに関し,補助参加人に改善を求めたところ,補助参加人は原告に
対し,
「ほんとに甲斐性がないよな。


「小さい頭で考えろ」
などと発言した。
補助参加人は,同年11月1日,文化祭の教職員全体での打ち上げの飲み
会の席で,女性教員から,
「原告にセクハラをしないで」と言われたところ,
後日,原告に対し,
「胸を触ったことを話したのか」と原告を詰問した。
イC校長への相談後の補助参加人の行為等
原告は,同年11月18日,C校長に対し,上記⑴の補助参加人の各言動
を相談したが,C校長は原告の話を聞くだけで,対応について述べることは
なかった。
補助参加人は,同年12月22日に開催された教職員の忘年会の二次会に
おいて,原告に向かって,
「楽しそうに話しているが,原告はみんなよりかな
り年上なんだぜ。
」と発言した。
原告は,上記のとおり,C校長に補助参加人の行為を相談しても,C校
長が対応しなかったため,平成27年1月14日,補助参加人に対し,セク
ハラ,パワハラ行為に対する苦情を申し入れたところ,補助参加人は,
「やっ
ぱり甲斐性がない奴」と記載したメールを返信した。
ウ教育委員会への報告
原告は,同年1月15日,用務主事室でC校長のメールを見
せ,相談し,さらに,同年2月にも2回ほどC校長を訪ね,胸を触られた後
も補助参加人から暴言を繰り返されていると訴えたところ,C校長は,原告
に,
「服務事故として上に報告したい?」などと聞くのみで,学校として対処
する旨発言しなかった。
原告は,同年3月25日,C校長,補助参加人及びFの4名で補助参加人
のセクハラ行為及びパワハラ行為について校長室で話し合った。補助参加人
は,胸を触った行為等は認めながら,原告が嫌がっているとは思わなかった
旨述べたが,最終的には原告に謝罪した。
Cの補助参加人の謝罪を受け,
「補助参加人もそれなりに感
じ入ったところはあると思うので,しばらく様子を見たいと思う。

「事実関
係はそういうことだと。後の処理に関しては,もうご自身で考えること。
」と
述べ,学校として当面何も対応しないとの意見を伝えた。
のC校長の対応を受けて,
Fの夫が,
被告江戸川区の教育委員会
(以
下「区教委」という。
)に,Fと原告が,補助参加人からセクハラ被害を受け
ていることを通報し,同年3月25日の話合いの録音テープを提出した。
上記調査を受けて,補助参加人は,原告に対し,
「胸を触った件も歯間ブラ
シの件も反省している」と告げたことに対し,原告が,
「調査に関してはうそ
はつけない」などと告げたところ,補助参加人は急に態度を変え,
「僕にも生
活があるので争うことになるかもしれない。原告を傷つけることになるかも
しれない」と発言した。
原告は,
補助参加人の上記発言に憤りと恐怖を覚え,
C校長に報告したが,
C校長は,補助参加人に何ら指導をしなかった。
補助参加人は,同年6月3日,区教委の調査における回答内容に関して原
告から質問された際,
「なぜ胸を触った件を管理職に伝えた。


「なぜノート
を取っていた。
いつから取り始めた。


「誰の助言で取り始めたのか。
名前は。

と強い口調で詰問した。C校長は,補助参加人を「まぁまぁ」となだめるだ
けで,注意することはなかった。
C校長は,
同月15日に出勤してきた原告に対し,
「今後何かあったら自分
に話して下さい。それから今後この件は内外に言わないようにしましょう。

と指示した。
エ江戸川区労働組合加入後
原告は,C校長及び区教委に相談しても対処されないため,江戸川区労働
組合(以下「組合」という。
)に加入した。原告は,同年8月24日に適応障
害と診断され,その旨をC校長に報告したが,C校長は,
「自分も嫌な奴と近
くで仕事しないといけないことがあったが,仕事は仕事として割り切ってい
た。飲みに行ったりして気晴らしでもして。
」と述べたのみであった。また,
本件学校は,同年10月,区教委との面談を踏まえ,学校側の対策として,
事務室と校長室の間を常に開けた状態にして,校長が監視すると回答したが,
従前から,事務室と校長室との間の扉は開けた状態になっており,学校側と
して現状を変えることはなかった。
原告は,同年10月29日,区教委庶務係に面談を申し入れ,補助参加人
によるセクハラ及びパワハラを相談したところ,庶務係は,原告の職員室へ
の異動を提案した。
原告は,同年11月5日,管理職との面談で校長と面談し,
「セクハラの被
害者と加害者が同じ空間にいて上手くいくはずがないのではないか。
」と述
べると,C校長は,
「そこがわからないな。
」と答え,さらに,同月19日に
は,
「セクハラの件は懇親会の席のことで職務上のことではないので本来2
人で解決すべき問題である。
それを職場に持ち込まれて迷惑である。

と述べ
た。
⑵補助参加人の行為の法的評価
ア補助参加人の上記⑴アの各言動は,原告が望まないにもかかわらず,原告の
胸の大きさや年齢を話題にするなど性的な内容の発言をしたり,必要なく身体
これらの各行為は,原告の人権を侵害し,原告の職場環境を著しく不快にす
るものであって,違法な行為である職場における環境型ハラスメントに該当す
るものである。
イまた,上記⑴アのうち歯間ブラシを洗わせる,
「甲斐性がない」などと罵倒す
ること,原告が被害事実をノートに記載したことや被害事実を相談したことを
責めたり,口外しないことを強く求めたりすることは,事務職員が二人だけで
あることや原告が非常勤職員であるという職務上の地位や人間関係などの職
場内の優位性を背景に業務と関係のない行為をさせたり,人格と尊厳を侵害す
る言動として原告に精神的苦痛を与えたりするものであり,職場環境を著しく
悪化させるものとして,職場におけるパワーハラスメントに該当する。
ウそして,これらの補助参加人の行為は故意又は過失によって違法に原告に損
害を与えたものといえる。
(被告ら及び補助参加人の主張)
原告が主張する補助参加人の違法行為は,①本件親睦会において原告の胸に触れ
た行為(本件接触行為)
,②事務室において性的な話題等を述べた行為,③忘年会の
二次会で年齢を話題にした行為,④歯間ブラシを洗わせた行為,⑤メールにおいて
甲斐性がないなどと述べた行為,⑥被害事実を相談したことを責めた行為及びセク
ハラ被害を口外しないよう求めた行為であるが,これらはいずれも国賠法上の違法
行為とはいえない(なお,①の職務執行性は後述する。


⑴本件接触行為について
セクハラ行為は,性的な関係の強要など性的な言動であることが必要とされる
が,補助参加人の上記行為は,補助参加人が原告から額を二度殴られた際に,偶
発的になされたものであり,性的な言動とはいえず,不法行為を構成するほどの
セクハラ行為とはいえない。
⑵事務室において性的な話題等を述べた行為(上記②)及び忘年会の二次会で年
齢を話題にした行為(上記③)について
上記②及び③の各行為については,そのような言動があったかも明らかではな
い上に,仮にそのような言動があったとしても,補助参加人は,C校長から誤解
を受ける言動を慎むよう指導を受けて以降,同様の言動をしていないため,不法
行為を構成するとまではいえない。
また,上記③の行為については,C校長も出席していない二次会の席上のこと
であり,職務を行うについてなされたものとはいえない。
⑶歯間ブラシを洗わせた行為(上記④の行為)について
職場において私物の洗い物をする行為は,職務行為との間に外形的に見て関連
性があるとはいえず,職務を行うについてなされたものとはいえない。
また,補助参加人と原告は,再任用職員と非常勤職員という差はあるものの,
職務上の地位について上下関係はない上に,原告は歯間ブラシと気付かずに洗っ
ただけで,拒否したくてもできなかったという関係にはなく,原告の主張するよ
うな職務上の地位や人間関係を背景にされたものともいえず,いわゆるパワハラ
とはいえない。
⑷メールにおいて甲斐性がないなどと述べた行為(上記⑤の行為)について
上記⑤の行為は,午後9時10分から午後11時50分という深夜の勤務時間
外に,個人の携帯電話においてなされたものであり,職務を行うについてなされ
たものとはいえないし,補助参加人が原告に対して職務上優越的地位にあるもの
ではない。
⑸被害事実を相談したことを責めた行為及びセクハラ被害を口外しないよう求
めた行為(上記⑥の行為)について
上記⑥の行為も補助参加人が原告に対して職務上優越的地位にあることを前
提になされたものではない。
⑹補助参加人独自の主張
原告と補助参加人は,平成27年1月14日までメールを送信しあう関係に
あったが,同日,原告が,平成26年度2学期分のタクシー代の清算をし忘れた
ことに関し,補助参加人と口論になったために,関係が悪化したものである。
2争点⑵(被告らの責任原因)について
(原告の主張)
⑴補助参加人の行為に基づく責任
ア被告江戸川区の責任
前記1(原告の主張)⑵のとおり,補助参加人の行為は,故意又は過失に
基づき,違法に原告に損害を生じさせたものといえる。
そして,補助参加人は被告江戸川区の公権力の行使に当たる公務員であり,
上記各行為は,その職務を行うについてなされたものであるから,被告江戸
川区は,国賠法1条1項により,原告に生じた損害を賠償する責任を負う。
なお,本件親睦会は,業務時間内に開催が決定され,事務職員4名全員の日
程の都合を調整した上で行われたものであり,事務職員及び用務主事相互の
親睦を深め,円滑な職務遂行の基盤となる人間関係を形成することを目的と
してされたものであるから,職務内容と密接に関連し,職務行為に付随する
ものといえる。
イ被告東京都の責任
また,補助参加人は,被告東京都が俸給,給与その他の費用を負担している
者であり,国賠法3条1項により,被告江戸川区と同様の責任を負う。
⑵被告江戸川区独自の責任
ア職場環境配慮義務違反
法11条は,職場環境配慮義務を規定しており,同規定は地方公務員にも適
用されるところ,同条2項を受け定められた本件指針も法律の性格を補充する
ものといえる。
本件指針3項⑶は,職場においてセクハラが発生した場合には,迅速かつ適
切に対応すべきことを規定しており,事実関係を迅速かつ正確に調査し,事実
が確認できた場合には適切な対処をしなければならず,特に被害者に対する配
慮措置を適正に行うことと,加害者に適正な措置をとることが定められている。
パワハラについても明文の規定はないが,事業主として同様の職場環境配慮
義務を負うものと解される。
イ被告江戸川区の不作為
学校は,補助参加人が原告の胸を触った平成26年7月3日の夜にFから
副校長宛てにメールで報告を受けており,同年11月18日にも,原告はC
校長に補助参加人のセクハラ,パワハラを相談しているのであるから,学校
は,速やかに原告,補助参加人又はFらから事実関係を聴取する等の事実の
調査をすべきであったのに,これを怠り,調査を開始したのは,平成27年
4月末であった。
また,C校長としても,補助参加人が原告の胸を触る行為をしたことは否
定していなかったのであるから,速やかに被害者である原告の意向を確認し,
指導や異動などの人事上の措置(特に,原告と補助参加人が同じ職場で仕事
をしているため配置転換)
,懲戒処分の審議のための教育委員会への報告な
どの措置を講ずべきであったのに,これを怠った。
しかも,C校長は,平成27年5月に区教委の調査が始まると,同年6月
15日,原告に対し,
「今後この件は内外に言わないように」と口止めをし,
原告から,
上記の調査を逆恨みした補助参加人に関する相談を受けても,
「こ
れ以上何もできない」と明言したり,原告を他校に異動させようとしたりし
て事態を収めようとした。
さらに,原告が,平成27年5月頃からストレスによる体調不良を訴え,
その都度,学校に報告をしていたにもかかわらず,通院回数などを事務的に
1回聞いたのみで,
「管理監督者又は事業場内産業保健スタッフ等による被
害者のメンタルヘルス不調への相談対応等の措置」
(本件指針3項⑶ロ①)

講じなかった。
(被告らの主張)
⑴補助参加人の行為に基づく責任について
前記1(被告らの主張)のとおり,原告の主張する補助参加人の行為は,職務
を行うについてなされたものではないか,その態様等から不法行為とまではいえ
ないものであり,補助参加人の行為について国賠法1条1項の責任は成立しない。
⑵被告江戸川区独自の責任について(被告江戸川区の主張)
C校長の原告や補助参加人への対応に不適切な点はない。
アセクハラ行為の調査開始が遅れ,速やかに指導等の措置を講じなかった点に
ついて
原告は,C校長が,本件接触行為に関して,副校長からF発信に係るメール
により報告を受けているなどと主張するが,当該メールは,本件親睦会の最中
に送られてきたもので,翌勤務日以降もFや原告から相談がなされたことはな
かったため,副校長はC校長に報告しなかったのであり,同メールに対応しな
かった校長の措置に職場環境配慮義務違反はない。
また,C校長は,原告からセクハラ,パワハラ被害の報告を受けた平成27
年1月15日以降,度々補助参加人に対して指導を行っており,指導を始めて
から補助参加人に問題となるような行為はなかったのであるから,C校長は原
告の訴えに対して適切に対応している。
イC校長が原告及び補助参加人を口止めした点について
また,C校長が,
「この件は内外に言わないようにしましょう。
」と言ったの
は,原告や補助参加人が一連のトラブルを外部に話すことで事実を知らない者
にうわさが広がり,原告と補助参加人との関係が悪化することを防ぐためであ
り,被害者及び加害者のプライバシーを保護するための措置として本件指針に
おいても挙げられているものである。
ウ原告の体調不良の訴えに対する措置を講じなかった点について
C校長は,原告の体調を慮り,平成27年11月5日のヒアリングの際に聞
き取りを行ったほか,原告の執務場所を事務室から職員室に移すことを提案し
ているのであり,原告の要望を相当程度酌んで実現可能な措置を提案している
のであり,職場環境配慮義務違反はない。
3争点⑶(原告の損害)について
(原告の主張)
補助参加人のセクハラ及びパワハラ行為並びに被告らの職場環境配慮義務違反
により原告は以下の損害を負った。
治療費1万7630円
慰謝料500万円
原告は,補助参加人のセクハラ,パワハラ行為により著しい精神的苦痛を被っ
た。しかも,原告は,当初から苦情と救済を申し出ていたにもかかわらず,被告
らは何ら適切な措置を講ずることなく,補助参加人のセクハラ,パワハラ行為が
繰り返され,適応障害にり患するに至った。さらに,原告は,C校長から,被害
事実を口外しないよう求められ,本訴提起後も平成28年3月まで補助参加人と
二人で事務室で執務することを強いられ,同年4月には被害者である原告が職員
室に移動させるなど適正な措置が講じられなかったのであり,これらは,原告の
精神的苦痛を拡大させた。
これらの事情からすれば,原告の精神的苦痛に対する慰謝料は500万円を下
らない。
弁護士費用50万円
合計551万7630円
(被告ら及び補助参加人の主張)
原告の主張は争う。
第4当裁判所の判断(争点に対する判断)
1判断の前提となる事実関係
前記前提事実,証拠(各項末尾に掲記する。
)及び弁論の全趣旨によれば,以下の
事実が認められる。なお,後記認定に反する証拠については,他の証拠に照らして
採用することができない(重要な点については,後記2で補足して説明する。


⑴原告及び補助参加人の勤務形態等
ア本件学校では,平成26年7月当時,原告及び補助参加人を含む事務職員4
名(うち,1名は週1日勤務の再任用短時間補充職員であり,もう1名は年間
40日の事務補助臨時職員である。

,用務主事2名(F及びE)がおり,教職
員については職員室,事務職員については事務室,用務主事については主事室
を執務場所としていた。
(乙1,6,弁論の全趣旨)
イ補助参加人は,本件学校において,事務主任という肩書を使用していた。
(甲
23,証人C〔1丁〕

⑵本件接触行為に至る経緯
ア本件学校の平成26年7月3日当時の事務職員及び用務主事との間では,職
員室における給食の配膳を用務主事が担当するか否かという点でいさかいが
生じており,
栄養士が一人で職員室の給食の配膳をするようになっていた。
(丁
3,原告本人〔2丁〕
,証人B〔2丁〕

イEは,上記アの状況をみかねて,平成27年7月頃,当該栄養士の手伝いを
したところ,それを見たFが,これは主事室ではやってられない,自分は帰る
と言い出し,トラブルとなった。そこで,補助参加人が,EやFと職員室への
給食の配膳に関して話し合うために,本件親睦会を開くことを提案し,事務主
任たる補助参加人及び用務主事のうち4名(原告,補助参加人,E,F)が参
加することになった。
(原告本人〔2丁〕
,証人B〔2丁〕

ウC校長は,上記イのトラブルについて,E及びFから事情を聴取したことに
より,事情を把握していた。
(証人C〔2,3丁〕
,原告本人〔2,3丁〕

⑶本件接触行為の概要
ア本件学校の事務職員及び用務主事のうち4名(原告,補助参加人,E,F)
は,平成26年7月3日,本件学校近くのG店で本件親睦会を実施し,そこで
は給食の配膳が話題となっていた。本件親睦会では,補助参加人の前に原告が
座り,補助参加人の横にEが座り,Eの前にFが座っていた。
(乙2)
イ補助参加人は,本件親睦会の最中,栄養士が事務室に戻りたいと言えば,事
務室に戻っても構わないという趣旨の発言をしたところ,原告と口論になり,
原告が,補助参加人の額を2回小突いた。
(甲7,乙2,7,原告本人〔4,5
丁〕
,証人B〔2,3丁〕

ウ補助参加人は,原告からの行為を受け,その右手を伸ばして原告の右胸の下
部を下から持ち上げるようにして触った。その状況を見たFは,本件学校の副
校長に対し,補助参加人が,原告の胸を触った旨のメールを送信した。
(乙7,
原告本人〔3丁〕
,証人B〔4,5丁〕

エFは,同日午後9時39分,副校長に対し,実情は自分から話すため,補助
参加人には直接聞かないよう求める旨のメールを送信したものの,その後,副
校長に対し,本件接触行為に関しては,補助参加人に触れないでほしいと依頼
した。
(乙7,証人F〔6,7丁〕

⑷本件接触行為後の補助参加人の原告に対する行為等
ア補助参加人は,同年9月,洗い物をしていた原告に対し,
「これも洗って」と
言い,使用済みの歯間ブラシを手渡し,原告は,当該歯間ブラシの汚れ部分を
指でつまむなどした後に,補助参加人に渡した。補助参加人は,これを受け取
ると,歯を磨きだしたため,原告は,そこで,洗っていたものが歯間ブラシで
あると気付いた。
(甲2の2,5,原告本人〔6丁〕
,証人B〔7~8丁〕

イ補助参加人は,同年11月1日,本件学校の文化祭後の教職員全体での打ち
上げの飲み会の際,女性教員から,原告の胸を触ったのか聞かれたことから,
後日,原告に対し,
「胸を触ったことをばらしたのか」と問い質した。
(甲5,
証人B〔9丁〕

⑸C校長への相談後の補助参加人の行為等
ア原告は,同月18日,C校長に対し,セクハラ被害を受けた場合に,誰に相
談したらよいかと質問したところ,C校長は,私になるでしょうと回答した。
原告は,同年7月3日に,補助参加人から胸を触られた旨を報告した。
(証人C
〔7丁〕
,原告本人〔3丁〕

イ原告は,平成27年1月14日,補助参加人に対して,胸を触られたり,歯
間ブラシを洗わされたりした,セクハラ行為にうんざりしている旨のメールを
送信したところ,補助参加人は,
「ドント信頼しているから」などと見当違いの
返信をした。そこで,原告は,信頼とかいうレベルの話ではない旨さらに返信
したところ,補助参加人は,
「甲斐性がない奴」という返信をした。
(甲1)
⑹教育委員会への報告後のC校長の対応等
ア原告は,平成27年1月15日,用務主事室において,C校長に対し,補助
参加人から原告に対するメールを見せた上で,同人に対応を求めた。これを受
けたC校長は,同日,補助参加人に対し,謝った方がいいのではないかなどと
告げた。なお,その際,補助参加人は,C校長に対し,
「原告は自分(補助参加
人)を敵対視してセクハラの件を利用している」という趣旨の反論をした。
(証
人C〔4丁〕
,証人B〔26,27丁〕
,原告本人〔8丁〕
,弁論の全趣旨〔被告
江戸川区答弁書〕

イ原告は,同年2月に2回,C校長と校長室で面談し,本件接触行為や歯間ブ
ラシを洗わされたことなど補助参加人の言動等を相談したところ,C校長は,
彼なりのコミュニケーションの一種であると原告に伝えた。
その際,
C校長は,
原告に対し,
補助参加人からのセクハラ被害について,
「服務事故として上に報
告したい。

と聞いたが,
これに対して,
原告は,
特段の回答はしなかった。
(証
人C〔5丁〕
,原告本人〔8,9丁〕
,弁論の全趣旨〔原告と被告江戸川区との
間では争いがない〕

ウ原告は,
同年3月25日,
C校長,
F及び補助参加人の4名で話合いを行い,
補助参加人は,
胸を触ったことについて,
申し訳なかったと思いますと述べた。
もっとも,本件接触行為を謝罪する以前の補助参加人の言動は,別件に関し,
腕を組みながら謝罪をしようとし,そのことをC校長にたしなめられるなどし
ていた。上記の補助参加人の謝罪を受けてC校長は,
「彼(補助参加人)なりに
感じ入ったところは,あると思うので,しばらく様子を見ようと思う」などと
述べた。その際,原告やFが,C校長の発言に対して,抗議するなどしたこと
はなった。
(甲2の2)
エFの夫は,同年4月24日頃,上記ウのC校長の対応を受けて,区教委に,
Fと原告が,補助参加人からセクハラ被害を受けていることを通報し,上記ウ
の話合いの録音テープを提出したことから,同月下旬頃から同年5月中旬頃に
かけて,区教委の調査が実施された。
(甲10,23,乙2)
オ区教委の調査に対し,C校長は,所見として,補助参加人に対して,改めて
人権感覚を高める指導と研修を課したいと考えていると記載したものの,特段
の指導等をすることはなかった。
(乙2,弁論の全趣旨)
カ原告と補助参加人は,区教委の調査以降も,事務室において一緒に勤務して
いたところ,同月6月3日,補助参加人は,原告が,補助参加人の行為を記録
したノートに関し,いつからノートを取っていたのかなどと詰問した。C校長
は,その場にいたものの,
「まぁまぁ」というのみで,その後,具体的な対応を
取ることはなかった。
(甲23,証人B〔33丁〕
,原告本人〔11,12丁〕

弁論の全趣旨〔原告と被告江戸川区との間で争いがない。


キC校長は,
同月15日に出勤してきた原告に対し,
「今後何かあったら自分に
話して下さい。それから今後この件は内外に言わないようにしましょう」と指
示した。
(当事者間に争いがない)
⑺労働組合加入後の動向等
ア原告は,上記⑹のC校長の対応を受けて,組合に加入した。原告は,同年8
月24日,Hクリニックを受診し,同月31日,適応障害と診断され,同日,
その旨をC校長に報告したが,
C校長は,
「自分も嫌な奴と近くで仕事しないと
いけないことがあったが,仕事は仕事として割り切っていた。飲みに行ったり
して気晴らしでもして。

と述べたのみで,
具体的な対応を取ることはなかった。
(争いがない事実のほか甲3,23)
イ原告は,同年11月5日,校長と面談し,同年6月3日に,補助参加人から
セクハラ報告の件を責められたことで体調がおかしくなった,対応してもらえ
ないかと尋ねたところ,C校長は,来年度,二人が一緒に仕事をするのが無理
であると具申すると回答するのみであった。また,同月19日に,原告とC校
長との話合いの際に,原告は,服務事故により執務場所を職員室に移動すると
いうふうに対処してもらえないかと相談したところ,C校長は,そのような対
応は個人情報に関わるためできないとし,服務事故について話さないならば,
職員室に移動することも良い旨回答した。また,C校長は,
「セクハラの件はお
二人の事なんですよ。
それを職場に持ち込まれてある意味迷惑なのね」
「職場の
中に余計な混乱を招くような事はしてほしくない。二人で解決すべきである。

と回答した。
(争いのない事実のほか甲2の4,23)
⑻原告の執務場所の変更
ア原告は,平成28年3月28日に,再度C校長と面談し,職場環境の調整が
必要であるとの記載のある診断書を示した上で,自分が職員室に移動すること
を提案した。
(甲12,23)
イ原告は,
同年4月から職員室の共用電話スペースで執務を開始した。
(甲14,
23)
2事実認定の補足説明
⑴被告ら及び補助参加人は,補助参加人の行為のうち,本件接触行為は,原告か
らの暴行に対応するための偶発的なものである,また,原告に洗浄を依頼した歯
間ブラシは新品であったと主張し,補助参加人も証人尋問において,これに沿う
供述をする。
⑵確かに,本件接触行為に至る前に,補助参加人が額を2回ほど小突かれる暴行
を受けていたこと自体は,原告も認めるものであるが,原告が,その後さらに暴
行に及ぼうとした点については,その場に同席していたE,Fの陳述書等には,
その旨の記載が見られないから,補助参加人の証言(陳述書の記載も含む。
)は,
それを裏付ける的確な証拠を欠いており,採用することができない。
そして,原告及びFの陳述書等及び補助参加人の陳述書等は,原告が2回小突
いた後に補助参加人が本件接触行為に及んだという点では一致しているところ,
小突いた理由が何であれ,
酒の席とはいえ,
2回も小突かれれば,
そのことに怒っ
た補助参加人が反撃に出ることは,あり得る事態であることに鑑みれば,本件接
触行為が不注意ないしは過失によるという意味での偶発的な行為であったとは
認められず,むしろ故意に基づくものであったと認めるのが相当である。被告ら
及び補助参加人の上記⑴の主張は,採用することができない。
⑶また,原告に補助参加人が洗浄を依頼した歯間ブラシが新品であったという点
については,補助参加人が,歯間ブラシを濡らすだけにとどまらず,
「洗って」と
原告に依頼していること,
補助参加人が,
平成27年3月25日の話合いの際に,
原告から,
「汚い歯間ブラシを指でつまんで洗った」などと言われた際に,歯間ブ
ラシが新品であった旨特段反論していないこと(甲2の2)からしても,採用す
ることができず,むしろ,歯間ブラシの依頼の態様や原告の歯間ブラシの洗浄態
様からすると,補助参加人が原告に洗浄を依頼した歯間ブラシは,使用済みのも
のであった推認できる。
3争点⑴(セクハラ及びパワハラ行為の存否(これらに対するC校長の対応の経緯
も含む。

及び補助参加人の行為が原告の権利を侵害するものといえるか)
について
⑴原告は,上記1認定に係る補助参加人の行為が,いわゆるセクハラ及びパワハ
ラに該当すると主張する。
⑵ところで,セクハラについては本件指針について,ある程度明確な定義づけが
なされており,その該当性やこれが国賠法1条1項の違法な行為と認められるか
については,本件指針の規定を参照しつつ検討すべきものと解される。他方,パ
ワハラという文言自体極めて抽象的な概念であるところ,原告主張の補助参加人
の行為が,不法行為に該当するか否かについては,パワハラと主張されている行
為をした者とされた者との人間関係,当該行為の動機・目的,時間・場所,態様
等を総合考慮の上,社会通念上許容される限度を超えるものと評価できるか否か
により判断すべきである。
アまず,本件接触行為について検討すると,本件接触行為は,故意をもって女
性の胸を触るというものであり,その行為態様からすれば,性的な行動(本件
指針2項⑷)に該当することは明らかである。前記認定のとおり,本件接触行
為の後,原告が,C校長に対して,本件接触行為を含む補助参加人の行為を相
談していることからすれば,本件接触行為は,労働者の就業環境が不快なもの
となるため,当該労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じるもの
といえ,セクハラ行為に該当し,違法な権利侵害に当たる。
イまた,使用済みの歯間ブラシの汚れを洗わせる行為は,それ自体,性的な行
動とまでは認められないものの,歯間ブラシが,口腔内の清掃に用いる器具で
あり,通常人をして他人が使用したそのような器具に触れることに嫌悪感を抱
くことが十分に考えられることからすれば,そのような器具を他の職員に洗わ
せる行為自体,社会通念上許容される限度を超え,原告に精神的苦痛を与える
ものといえる。
ウさらに,前記認定のとおり,補助参加人は,原告に対し,原告が本件接触行
為のC校長や,区教委に対する調査を受けたことから,原告に対し,
「胸のこと
をばらしたのか」
などと度々問い質したり,
「いつからノートを取っていたのか」
などと詰問したりするなどしていたこと(前記1⑹カ)についても,それが職
場内の上下関係を背景にしたものとは直ちには認められないものの,暗に原告
が被害事実を申告したことを非難するものであり,社会通念上許容できる限度
を超えて,原告に精神的圧迫を加えるものであり,不法行為に該当する。
⑶以上のとおり,前記1及び⑵認定説示に係る補助参加人の各行為は,いずれも
社会通念上許容される限度を超えるものといえ,原告に対して,故意又は過失に
基づき,違法に損害を生じさせたものといえる。
⑷原告の主張について
ア原告は,
上記の各事実に加え,
補助参加人が,
㋐教職員との懇親会において,
女性である原告の年齢を話題にしたり,
原告に対して,
「豊満な胸を突き出して
歩けば」などと発言したりすること,㋑補助参加人は,原告に対し,
「小さい頭
で考えろ」などと侮辱的な言辞をしたこと,㋒女性教員の家庭において,当該
女性教員よりその夫の年収が低いことに関し,
「やること(性行為)やってれば
大丈夫だろう。

などと述べたこともセクハラ行為に該当すると主張するが,

助参加人が上記㋐及び㋑を否認していることからすると,的確な裏付けを伴わ
ない原告の陳述書等の供述だけでは,
上記㋐及び㋑を認めるに足りない。
また,
上記㋒は,その言動から,直ちに補助参加人のいう「やること」が性行為を意
味するものとは解されないことから,原告の主張を採用することはできない
(この点につき,原告は,補助参加人が,
「やること」とは「性行為」を意味す
る旨述べたと主張し,
原告作成のノート
(甲5)
にもこれに沿う記載があるが,
これを裏付ける的確な証拠がなく,採用できない。


イまた,原告は,前記1⑸認定の,
「甲斐性がない奴」というメールを送信した
ことについても,パワハラに該当し,不法行為を構成すると主張するところ,
当該メールの内容は確かにぶしつけなものではあるものの,当該メールを受信
する前には,原告も,補助参加人の対応を非難する趣旨のメールを送信してい
たことなどからすれば,社会的に許容すべき範囲を逸脱し,不法行為を構成す
るとまでは認められない。
4争点⑵(被告らの責任原因)について
⑴被告江戸川区の責任について
ア公権力性について
国賠法1条1項にいう「公権力の行使」とは,私経済作用を除く全ての公行
政作用を意味するものと解されるところ,補助参加人及びC校長の各言動(不
作為も含む。

は,
私経済作用ではない本件学校における業務に関連して行われ
たものであることからすれば,各行為は公権力性を有するものと認められる。
イ職務執行性について
原告は,前記1及び3認定説示に係る補助参加人の行為が,いずれもその職
務を行うについてされたものであると主張する。職場外においてされた行為で
あっても,それが職務との関連性,参加者,参加が強制的か任意か等を考慮し
て,客観的に職務執行の外形を備える行為又は職務行為に社会通念上,密接に
関連する行為に該当すると認められる場合には,国賠法1条1項の職務を行う
についてなされたと認めるのが相当である。
本件接触行為について
前記認定のとおり,本件接触行為は,用務主事と栄養士との間における職
員室への給食の配膳という本件学校における用務主事の事務の分担に関す
る話合いを行う趣旨で開催された本件親睦会の中で行われたものであるこ
と,本件親睦会開催のきっかけとなった,栄養士と用務主事(F)とのトラ
ブルについては,本件学校の管理者であるC校長も把握しており,そのよう
なことからすれば,本件親睦会の開催自体は把握していたと推認することが
できること,本件親睦会は,本件学校において,事務主任の地位にあった補
助参加人が企画,立案したこと,主要な事務職員及び用務主事4名全員が出
席していることが認められ,このような本件親睦会開催に至る経緯や参加者,
話題内容に鑑みれば,本件親睦会は,勤務時間外に開催されたものであると
しても,職務と密接な関連を有するものであり,そこで行われた本件接触行
為は,職務を行うについてなされたものと認めるのが相当である。
また,前記認定のとおり,使用済みの歯間ブラシを洗わせる行為は,終業
時間中に,事務室内にある洗い場において行われたものであり,事務職たる
補助参加人の職務行為に関連するものといえることからすれば,職務の執行
についてなされたものと認めるのが相当である。
さらに,補助参加人が,原告に対して,同人が,セクハラ行為等を区教委
等に報告したことを非難する言動をしたことについても,当該言動が,職場
内のセクハラ行為に関するものであり,当該言動が執務時間内になされたこ
とからしても,職務を行うについてなされたものと認めるのが相当である。
ウ以上説示のとおり,補助参加人の前記3認定説示に係る言動は,いずれも職
務を行うについてなされたものと認めるのが相当であることから,被告江戸川
区は,原告に対し,これによって生じた原告の損害を賠償する責任を負う。
⑵職場環境配慮義務違反について
ア原告は,C校長について,補助参加人のセクハラ行為に対する対応が遅れる
などの職場環境配慮義務違反があると主張するところ,上記の原告の主張は,
C校長に違法な権限の不行使がある旨の主張と解される。
イそこで,まず,C校長の権限について検討するに,法11条1項は,事業主
が職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応によ
り当該労働者がその労働条件につき不利益を受け,又は当該性的な言動により
当該労働者の就業環境が害されることのないよう,当該労働者からの相談に応
じ,適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を
講じなければならないと規定し,当該規定は地方公務員にも適用される(同法
32条)

上記規定を受けて法11条2項は,厚生労働大臣は,事業主が講ずべき措置
に関して,適切かつ有効な実施を図るために必要な指針を定めるものとし,こ
れを受けた本件指針3項⑶では,別紙のとおり,職場においてセクハラが発生
した場合には,迅速かつ適切に対応すべきことを規定しており,事実関係を迅
速かつ正確に調査し,事実が確認できた場合には適切な対処をしなければなら
ず,特に被害者に対する配慮措置を適正に行うことと,加害者に適正な措置を
とることが定められている。
C校長は,本件学校の校長として,本件学校の校務をつかさどり,所属職員
を監督する(学校教育法37条4項,49条)ところ,江戸川区立である本件
学校において,C校長は,具体的には,学校教育の管理,所属職員の管理,学
校施設の管理及び学校事務の管理に関する職務や所属職員の職務上及び身分
上の監督に関する職務を負い(江戸川区立学校の管理運営に関する規則5条1
項)
,教職員の採用,異動,懲戒に関する教育委員会への意見具申の申出を行う
権限(地方教区行政の組織及び運営に関する法律39条)を有し,これらの権
限の一環として,教職員の執務場所を決定する権限を有していたのは前記1で
認定したとおりである。
ウ次に,権限の不行使が国賠法上違法とされる判断枠組みについて検討するに,
国賠法1条1項にいう「違法」とは,国又は地方公共団体の公権力の行使に当
たる公務員が個別の国民に対して負担する職務上の法的義務に違背すること
をいい(最高裁昭和60年11月21日第一小法廷判決・民集39巻7号15
12頁参照),
地方公共団体の公務員による裁量権を有する権限の不行使は,

の権限を定めた法令の趣旨,目的やその権限の性質等に照らし,具体的事情の
下において,その不行使が許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くと認
められるときに,その不行使により被害を受けた者との関係において,国賠法
1条1項の適用上違法になると解される(最高裁平成元年11月24日第二小
法廷判決・民集43巻10号1169頁,最高裁平成7年6月23日第二小法
廷判決・民集49巻6号1600頁各参照)

エC校長の具体的な義務違反の有無
そこで,本件において,C校長に上記の職務権限の不行使に関し,許容さ
れる裁量の限度を逸脱した違法があると認められるか検討するに,前記認定
のとおり,C校長は,原告から,平成26年11月18日,補助参加人から
胸を触られたとの報告を受け,平成27年1月15日から同年2月にかけて,
補助参加人から送信されたメールを見せられるなどして,補助参加人から胸
を触られたことや歯間ブラシを洗わされたことなどを告げられ,補助参加人
からも上記の各事実について確認を得ており,同年3月25日には,原告,
F及び補助参加人の4名での話合いの際にも,上記の事実について確認し,
その際,補助参加人が,腕を組んで謝罪をしようとするなど本件接触行為等
の問題について真摯に対応すべきと認識しているか疑問を呈すべき事情が
十分に認識できたにもかかわらず,補助参加人なりに感じ入ったところはあ
ると思うので様子を見ようと原告に告げ,暗に今後具体的な対応を校長とし
て取る予定のないことを告げたにとどまるのであるから,当日の話合いの結
果を受けて,原告の意向をより具体的に確認したりしなかったことなど,本
件学校の校務を所掌する者として,その対応については不十分な点があった
ことは否めない。
もっとも,上記の時点においては,原告としても,積極的に,補助参加人
に対して具体的な懲戒処分を求めたり,配置転換を希望したりするなどの言
動を取っているわけではなかったことからすれば,C校長として,事実関係
を確定するための事情聴取や補助参加人に反省を促す以上の積極的な措置
を講ずべき義務があったとまではいえない。
しかしながら,前記認定のとおり,同日の打合せ後,Fの夫の通報を受け
て区教委が調査を開始して以降,補助参加人が,原告が区教委に本件接触行
為等を報告したり,補助参加人の行為をノートに取っていたりしたことを詰
問したことや,同年7月に,補助参加人が,
「あなたの調書で報告書があがっ
たんでしょ。
あなたも願ったりかなったりなんでしょ。

と発言したことなど
本件接触行為等に関する原告の対応等に関し,補助参加人が明らかに不満な
態度を示す兆候があり,同年8月31日には,原告が適応障害と診断された
旨をC校長に報告していることからすれば,C校長としては,遅くとも同日
の時点では,本件接触行為等補助参加人から原告に対する一連の行為により,
原告と補助参加人との人間関係が悪化し,さらに,補助参加人から引き続き
本件接触行為や一連の行為に関して精神的圧迫を受けるおそれがあると十
分に認識し得たものといえ,C校長としては,その権限に基づき,原告と補
助参加人の執務室を分けたり,早期に異動の意見を教育委員会に具申したり
するなどの必要な措置を講ずる義務を負っていたといえ,それにもかかわら
ず,C校長は,区教委の調査が開始しても,格別何らの対応も執らず,同日
に上記の報告をした原告に対し,
「飲みに行ったりして気晴らしでもして」

どと真摯に対応する様子を示さなかったといえる。
このようなC校長の不作為は,その権限及び職責を定めた本件指針及びそ
の他の諸規定の趣旨・目的や,その権限・職責の性質等に照らし,その不行
使が許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くものであったというべ
きであり,国賠法1条1項の違法がある。
また,原告は,C校長の上記不作為のほか,①同人が,原告に対し,補助
参加人のセクハラ行為の口止めを要求した行為,②原告の精神的不調に対し,
相談対応等の適正な措置を講じなかったことも,職場環境配慮義務違反を構
成すると主張する。上記各不作為は,いずれも補助参加人のセクハラ行為に
対し,C校長が適切な措置を講じなかったことを問題視するものであり,上
,C校長の不作為の権限及び職責を定めた本
件指針及びその他の諸規定の趣旨・目的や,その権限・職責の性質等に照ら
し,その不行使が許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くものであっ
たというべきであり,国賠法1条1項の違法がある。
なお,前記の事実関係からすると,C校長の上記違法行為に少なくとも過
失があったことは明らかである。
オ小括
以上のとおり,
被告江戸川区は,
補助参加人の前記3の各違法行為に関して,
国賠法1条1項による原告に生じた損害を賠償する責任を負うとともに,C校
長の権限不行使による違法に関しても,同条同項により原告に生じた損害を賠
償する責任を負う。
⑶被告東京都の責任原因について
前記前提事実のとおり,補助参加人は,被告東京都が俸給,給与その他の費用
を負担している者であることからすれば,補助参加人が,前記3のとおり,その
職務の執行について行った各違法行為に関して,被告江戸川区と連帯して,原告
に生じた損害を賠償する責任を負う。
5争点⑶(原告の損害)について
前記1,3及び4に係るC校長及び補助参加人の違法行為によって原告に生じた
損害は以下のとおりと認められる。
⑴慰謝料60万円
ア前記1,3及び4で認定説示したとおり,原告は,補助参加人から胸を触ら
れるという性的自由に対する侵害の度合いの高い行為を受けたことに加え,使
用済みの歯間ブラシの掃除をさせられるという通常人が嫌悪感を催すと思わ
れる行為を意図せずとはいえさせられたことなど,社会通念上許容できる限度
を超える被害を受けている。
イまた,原告は,上記の状況に陥っていることを勤務先である本件学校の管理
者であるC校長に複数回相談しており,同人なりに必要と思われる措置を講じ
た部分もあるものの,結果的には,客観的には著しく合理性を欠くといわざる
を得ない程度の対処しかなし得ず,これにより原告の精神的苦痛が相当程度増
大したものと認めるのが相当である。
ウそして,証拠(甲3,4)によれば,原告は遅くとも平成27年8月以降精
神科へ複数回通院し,適応障害と診断されたことも,これら補助参加人及びC
校長の上記違法行為の結果としては看過し難いものがある。
エ上記アないしウの各事情に鑑みれば,原告が,補助参加人及びC校長の違法
行為により受けた精神的苦痛を慰謝するのに相当な金員の額は,60万円を下
らないと認めるのが相当である。
⑵通院費用1万7630円
前記前提事実及び証拠(甲3,4)によれば,原告は,平成27年8月24日
から同年12月2日までのうち合計7日間,Hクリニック等に通院し,Hクリ
ニックにおいて適応障害と診断されたこと,上記通院や薬剤処方に係る費用が少
なくとも合計で1万7630円であることが認められる。
原告が,本件接触行為を受けてから1年以上が経過した後に,上記病院等に通
院していることや,本件接触行為後の,C校長や区教委との相談等による心労が
上記の適応障害の原因となっていることは否定し難いことを勘案しても,前記4
で説示したことに照らせば,原告主張に係る通院と補助参加人又はC校長の違法
行為との間に相当因果関係があると認めるのが相当である。
⑶弁護士費用10万円
原告は,弁護士に委任して本件訴訟を追行しているところ,補助参加人及びC
校長の違法行為と相当因果関係のある弁護士費用は10万円とするのが相当で
ある。
⑷損害合計71万7630円
6まとめ
以上のとおり,補助参加人及びC校長の違法行為による原告の損害は合計で71
万7630円となり,被告江戸川区と被告東京都が連帯してその賠償責任を負う。
また,これらの債務は,遅くとも不法行為の後であり,かつ,本訴状送達の日の翌
日である平成28年1月19日(記録上明らかな事実)には履行遅滞に陥っている
と認められ,原告の被告らに対する請求は上記の限度で理由がある。
第5結論
よって,主文掲記の限度で原告の請求を認容し,原告のその余の請求をいずれも
棄却することとし,訴訟費用の負担について民訴法61条,64条本文,65条1
項本文,
66条を,
仮執行の宣言について,
同法259条1項を,
それぞれ適用し,
主文のとおり判決する。なお,仮執行免脱の宣言の申立てについては,これを付す
必要性がないことから却下する。
東京地方裁判所民事第10部
裁判長裁判官鈴木正紀
裁判官山口雅裕
裁判官山崎文寛
別紙
(法11条1項)
事業主は,職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応に
より当該労働者がその労働条件につき不利益を受け,又は当該性的な言動により当該
労働者の就業環境が害されることのないよう,当該労働者からの相談に応じ,適切に
対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければなら
ない。
(本件指針)
2職場におけるセクシュアルハラスメントの内容
⑴職場におけるセクシュアルハラスメントには,職場において行われる性的な言
動に対する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受けるも
の(以下「対価型セクシュアルハラスメント」という。
)と,当該性的な言動によ
り労働者の就業環境が害されるもの(以下「環境型セクシュアルハラスメント」と
いう。
)がある。以下,略
⑵「職場」とは,事業主が雇用する労働者が業務を遂行する場所を指し,当該労働
者が通常就業している場所以外の場所であっても,当該労働者が業務を遂行する場
所については,
「職場」に含まれる。例えば,取引先の事務所,取引先と打合せをす
るための飲食店,顧客の自宅等であっても,当該労働者が業務を遂行する場所であ
ればこれに該当する。
⑶略
⑷「性的な言動」とは,性的な内容の発言及び性的な行動を指し,この「性的な内
容の発言」には,性的な事実関係を尋ねること,性的な内容の情報を意図的に流布
すること等が,
「性的な行動」には,性的な関係を強要すること,必要なく身体に触
ること,わいせつな図画を配布すること等が,それぞれ含まれる。
⑸略
⑹「環境型セクシュアルハラスメント」とは,職場において行われる労働者の意
に反する性的な言動により労働者の就業環境が不快なものとなったため,能力の
発揮に重大な悪影響が生じる等当該労働者が就業する上で看過できない程度の支
障が生じることであって,その状況は多様であるが,典型的な例として,次のよ
うなものがある。
イ以下略
3事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関し雇用管理上講ずべき措置
の内容
事業主は,職場におけるセクシュアルハラスメントを防止するため,雇用管理上次
の措置を講じなければならない。
⑴略
⑵相談(苦情を含む。以下同じ。
)に応じ,適切に対応するために必要な体制の整備
事業主は,労働者からの相談に対し,その内容や状況に応じ適切かつ柔軟に対応
するために必要な体制の整備として,次の措置を講じなければならない。
イ略
ロイの相談窓口の担当者が,相談に対し,その内容や状況に応じ適切に対応でき
るようにすること。また,相談窓口においては,職場におけるセクシュアルハラ
スメントが現実に生じている場合だけでなく,その発生のおそれがある場合や,
職場におけるセクシュアルハラスメントに該当するか否か微妙な場合であって
も,広く相談に対応し,適切な対応を行うようにすること。例えば,放置すれば
就業環境を害するおそれがある場合や,性別役割分担意識に基づく言動が原因や
背景となってセクシュアルハラスメントが生じるおそれがある場合等が考えら
れる。
ハ略
⑶職場におけるセクシュアルハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応
事業主は,職場におけるセクシュアルハラスメントに係る相談の申出があった場
合において,
その事案に係る事実関係の迅速かつ正確な確認及び適正な対処として,
次の措置を講じなければならない。
イ事案に係る事実関係を迅速かつ正確に確認すること。
(事案に係る事実関係を迅速かつ正確に確認していると認められる例)
①相談窓口の担当者,
人事部門又は専門の委員会等が,
相談を行った労働者
(以
下「相談者」という。
)及び職場におけるセクシュアルハラスメントに係る性的
な言動の行為者とされる者(以下「行為者」という。
)の双方から事実関係を確
認すること。
また,相談者と行為者との間で事実関係に関する主張に不一致があり,事実
の確認が十分にできないと認められる場合には,第三者からも事実関係を聴取
する等の措置を講ずること。
②事実関係を迅速かつ正確に確認しようとしたが,確認が困難な場合などにお
いて,法第18条に基づく調停の申請を行うことその他中立な第三者機関に紛
争処理を委ねること。
ロイにより,職場におけるセクシュアルハラスメントが生じた事実が確認できた
場合においては,速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に行うこと。
(措置を適正に行っていると認められる例)
①事案の内容や状況に応じ,被害者と行為者の間の関係改善に向けての援助,
被害者と行為者を引き離すための配置転換,行為者の謝罪,被害者の労働条件
上の不利益の回復,管理監督者又は事業場内産業保健スタッフ等による被害者
のメンタルヘルス不調への相談対応等の措置を講ずること。
②略
ハイにより,職場におけるセクシュアルハラスメントが生じた事実が確認できた
場合においては,行為者に対する措置を適正に行うこと。
(措置を適正に行っていると認められる例)
①就業規則その他の職場における服務規律等を定めた文書における職場にお
けるセクシュアルハラスメントに関する規定等に基づき,行為者に対して必要
な懲戒その他の措置を講ずること。併せて事案の内容や状況に応じ,被害者と
行為者の間の関係改善に向けての援助,被害者と行為者を引き離すための配置
転換,行為者の謝罪等の措置を講ずること。
②法第18条に基づく調停その他中立な第三者機関の紛争解決案に従った措
置を行為者に対して講ずること。
ニ略
⑷⑴から⑶までの措置と併せて講ずべき措置
⑴から⑶までの措置を講ずるに際しては,併せて次の措置を講じなければならな
い。
イ職場におけるセクシュアルハラスメントに係る相談者・行為者等の情報は当該
相談者・行為者等のプライバシーに属するものであることから,相談への対応又
は当該セクシュアルハラスメントに係る事後の対応に当たっては,相談者・行為
者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講ずるとともに,その旨を労
働者に対して周知すること。
(相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じていると
認められる例)
①相談者・行為者等のプライバシーの保護のために必要な事項をあらかじめマ
ニュアルに定め,相談窓口の担当者が相談を受けた際には,当該マニュアルに
基づき対応するものとすること。
②相談者・行為者等のプライバシーの保護のために,相談窓口の担当者に必要
な研修を行うこと。
③相談窓口においては相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要
な措置を講じていることを,社内報,パンフレット,社内ホームページ等広報
又は啓発のための資料等に掲載し,配布等すること。
ロ略
以上

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